【池田充雄】第74回国民体育大会「いきいき茨城ゆめ国体」の水球競技は、最終日の16日、土浦市の県立土浦二高プールで各種目の3位決定戦と決勝が行われた。女子の茨城県チームは山形県に14-13と競り勝ち、銅メダルを獲得。優勝を逃した悔しさを残しながらも、笑顔で大会を終えた。同決勝は、東京都が石川県を12―11で下し優勝した。

茨城は前日の敗戦から気持ちを切り替え、山形に先制は許すものの落ち着いたゲームの入りで、野呂美咲季の3連続ゴールなどで第1ピリオドを5-3とリードした。第2・第3ピリオドはほぼ互角で、点を取られては取り返す展開が続く。だがその中で、山形・高橋綾佳の存在感が徐々に強まっていった。
高橋は日本代表も長く務める経験豊富なセンターフォワード。ボールを受けると振り向きざまの強力なシュートや、意表をついたバックシュートなどでゴールを脅かす。かといって高橋を意識しすぎると外が空いてしまう。茨城は坂上千明、栗原舞が中心になって対抗するが連携の乱れもあり、第4ピリオドに一気に点差を詰められ、残り1分で同点に持ち込まれる。
だがこの日の茨城は崩れなかった。残り16秒でGK渡部歩美が高橋のシュートを止めると一気にカウンター。右サイドで坂上と野呂がつなぎ、左サイドの齊藤葵のシュートで試合を決めた。「いいパスが来た。2回フェイクを入れてGKを引き付けてくれたので、絶対決めないとと思った。最後の最後にチームに貢献できてうれしい」と齊藤。

齊藤に行かせて正解
木村文明監督は「追い付かれはしたがリードは許してなく、心配はしていなかった」という。ピリオド間には選手たちも「時間を使い、ターンオーバーをなくそう」と、昨日の反省から気を引き締めていた。最後のプレーではタイムアウトを取って仕切り直すという手もあったが、「齊藤が抜けていたのでそのまま行かせた。選手も残り時間を分かっていて、しっかりGKを振ってくれた。止めないで正解だった」と木村監督。
チームは当初、山形を決勝の相手と想定していた。「優勝候補の山形を倒せたのだから金メダルでもおかしくないのに、銅という悔しさの方が正直大きい。地元に金をという思いが強かったので、皆さんに申し訳ない気持ち。少しでも喜んでいただけたらうれしい」と齊藤。
水球女子が正式種目になって初の大会でひとまずの成果を出したが、茨城の水球界にとってはむしろここからがスタート。「選手の一人の中田萌は来季、茨城で高校教員になる予定。彼女らが次世代を育て、小中からの縦の層をしっかり作ることで発展につなげたい」と木村監督は将来像を語った。
