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筑波大学サテライトオフィスで書籍を無料貸し出し つくば駅前

【田中めぐみ】つくば市吾妻のBiViつくば2階、筑波大学サテライトオフィスが、同大学の施設案内や各種資料の配布のほか、教員や卒業生が執筆した書籍の貸し出しを無料で行っている。貸出期間は3週間。

書棚には筑波大学出版会から刊行された本を中心に約30冊が並び、ジャンルは栄養学や生物学、社会学、宗教学、スポーツ理論などさまざま。出版年は問わず、古いものから新しいものまで、できるだけ分野が偏らないように並べ、時々新しいものと入れ替えているという。オフィスには筑波大学の学生スタッフが常駐しており、本や大学について聞くこともできる。

『蟲愛づる人の蟲がたり』を読む 

並べられた本の中から、今年3月6日に出版された『蟲愛(むしめ)づる人の蟲がたり』(筑波大学出版会)を手に取った。同大学山岳科学センター菅平高原実験所が発行している情報誌「菅平生き物通信」に掲載してきた10年分の記事の中から、昆虫にかかわる記事をピックアップしてまとめたもので、虫をこよなく愛する教職員と学生執筆者20人による、虫のエッセーや紹介、およそ60編が収録されている。

『蟲愛づる人の蟲がたり』筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所編、町田龍一郎監修(A5判並製156ページ、本体価格 1950円)

「昆虫は口で呼吸をしない!」「結婚するために目が飛び出ちゃった昆虫たち」など、興味ひかれる見出しが並び、それぞれのテーマが1ページから2ページに短くまとまっている。読みたいところどこから読み始めてもいい。

「なぜ蛾は光に集まるの?」「ノミの心臓はどこにある?」といった誰もが一度は感じたことのあるような素朴な疑問も学術的に解説し、イラストや写真も豊富。内容は中学生から大人向けだが、専門用語には読みがながふってあり、語り口はやさしく読みやすい。

記者が特に驚いたのは、昆虫は血管が無い代わりに「背脈管(はいみゃくかん)」という長いポンプで血液を循環させているということだ。翅(はね)にも血液を行きわたらせるために「翅脈(しみゃく)」を使い、筋肉の弛緩によって血液を送り出すのだという。また、昆虫の脱皮が「クチクラ」という分泌物を使って行われ、昆虫にとって命がけの作業であることも初めて知った。昆虫はまるで宇宙生命なのではないかと思うほど不思議に満ちている。

本書のタイトルに用いられている「蟲」の字は、今は常用されていないが、宋代に作られた字書『集韻(しゅういん)』に、裸蟲、毛蟲、羽蟲、鱗のある生き物、魚介など細々とした小さな生き物たちを指すとある。「蟲」の字は、小さな虫たちが表紙の絵のように一堂に集まる様子を表しているように思える。そして短い文章が集まった本書の構成自体も実に「蟲」的だ。

「蟲愛づる人」というタイトルは、平安末期から鎌倉初期にまとめられたとされる短編集『堤中納言物語』の「虫めづる姫君」によっている。虫めづる姫君は「風の谷のナウシカ」のモデルにもなったという虫好きのおてんば姫だ。

物語の中で姫君は、様々な虫を採集し「これが成長して変化する様子を見よう」と言って虫かごに入れる。中でも毛虫が大のお気に入り。「毛虫が思慮深い様子をしているのは奥ゆかしい」と、一日中、額髪を耳の後ろにはさみ、毛虫を手のひらの上にはわせてじっと見つめ続けている。

高畑勲監督のアニメ「かぐや姫の物語」に出てくるかぐや姫はおてんばで、虫めづる姫君のイメージに近い。毛虫が「心深し」(思慮深い)というのはなんとなく分からないでもないが、「心にくし」(奥ゆかしい、心ひかれる、上品で美しい)とは。本書の中にも『枕草子』に模して「かはげら草子」と題し、カワゲラという虫の魅力について「をかし」と語ったエッセーが収録されている。虫愛でる姫君と本書の虫好き研究者たちとはまさに同じ目線。『蟲愛づる人の蟲がたり』というタイトルがぴったりだ。

◆BiViつくば 筑波大学サテライトオフィス(電話029-855-2101)

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免許失効したまま公用車など運転 市職員を減給処分 土浦市

土浦市は15日、同市都市整備課の男性職員(33)が昨年7月4日から8月13日までの間=当時は別部署に在籍=、運転免許が失効した状態で自家用車で通勤していたほか、同期間中の8日間、計9回にわたって公用車を運転するなど交通法規違反を行ったとして、同日付で男性職員を1カ月間減給10分の1の処分にしたと発表した。 市人事課によると、男性職員は有効期限が7月3日までの運転免許証の更新手続きを失念した。8月13日に本人が免許証を更新していないことに気付き、翌14日に更新手続きを実施した。 今年4月、本人から申し出があり発覚した。同市では毎年4月、職員に対し、運転免許証の有効期限などを含めた自動車運転報告書を提出させている。同報告書提出の際、本人が申し出たという。 処分内容については、市職員分限懲戒審査委員会を開き、同市の前例や他市の状況などから減給処分とすることを決めたとしている。併せて、管理監督責任があったとして、異動前の当時の課長を口頭注意とした。 安藤真理子市長は同日「運転免許の確認についてはこれまでも再三にわたり指導してきたが、このような交通法規違反により市民の信頼を損なってしまったことを心よりお詫びします。二度とこのようなことがないよう、法令遵守、服務規律の確保を徹底し市民の信頼回復に努めます」などとするコメントを発表した。今回の事態を受け、職員全員を対象に、各所属長が運転免許証の原本をチェックし有効期限を確認するとしている。