木曜日, 4月 16, 2026
ホームスポーツ【霞ケ浦 4年ぶりの夏舞台】㊤ プロ注目右腕の鈴木寛人が期待以上の活躍

【霞ケ浦 4年ぶりの夏舞台】㊤ プロ注目右腕の鈴木寛人が期待以上の活躍

【伊達康】第101回全国高校野球選手権茨城大会は7月25日、霞ケ浦が4年ぶり2度目の栄冠を手にして幕を閉じた。6日から始まる甲子園に向けて霞ケ浦の戦いぶりを振り返る。

立ちはだかる好投手たち

優勝した霞ケ浦は、初戦となった2回戦で最速145キロ右腕・濱崎鉄平を擁する土浦三を2番手格の山本雄大(2年)と岩瀬元希の継投により3対1で振り切ると、4回戦は昨秋の県大会準々決勝で敗れた相手であり秋準優勝、春優勝のAシード藤代と早くも激突した。

大会前の髙橋祐二監督の予想通りに、この試合が一番の山場となった。ここまで互いに温存してきた霞ケ浦・鈴木寛人と藤代・中山航の両エースの壮絶な投げ合いは9回を終えても両者譲らず延長戦に突入。10回二死二塁から4番・山本雄大が運命の一打を放って劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

4番で2番手投手としてもチームを牽引する山本雄大

2試合続けて延長サヨナラ勝ち

準々決勝は最速148キロ右腕でプロ注目の岩本大地を擁する石岡一と対戦。前の試合で10イニングを投げ切り疲労が残る鈴木寛人を温存し、山本雄大が5回まで2対1と試合を作り1点リードしたまま鈴木寛人につなぐ必勝リレーが成功したが、石岡一がすぐに反撃した。鈴木寛人の140キロを超える高めのストレートを石岡一の5番・武田翼が左中間に弾き返してスリーベースでチャンスを作ると、6番・岩本大地が2ストライクと追い込まれながらも落ち着いてスクイズバントを決めて同点に追いついた。この時、必勝リレーが崩れた霞ケ浦ナインには明らかに動揺が走ったが、場を沈めたのが代わってマスクをかぶった鈴木春樹だった。

鈴木春樹が「低め」を徹底的に要求して凡打の山を築くと次第に鈴木寛人は落ち着きを取り戻し、10回まで石岡一打線をパーフェクトに抑えた。同点となってからも再三のチャンスを迎えたが岩本大地の粘りの投球に全く勝ち越し点を奪えない。

しかし延長10回、石岡一の守備のほころびから勝負が決まる。鈴木春樹が四球と盗塁と暴投で二死三塁とすると、スライダーをキャッチャーが弾いたのを見て瞬時に本塁に突入。非常に際どいタイミングであったが、タッチをかいくぐって生還した鈴木春樹の攻守にわたる活躍で霞ケ浦は2試合連続で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

死闘を終えて抱き合う鈴木寛人と岩本大地(石岡一、背番号1)

常総学院敗退 霞ケ浦に追い風

昨年8月の県南選抜大会決勝(新人戦)では常総学院に大敗を喫した。常総学院の分厚い壁を越えなければ甲子園にはたどり着けないと常に意識し、万全な対策を練ってきた霞ケ浦にとって意外な出来事が起こった。この試合と同時刻に行われていた別会場の準々決勝において、優勝候補筆頭とされた常総学院が常磐大高に1点差で敗れたのだ。ここから一気に霞ケ浦に追い風が吹いた。

準決勝 反撃を断った仕黒のビッグプレー

準決勝はBシードの水城と対戦することとなった。水城は4回戦で昨夏の覇者・土浦日大に完封勝ちを収め、準々決勝ではAシードの鹿島学園をコールドで粉砕した。1年生右腕の樫村佳歩がここまで4試合全てで先発を任され、小柄ながら最速136キロの小気味のよい投球で相手打線を圧倒して勝ち上がってきた。

この試合でも水城は樫村が先発であったが、霞ケ浦打線は初回一気に4点を挙げ、水城の勝ちパターンを早々に攻略。6点をリードして6回からエース鈴木寛人につないだ。しかし水城打線が粘りを見せ中軸の4連打で2点を返された。今大会初めて2失点を喫した鈴木寛人であったが、セカンド仕黒大樹のビッグプレーで落ち着きを取り戻してその後は4点のリードを守り切り決勝へと駒を進めた。

決勝 100点満点の投球

決勝の相手は常磐大高となった。準々決勝で優勝候補の筆頭・常総学院を相手に4番の所宜和(2年)が5打点の大暴れで9回に逆転。猛打を武器に勝ち上がってきた相手だ。だが、常磐大高は投手陣の疲弊が激しく準決勝までの勢いが残っていなかった。

霞ケ浦は初回から着実に得点を重ね3回で4点差をつけ試合の主導権を握ると、4回には2番手左腕の児島愛斗(2年)を捉え7点を挙げるビッグイニングとした。投げては鈴木寛人が「100点満点でした」という通り7回途中まで1本もヒットを許さない気迫の投球で1安打完封。14対0の大差をつけて4年ぶり2度目の優勝を果たしたのである。(続く)

➡大会前の霞ケ浦・髙橋祐二監督のインタビューはこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

ロボッツ、越谷に今季4連敗

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)の茨城ロボッツは15日、ホームのアダストリアみとアリーナ(水戸市緑町)で越谷アルファーズ(本拠地・越谷市)と対戦し70-87で敗れた。茨城は今季越谷に4戦全敗、通算成績は15勝38敗で東地区11位。次節は18・19日、西地区首位の長崎ヴェルカとホームで対戦する。 2025-26 B1リーグ戦(4月15日、アダストリアみとアリーナ)茨城ロボッツ 70-87 越谷アルファーズ茨城|15|15|22|18|=70越谷|26|26|16|19|=87 茨城は第1クオーター(Q)で越谷にいきなり11点の大差をつけられた。第2Qもこの流れを引きずり、前半終了時に点差は22にまで開いていた。「3ポイントを最初1、2本決められたとき、自分たちがアジャストして止めることができず、後半も続けられてしまい、攻撃のリズムがつくれなかった」と陣岡流羽の反省。「こういう試合では細かいディテールが重要になると思い、前半はいろいろ調整しながらやっていたが、やはり試合の最初からしっかりプレーしなくては」とクリス・ホルムヘッドコーチ(HC)。 序盤のターンオーバーやスチールで波に乗り損ねた部分もあるが、特に大きかったのは相手チームのジョーダン・ナタイに第1Q後半だけで4本の3点シュートを決められたこと。ナタイは現役ニュージーランド代表のフォワードで越谷には3月に加入したばかり。この日は8本の3点シュートと1本の2点シュートを沈め、シュート成功率は90%に達している。 対して茨城のチーム得点は、2点シュートでは26本中17本を決めたが、3点シュートは35本中9本、フリースローは15本中9本というホームアリーナとは思えない低調ぶり。ただし後半は修正し、ある程度持ち直すことができた。 「オープンな状況なのになぜか打たず、また何か別のことをしようとしてミスが増えたり悪い結果につながることが多い。攻撃に関してはオープンになったら積極的にシュートを打っていこうと話しており、アグレッシブに攻めれば決められるだけの力は持っている」とホルムHCの分析。 守備についても後半は盛り返し、ディフェンスリバウンドやスチールの数が目立って増えた。「よりフィジカルに戦うことを意識し、さまざまなプレーに対してしっかり守ることができた。水曜日のゲームで疲れが残っていても、守備では小さな精神的ミスも許されない。切り替えなど細かい部分をもっと大事にしながら取り組んでいきたい」 この日の観客数は4143人。2021-22シーズンにB1へ昇格して以来、通算40万人を突破した。「40万人もの方々に見に来ていただけたことはとてもうれしい。勝っていても負けていても時間やお金を費やして来て、常に応援してくれるブースターの皆さんには本当に感謝しかない。皆さんのために最後の最後まで戦い、高いパフォーマンスを見せ続けることが自分たちの義務。そういうチームを作り上げてきたことを証明できるよう、今季残り7試合も全力を尽くしたい」とホルムHCは誓う。(池田充雄)

筑波大近くの「薔薇絵亭」《ご飯は世界を救う》72

【コラム・川浪せつ子】数年ぶりに筑波大学近くのロシア料理店「薔薇絵亭(バラエテイ)」(つくば市天久保)を訪ねました。「ずいぶん前からあるお店ですね」とお聞きすると、今の場所では40数年になるそうです。その前は近くの建物にテナントで入っていたとか。筑波大は創立53年ですが、そのころ開店したお店は多かったようです。 「ナターシャプレート」を注文しました。ナターシャって?トルストイの長編小説「戦争と平和」の主役ナターリアの愛称ですね。「マーシャのつぼ焼きプレート」のマーシャはマリア(女性の名前)の愛称だそうです。「マーシャと熊」というロシアの人気アニメの名前が付いたプレートもあるんですね~! ロシア料理の代表は、寒いお国柄で、温かな煮込み料理ボルシチ、ビーフストロガノフ、つぼ焼き、ピロシキ。寒いからか、お酒はアルコール度の高いウオッカ。そのお国の食べ物を通して、気候、文化が見えてきます。 日本は海に囲まれているから、魚介類を使ったお料理、おだしの文化。そして湿度の関係から、発酵食品がいろいろあるのだと思います。でも、日本は南から北に長いので、ご当地のお料理に幅がありますね。 「百万本のバラ」? お店の名前「薔薇絵亭」。思い出したのが「百万本のバラ」という歌でした。ロシアの歌謡曲を日本語に訳して、加藤登紀子さんの持ち歌になっています。そこから店名を取ったのでしょうか。当て字が面白いですね。 ロシアで思い出すものもう一つ、「おおきなカブ」という、今でも読み継がれているロシア民話です。私が幼稚園に通っていたとき、このお話のおばあさん役をしたことを覚えています。最後に「やっと、カブは抜けました」でおしまい。みんなが一緒になってカブを抜くことができるというお話です。 そう、みんなで力を合わせたら、困難なことも解決できる。昔から言い伝えられてきたのではないかな。世界中、ケンカしないで、みんなで力を合わせたら、温暖化や紛争も解決できる…かもね。(イラストレーター)

46人の100作品を一堂に 「茨城現展」始まる 県つくば美術館

個性を尊重し自由な表現活動を行う美術家団体「現代美術家協会茨城支部」(佐々木量代支部長)の第42回茨城現展が14日から、つくば市吾妻、県つくば美術館で始まった。同支部会員など約46人の美術家による油絵、デザイン、立体作品、工芸、写真などさまざまなジャンルの作品計100点が一堂に展示されている。佐々木支部長は「具象よりも抽象の方が多くなっている。その中で若い人がどんどん伸びていっている」と話す。 同協会は1948年に創設され、全国で約400人の作家が所属している。「現展」は関西、名古屋でも移動展が開催されるほか、全国16支部で地域展が催されている 佐々木支部長の水彩画は「混沌からの飛び立ち」というタイトルで、F8号を2枚重ねた縦76センチ、横91センチの大きな作品。「現代は混沌とした状態が続いている。早く良い世界になって欲しい」という思いを込めた。絵は鳥をイメージしたものを切り張りなどしながら抽象画としてまとめた。完成まで1年を要した。 会場には本部賛助作品として、渡辺泰史さん、八幡一郎さんの作品が飾られ、ほかに前支部長の佐野幸子さん、元JAXA筑波宇宙センター地球観測研究センター長の福田徹さんの作品が飾られている。福田さんは、「光の競演」など宇宙をテーマにした写真などを出品した。初日の14日には元宇宙飛行士の若田光一さんも鑑賞に訪れた。 昨年に続き、つくば市の筑波山麓で有機農業をしながら絵を描いたり演劇活動をする障害者施設「自然生クラブ」の知的障害者が描いた作品も展示されている。「自然生クラブ」で絵画を担当する安部田奈緒美さんは「NHK Eテレの『あがるアート』という番組に出たことがきっかけで現代美術家協会からオファーをいただいた。(知的障害者たちの)色彩豊かな絵を見て、アカデミックな教育を受けた方はびっくりする。ぜひ皆にも見に来てほしい」と話す。 会場を訪れた市内に住む善里賢子さんは「知り合いが出展しているので、毎年来ている。絵は詳しくないけれど優しい感じがしてとても良い」と語った。(榎田智司) ◆同展は14日(火)~19日(日)まで、つくば市吾妻2-8、県つくば美術館で開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは電話029-876-0080(同茨城支部)へ。

詩劇「憎しみは愛によって止む」《映画探偵団》99

【コラム・冠木新市】現在、詩劇コンサート・つくばシルクロード2026「憎しみは愛によって止む」(5月16日)の準備をしている。 1月25日、つくば市北条・宮清大蔵での「北条芸者ロマンの唄が聞こえる」終演後、観客のスリランカ人から話があると言われ、その夜、台湾料理店で会った。スリランカを代表する歌手クリシャンタ・エランダカさんが来日するので、コンサートをプロデュースしてほしいということだった。「4月に開催したい。ぜひに」と懇願され、了承してしまった。 ところが、5月連休まで会場がどこも空いていなかった。結局、昨年「雨情からのメッセージⅲ/空の真上のお天道さまへの旅」でお世話になったサンスイグループの東郷治久代表に相談し、山水亭(つくば市小野崎)の宴会場が借りられることになった。 「北条芸者〜」の後始末をしながら、このコンサートの企画を練った。クリシャンタさんはスリランカでは有名な方だが、日本では知られていない。さて、どうしたものかと考えた。以前、コロナで公演を中止した金色姫伝説をスリランカのチャンナウプリ舞踊団で企画したとき、スリランカのことを調べたことがある。日本にとって大恩のある国なのだ。 終戦後の1951年、日本が五つの戦勝国に分割統治されそうになったとき、国連で、セイロン(当時)の財務大臣ジャヤワルダナ氏が「憎しみは憎しみによって止まず、愛によって止む」とのブッタの言葉を引用し演説したところ、参加者が感動し、分割構想が廃案となり、日本は独立することができた。 さらにセイロンは対日賠償放棄までしてくれた。ふと、今年がサンフランシスコ講和条約75周年目に当たることに気が付き、「これと関連付け、良いものができないか」と思った。 「憎しみは愛によって止む」は、ブッタの言葉をテ一マにした2部形式の詩劇コンサート。第1部「終わりの始まり」は、講和条約の話を舞踊と映像で構成する。第2部「平和の里を訪ねて」は、スリランカ共和国になった翌年1973年に生まれたクリシャンタさんの人生と同国の現代史を重ねて歌で構成する。 『…ハリウッドに最も嫌われた男』 構想を練りながら、憎しみと愛について考えていたとき、伝記映画『トランボ ハリウッドに最も嫌らわれた男』(2015年)を思い出した。 脚本家ダルトン・トランボは、1950年代に共産党員だったため赤狩りに遭い、映画界から干されてしまう。観客からコ一ラをぶっかけられたり、引っ越した家のプ一ルに隣人からゴミを投げ込まれたり、数々の嫌がらせを受ける。しかし、市民や業界人から憎まれても、トランボは怒りにまかせて対応したりはしない。 B級映画会社に売り込み、安い値段で脚本を引き受け、変名で次々と脚本を書き上げる。赤狩りされた仲間にも仕事をあっせんし、脚本の直しまで引き受け、抵抗を続ける。誰も憎まず、知恵と粘りで困難に立ち向う。トランボが怒り出すのは、バスタブにつかり脚本を書いているところに娘が入って邪魔した時だけだ。 「ローマの休日」「スパルタカス」「栄光への脱出」「フィクサ一」「パピヨン」「ジョニ一は戦場に行った」。トランポの描く主人公は実にたくましく忍耐強い。 「憎しみは愛によって止む」の愛とは、知恵、勇気、忍耐から来るものではないだろうか。予算も人材も時間も足りないイベントだが、トランボを見習って取り組んでいる。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家) <お知らせ>朗読者養成講座「つくつくつくばの七不思議」(参加費無料)講師:冬木周一(朗読家)日時:4月25日(土)午後1〜3時場所:カピオ小会議室1対象:朗読芝居に興味ある方主催:一般社団法人スマイルアップ推進委員会