生命の根源をテーマにした作品やシュールレアリスム研究科としても知られる画家、多田夏雄さんの作品38点を展示した「多田夏雄展」が、牛久市ひたち野東のART SPACE ある・るで開かれている。
多田さんは埼玉県熊谷市生まれ。東京芸大油画科卒、同大学院修了。同大非常勤講師を経て現在は文星芸術大教授を務めている。大学在学中に油画科素描コンクールで久米圭一郎賞、大学院修了卒業制作にて大橋賞を受賞。卒業後は新美術協会展で大賞、文部大臣奨励賞、内閣総理大臣賞など数々の賞を受賞、2014年から同協会の理事に就任している。
牛久市での個展は、以前から知り合いだったギャラリーオーナーとの縁で開催となった。水彩で描いた上に油絵を塗り、さらにその上に蝋(ろう)の入ったオイルを塗って完成させた作品などが展示されている。蝋の入ったオイルを用いることで油絵が柔らかい色彩になるという。
ほとんどの作品の中に猫やウサギなどの小動物、実在しないが画家の感性から生まれた動物などが描かれている。「人間より動物が好き」だという作者の遊び心から生まれた作品だという。すぐに見つけられる動物ばかりでなく、一目で見分けられない動物もあり、見つけ出す楽しみが隠されている。
つくばから来場した女性は「水彩画のような油絵ですね。透明感のある色彩がすてきです」と話していた。会場には絵画のほかに絵本、冊子、ポスターカードなど多数展示されている。(鈴木萬里子)
◆同展は入場無料。会期は11月24日(金)まで。開館時間は午前11時~午後6時。月曜休廊。