水曜日, 6月 18, 2025
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還暦の科学技術週間 青少年向けにシフト つくばで一般公開

【相沢冬樹】「発明の日」の18日がめぐってくるとつくばは「科学技術週間」に入り、教育・研究機関はこの週末に一般公開のピークを迎える。今年は60回目の節目の年。つくば地区ではかつて、民間研究所を含め50以上の機関が一斉参加し、意匠を凝らした展示で華やかさを競ったが、平成の間に研究所の統合や規模の縮小などあって、今回の公開機関数は28となった。内容的にも企業向けに研究成果を発表する形式は姿を消し、青少年向けのプログラムを用意して研究者と交流するスタイルが目立ってきた。

「元素のチカラ」見せる黒い炎…物材機構

はっきり「若者向け」を打ち出したのは、物質・材料研究機構(NIMS)。「材料科学」はわが国の科学・経済のけん引役ながら、少子化や若者の理科離れの中、優秀な人材確保が難しくなっており、危機感を募らせている事情が背景にある。21日の一般公開では、子供たち向けの体験プログラムとは別に、高校生や大学生向けのプログラムを用意した。

折から2019年は元素周期表ができて150周年を迎えることから、「元素のチカラ」をテーマに講演や講座を開設する。特別講演は花火師の山崎茂男さんによる「花火“奇跡の3秒”を生む元素の力」、体験講座では食塩とメチルアルコールから「黒い炎」を作り出して、その元素の謎解きをする。公開は21日午前10時~午後4時、NIMS千現・並木・桜地区同時開催となる。

https://www.nims.go.jp/openhouse/

高校生・大学生限定で…国立環境研

今回から対象を高校生・大学生に限定し、一般公開を取りやめたのは国立環境研究所。20日午後1時から開催の「春の環境講座-地球のおくのほうまで見てみよう」は、環境問題について少人数で研究者と語り合う3つのイベントに、高校生・大学生を 50 人限定で募集した。職員採用に関する相談コーナーまで設けた。

http://www.nies.go.jp/whatsnew/20190326/20190326.html

キッズ・ユニバーシティ…筑波大学

筑波大学は、その名も「キッズ・ユニバーシティ」(子供大学)と銘打って、児童・生徒向けのプログラムを組んだ。20日午前9時~午後5時、最新のスーパーコンピューターの見学会やホタル飼育、科学遊びラボなどを設けるほか、高校生以上対象に知能機能システム専攻公開、地上ロケットエンジン燃焼試験などを行う。限定公開の大学地底探検ツアーも各回25人で4回行われる。

http://www.tsukuba.ac.jp/event/e201903181000.html

筑波大学の最新スーパーコンピューター「Cygnus(シグナス)」

このほかの主な公開は次のとおり。

国立公文書館つくば分館=20日までの午前9時15分~午後5時、企画展「明治を支えた情報通信」 新旧憲法、終戦の詔書(しょうしょ)などの展示。

Belle II 測定器=高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器研究機構=20日午前9時30分~午後4時30分、施設見学ツアー Belle II(ベルツー)測定器&フォトンファクトリー、サイエンスカフェなど。

https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/04/02/1600/

建築研究所=21日午前9時~午後4時、実大構造物実験棟など研究施設のツアー見学(予約制、電話029-864-2151)ほかドローンシミュレーターによる操縦体験など。

国土技術政策総合研究所・土木研究所=19日午前9時~午後4時、試験走路、京都・桂川の河川模型などの実験施設見学、VRで建築現場体験など。

NTTアクセスサービスシステム研究所=17日午前9時50分・11時50分・午後2時20分・4時20分の4回に分け光ファイバーを使った通信技術をツアー形式で紹介。

防災科学技術研究所=21日午前10時~午後4時、「生きる、を支える科学技術」をテーマに地震ザブトンによる揺れ体験、ゲリラ豪雨体験、ペットボトルで地震計を作るコーナーなど「ぼうさいミュージアム2019」の開催。

http://www.bosai.go.jp/event/2019/openhouse/index.html

国立科学博物館筑波研究施設・筑波実験植物園=21日午前10時~午後4時、「科博オープンラボ2019」。ツアー形式で標本室をめぐる見学会。動物研究部、植物研究部で参加型の特別企画など。21日は筑波実験植物園入園料が無料。

http://www.kahaku.go.jp/event/2019/04open_labo/

筑波技術大学=19日午後1時~、視覚障害に配慮した学習環境と支援機器の体験。

つくばエキスポセンター=21日まで入館料200円(子供100円)割引。20日と21日にサインスショー、宇宙アサガオの種プレゼントなど。21日は江戸川学園取手小、塚原佳那子さんの一日館長。

日本自動車研究所=20日午前10時~午後4時、「のぞいてみよう! クルマの研究所」。真冬の試験環境体験や水素・電気で走るクルマに同乗体験。

JAXA筑波宇宙センター=19日まで午前9時30分~午後5時、筑波宇宙センタークロスワードパズル(プレゼント付き)、超小型三軸姿勢制御モジュール紹介(実演付き)など。

産総研・地質標本館=16日~7月7日開催の特別展「宇宙(そら)から地質(ジオ)―衛星でみる地質」関連特別講演会=20日午後2時~4時 2講演を予定。入場無料。

産業技術総合研究所つくばセンター=20日午前9時30分~午後5時、ミニトーク「トンボの不思議」、研究室見学「両生類ふれあいツアー」ほか、いずれも予約制。

https://www.aist.go.jp/sst/ja/event/sq20190420/index.html

気象研究所・高層気象台・気象測器検定試験センター=17日午前10時~午後4時、気象研では講演会「異常気象と地球温暖化」など、高層気象台ではジェット気流の発見に関わる展示など、試験センターでは気象測器の展示・説明。

国土地理院・地図と測量の科学館=18日午前10時~と午後4時~、測量用航空機「くにかぜ」内部公開。

国際協力機構JICAつくば=20日午前10時~午後4時、展示「アフリカを知ろう!」、高校生国際協力実体験プログラム成果発表など。

農研機構=19日午前9時~午後4時、⾷と農の科学館でもみすり体験や植物⼯場で栽培されたトマトの試⾷など、農業環境インベントリー展示館でミニ農村⾒学ツアーなど。

森林総合研究所=18日午前10時~午後4時、企画展示「サクラを観る・守る・利用する」、樹木園の案内(研究者のガイド付き)など。

国際農林水産業研究センター=19、20日の午前10時~午後4時、講演「地球温暖化に負けないトマトを作る~遺伝資源を用いた耐暑性研究」(19日)、ハイビスカスなどの苗木の配布(先着順)など。

詳しくは、2019年度イベント総合ガイドのダウンロードページへ。

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「性の悩み、ひとりで抱えないで」筑波大専門医が若者向け相談イベント

21日 薬局の待合スペース 自身の体や性に悩みを抱える若者たちの力になろうと、筑波大学附属病院の産婦人科医と同大の医学生らが協力し、10代や20代の若者を対象とした性に関する理解啓発活動に取り組んでいる。17日、企画の発起人である産婦人科医の天神林友梨さんと西田恵子さんがつくば市役所を訪れ、五十嵐青立市長に活動を報告した。 ポップにかわいく もっと気軽に婦人科を受診してほしい−  そんな願いを込めて天神林さんと西田さんが始めたのが「ふらっと、さんふじんか」だ。2023年、周囲の医師や学生らに声を掛けて筑波大の学園祭で2日間ブースを構えたのが始まり。 正しい避妊の仕方、性感染症や子宮頸がんのこと、どんなときに、どんな準備をして産婦人科を受診すればいいのかなど、知ってほしい情報をたくさんのイラストを用いたポスターにまとめて展示した。ほかに、つくば市や近隣地域の産婦人科を、関係者が実際に取材し各医院ごとの「イチ押しポイント」と共にまとめた地図や、専門医による相談ブースなどを用意した。来場者には、用意した生理用ナプキンや企画に賛同する企業から寄せられたコンドームを無料で配布。2日間で約600人が訪れた。 2年目となった昨年の学園祭では学生を中心に1000人を超える参加者があった。男性に向けた展示も用意したところ約300人の男性が足を運んだ。「彼女の生理が重くて…」、そんな相談をする男子学生もいた。設営時に気をつけたのは「ポップにかわいく」することだ。明るい雰囲気を演出することで、1人でも多くの人が気軽に足を止めてもらえるよう気を配った。 もっと日常に近いところで 日頃、外来患者に対応する中で、天神林さんと西田さんが感じてきたのが「自分たちが思うよりも多くの人が、産婦人科の受診に高いハードルを感じている」ことだった。誰にも悩みを打ち明けられずに性の問題に悩み、症状が重くなってから受診する多くの若者たちと出会ってきた。「こんなに来づらいところなのか。院内にいると、気づかなかった」と、西田さんは言う。 「知識不足から望まない妊娠をしてしまう女性もいた。学校を休まなければいけないほど辛い生理に何年も悩んでいる学生もいた。生理はコントロールできるもの。もっと早く受診してくれたらと思う女性たちがいた」と話す。「知っておくべき正しい情報が伝わっていない。もっと日常生活に近いところで彼女たちに伝えたいと思った」のが活動のきっかけだった。 2人は昨年5月、先進的な取り組みを知ろうと、無料または低予算で性に関する悩みを相談でき専門医と繋がることができる欧州の「ユースクリニック」を視察した。スウェーデンでは世界最大規模の公営ユースクリニックを訪ね、デンマークでは積極的に行政の協力を得ながら若年妊娠に応じるクリニックを視察した。 「新生児を遺棄してしまうニュースなどに触れ、どうにかできないかと思うことがあった。外来に来てくれる方の相談には乗ることができるが、病院に来てもらえないと会えない。私たちは病院にいるだけでいいのか。病院に来られない人も助けたい。活動では、気軽に相談できる窓口を用意し、知っておくべき正しい情報を提供し、自分の体について考えるきっかけにしてもらいたい。そして、産婦人科を受診するハードルを下げることに繋げていきたい」と西田さんが思いを語る。 大学の外で初めて 21日には、筑波大学附属病院の向かいにあるクオール薬局つくば桐の葉モール店(つくば市天久保)の待合スペースにブースを構える。パネルを展示するとともに、天神林さんと西田さんを含めて3人の女性医師が待機し相談に応じる予定だ。「大学の外で初めての開催。中・高・大学生くらいの若者が来てくれたら嬉しい。いきなり産婦人科は受診のハードルが高いと思うので、勉強の合間などでもふらっときて、生理や避妊などの悩みについても話してもらえたら。男性も是非来てください」 訪問を受けた五十嵐市長は「つくば市でも5月から、(保健師や助産師などの専門家が相談に応じる)『青のカフェ』を大穂保健センターで始めた。親や先生、友達にも相談できない状況にある子どもが、ひとりで気軽に相談できる場所が必要だと考えて始めた取り組み。『ふらっと、さんふじんか』は、厳しい状況にある若者たちの救いになる活動だと思う。ひとりでも多くの若者の救いになれるよう、連携を模索していきたい」と語った。(柴田大輔) ◆「ふらっと、さんふじんか」は6月21日(土)午後1時から午後4時まで、つくば市天久保2-1-1 アメニティモール1階 クオール薬局つくば桐の葉モール店で開催。参加費は無料。問い合わせはメール(flat.sanfujinka.tsukuba@gmail.com)で筑波大学産婦人科「ふらっと」担当者へ。

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【コラム・川浪せつ子】つくばの人なら皆さんご存知の洞峰公園(つくば市二の宮)。私は20年ぐらい前から描いています。「まだまだ描き足りない」と思っていましたが、「NPO法人いきものSDGs」さんとの出会い、今春に新たな境地に…。 私は建築関係の仕事を長年やってきたので、風景を大きな範囲で描くことばかり考えていました。それが、「ただの草」というものはなく、雑草?と思っているものにもすべて名前があり、そこに生えているということに意味がある、と。散歩途中でも、図鑑などは見ていたのですが…。 1時間ほど、植物専門家の方からお話を聞くことで、植物を見る眼がバージョンアップしたのです。絵を描くときも、これは〇〇だなぁ~と分かると、今までよりもっと愛情がわきます。そしたら、絵を描く場所、モチーフも変化。まだまだ入口ですが、「乞うご期待!」です。 身近に絶滅危惧種が… 5月10日に開かれた「市民参加型 絶滅危惧植物モニタリング調査 絶滅危惧種キンランを探せ in つくば!」に参加し、絶滅危惧種がこんな身近にもあることに驚きました。 私は常に絵のモチーフ場所を探してウロウロ。たまたま二の宮公園に行ったとき、ちゃんと囲いされている!キンランを見つけました。これからも期待大の「NPO法人いきものSDGs」さんです。「キンラン」のことはNEWSつくばに出ています=2021年5月23日付=。(イラストレーター) <お知らせ> 武蔵野美術大学校友会茨城支部展:日時=7月1日(火)~6日(日)午前9時30分~午後5時、場所は県立つくば美術館。

公用車のカーナビ20台 NHK受信料未払い 土浦市

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下水道管 2月の点検時は異常なし 土浦の道路陥没事故

硫化水素発生しやすい箇所か 土浦市西真鍋町で12日発生した下水道管の損傷が原因とみられる道路陥没事故で(14日付)、今年2月、事故があった箇所近くの下水道管の点検を同市が実施し、その際は異常を確認できなかったことが分かった。一方、現場の下水道管は硫化水素が発生しやすい箇所にあり、腐食による老朽化を早めたとみられるという。 道路が陥没した西真鍋の下水道管は44年前の1981年に敷設された。鉄筋コンクリート製の下水道管の耐用年数は約50年とされる。 市下水道課によると、今年1月、埼玉県八潮市で下水道管損傷が原因とされる道路陥没事故が発生し、トラックを運転していた74歳の男性が死亡した事故を受けて、土浦市は今年2月、2021年の調査で劣化が見られた市内29カ所の下水道管の点検を実施した。そのうちの1カ所が、陥没事故があった西真鍋町の道路近くのマンホールだった。点検はマンホールのふたを開けて、市職員が目視で下水道管に土砂がたまっていないかなどを調査したが、その際、異常は確認できなかったという。 一方、事故があった西真鍋町の下水道管は、現場から約1.6キロ離れた塚田ポンプ場から圧力をかけて送水し水がはき出される下流に当たり、同課は、硫化水素が発生しやすかったのではないかとみている。 硫化水素は、下水道の汚水に含まれる生ごみなどの有機物から発生し、コンクリート製の下水道管を溶かして老朽化を早めるといわれている。埼玉県八潮市の道路陥没事故は、汚水から発生した硫化水素で下水道管が損傷し、損傷した部分に土砂が流入して空洞ができ、道路が陥没したとみられている。 土浦市西真鍋町の事故現場では現在、復旧に向けて連日作業が行われている。周囲の土が崩れないように矢板を打ち込み、さらに下水道管が埋設されている深さまで土を掘り下げて、下水道管の状態を調査し原因を調べた上で、損傷した下水道管を交換する予定だ。復旧や通行止め解除までどれくらいかかるかの見通しは現時点で不明という。(鈴木宏子)