【池田充雄】第101回全国高校野球選手権茨城大会6日目の12日、J:COMスタジアム土浦では2回戦2試合が行われた。第1試合では優勝候補の一角と目される霞ケ浦が登場、3対1で土浦三との地元対決を制した。第2試合では土浦一が2勝目に挑んだが、0対2で竜ケ崎一との一高対決に敗れた。
霞ケ浦 2年生左腕が完投
霞ケ浦は2年生左腕の山本雄大が、土浦三打線に6安打11三振で完投。「けっこう疲れたが、相手の3、4番には自然にギアが上がった」と山本。「まっすぐのキレが良く、ひと冬を越してボールに勢いが出てきた。今日は後半バテたら交代も考えていたが、キレが落ちず一人で投げきった」と、高橋祐二監督がいま最も信頼を置く投手の一人だ。

打線は期待の1年生・宮崎莉汰を初めて4番に起用。中心選手の天野海斗を1番に回してチームの牽引役を任せた。この期待に天野は「第1打席では冷静さを失い力んでしまったが、2、3打席目では修正できた」と、好機では長打2本で応えた。3回裏は二塁打で走者を三塁に送り、3番・山本のスクイズによる先制点につなげ、自らも5番・仕黒大樹の内野安打でホームに返った。4回裏は2死一塁の場面で登場し、左越えの三塁打を放った。
天野にとって特にうれしかったのは4回の追加点。この回の表で土浦三に2死満塁のチャンスを作られ、暴投で1点を失うところだった。幸いにも振り逃げの打者走者を一塁でアウトにできたが、相手ベンチの盛り上がりは大きかった。「2点のリードでは危ないと感じ、この回が大事だと思っていた」
土浦三は6回に4番・松浦直哉の二塁打と、5番・宮田侑資の振り逃げで無死一、三塁とし、6番・宮城優斗のスクイズで1点を返した。しかしその後は好機を作れず、流れを引き寄せることができなかった。
投手戦 土浦一はヒット5本に抑える

土浦一と竜ケ崎一の試合は投手戦の様相を呈したが、大事な場面での経験値などで竜ケ崎一が一枚上手だった。初回表、竜ケ崎一は先頭打者が死球で出塁。内野ゴロで1死一、三塁の場面を作ると犠牲フライを放ち、ノーヒットのまま1点を奪う。8回には2安打1四球で1死満塁とし、ここも犠牲フライで1点を追加した。
土浦一の古宮学樹投手が相手に許したヒットは5本だけ。「古宮はよく投げ抜いてくれたし、試合全体を見ても劣勢という感じは全然なかった」と柴沼剛己監督。古宮自身は「いいピッチングはできたが、四死球でピンチを作ったのが敗因だった」と語る。
攻撃については「いい当たりは出ていたが、変化球とストレートの出し入れで相手にうまくやられた」と黒田堅仁主将。「バントや盗塁のミスでチャンスをつぶしたのが痛かった」と5番打者の佐野翔。たとえば5回裏の場面。先頭が死球で出るも次打者は3バント失敗で送れず、盗塁失敗で走者も失った後にヒットが出るというちぐはぐな攻撃。2つのミスが重ならなければ同点は確実だった。

最少失点で終盤につなぎ、怒濤の集中打で逆転という得意パターンも、この日は通用せず。9回2死から4番・古宮の左前打で希望をつなぐが、続く佐野の打球はショートゴロ。一塁に頭から滑り込むが間に合わず、塁上に突っ伏したまま試合終了のサイレンを聞いた。
「自分で終わって悔しいし、一緒に頑張ってきたみんなにも申し訳ない。下の代には堅実な守備と、自分たちやその上の代から吸収したことを生かして、しっかりとした県立らしい強いチームになってほしい」と、佐野は下級生へメッセージを残した。
12日土浦、つくば勢の他の試合結果
▷石岡一5―0土浦湖北
▷水戸啓明5―1土浦二