土曜日, 10月 24, 2026
ホームコラム《沃野一望》16 藤田小四郎の6 天狗壊滅

《沃野一望》16 藤田小四郎の6 天狗壊滅

【ノベル・広田文世】
灯火(ともしび)のもとに夜な夜な来たれ鬼
我(わが)ひめ歌の限りきかせむ とて

豪雪の蠅帽子(はえぼうし)峠を越え、越前国(現在の福井県)へ入った天狗党の一党は、ここでついに、行く手の葉原(はばら)宿に布陣する加賀藩に降伏した。加賀藩士永原甚七郎の命がけの説得に応じた理由は、加賀藩に先陣を命じた一橋慶喜の出陣だった。京へ近づけば近づくほど露骨に拒絶の姿勢をつよめる慶喜のまえに、矛を収めざるをえなかった。天狗党の頼みの綱は、儚(はかな)い幻像だった。

さらに天狗党は、あまりに激しく行動力を消耗しつくしていた。天狗党の気力と体力は、豪雪の峠越えで極限にまでそがれていた。誰もが、「これ以上の進軍は無理」と肌で感じていた。

天狗党は、加賀藩兵に武器を差し出し、捕らわれの身となる。ついに、幕府軍との全面戦闘を展開せぬままの降伏だった。

心情的に天狗党に肩入れしてきた加賀藩兵は天狗党を、できうる限りの厚遇で迎え入れる。北陸の魚とたっぷりの白米、熱々の味噌汁。手足をゆっくりのばせる風呂は、豪雪の峠越えでおった凍傷に、なによりの治癒(ちゆ)となった。酒さえ相伴し、暖かい布団に寝ついた。

しかし、桃源郷のような虜囚生活は、長くつづかなかった。幕府の天狗党追討軍総括田沼意尊(たぬまおきたか)が越前に到着した。田沼は、加賀藩による厚遇を聞き及び激怒した。「天狗勢を縛って引き立てよ。牢に押し込めよ。反抗する者は、射殺せ」。

降伏823名中352名斬首

加賀藩側も、黙っていなかった。

「われらは、一橋慶喜様の命で出動した者です。慶喜様が京へ戻ってしまわれた以上、われらの役目はおわりました。加賀へ、ひきあげます」。幕府軍と一橋慶喜に対する、精一杯の反抗だった。加賀藩兵は、天狗勢からの深甚な謝意を背に、捕縛の役目を放棄し、加賀へ帰っていった。

幕府軍による天狗勢への過酷な処遇がはじまる。敦賀へ護送され、鰊(にしん)蔵を改造した頑丈な牢獄へ押し込められた。出入り口や窓は、すべて厚い板で塞がれ、手を入れるだけの穴から、一日二個の握り飯がほうりこまれた。ほとんど光のとどかない暗黒の獄内の中央に、大・小便用の桶があるだけ。足には、分厚い板の足枷(かせ)が釘うちされた。

元治二年(1865)二月。田沼意尊は、武田耕雲斎や藤田小四郎などの天狗党幹部25人を鰊蔵から引きたてた。かたちばかりの裁判がとりおこなわれた。斬首に処する。即、執行。

翌日から、一般隊員に対して次々と判決が言い渡された。加賀藩に降伏した823名のうち、352名が、越前国敦賀来迎寺(らいごうじ)で斬首された。筑波山に挙兵して約1年。ちらほらと、早咲きの梅がほころびはじめるころだった。(作家)

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次期学長予定者に永田氏を再任 筑波大 在任17年と長期に

筑波大学(つくば市天王台)は23日、任期満了に伴う次期学長予定者に永田恭介氏(72)を再任したと発表した。次の任期は来年4月から2030年3月末までの3年間。永田氏は2013年4月から同大の学長を務めており、次の任期を含めると在任期間は17年と長期に及ぶ。 同大では2020年の学長選考で、これまで最長2期6年とされていた学長任期の上限を撤廃した(20年10月21日付、23年3月27日付)。前回23年は、学長選考は行わず、学長選考・監察会議の再任審査で永田氏が再任された(23年10月25日付)。 再び再任が決まったことを受けて23日、永田学長が記者会見し、カリキュラム改革や入試改革などの所信を改めて説明した。大学院までを見据えた3+3/3+4制(学群を3年で早期卒業し大学院を3年または4年で修了する)などのカリキュラム改革や、大学院課程を学位プログラムに移行したのに続く、学類の学位プログラム化など学群学類/大学院の組織の見直し、さらにAIの発展や留学生の増加を見据えた入試改革などについて必要性を話した。 在任期間が17年と長期に及ぶことについては「いけないことと、いいことの両方がある」とし、いいことして「ステークホルダー(利害関係者)とのやりとりが充実し、社会のいろいろな層と密接に意見交換できる」と強調した。 次期学長選考をめぐっては、9月に学長候補者の推薦を受け付けたところ、推薦があった候補は永田氏一人だった。10月22日、同大学長選考・監察会議(河田悌一議長)を開いて本人面談などを行い、次期学長予定者に決定した。永田氏は、筑波大学が未来構想大学(研究型総合大学)となる目標を掲げ、数々の学内改革を実行してきたこと、さらに永田氏が主導した、筑波研究学園都市の大学と研究機関が連携する筑波研究教育共創体(3月23日付)は、大学の研究と教育の在り方を大きく変えうる、類いまれで先進的な取り組みとして期待できることなどが理由という。 一方、9月の推薦受付に先立って、同大では、教職員の意見聴取(意向投票)が行われた。筑波学生新聞によると、意見聴取の候補者は永田氏一人で、結果は、永田氏が1460票だったのに対し、白票が922票だった。 同大学長選考・監察会議会議は、意見聴取の結果について、公表しないとしている。 永田学長は、意見聴取で白票が多かったことについて「白票の意味には、反対と分からないの二つの意味があるが、(理事や各組織長などで構成する教育研究評議会からの)推薦者名簿は、1組織を除いてすべての組織長が賛同してくれたが、現場の教職員にまで思いが届いてないということだと思う」と述べ、「去年から、上の人を除いて、各部局の希望者全員が集まって意見交換する場を設けており、白票の意味を変えていけると思う」などと話した。(鈴木宏子)

データセンター建設ガイドラインを策定 つくば市

住民説明会を100メートル以内に限定など課題も つくば市大穂の元公有地に、外資系不動産開発会社グッドマンジャパンが国内最大級のデータセンター建設を計画している問題で、つくば市は22日、「データセンターの建設及び運営に関する地域共生ガイドライン」を策定したと発表した。 排熱や騒音、水利用などについて、周辺住民から環境や生活への影響を懸念する声が出ている中、周辺環境に配慮し地域住民の理解を得ながら事業を進められるよう、市が事業者に求める事項を示した。策定は21日付。東京都、江東区、日本データセンター協会のガイドラインを参考にした。市は今後、同ガイドライン基づき、市と事業者による協定締結を目指すとしている。 一方、指針であるため、法的強制力はない。さらに桁違いの電力使用や排熱など「新しい公害」と言われる大規模データセンターの建設に対し、住民説明会の対象を敷地境界から概ね100メートル以内の居住者と土地所有者に限定している。周辺環境への影響については数値目標などは示さず「影響を最小限にとどめる」「法令を遵守する」という表現にとどめるなど、周辺住民の不安に応えられるのか、課題もある。策定にあたって市は、周辺住民へのヒヤリングなどは実施していない。 オープンハウス型説明会を1週間以上 住民への情報提供について同ガイドラインは、敷地境界から100メートルより外側に住む住民への説明については、「オープンハウス型説明会を1週間以上開催」するとしている。開催期間中はだれでも自由な時間に来場し、展示してあるパネルや会場に置いてある資料を見て回りながら、スタッフに1対1で質問する説明方法だ。住民説明会の開催を100メートル以内と限定した理由について市は、同市の開発行為の手引きや江東区のガイドラインを参考にしたとしている。 地域住民が最も懸念する周辺環境への影響に対しては▽排熱に伴う周辺環境や住民生活に及ぼす影響を最小限にとどめるため、排気設備の設置位置や排熱の排出方法に工夫を施すなどの対策を講じる▽騒音・振動対策は、法令基準を遵守し、周辺環境への騒音や振動を最小限に抑える▽排煙については、非常用発電機は大気汚染防止法の排出基準の適用外だが、基準を遵守する▽排水は、基準を遵守し、薬品等が河川や地下水に漏えいしないよう適切な対策を講じるーなどとしている。 ほかに▽電力・エネルギー対策として、原則として100%再生可能エネルギーを利用し、市内で発電されたエネルギーを優先的に調達するための対策を講じる▽研究機関と連携し、例として、環境影響評価やモニタリングなどについて研究機関の協力を得て課題解決を図る、などとしている。(鈴木宏子)