金曜日, 7月 18, 2025
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台風15号 つくば、土浦で停電や倒木被害

【鈴木宏子】9日未明から朝にかけて茨城県を通過した台風15号の影響で、つくば、土浦市では強風により停電や倒木などの被害が出た。両市は8日午後6時にそれぞれ避難所を開設、つくば市は4人、土浦市は1人が避難所で一夜を明かした。両市共けが人はなかった。土浦市では強風により特産のレンコンの葉がめくれたり茎が折れるなどし影響が心配されている。

つくば 3100軒が停電、31カ所で倒木

つくば市では9日午前5時過ぎ、最大瞬間風速29.6メートルを観測した。同市危機管理課によると、市全域の約3100軒で停電があり、午後4時になっても1000軒超で停電が続いた。建物被害は、茎崎地区の住宅2軒で屋根の一部が壊れる被害があった。屋根瓦が飛んだり屋根の一部が壊れたなどの通報が住民から相次いで寄せられていることから、建物被害はまだ増えるとみられている。

倒木は市内全域にわたり31カ所であり、道路沿いの樹木が倒れ電線に引っ掛かるなどの被害もあった。道路冠水も森の里、沼田地区など5カ所であり、一時通行止めになったがすぐに解除された。道路は同市寺具の国道125号が一時通行止めになり午前7時50分解除された。

土砂災害の恐れから同市は8日午後6時、沼田地区と北条地区の2カ所に自主避難所を開設、3世帯4人が一夜を明かした。避難所は9日午前10時に閉鎖された。

土浦 2500軒で停電 レンコンの葉や茎に被害

土浦市では9日午前6時ごろ最大瞬間風速23.2メートルを観測した。同市危機管理室によると9日午前4時50分ごろ、小松、荒川沖東、蓮河原新町などで最大計約2500軒が停電になり、正午になっても荒川沖東、沖宿、上高津、宍塚など700軒で停電が続いた。

倒木被害はおおつ野、富士崎などで12件あった。屋根瓦が飛んだり、塀が倒れたなど強風による破損・散乱が36件あった。電線が切れて発火したなどの被害も出た。冠水は中神立と中貫の2カ所であり一時通行止めになった。

桜川の増水に備え、8日午後6時に新治地区と四中地区の2カ所に自主避難所を開設。1人が避難所で一夜を明かした。避難所は9日正午に閉鎖された。

同市農林水産課によると農産物の被害は、日本一の生産量があるレンコンが、強風で茎が折れたり葉がめくれたりした。今年は7月の日照不足で生育が遅れていたことから、生育に影響が出るのではないかと心配されている。

ナシはこれからの収穫期を迎える晩成品種のうち、半分ほどが強風で落下する被害があった。コメは、収獲目前の稲に倒伏被害が出たが、水に浸かっておらず収獲に大きな影響はないとみられている。

TX、常磐線とも始発から運休

交通機関は、つくばエクスプレス(TX)、JR常磐線いずれも始発から運休したが、TXは午前9時前に運転を再開、常磐線は取手ー勝田間が午前11時ごろ運転を再開した。

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キリストとガンマン《映画探偵団》90

【コラム・冠木新市】1960年代後半から1970年代にかけて、『アポロンの地獄』(1967)、『テオレマ』(1968)、『豚小屋』(1969)、『王女メディア』(1969)など、荒々しくも美しい映像で映画青年をとりこにしたイタリア映画の監督ピエル・パオロ・パゾリーニがいる。私も魅了された一人だったが、いつしか語られることもなくなり、レンタルビデオ屋にも作品が置かれておらず、テレビでの放映もなかった。 ところが2000年代に入り、NHKで長篇第3作『奇跡の丘』(1964)が放送された。見逃していた作品なので録画して見た。出演者に全員素人を起用し、イエス・キリストの誕生から死後の復活までを描くドキュメンタリータッチの白黒作品である。その荒々しい迫力に圧倒され、パゾリーニ作品では私の一番のお気に入りとなった。 荒涼とした景色のなか、キリストが我々観客に向かってする説法姿はまるで政治家の演説みたいで、エネルギッシュな場面が連続し納得させられる。 キリストが奇跡を起こすシ一ンなども、顔に腫れ物のできた男が清めてくださいとキリストに訴えると、『清められた』の一言で腫れ物は消えている。短く3カットで描かれる。バックには黒人霊歌のような歌声が流れるが、非常にあっさりしていて、ありがたいとの余韻に浸る間がない。つまり宗教映画の感じがしないのだ。 さらに、キリストの弟子たちのキャスティングは個性の強い悪役を思わせる顔で占められている。逆に、王様や聖職者や貴族たちは上品な顔の出演者をそろえている。極めつけは、かれんな美少女サロメがヘロデ王の前で舞いを披露し、王様が褒美に何が欲しいかと尋ねると、ヨハネの首が欲しいという場面である。見た目の美しさとは裏腹の残虐な発言がショッキングだ。 C・イ一ストウッド西部劇の見方 『奇跡の丘』は西部劇とどことなく雰囲気が似ている。1964年10月にイタリアで公開された。その1カ月前には、セレジオ・レオ一ネ監督、クリント・イ一ストウッド主演のマカロニウエスタン『荒野の用心棒』が公開された。荒野を旅するキリストはイタリア製西部劇の旅する主人公と重なるものがある。 マカロニウエスタンで世界的なスターとなったクリント・イ一ストウッドが、アメリカに戻り監督主演を務めた最初の西部劇は『荒野のストレンジャ一』(1973)だ。原題は『放浪者』である。街の全員から見捨てられ、悪党たちに殺された保安官が幽霊になって現れ、その街に復讐する話であるが、見た目は生身の人間なので実に奇妙な様子に映る。 また、同じく監督主演を務めた『ペイルライダー』(1985)も牧師のガンマンだが、こちらも一度死んでいて、7人の悪党保安官と闘う話である。この2本はキリストのイメージが込められており、表裏一体の作品となっている。そういえば、『荒野の用心棒』(原題「一握りのドルのために」)の最初のタイトルは『マグニフィセント・ストレンジャ一』(素晴らしいよそ者)だった。 私が見てきたクリント・イ一ストウッドの西部劇ヒ一ローは、キリストがモデルだったのかもしれない。 現在、参議院選挙の真っ最中だ。各候補の演説を聞いていると、『奇跡の丘』のキリストやサロメの姿が彷彿(ほうふつ)とさせられる。当選してからも民衆のために働いて欲しいものだと切に願う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)