【鈴木宏子】子供たちが霞ケ浦の湖上に出て水環境について体験しながら学ぶ今年度の「霞ケ浦湖上体験スクール」が11日から始まったのを受けて、17日、土浦市川口の土浦港と霞ケ浦の湖上で落水者の救助訓練と船上火災消火訓練が実施された。
毎年4月に訓練を実施しているが、今年は新型コロナウイルス感染拡大による学校の休校や外出自粛要請を受けて、3月から5月まで湖上スクールがすべてキャンセルとなっていた。学校が再開し湖上スクールが4カ月ぶりに再開したのを受けて、例年より2カ月遅れの訓練実施となった。
湖上スクールの指導員と、遊覧船を運航するラクスマリーナ社員のほか、県霞ケ浦環境科学センター職員、土浦市消防本部、土浦警察署の署員など計53人が参加した。
救助訓練は、土浦港から沖合約1キロの湖上で実施された。湖上スクールに参加していた小学生が船から湖に落ちたと想定。ラクスマリーナの社員が浮き輪を投げて落水者を引き上げ、スクール指導員がデッキで心肺蘇生をした。さらに通報を受けた土浦市消防本部の消防艇が駆け付け、救急隊員が船に乗り込んでAED(自動体外式除細動器)を使った心肺蘇生などを実施した。
続く火災訓練は土浦港で実施された。船のデッキに置かれたごみ箱から出火したと想定。船上のスクール指導員が子供たちを落ち着かせて風上に移動させ、別の指導員が消火器を使って初期消火をする訓練を実施した。さらに通報を受けて駆けつけた市の消防艇とポンプ車による消火訓練が実施された。
湖上体験スクールは県の森林湖沼環境税を活用した子供たちの体験学習で、遊覧船で沖合に出て、船上で霞ケ浦の水質調査をしたり、プランクトンを観察したり、霞ケ浦の広さや生き物、流域の様子を勉強する。毎年、流域の小学4、5年生などがクラス単位で参加し、年間約300回のスクールを開いているという。
一方今年度は、新型コロナウイルスによる休校の影響で、11日に石岡市内の小学4年生が実施したのが始まり。6月は例年なら50回ほど開催するが、今年は10分の1の5回だけという。
学校が再開しても、新型コロナウイルスの感染防止対策が求められることから、スクールでは、船上で子どもたちが3密になるのを防ぐため、船室内のテーブルを撤去して椅子と椅子の間隔を1メートル空けたり、デッキの床にペンキで印を付けて乗船者同士が1メートル距離をとれるようにしたり、水質調査を3班に分けて実施するなどしている。
ラクスマリーナの高野利夫専務は「湖上スクールや遊覧船運航を安全に実施したい」と話している。