【相澤冬樹】茨城県南きってのソバ産地である土浦市新治地区で30日、令和初の新そばを振る舞う「小町ふれあいまつり」が開かれた。台風19号で県北地方を中心に収穫直前のソバ畑が浸水し、壊滅的な被害が出た県産ブランドの「常陸秋そば」だが、新治地区では大事に至らず収穫出来たそう。会場の同市小野、小町の館にはもみじ狩りの行楽客も駆けつけて、地元のそば愛好会による手打ちそばなどに舌鼓を打った。
11回目を迎えたふれあいまつりのメーン行事が「そばまつり」。同市農業公社が新治地区で契約栽培する「常陸秋そば」を初めてお披露目する機会にしている。この日は好天に恵まれ、地元JAの農産物や加工品販売もあって、朝10時の開会を待ちきれないように車列が会場周辺を埋めた。
新治地区の下坂田、大畑の両そば愛好会が新そばを持ち込み、茹であげ、天ぷらそばなどにして販売するほか、そば打ち体験イベントや「小町の水車」の石臼挽きデモンストレーションなどが行われた。そば店には仕込み作業中から行列ができ、各店300~400食のそばを早々に売り切った。

同公社は新治地区で15軒の生産者と契約し、加工したそば粉を販売している。その作付面積は73ヘクタールに及ぶ。矢口勉事務局長は「昨年一昨年と台風被害で契約数量が調達できない不作をこうむっていただけに、今年の台風19号には心配させられた。しかし花の時期が終わっていたため何とか被害を免れて、実のしっかり入った出来のいいソバの収穫ができた」という。
そば打ち体験イベントを催した下坂田そば愛好会のメンバーは「新そばは香りが大事。今年は打っていても香りが違うし、ややグリーンがかった色合いもいい。いいそばが打てそうだ」と評価する。体験イベントには毎年のように参加する常連が少なくない様子だが、「新そばは水加減が難しい」と言いながら手でこね、のし棒に巻き付けて延ばす作業に励んでいた。