【相澤冬樹】土浦市宍塚の宍塚大池で14日、ハスの刈り取り作業が始まった。旧盆の迎え日、猛暑厳しき折にゴム製の胴長を着用し、ため池に浸かってハスを抜き取る力仕事。陣頭指揮のNPO法人、宍塚の自然と歴史の会代表の及川ひろみさん(75)には、湖面を埋めるハスの葉を急いで除去しなければならない理由があった。「ちょうど大学生と高校生がボランティアで来てくれることになった」ため、この日から作業を開始した。
約100ヘクタールのかん養林に囲まれるように、約3.3ヘクタールの広さに水をたたえる宍塚大池。農業用水として利用される。NEWSつくばの9日付けコラム「宍塚の里山」で、及川さんが「大池はピンクの蓮の花が満開です」と書いたように、ハスの群生は水面を埋めるように育って、8月初めには花の見ごろを迎えていた。中旬には花期は終わりに近づいたが、花托(かたく)がふくらんで実をつけ始めており、なお生長を続けている。

見た目には華やかだが、ハスの浮き葉、立ち葉の周囲は水草のヒシが取り囲むように密集し、水面をすっかり覆っている。池の水は酸欠状態になっていると見られ、ここ数日、コイやフナ、オオクチバスなどが次々に水面に浮き上がって、へい死が確認された。「多様な生物相」が大池の魅力だけに放置しがたい水環境になっている。
9月からエアレーション実験を予定
同会の活動と連携し、大池周辺を研究フィールドにしている茨城大学農学部の黒田久雄教授(農業工学)の申し入れで、9月から水質浄化のために空気を送り込むエアレーション実験を行うことになった。水処理専業の大手企業が協力する。
このため、水面がまったく見えない状態は望ましくないとして、及川さんの判断でハスの刈り取りを決めた。堤防道路入口付近の500平方メートルほどの湖面からハスを抜き取って、実験に備えることにした。
ちょうど夏休み中の課外活動で、ボランティア先を探していた同市内の高校生から申し込みがあり、筑波大学院生で同会会員でもある東谷一煕さん(24)のボランティア活動日に当たっていたため、及川さんら4人で作業をすることになった。野生のハスは根や地下茎が地中深く潜り込んで、とても手で引っこ抜くことはできない。装置がないため、レンコン農家のように水圧をかけて掘り取ることもできない。腰まで水に浸かり、水面を覆うハスの葉を根本から、花や実もろとも刈り取る力勝負となった。
生物多様性を研究テーマに、普段から山岳や防災分野でフィールドワークをしているという東谷さんは「大池での作業は息抜きみたいなもの」だそうが、高校生はほとんど無口で作業をこなす。この日の日中の最高気温は31℃、直射日光こそなく猛暑日とはならなかったが、真夏日に初めて身につける胴長の蒸し暑さはこたえる。2時間ほどをかけて、100平方メートルほどの水面がやっと見えてきた。
同会では1990年から毎年、動員をかけ、舟で刈り取り作業を行っていたが、ハスの勢いに押されるように中断、今回6年ぶりの再開となった。作業は断続的に夏休みの間じゅう続く。