土曜日, 9月 26, 2026
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《くずかごの唄》63 コロナ事件 医療の歴史的試み

【コラム・奥井登美子】

「耳の後ろがかゆいのです。マスクのゴムのせいでしょうか?」

「暑い時のマスクは耳のところで汗かくから、アセモと同じ手当てをすればいいと思います」

「ゴムひもを取り換えてもダメですか?」

「かゆい所の汗を水でよく拭いてから、弱いステロイド軟膏を塗っておく」

「ウエットティッシュで拭いたら、よけい赤くなっちゃった」

「皮膚炎には、ウエットティッシュに少しだけ入っている防腐剤がよくないの。くたくたの洗いざらしたガーゼがあればいいんだけれど」

「値段の高いティシュにしたのに、なぜダメなんですか? くたくたのガーゼなんか、捨てちゃうからありません」

「困ったわね。家にいる時はマスク外してくださいね」

マスク皮膚炎、手指のアルコール皮膚炎、家のひきこもりに伴う軽いノイローゼなど、病気と言えないような軽い疾患が増えている。病院や医院に相談に行くほどでもないとあって、薬局の雑談まじりの相談電話は結構忙しい。

日本人の生活教育を見直すチャンス

言われたことをキチンと真面目に実行しているのにトラブルが起こってしまう。それにどう対処していいかわからない真面目過ぎる日本人がなんと多いことか…。

マスクのつけ方、マスクの用途、消毒薬の扱い方、ウエットティッシュの使い方など、医療以前の基本的な日常の生活術を知らない人たちがなんと多いことか…。コロナウイルス事件は日本人の生活教育を見直すチャンスではないかと思う。

私は薬史学会に入っているので、薬の歴史的な事件は一応学んだはずであったが、地域医療の地域が世界中に広がっての「医療のコロナ騒動」は、歴史的にみても初めての体験である。

町の薬剤師の1人として、この歴史的な体験をどう乗り切ればいいのか、日夜模索しながらお客様の電話に付き合っている。(随筆家、薬剤師)

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運動公園→データセンター つくば市長の宿痾《吾妻カガミ》223

【コラム・坂本栄】前市長が計画した総合運動公園を市民運動で白紙撤回に追い込んだ五十嵐つくば市長。その跡地に市が誘致したデータセンター(DC、つくば市大穂)に対し、市民から環境への悪影響を懸念する声が上がっている。以前、運動公園問題を「市長の宿痾」(22年7月18日付)と表現したが、五十嵐氏は運動公園(今はDC)問題という宿痾(いつまでも続く病気)に取り付かれているようだ。 広報紙でDC群を擁護 不動産業者が建設しているDCの何が問題なのか? 温暖化研究者は、①使用電力は現市内消費の3倍 ②排熱は同排熱量の2倍 ③二酸化炭素も同排出量の2倍―と試算している(5月19日付)。100万キロワットの電力(原発約1基分)を受電するDC群が、着工済みDC(5万キロワット)の20倍になることを想定したものだ。市民生活の環境悪化が懸念される。 問題は、周辺住民が事業者に公開説明会を開くよう要求しているのに、全体計画や環境負荷の説明を拒んでいることだ。事業内容を教えると、DC反対運動に火が付くと思っているのだろうか。記事「…レストランで初の説明会…」(8月21日付)によると、ご馳走(ちそう)付きの小規模説明会は開いたそうだが、これでは住民懐柔(かいじゅう)会と呼んだ方がよい。 逃げ回っているのは事業者だけではない。誘致した手前、五十嵐氏はこのDC事業に問題はないと判断している(6月10日付)。市の「広報 つくば」8月号のDC特集に至っては、DC群を擁護する広報紙になってしまった。 事業者が地域住民の懸念に答えず、市長も事業者の味方であることに怒り、住民たちは次の一手に動いた。市主催の公開説明会を開き、そこに事業者も呼べと、市議会に請願したのだ。その趣旨は記事「…市議会に請願…」(8月31日付)に詳しい。請願は9月市議会で審議されるが、これに反対する市議(市長&事業者寄り環境軽視派)は市民の信を失うだろう。 迷走の連鎖 「まだ続く運動公園問題」(25年10月20日付)で整理したように、五十嵐氏が起動した運動公園問題は迷走の連鎖だった。 第1章「白紙撤回のつけ」:五十嵐氏は市民運動で住民投票に持ち込み、運動公園計画全体を葬った。多くの市民が約300億の計画(陸上競技場、総合体育館、サッカー・ラクビー場など)にNOと言ったからだ。全否定ではなく陸上競技場だけに絞っていれば、経費は大幅削減され、いま建設準備中の陸上競技場(つくば市上郷)よりも高規格の施設が完成していただろう。 第2章「実現不可能な公約」:最初の市長選で、五十嵐氏は運動公園用地を元所有者(UR都市機構)に買い戻させると公約した。しかし、当選後の交渉でURは売買契約を盾にこれを拒否した。契約書にはURは返却に応じない旨記載されていたのに、五十嵐氏はこの条項を無視して、ほぼ実現不可能な公約を掲げていたわけだ。 第3章「議決を経ずに売却」:用地の扱いに困り、五十嵐氏は議会本会議に用地売却議案を提出せず、市の大事な財産を民間に売り払った。土地は市有地ではなく、市土地開発公社のものだから、議会の承認は必要ないとの理屈だった。 今後の展開 DC問題は今後どうなるのだろうか? 事業者が公開説明会を開き、その内容が理にかなったものであれば、周辺住民も納得するだろう。逆に、公開説明会を拒否し、市もこれに同調するようであれば、市民によるDC反対運動が起こるかもしれない。8月末に提出された請願書に議会がどう対応するか、請願にYESかNOか、その結論が今後の展開の分岐点の一つになるだろう。(経済ジャーナリスト)