ホーム つくば 4億円超調達しアプリ販売 筑波大出身医師、在宅・遠隔医療で切り込む

4億円超調達しアプリ販売 筑波大出身医師、在宅・遠隔医療で切り込む

【相澤冬樹】医療相談アプリ「リーバー(LEBER)」を開発し、法人向けサービスに乗り出したアグリー(AGRIE、つくば市谷田部)社が3億円を目標にした資金調達で、今月末までに4億円超えを達成、売り上げ20億円を目指す戦略が整った。29日、つくばスタートアップパーク(同市吾妻)で開催のつくばイノベーション・リーダース・ミーティングの会合で、講演した伊藤俊一郎社長(40)自らが明らかにした。病院への外来と入院に大きく依存した現代日本の医療体制に、在宅・遠隔医療で切り込もうとする同社の有力な“メス”になりそうだ。

リーバーはスマホを操作して医師と相談するアプリ。ユーザーは「痛い」「かゆい」などの症状を伝え、必要に応じ写真などに撮って送付するチャットスタイルで、自動問診に答える。これを見た医師が最速3分で診断結果を伝え、最寄りの医療機関や適切な市販薬などをアドバイスする仕組み。24時間365日相談でき、110人以上の医師、45以上の診療科で対応するという。

同社ではこれまで、アプリ開発と共に実証実験を行ってきた。2018年の調査では、3052人の相談者中、77%が「不安が減った」と答え、医師による回答は88%が「分かりやすかった」とした。相談の結果、60%が「病院に行かずに済んだ」ということだ。

この結果から同社は、アプリの販売に乗り出すことを決め、まず法人向けサービスから着手、昨年から3億円を目標に資金調達に乗り出した。これまでに地元地銀のほか、東京の大手印刷会社、インターネット関連企業などが出資に応じ、今月末までに4億円を超えての達成見通しになった。

若いスマホ世代と子供たちターゲット

講演では、「病院に行くのが難しい高齢者はスマホが操作できないものが多い。どう対応するか」の質問があった。伊藤社長は「現段階では高齢者は想定していない。多種の治療薬を服用しているため、相談アプリでは合併症などが懸念される」と、主に若いスマホ世代とその子供たちの利用を想定しているという。

医療難民となりがちな高齢者に対しては、在宅医療の展開がカギになる。アグリー社などを束ねるメドアグリケアグループでは、県内外7拠点で訪問診療・看護、リハビリ、入院治療を行っている。伊藤社長は筑波大学出身の心臓外科医で、2015年6月につくばみらい市にメドアグリクリニックを開院。昨年12月にはかすみがうら市に有料老人ホームのアグリケアガーデンかすみがうらを開設するなどしている。

17年度にはつくば市の「つくばソサエティ(Society)5.0社会実装トライアル事業」に、18年度には内閣府「近未来技術等社会実装事業」に採択。医療系ベンチャーとして注目されている。「日本は病院数こそ世界一だが、医師数があまりに少なく、医師の過重労働や医療費の増大を招いている。病院依存の外来診療、入院治療と役割分担する第3、第4の医療が必要」が伊藤社長の持論。5年後には在宅医療と遠隔医療が大きなウエートを占めるだろうと予見し、起業や就労を待っている分野だと強調した。

つくばイノベーション・リーダース・ミーティングは、若者や学生などに「つくばの起業家と夢を語る」機会として設けるもので、29日の開催が第1回だった。次回開催は2月26日、筑波大学システム情報系、鈴木健嗣教授による「サイエンスの勝利」が予定されている。問い合わせは、つくばグローバル・イノベーション推進機構(電話029-869-8034)

起業を目指す学生らが伊藤さんを囲み記念撮影=同

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