金曜日, 7月 10, 2026
ホームつくば筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。

書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。

『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む 

並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。

『蟲愛づる人の蟲がたり』筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所編、町田龍一郎監修(A5判並製156ページ、本体価格 1950円)

「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。

「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。

記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。

本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。

「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。

物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。

高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。

◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ハチに刺され救急搬送 小中高生など15人 つくばの遊歩道

10日午前7時50分ごろ、つくば市千現1丁目の遊歩道(ペデストリアンデッキ)で、通学途中の小中学生や高校生と社会人計15人が、街路樹に営巣していたハチに刺され、救急車で市内の病院に搬送された。15人はいずれも軽症という。 市道路管理課と市消防本部によると、消防に通報があり、救急隊員が救急車6台で市内の病院4カ所に救急搬送した。15人は9歳から53歳で、入院した人はいないという。ハチの巣は消防隊員が駆除した。 ハチはアシナガバチで、街路樹の桜の幹が空洞になった、高さ1.2メートルほどの洞(うろ)に巣をつくっていた。撤去した巣の大きさは直径20センチほどだったという。なぜ襲ってきたかは不明。 現場は、つくば駅から約1.5キロの市道つくば公園通りの遊歩道で、市は周辺の街路樹に「ハチに注意してください」と書かれた張り紙を掲示し、注意を促している。巣があった桜の木には、粘着シートを設置し、巣に戻ってくるハチの駆除を続けている。 今後の対策として、遊歩道を管理する市道路管理課は「ペデストリアンデッキ(遊歩道)を重点的にパトロールし、市民が安心安全に利用できるようにしたい」としている。五十嵐立青市長は「被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げ、多くの方にご心配をお掛けし申し訳なく思います。今回の事案を受け、市民が安心して安全に利用できる環境の維持に努めます」などとするコメントを発表した。

給食に異物混入 つくば市の中学校

つくば市教育局は9日、同日昼、学校給食で出された豚汁に、長さ約10センチの金属のボールチェーンが混入していたと発表した。他に同様の異物混入の報告はなく、健康被害の報告もないという。 市健康教育課によると、同日午後0時45分ごろ、市内の中学校で、豚汁をほぼ食べ終わった生徒が、おわんの底にボールチェーンがあるのを発見した。 豚汁は、つくばほがらか給食センター谷田部が調理し、市内の幼稚園1園、小学校2校、中学校2校、義務教育学校1校に計3809食分が提供された。給食センターからは、円筒形の鍋の丸い食缶で各校に運搬され、異物混入があった中学校では、教室で給食当番の生徒が取り分け、生徒がそれぞれ自分の分をお盆に載せて配膳した。 同課によると、給食センターと中学校でそれぞれ異物が混入した経路を調査したが、9日夕方時点で混入経緯は不明という。市は同日、保護者に対しお詫びの通知文を出した。

土浦二、あと1本出ず敗退【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は4日目の9日、2回戦が行われた。笠間市民球場では土浦二が下館工と対戦し、1―3で敗れた。土浦二はチャンスをつかむが、あと1本が出なかったのが響いた。 9日第1試合 笠間市民球場土浦二 000000010 1下館工 01002000× 3 土浦二先発の2年生エース小貫山昇汰は2回、下館工の根本明日真に2死2塁からタイムリーを許し、先制される。「初めての舞台で浮き上がってしまった。初回は良いリズムで入れたが、2回は制球がばらつき甘く入ってしまった」と小貫山。 1点を追う土浦二は5回、2死から岩瀬蓮がチーム2本目となるヒットを放つと、端佑太郎が四球を選び1、2塁とするが、続く飯竹航大が三振に倒れ、チャンスを逃した。その裏、土浦二は3安打を浴び、2点を追加される。 それでも小貫山はその後、立ち直り「ストレート、カーブ、スライダーを粘り強く投げ、良い投球が出来た」と話す通り、下館工打線を抑え、味方の反撃を待った。 7回、土浦二は2連打と相手の失策で無死満塁とし、この日最大のチャンスをつかむ。だが後続が凡退。あと1本が出なかった。 しかし8回、1死1、2塁で橋本真直が、インコースのストレートを振り抜き、ライト前に今日3本目となるヒットを放つと、埜口晴が生還して1点を返す。「2本ヒットを打っているので打てる気がして打席に入った」と橋本。だが反撃及ばず。9回は下館工の先発西本千起の投球に3者凡退に倒れ、3年振りの3回戦進出はならなかった。 8回105球を投げ抜いた小貫山昇汰は「昨年、一昨年とコールド負けしてしまった先輩たちの夏を終わらせたくないので、不甲斐ない投球はしたくなかった。来年は勝って先輩たちの悲願を果たせように頑張る」と来年の雪辱を誓った。  廣瀬頼一主将は「相手が上手とかではなく互角だった。エラーが点に繋がったわけではなく、不運な打球がヒットになり失点になってしまった。チャンスで取れる時に取れなかったのが痛かった」と試合を振り返り「3年間野球をやってきて楽しかった。力は出し切った」と話した。タイムリーを放った橋本真直は「自分は最後の試合で3安打して有終の美を飾ったが、チームが負けてしまって、悔いが残る終わり方になってしまった。笑顔の絶えない、楽しくて雰囲気が良いチームだった」と土浦二での野球を振り返った。 土浦二の相良真博監督は「チャンスは多くつくれていたが、1点目が入るのが遅かった。もう少し早く点が取れていたら、もっと自分たちに勢い、良さが出ていた」と話した。(高橋浩一)

土浦日大、順調な滑り出し【高校野球茨城’26】

第108回全国高校野球選手権茨城大会は4日目の9日から2回戦に入った。J:COMスタジアム土浦の第1試合では土浦日大が茨城キリストと対戦。10-1で土浦日大が7回コールド勝ちを収めた。 9日第1試合、J:COMスタジアム土浦茨城キリスト 0001000 1土 浦 日 大   000550X 10 土浦日大は序盤に硬さが見られたが、4回と5回の大量点で一気に試合を決めた。「何とか取ることができ正直ほっとした。夏の初戦で選手には緊張もあり、相手投手はコントロールが良く、5回くらいまでは点が入らないことも想定していた。1点入ってからはリズムに乗れた」と小菅勲監督の総評。 3回までは投手戦の様相だった。土浦日大の先発は嶋悠希。「チームの大事な初戦なのでいい流れで入り、後ろにつなげるよう意識した」といい、この日は変化球主体の組み立て。「少し打たれたが四球を出さず、自分の投球をしてくれた」と小菅監督。4回表に二塁打と単打、犠飛で1点を失ったが、これがむしろチームには良い刺激になったようで、4回と5回の猛攻につながった。 4回の土浦日大は1死から5番・青木智潤が四球で出塁、6番・林悠哉の左前打で一・二塁とし、7番・大立克輝の左前打でまずは1点。8番・高石涼太の左翼線二塁打で2点目、9番・河津直登が四球で満塁とした後、捕手の後逸で3点目。さらに1番・伊勢山暖の左前打と3番・吉田惺南の遊ゴロで2点を追加した。 「5点は計算外。打線の調子は良くなかったが、見逃すべき球は見逃し、打つべき球を打ってくれた」と小菅監督。1点目を挙げた大立は「先制されたことで開き直って行けた、自分のスイングがしっかりできた。打ったのはまっすぐ。相手投手は低めの球がいいので、高めに来た球を打っていこうと意識した」と振り返った。 5回は青木の左翼線二塁打から始まり、林の送りバントは敵失で生き、さらに盗塁で無死二・三塁。ここで大立が右翼線へ三塁打を放ち2点を追加。2死後に伊勢山の中前打で1点、2番・藤沢佑樹が中前打でつなぎ、吉田の左翼線二塁打で2点を追加した。「打ったのは高めのストレート。待っていたわけではなく反応で打った。知らず知らずプレッシャーがかかって硬くなっていたのかもしれない。1本出てほっとした」と吉田。「自分本位ではなく、チームのために打つ気持ちを思い出すことで、肩の力が抜けたのではないか。こういう経験をくぐり抜けていってほしい」と小菅監督。 投手は5回を板橋悠希、6・7回を小池陽斗が務めた。小菅監督の「機会があればなるべく多くの選手を登板させたい」との狙いからだ。「春はきれいに勝ちすぎたが夏はそうはいかない。第1シードといえどチャレンジャー精神を忘れず、1戦1勝で甲子園へつなげたい」と居住まいを正す。 次戦は14日、下館工との対戦となる。球場は未定。(池田充雄)