木曜日, 11月 26, 2020
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《ひょうたんの眼》25 原発事故対応の失態を教訓に

【コラム・高橋恵一】クラスター。パンデミック。オーバーシュート。ロックダウン。新型コロナウィルスの感染拡大に伴って登場した「用語」である。行き過ぎた感染拡大、市民の移動や生活・経済活動が制限される都市封鎖。つまり、日本も武漢やイタリアのようになる可能性があるということだ。メッセージは明解さが必要だ。

新型ウィルス感染は、治療薬も予防ワクチンも無いので、国民はどうしたらよいのか分からない。人混みは避けて手洗い、うがい、マスクを使用する。風邪の症状が出て、体温37.5度が4日間続く間は自宅で静かにしている。それまでは感染の有無の検査もしない。ただし、重症化している人は医者にかかる。つまり、仮に感染しても重症化する人は少ないから、少々の発熱や体調不良の人は我慢していろというわけだ。

日本の初期対応は、武漢封鎖は中国国内の問題と見て、感染者が出た大型クルーズ船の乗客を上陸させず、水際作戦で感染を封じ込めるはずが、日本におけるクラスターの第1号にしてしまった。酒と美食のパーティー、社交ダンスあり、カジノあり。豪奢(ごうしゃ)だが不健康な環境下で、当然のように感染拡大した。情けないのは、政府もマスメディアもこのクルーズ船だけを見ていた。

国内での感染が出始め、国民の不信感を感じとると、首相は突然、小中高学校の休校を言い出し、続く記者会見では、検査体制の整備とマスクなどの供給体制を「次の週」までに整えると発言した。メディアも国民も、少なくとも「スグ」と受け取った。

結果、検査は増えず、店頭にはマスクも消毒用アルコールも並ばなかった。首相は「スグ準備に取り組む」と言ったのだという、「得意のご飯論法」だが、なんと記者会見から2カ月になろうというのに、まだ準備体制のままだ。このようなときのトップリーダーの言動は国民の命にかかわる。マスコミの追及も緊迫感がない。

新型コロナ 危機を見据え全力対応を

東京オリンピックについても、首相は「完全な形での開催」と、意味不明のことを言い出した。どうやら延期の伏線だったようだ。オリンピックも気になるが、新聞もテレビもそこに集中してしまう。感染拡大の危機から逃げようとしているみたいだ。いずれにしても、世界が新型感染症との「戦争」を終えなければ、オリンピックができないのは明らかだ。優先されるのは地球人民の生命の安全だ。

武漢の感染情報から2カ月半、首相の記者会見から2カ月。日本のナノテクノロジーを動員すれば、万能のマスクを生み出せるかも知れない時間だ。検査の完全実施による感染者の実態把握、感染爆発に対応できる医療体制の確保、国民の感染防止活動の徹底。野党も含めた政治とマスメディアは、危機を正面から見据え、全力で対応すべきだ。耳障(ざわ)りのよい「掛け声」ではなく、施策として。

9年前の津波による原発被災で、旧型の原発の廃炉を惜しんで、海水による冷却の決断ができなかったときのような、大失態を起こさないことだ。なにが大切か。国民の命を守らなければならない―政府とマスメディアの真価が問われる。(元茨城県生活環境部長)

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