【山崎実】新型コロナウイルスに伴う緊急労働相談を3月から実施している連合茨城は、4月13日からGW期間中の5月1日までの第3弾相談の開催結果をまとめた。
相談件数は143件(稼働日14日、1日平均10.21件)で、年齢別では50歳代が18件、60歳代が14件を占め、男女別では男性61件に対し、女性は82件と21件も多かった。業種別ではサービス業の19件をトップに、医療福祉11件、飲食宿泊9件、製造、卸小売り7件と続く。
ハードル高い雇用調整助成金
相談内容の特徴は、解雇や休業などが日ごとに増えてきているが、国の各種助成制度を利用しない企業があり、大学生などはアルバイト先を失い、親も援助ができなくなっている現実が浮き彫りにされたという。
具体的には「学校給食関係に勤めているが、休校で仕事が激減した。会社からは正社員には補償があって、パートにはないと言われた。このままでは生活できない」「運転代行業をしている。仕事がない。このままでは生活できない。国や県の制度を利用できないか」「会社から、5月以降は仕事がないので辞めてほしいというようなことを言われた。雇用調整助成金の話をしたら、考えていないと言われた。自宅待機、賃金未払いとなる。諦めるしかないのか」など、生活に直結した相談が相次いだ。
相談内容も、休業補償に関するものが33件で最多。次いで、解雇・退職強要・契約打ち切り・内定取り消しが25件、労働・雇用契約・就業規則10件、賃金9件、有給休暇5件などとなっている。
多くの事業所が休業に追い込まれているが、法に基づいて休業手当等を支払っている事業主は少ない。事業主の都合で休業して従業員を休ませたときに「最低でも6割の休業補償を支払わなければならない」ことを知らない事業主もいる。真剣に雇用調整助成金制度を利用しようとする事業主がいる一方で、従業員から制度の利用を提案されても検討しようとしない事業主もいる。零細企業にとっては制度そのものが複雑で、社労士などの専門家を頼らないと利用できないことにも問題があるという。
連合茨城は「これからは休業手当ての未払いに加え、雇用問題が深刻化することは明らかで、解雇や雇い止め、派遣切りなどが多発するものと思われ、ケースによっては労働組合を結成して、会社と交渉することも考える必要がある」と危機感を募らせている。
緊急労働相談は現在、第4弾を実施中で、18日から当面の間(土、日、祝日は除くが、30日の土曜日は開催)としている。相談時間は、朝9時~夕方5時半。電話フリーダイヤル0120-154-052。メールはinfo@ibaraki.jtuc-rengo.jp。詳しい問い合わせは電話029-231-2020。