【橋立多美】つくば市吾妻の古書店、ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)で、桃の節句にちなんだ江戸期の「貝合わせ展」が開催されている。
貝合わせは平安時代から伝わる日本の遊び。江戸時代の貝合わせは、360個の二枚貝ハマグリの貝殻の内側に、金箔(きんぱく)や砂、石などを砕いて作った顔料で絵を描き、裏返して並べた貝殻のペアをいくつ見つけられるかで優劣を競った。トランプゲームの「神経衰弱」に似た遊びだ。
江戸期には名家の嫁入り道具
ハマグリはどれも同じに見えるが、対の貝殻しか組み合わせることができず、夫婦和合の象徴として公家や大名家の嫁入り道具として豪華絢爛(けんらん)な貝合わせが作られた。
装飾された対のハマグリを納めたのが貝桶(かいおけ)で、主流は八角形で2個1組だった。大名家の姫の婚礼調度の中で最も重要な品で、婚礼行列の際には先頭で運ばれたという。
貝の内側には、花鳥などの自然風物や平安時代中期に書かれた源氏物語を彷彿(ほうふつ)させる優美な絵が描かれ、対の貝殻にも同じ絵が描かれた。手のひらに収まる小さな世界だが平安時代のみやびをまとっている。

同店には約200個の対の貝があり、店内のショーケースに約100個が展示されている。近代以降、実物は博物館などでガラス越しに見られる程度だが、申し出れば手に取ることができる。また2個の円形貝桶にも触れることができる(いずれも非売品)。
古書店ブックセンター・キャンパスは昨年、店主の岡田さんが開店した。広さ約160平方メートルの店舗に江戸や明治、大正、昭和期の古書数万冊が並べられている。
◆江戸期の貝合わせ展 会期:3月8日(日)まで 営業:午前10時~午後4時(火曜日定休)つくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)店舗裏手に駐車場 電話:029-851-8100