金曜日, 12月 12, 2025
ホームつくば還暦の科学技術週間 青少年向けにシフト つくばで一般公開

還暦の科学技術週間 青少年向けにシフト つくばで一般公開

【相沢冬樹】「発明の日」の18日がめぐってくるとつくばは「科学技術週間」に入り、教育・研究機関はこの週末に一般公開のピークを迎える。今年は60回目の節目の年。つくば地区ではかつて、民間研究所を含め50以上の機関が一斉参加し、意匠を凝らした展示で華やかさを競ったが、平成の間に研究所の統合や規模の縮小などあって、今回の公開機関数は28となった。内容的にも企業向けに研究成果を発表する形式は姿を消し、青少年向けのプログラムを用意して研究者と交流するスタイルが目立ってきた。

「元素のチカラ」見せる黒い炎…物材機構

はっきり「若者向け」を打ち出したのは、物質・材料研究機構(NIMS)。「材料科学」はわが国の科学・経済のけん引役ながら、少子化や若者の理科離れの中、優秀な人材確保が難しくなっており、危機感を募らせている事情が背景にある。21日の一般公開では、子供たち向けの体験プログラムとは別に、高校生や大学生向けのプログラムを用意した。

折から2019年は元素周期表ができて150周年を迎えることから、「元素のチカラ」をテーマに講演や講座を開設する。特別講演は花火師の山崎茂男さんによる「花火“奇跡の3秒”を生む元素の力」、体験講座では食塩とメチルアルコールから「黒い炎」を作り出して、その元素の謎解きをする。公開は21日午前10時~午後4時、NIMS千現・並木・桜地区同時開催となる。

https://www.nims.go.jp/openhouse/

高校生・大学生限定で…国立環境研

今回から対象を高校生・大学生に限定し、一般公開を取りやめたのは国立環境研究所。20日午後1時から開催の「春の環境講座-地球のおくのほうまで見てみよう」は、環境問題について少人数で研究者と語り合う3つのイベントに、高校生・大学生を 50 人限定で募集した。職員採用に関する相談コーナーまで設けた。

http://www.nies.go.jp/whatsnew/20190326/20190326.html

キッズ・ユニバーシティ…筑波大学

筑波大学は、その名も「キッズ・ユニバーシティ」(子供大学)と銘打って、児童・生徒向けのプログラムを組んだ。20日午前9時~午後5時、最新のスーパーコンピューターの見学会やホタル飼育、科学遊びラボなどを設けるほか、高校生以上対象に知能機能システム専攻公開、地上ロケットエンジン燃焼試験などを行う。限定公開の大学地底探検ツアーも各回25人で4回行われる。

http://www.tsukuba.ac.jp/event/e201903181000.html

筑波大学の最新スーパーコンピューター「Cygnus(シグナス)」

このほかの主な公開は次のとおり。

国立公文書館つくば分館=20日までの午前9時15分~午後5時、企画展「明治を支えた情報通信」 新旧憲法、終戦の詔書(しょうしょ)などの展示。

Belle II 測定器=高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器研究機構=20日午前9時30分~午後4時30分、施設見学ツアー Belle II(ベルツー)測定器&フォトンファクトリー、サイエンスカフェなど。

https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/04/02/1600/

建築研究所=21日午前9時~午後4時、実大構造物実験棟など研究施設のツアー見学(予約制、電話029-864-2151)ほかドローンシミュレーターによる操縦体験など。

国土技術政策総合研究所・土木研究所=19日午前9時~午後4時、試験走路、京都・桂川の河川模型などの実験施設見学、VRで建築現場体験など。

NTTアクセスサービスシステム研究所=17日午前9時50分・11時50分・午後2時20分・4時20分の4回に分け光ファイバーを使った通信技術をツアー形式で紹介。

防災科学技術研究所=21日午前10時~午後4時、「生きる、を支える科学技術」をテーマに地震ザブトンによる揺れ体験、ゲリラ豪雨体験、ペットボトルで地震計を作るコーナーなど「ぼうさいミュージアム2019」の開催。

http://www.bosai.go.jp/event/2019/openhouse/index.html

国立科学博物館筑波研究施設・筑波実験植物園=21日午前10時~午後4時、「科博オープンラボ2019」。ツアー形式で標本室をめぐる見学会。動物研究部、植物研究部で参加型の特別企画など。21日は筑波実験植物園入園料が無料。

http://www.kahaku.go.jp/event/2019/04open_labo/

筑波技術大学=19日午後1時~、視覚障害に配慮した学習環境と支援機器の体験。

つくばエキスポセンター=21日まで入館料200円(子供100円)割引。20日と21日にサインスショー、宇宙アサガオの種プレゼントなど。21日は江戸川学園取手小、塚原佳那子さんの一日館長。

日本自動車研究所=20日午前10時~午後4時、「のぞいてみよう! クルマの研究所」。真冬の試験環境体験や水素・電気で走るクルマに同乗体験。

JAXA筑波宇宙センター=19日まで午前9時30分~午後5時、筑波宇宙センタークロスワードパズル(プレゼント付き)、超小型三軸姿勢制御モジュール紹介(実演付き)など。

産総研・地質標本館=16日~7月7日開催の特別展「宇宙(そら)から地質(ジオ)―衛星でみる地質」関連特別講演会=20日午後2時~4時 2講演を予定。入場無料。

産業技術総合研究所つくばセンター=20日午前9時30分~午後5時、ミニトーク「トンボの不思議」、研究室見学「両生類ふれあいツアー」ほか、いずれも予約制。

https://www.aist.go.jp/sst/ja/event/sq20190420/index.html

気象研究所・高層気象台・気象測器検定試験センター=17日午前10時~午後4時、気象研では講演会「異常気象と地球温暖化」など、高層気象台ではジェット気流の発見に関わる展示など、試験センターでは気象測器の展示・説明。

国土地理院・地図と測量の科学館=18日午前10時~と午後4時~、測量用航空機「くにかぜ」内部公開。

国際協力機構JICAつくば=20日午前10時~午後4時、展示「アフリカを知ろう!」、高校生国際協力実体験プログラム成果発表など。

農研機構=19日午前9時~午後4時、⾷と農の科学館でもみすり体験や植物⼯場で栽培されたトマトの試⾷など、農業環境インベントリー展示館でミニ農村⾒学ツアーなど。

森林総合研究所=18日午前10時~午後4時、企画展示「サクラを観る・守る・利用する」、樹木園の案内(研究者のガイド付き)など。

国際農林水産業研究センター=19、20日の午前10時~午後4時、講演「地球温暖化に負けないトマトを作る~遺伝資源を用いた耐暑性研究」(19日)、ハイビスカスなどの苗木の配布(先着順)など。

詳しくは、2019年度イベント総合ガイドのダウンロードページへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

無人のダンプが坂下り出し 軽トラの女性けが つくば市発注の水道工事

筑波山中腹 11日午前11時30分ごろ、つくば市臼井、筑波山中腹の坂道で、同市発注の水道管布設替え工事中、道路脇に停車していた無人の2トンダンプが動き出し、約30メートル下った先の住宅敷地内に停車していた軽トラックに衝突、軽トラックははずみで住宅の玄関に衝突し、乗っていた女性が打撲など軽いけがを負った。 市水道工務課によると、現場は筑波山神社に続く生活道路で、工事を受注した市内の業者が老朽化した水道管を取り替える工事中、前方を坂の下に向けて停車していたダンプが前に動き出した。ダンプは事故時、交換した水道管を埋め戻すための砂を積んでいた。サイドブレーキはかけていたが、車止めは設置していなかったという。 けがを負った女性は、出掛けようと軽トラックの運転席に乗ったところ、左後ろの荷台付近をダンプに衝突された。住宅の玄関は、庇(ひさし)を支える木製の庇柱2本が折れるなどした。衝突の影響で軽トラックのドアが開かなくなり、消防署が女性を救出、女性は救急車で病院に運ばれた。 女性は現在、自宅療養中で、事故原因は調査中としている。 同市の五十嵐立青市長は「事故によりけがをされた方に深くお詫びします」とするコメントを発表し、「再びこのような事故を起こさぬよう、受注者に、現場の安全対策の再確認や現場作業員に対する安全対策の再教育を指示」し、さらに「現在工事を受注している全事業者に対しても、安全対策に関する指導を徹底します」としている。

11年ぶりのお色直し つくばエキスポセンター H2ロケット

つくば駅前の中央公園に隣接するつくばエキスポセンター(同市吾妻)で、同センターのシンボルであるH2ロケットの全面塗装工事が始まった。ロケットは実物大模型で高さは約50メートル。11月25日から足場の組み立てが進められており、来年3月30日に完了する予定だ。底辺部から先端部分まで全面的にお色直しする。1990年の設置以来、ほぼ10年ごとに塗り替えを行っており、今回は2014年以来11年ぶりとなる。 エキスポセンターは、1985年に開かれた「科学万博つくば’ 85」の第2会場として建てられ、万博閉幕翌年の1986年に科学館として再オープンした。当時、世界最大だったプラネタリウムをはじめ、万博関連資料が展示されているほか、最先端の科学技術をわかりやすく紹介している。 今回、お色直しされるH2ロケットの模型は、初の純国産大型ロケットして1994年に1号機が打ち上げられた「H2」を模したもの。1989年の横浜博覧会で展示された模型を1990年6月にエキスポセンター屋外展示場に移設した。以来、つくば市中心地区のシンボルとして、長く市民に親しまれている。 今回の塗り替えについて、エキスポセンターの中原徹館長は「2014年の塗装後、塗装落ちなどが見られたため調査を行った結果、全面塗装を行うことになった。色やデザインの変更はない。来春には塗装を終え足場を取りはずしますので、市民の皆様にはぜひ完成を楽しみにお待ちいただければ」と語った。 作業の進ちょくは、つくばエキスポセンターのホームページなどで知らせる予定だ。(柴田大輔)

原因は強い太陽フレア 低速自動運転車の接触事故 つくば市

乗客を乗せてつくば市が実証実験を実施していた低速自動運転モビリティ(車両)が11月12日、つくば駅周辺でスロープの手すりに接触する事故を起こし運行を中止している問題で(11月13日付)、同市は10日、接触事故の原因について、事故当日に発生した強い太陽フレアによる通信障害により、GPSを受信して車両の位置などを測定する衛星測位精度が低下し、車両の位置情報の誤差が大きくなったことと、強い太陽フレアの発生などに備えた車両側面の範囲を検知する接近センサーの不備が原因と考えられると発表した。 市科学技術戦略課は今後の対策として、①強い太陽フレアが発生した場合に備えて車両側面の接近センサーを追加搭載し最適化する ②運行ルートに応じて安全を確保するために設けるゆとりの範囲を見直す ③衛星測位精度が低下した際はさらに低速で運転したり停止するなど車両の動き方を見直すーなどを実施した上で、13日から16日の4日間、乗客を乗せないで、実証実験のルートと同じつくば駅前からつくばカピオ前まで、公道のペデストリアンデッキで試験走行を実施するとした。 試験走行では①車両側面の範囲を検知する接近センサーの搭載台数と配置の最適化、②障害物接近時における減速や停止など車両挙動の確認などを検証する。 接触事故は、低速自動運転モビリティが、同市竹園1丁目のイベントホール、つくばカピオの敷地内に設置されているスロープを時速3キロで走行し方向転換した際、スロープの手すりに接触する事故を起こした。事故時、運転手と一般の乗客2人の計3人が乗車していた。 当初計画では来年1月15日から26日にも一般市民を乗せて実証実験を実施する予定で、同課は、13日~16日の試験走行の検証結果をみて、運行を再開するか否か検討したいとし、「原因究明結果を真摯に受け止め、再発防止に努めると共に、今回の調査で得られた知見と経験を今後の事業運営に反映し安全な運行の確立に取り組んいく」としている。

どう発信しどう対処? 一部誤情報と共にSNSで拡散 中学校の不審者情報

つくば つくば市内の中学校が作成した不審者情報が、一部誤情報と共にSNSに投稿され拡散した。教育委員会事務局の同市教育局は、保護者の間に不安を引き起こしているなどとして不審者情報を一部修正し再度、保護者に通知した。SNS時代に、どう発信し、どのように対処すべきなのだろうか。 不審者情報は、11月5日、同市内で、女子中学生が自転車で登校途中、年齢20~30代くらいの外国人風の男性3人が乗る車が停車しているのを確認、そのうち2人が降りてきて女子中学生に近寄り、車が自転車に横付けされたが、近くを通りがかった人が中学生に声を掛け、男性らは車に乗ってその場を立ち去ったーなどの内容。この情報は、スマートフォンアプリを使ったデジタル連絡ツールで翌6日、周辺の各学校から保護者に文字情報で伝えられた。 同月18日、今回の不審者情報が匿名でSNSに投稿された。「誘拐未遂事件が発生」と一部事実でない投稿文が書かれ、中学校が作成した「不審者情報連絡票」の画像が添えられた。連絡票は、学校や市教育局など関係部署間でやりとりするための内部文書だった。連絡票に書かれた情報は、6日に保護者に伝えられた文字情報と同じ。 外国人差別のコメントも SNSでは「外国人による女子中学生誘拐未遂事件」という誤情報の形で拡散した。投稿に対し、外国人に対する差別や偏見とみられるコメントも書き込まれた。SNSでの拡散後、市教育局には保護者や市民から数件、問い合わせがあった。 こうした事態を受けて同市教育局学び推進課は2日後の20日付で、今回の不審者情報の正確な経緯と児童生徒の安全確保の対応について、改めて保護者に通知した。SNSで拡散された内容の一部に誤りがあること、保護者の間に不安を引き起こしていることを「深く憂慮している」と表明した上で、連絡票に書かれた不審者情報の表現が「いろいろな捉え方をされてしまっている」として、表現を一部修正した。 修正箇所は、連絡票の不審者情報が男性3人を「外国籍」と断定していたのに対し、「外国人風」と修正した。男性らが車で立ち去った経緯を連絡票は「車に乗って逃げ、(生徒は)事なきを得た」と表現していたが「車に乗ってその場を去った。生徒は無事だった」に改めた。 同課の小野尚文 学校教育政策監はSNSで拡散した不審者情報連絡票の画像について「内容自体は外に出してもいい情報だが、公文書なので画像になって拡散されたことはまずい。問題意識をもっている」とし「各学校に公文書の扱いについてもう一度指導を徹底したい」としている。内部資料の画像をだれがどこで撮影し投稿したかは分からないという。 学校が不審者情報を発信する必要性については「不審者情報の発信は子どもの安全を守るためで、二次被害を防ぎ、近隣の学校にも注意喚起するため連絡は迅速に行わなければならない」とし「学校や家庭で、知らない人から声を掛けられるなどがあったら、小さい子なら防犯ブザーを鳴らしたり110番の家に駆け込むといった対応方法を教え、子どもが危ない目に遭わない、安全な行動をとれるような指導につなげている」とした。 保護者「怖い気持ちはある」 今回の不審者情報を学校からのデジタル連絡ツールで確認したという市内に住む高校1年と小学6年の姉妹の母親(39)は「まず、怖いと思った」と語り、SNS上で事実と異なる「外国人による女子中学生誘拐未遂事件」として拡散されていることについて「すべての外国人が悪いわけではないので、よくないこと」と言う一方「実際に外国人風の男性に子どもが声を掛けられることはあるので、怖い気持ちはある」と語った。 受け取る側も冷静に 筑波大 秋山助教 今回の問題について、国籍や移民問題、国際社会などをテーマに研究する筑波大学人文社会系の秋山肇助教に話を聞いた。 公文書の画像が拡散を担保 ―外国人風男性の不審者情報がSNSで投稿されたことについてどう思われますか。 秋山 まず大きな問題点として、最初の「不審者情報連絡票」の画像がどういうプロセスで外部に出たかということがある。そもそも内部文書がSNSにアップされたこと自体が問題だ。SNSに「誘拐未遂事件発生」と投稿されたが、「不審者情報連絡票」とされる画像からは事実と確認できないにもかかわらず、「誘拐未遂事件」がSNS上で独り歩きするのを担保してしまったのが、公文書である連絡票だったと思う。 投稿者の文字情報だけだったら『これって本当?』って思う人がいたかもしれない。連絡票の中身を読めば誘拐未遂事件でないことはわかるはずだが、画像の文章まで読まない人もいる。SNSの投稿文だけを読んで「誘拐未遂事件が起きた」と受け取ってしまう人もいる。 そのため「不審者情報連絡票」とされる画像が投稿されることで、外国人による女子中学生誘拐未遂事件が起きたという話が独り歩きしてしまった。尾びれ背びれが付いて、本当に起きているのか分からないことがSNSで広がる怖さはある。 2点目として、つくば市教育局が一部表現を変えて11月20日に保護者宛に二度目の発信をしたことについては、市教育局が、SNSで拡散した内容の一部に誤解を生む表現があったとして「連絡票」に書かれた不審者情報の表現を書き直している。SNSで投稿されている「連絡票」には「外国籍の男性」と書かれているが、本当に外国籍なのかどうかは、本来パスポートなどを確認しなければわからないため正確ではないと思われる。ただ、その場で緊急で不審者情報を聞き取って内部文書を書く場合は、内容が必ずしも正確でないこともある。しかし保護者などの外部に情報を出す時、内部文書と同じ記載で良かったのかというのがもう一つの論点としてあると思う。 人は負の感情に強く反応 ―SNSの投稿に対するコメントで、「外国人が怖い」といったコメントがありました。外国人差別ではないでしょうか。 秋山 子どもを守る立場にある子育て世代などが、心配事が生じた時に「外国人」に不安を覚えるのは仕方のない一面もあるだろう。子育てをしている状況では、子どもは弱い存在だという前提があるので、親からすると子どもを守らないといけない。子育てをしている状況は余裕がない状況ともいえる。人はリスクがあることから逃げたいもの。子どもを守らないといけないと考える親からすると、外国人にリスクがあると考えたら近づかないというのは、本人にとっては合理的ともいえる。「怖い人」は本来、日本人にも外国人にもいるが、「外国人が怖い」と思っている人に、それが外国人差別だと伝えても理解されるのは難しいかもしれない。しかし社会全体への影響を考えると望ましくないだろう。 人は負の感情に強く反応し、「怖い」という気持ちに強く反応してしまうことも認識しておくことが大切だ。「外国人が怖い」というネガティブな感情がある人に「差別すべきではない」といった「べき論」は効果的とはいえない。強い負の感情が拡散しやすいのはSNSの特徴でもある。 ―では「外国人が怖い」という人にはどう対応すればいいのしょうか。 秋山 次の論点になるのは、子どもたちを守るために何が必要なのかということ。外国人でも怖いことをする人はいるが、日本人であっても怖いことをする人はいる。ただ、どういう人が怖いことをするかは現実的に明らかにするのは困難なので、「外国人が怖い」というラベルを貼るのは、恐怖から逃れようとすると合理的かもしれない。そんな中で、外国人が怖いと思っている人に「差別だ」と言ってしまうと、こうした人たちは恐怖からの逃げ場がなくなってしまう。ただ「外国人が怖い」という言葉の「外国人」には、犯罪を犯さない外国人も含まれている。それでいいのか、きちんと考える必要がある。 ではどうすればいいのかということになるが、情報を出す側が誤解のない情報を提供すること、情報を受け取る側が情報をうのみにせずにその正確性を考えることが大切だ。情報を受け取る側は、外国人かどうかに限らず、「怖い」という情報には尾びれ背びれが付くことがあると認識した上で、情報に接する際は「本当は違うかもしれない」という視点を持つことが必要だ。だから、情報を出す側も慎重であるべきだが、受け取る側も、これはどういう情報なのか、冷静に考えなくてはいけない。(伊藤悦子)