【橋立多美】地域住民の親睦や環境美化、防犯・防災活動などの場として存続してきた自治会(区会)。東日本大震災以後は災害時の互助組織として見直す動きもある。だが、担い手が高齢化している自治会は多く、運営維持は各地で大きな課題となっている。
つくば市南端の茎崎地区にある森の里自治会もその一つ。高齢化による活力の低下と加入者の減少、活動をけん引する役員の担い手不足に直面している。森の里は40年前に「ニュータウン」として開発された住宅地。住民約2900人(1300世帯)の半数が65歳以上だ。
例年、150人以上が集まる同自治会の総会は団地に隣接する市立茎崎第三小学校の体育館で開催してきたが、新型コロナウイルスの影響で体育館使用を断念。今月22日、出席者を新旧役員約50人に絞り、団地内の森の里自治会公会堂で開催した。

「女性会員から要望があった公会堂の厨房(ちゅうぼう)拡張整備のめどがたち、他の人に任せるのは無責任と思い、今年も私がやることになりました」と自治会会長の倉本茂樹さん(78)は言う。住民全体が老いた今、誰も役員にはなりたがらない。任期は1年だが、毎年他に候補者がおらず、2020年度も会長を続投することが決まった。会長職は今年で8年になる。
自治会には1040世帯が加入(加入率74%)し、99の街区がある。街区ごとに1年交代の街区委員がおり、月2回の行政情報や回覧物の配布、自治会費の徴収をする。数年前から年をとって街区委員の任務が辛くなったと退会する世帯が目立つようになった。
昨年度から街区委員の負担を減らそうと、一律3カ月分の自治会費の納入を半年または1年分まとめて納入できるようにした。しかし、高齢による体の衰えや家族の介護などを理由に昨年1年間で19世帯が退会した。街区委員免除も試みたが「人様に迷惑はかけられない」と辞退された。
同自治会は夏まつりをはじめとするレクリエーションや環境美化、防災活動などの他、高齢者の引きこもり防止の交流サロンやごみ出しなどの日常生活支援にも取り組んでいる。一方、団地造成から40年を経て道路や公園などインフラの老朽化が著しく、行政機関への修復要請に追われるという。
倉本さんは総会の就任あいさつで「継続してきた夏まつりや餅つき大会などは会員相互の親睦のために可能な限り実施したいが、高齢化が進んでこれまで通りにはいかない状況にある」と話した上で「役員や街区委員の負担を軽減していきたい」とも。
こうした中、区会運営を引き受けて住民の負担軽減に取り組むNPOがある。(つづく)