水曜日, 7月 2, 2025
ホーム土浦【アングル土浦市長選】1 本格的人口減少期に突入 上野東京ライン効果で新たな変化も

【アングル土浦市長選】1 本格的人口減少期に突入 上野東京ライン効果で新たな変化も

【鈴木宏子】任期満了に伴う土浦市長選が11月3日告示、10日投開票で行われる。現職の中川清氏と、新人で県議の安藤真理子氏が立候補を表明している。市長選を前に、市政の課題を追った。

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2015年から本格的な人口減少期に入ったとされる土浦市で昨年、新たな変化が起こった。今年発表された県常住人口調査で、同市の2018年の社会動態が9年ぶりにプラスに転じたことが分かった。昨年1年間によそから引っ越してきた転入者が、転出者を416人上回ったのだ。

同市の社会動態は、2002年以降、一部の年を除いて転出者が転入者を上回りマイナス基調で推移してきた。15年にはマイナス411人まで拡大、その後16年、17年はいずれもマイナス63人とマイナス幅が縮小していた。18年についにプラスに転じ、プラス基調が続いている。

市政策企画課が18年の転入者の内訳を分析したところ、東京からの転入者が増えるなどしたことが分かった。2015年3月にJR常磐線が上野から東京・品川に延伸され、上野東京ライン効果が現われたとみられる。

人口減少を抑制しようと、市は15年10月に第1期の「市まち・ひと・しごと創生 人口ビジョン・総合戦略」を策定し計107事業を展開してきた。同課は、事業の成果が現われたと評価する。

自然減が社会増を飲み込む

一方、社会動態がプラスに転じたという新たな変化に反して、同市は、国立社会保障・人口問題研究所の推計をもとに、現在策定中の第2期(2020年度から5年間)人口ビジョンで将来人口推計を下方修正する方針だ。

社会増という新たな兆しが見えたものの、少子高齢化の進行による出生数の低下と死亡者数の増加という自然減の割合が大きく、自然減が社会増を飲み込んでしまっている。

これについて市は、一人の女性が産む子供の平均数、合計特殊出生率が上がらないことのほか、20代後半の年齢層で0~4歳の子供をもつ子育て世代の転出超過が課題だと分析している。結婚し子供ができて家が手狭になり、マイホームを購入したり、より広い住居に引っ越そうとする際に、隣接のつくば市や阿見町に転居してしまうと推測されるとし、今後、この世代への施策が課題になるとする。

住民生活、地域経済、行政運営に影響

同市では、2000年の14万4106人をピークに人口減少が始まり、2015年から本格的な人口減少期に入った。全国平均より進行が若干早く、2017年に14万人を下回った。今年10月1日現在の人口は13万8517人。9年間でピーク時より3.88%減少した。65歳以上の高齢化率は現在、市全体で29%となり超高齢社会に入っている。

人口減少が地域に与える影響として市は、同人口ビジョンで①空き家・空き地が増え住環境や防犯面の悪影響が懸念される②市場が縮小し地域の商業・サービス、公共交通が減少し利便性が低下する③高齢の交通弱者が増加し移動手段の確保など新たなサービスが必要になる④地域コミュニティの担い手や縮小により行政負担が増える⑤働き手が減少し労働力の確保が難しくなる⑥農業の担い手が不足し遊休農地が増える⑦税収が減る一方で社会保障費が増える⑨廃校や廃止施設が増えるーなど住民生活、地域経済、行政運営の面で11の課題を指摘している。こうした課題にどう向き合うのかが問われている。

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軽井沢高原文庫館長の大藤敏行さん《ふるほんや見聞記》6

【コラム・岡田富朗】大藤敏行さん(62)は埼玉県の出身。筑波大学を卒業後、1985年、長野県軽井沢町に開館した軽井沢高原文庫の学芸員に着任しました。同文庫は、作家の中村真一郎さんを中心に、堀多恵子さん(堀辰雄夫人)、室生朝子さん(室生犀星長女)、『新潮』元編集長の谷田昌平さんらに力添えを得て、初代館長に大妻女子大学教授だった池内輝雄さんを迎え、スタートした施設です。 1992年に大藤さんは同館の副館長に、1996年には深沢紅子野の花美術館の館長に就任しました。そして2023年には、池内輝雄氏、中村真一郎氏、加賀乙彦氏らが歴任してきた軽井沢高原文庫の館長に就任されました。 大藤さんは30年ほど前から一般向けの文学散歩なども継続的に行っています。2023年には、軽井沢町制施行100年および堀辰雄来軽100年を記念して、堀辰雄文学記念館で「堀辰雄と歩く軽井沢」が開催されました。これに関連する緑陰講座では講師として招かれ、「堀辰雄と軽井沢」と題し、『不器用な天使』から『大和路・信濃路』までの数多くの作品の初版本を紹介するとともに、堀辰雄が所有していた蓄音機を使用して『ブランデンブルク協奏曲』を鑑賞するなど、貴重な体験ができる講座が開催されました。 2024年には、田端文士村記念館で、「室生犀星・芥川龍之介・堀辰雄の交友と文学~軽井沢を中心に~」と題した講演会の講師も務めました。この講演では、田端で親交を深めた室生犀星、芥川龍之介、堀辰雄の3人が、1925ごろ軽井沢で共に過ごし、交友を深めた話や、彼らの友情と創作について講演されました。 生誕100年 辻邦生展-軽井沢と物語の美- 軽井沢高原文庫では今年、「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美―」が開催されます。人間精神の高貴さを物語性の中で追求した作家・辻邦生(1925~1999)は、今年生誕100年を迎えます。『安土往還記』『嵯峨野明月記』『背教者ユリアヌス』『春の戴冠』『西行花伝』などの歴史小説は今も多くの読者に愛されています。山荘のあった軽井沢の地で、自筆原稿、創作メモ、スケッチ、書簡、蔵書、遺愛の品などの多彩な資料約250点を通して、辻邦生の生涯と仕事を知ることができます。 今回の展示で特別協力してくださる学習院大学史料館(霞会館記念学習院ミュージアム)では、辻邦生より寄贈された自筆原稿、創作ノート、書簡など、多数の資料が収蔵されています。学習院大学史料館の協力により、辻邦生ゆかりの地で生誕100年を記念した展示が行われます。各館それぞれのテーマに合わせて、学習院大学史料館の資料が出品される予定です。(ブックセンター・キャンパス店主) 軽井沢高原文庫「生誕100年 辻邦生展―軽井沢と物語の美-」展:7月19日(土)~10月13日(月・祝)