【相澤冬樹】つくばでは初開催となる「ものづくりの祭典」、つくばミニメイカーフェア(TMMF)が15、16の両日、つくばカピオ・アリーナ(つくば市竹園)で開かれた。ビジネスシーンや趣味の世界で活躍する数々の成果が披露されたなか、主役になったのは各種のロボットたち。なかでもつくば生まれのレトロなロボットが、子供から大人まで来場者の幅広い関心を集めた。
科学万博のマスコットロボット
フェアは、「つくる場=つくば」がキャッチフレーズ。企業や研究機関、大学から町の科学者、技術者まで全国から151組も集まり、実演展示やセミナー・シンポジウムなどで丹精込めた日ごろの成果を披露した。五十嵐立青つくば市長も姿を見せ、バスケットボールのシュートロボットを脳波で動かす実演に取り組んだ。つくばの産総研の開発した技術だ。
そんななか、子供たちには「かわいい」、大人たちには「懐かしい」と注目を集めたのは、1985年に開催された科学万博のマスコットロボット「コスモ星丸」。つくば市のAI企業、LIGHTz(ライツ、乙部信吾社長)が目を付けて、TMMFへの参加企画として「復活プロジェクト」を立ち上げた。
乙部社長は85年当時小学生、岩手から万博見物に来て、今も鮮やかな思い出になっているという。「温故知新」の姿勢で、新しい技術との融合を図る同社の企業戦略にも合致するプロジェクトとして、保管先のつくばエキスポセンターから借り受けた。
科学万博から35年、まったく動かず、1週間前まで同センターの展示ブースに飾られていた。当時の最先端と思いきや、足もとの底部はベニアの板張りだったそうで、補強して、動力部などをチューンアップ。動作の電源は蓄電池からモバイルバッテリーに変え、コントローラーもスマホ仕様に変えたという。
科学万博で見られたじゃんけんをしたり、おじぎをしたりの動作はまだ不安定なため、電子音を立てて前進や後退、回転をするのにとどまった。それでもご愛敬なのは健在で、来場者の人気を集めた。同社が会場で呼び掛けた100万円のクラウドファンディングにも早速の応募が集まっていた。
今回ひとまず動く形になってステージに登場した星丸だが、やっと再起動を果たした状態。これから1年をかけ、新しい要素も加えてバージョンアップを目指すそうだ。