木曜日, 12月 26, 2024
ホームつくば還暦の科学技術週間 青少年向けにシフト つくばで一般公開

還暦の科学技術週間 青少年向けにシフト つくばで一般公開

【相沢冬樹】「発明の日」の18日がめぐってくるとつくばは「科学技術週間」に入り、教育・研究機関はこの週末に一般公開のピークを迎える。今年は60回目の節目の年。つくば地区ではかつて、民間研究所を含め50以上の機関が一斉参加し、意匠を凝らした展示で華やかさを競ったが、平成の間に研究所の統合や規模の縮小などあって、今回の公開機関数は28となった。内容的にも企業向けに研究成果を発表する形式は姿を消し、青少年向けのプログラムを用意して研究者と交流するスタイルが目立ってきた。

「元素のチカラ」見せる黒い炎…物材機構

はっきり「若者向け」を打ち出したのは、物質・材料研究機構(NIMS)。「材料科学」はわが国の科学・経済のけん引役ながら、少子化や若者の理科離れの中、優秀な人材確保が難しくなっており、危機感を募らせている事情が背景にある。21日の一般公開では、子供たち向けの体験プログラムとは別に、高校生や大学生向けのプログラムを用意した。

折から2019年は元素周期表ができて150周年を迎えることから、「元素のチカラ」をテーマに講演や講座を開設する。特別講演は花火師の山崎茂男さんによる「花火“奇跡の3秒”を生む元素の力」、体験講座では食塩とメチルアルコールから「黒い炎」を作り出して、その元素の謎解きをする。公開は21日午前10時~午後4時、NIMS千現・並木・桜地区同時開催となる。

https://www.nims.go.jp/openhouse/

高校生・大学生限定で…国立環境研

今回から対象を高校生・大学生に限定し、一般公開を取りやめたのは国立環境研究所。20日午後1時から開催の「春の環境講座-地球のおくのほうまで見てみよう」は、環境問題について少人数で研究者と語り合う3つのイベントに、高校生・大学生を 50 人限定で募集した。職員採用に関する相談コーナーまで設けた。

http://www.nies.go.jp/whatsnew/20190326/20190326.html

キッズ・ユニバーシティ…筑波大学

筑波大学は、その名も「キッズ・ユニバーシティ」(子供大学)と銘打って、児童・生徒向けのプログラムを組んだ。20日午前9時~午後5時、最新のスーパーコンピューターの見学会やホタル飼育、科学遊びラボなどを設けるほか、高校生以上対象に知能機能システム専攻公開、地上ロケットエンジン燃焼試験などを行う。限定公開の大学地底探検ツアーも各回25人で4回行われる。

http://www.tsukuba.ac.jp/event/e201903181000.html

筑波大学の最新スーパーコンピューター「Cygnus(シグナス)」

このほかの主な公開は次のとおり。

国立公文書館つくば分館=20日までの午前9時15分~午後5時、企画展「明治を支えた情報通信」 新旧憲法、終戦の詔書(しょうしょ)などの展示。

Belle II 測定器=高エネルギー加速器研究機構

高エネルギー加速器研究機構=20日午前9時30分~午後4時30分、施設見学ツアー Belle II(ベルツー)測定器&フォトンファクトリー、サイエンスカフェなど。

https://www.kek.jp/ja/newsroom/2019/04/02/1600/

建築研究所=21日午前9時~午後4時、実大構造物実験棟など研究施設のツアー見学(予約制、電話029-864-2151)ほかドローンシミュレーターによる操縦体験など。

国土技術政策総合研究所・土木研究所=19日午前9時~午後4時、試験走路、京都・桂川の河川模型などの実験施設見学、VRで建築現場体験など。

NTTアクセスサービスシステム研究所=17日午前9時50分・11時50分・午後2時20分・4時20分の4回に分け光ファイバーを使った通信技術をツアー形式で紹介。

防災科学技術研究所=21日午前10時~午後4時、「生きる、を支える科学技術」をテーマに地震ザブトンによる揺れ体験、ゲリラ豪雨体験、ペットボトルで地震計を作るコーナーなど「ぼうさいミュージアム2019」の開催。

http://www.bosai.go.jp/event/2019/openhouse/index.html

国立科学博物館筑波研究施設・筑波実験植物園=21日午前10時~午後4時、「科博オープンラボ2019」。ツアー形式で標本室をめぐる見学会。動物研究部、植物研究部で参加型の特別企画など。21日は筑波実験植物園入園料が無料。

http://www.kahaku.go.jp/event/2019/04open_labo/

筑波技術大学=19日午後1時~、視覚障害に配慮した学習環境と支援機器の体験。

つくばエキスポセンター=21日まで入館料200円(子供100円)割引。20日と21日にサインスショー、宇宙アサガオの種プレゼントなど。21日は江戸川学園取手小、塚原佳那子さんの一日館長。

日本自動車研究所=20日午前10時~午後4時、「のぞいてみよう! クルマの研究所」。真冬の試験環境体験や水素・電気で走るクルマに同乗体験。

JAXA筑波宇宙センター=19日まで午前9時30分~午後5時、筑波宇宙センタークロスワードパズル(プレゼント付き)、超小型三軸姿勢制御モジュール紹介(実演付き)など。

産総研・地質標本館=16日~7月7日開催の特別展「宇宙(そら)から地質(ジオ)―衛星でみる地質」関連特別講演会=20日午後2時~4時 2講演を予定。入場無料。

産業技術総合研究所つくばセンター=20日午前9時30分~午後5時、ミニトーク「トンボの不思議」、研究室見学「両生類ふれあいツアー」ほか、いずれも予約制。

https://www.aist.go.jp/sst/ja/event/sq20190420/index.html

気象研究所・高層気象台・気象測器検定試験センター=17日午前10時~午後4時、気象研では講演会「異常気象と地球温暖化」など、高層気象台ではジェット気流の発見に関わる展示など、試験センターでは気象測器の展示・説明。

国土地理院・地図と測量の科学館=18日午前10時~と午後4時~、測量用航空機「くにかぜ」内部公開。

国際協力機構JICAつくば=20日午前10時~午後4時、展示「アフリカを知ろう!」、高校生国際協力実体験プログラム成果発表など。

農研機構=19日午前9時~午後4時、⾷と農の科学館でもみすり体験や植物⼯場で栽培されたトマトの試⾷など、農業環境インベントリー展示館でミニ農村⾒学ツアーなど。

森林総合研究所=18日午前10時~午後4時、企画展示「サクラを観る・守る・利用する」、樹木園の案内(研究者のガイド付き)など。

国際農林水産業研究センター=19、20日の午前10時~午後4時、講演「地球温暖化に負けないトマトを作る~遺伝資源を用いた耐暑性研究」(19日)、ハイビスカスなどの苗木の配布(先着順)など。

詳しくは、2019年度イベント総合ガイドのダウンロードページへ。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
spot_img

最近のコメント

最新記事

悠仁さま「寮に暮らしていただきたい」 筑波大進学で永田学長

秋篠宮家の長男、悠仁(ひさひと)さまが筑波大学生命環境学群生物学類の推薦入試に合格し、来春入学することについて、同大の永田恭介学長は26日の定例記者会見で「合格おめでとうございますというスタンス。他の学生もそうだが、入ったからには筑波大学での勉学、筑波大学という場所での勉学を十分に伸び伸びとやっていただきたい」と話した。 宮内庁が、赤坂御用地からの通学を検討していると発表していることについては「ご家族がお決めになることだと思っていて、現在のところどうなるかは我々として知り得ぬところ。実際にはご相談は何も受けてない」とする一方「希望を言えば、本当は寮に暮らしていただけるといいなあということもある」とし、仮に寮に入る場合でも既存の寮で対応でき、特別な寮を学内に建てるなどはないとした。 警備については、悠仁さまの警備によって「(一般学生の)通常の学生生活が阻害されるような警備や、開かれた大学が壊れるような警備はしないと思う」とも話した。 キャンパスの環境整備については、街灯の数が少なかったり、樹木が大きくなり根が舗装道路を持ち上げてがたがたしている自転車道などがあるので「この際、今まで不備があったところは手を入れたい」と話し、学生がよく通るところを中心に補修したいと述べた。 悠仁さまが入学する生物学類は定員80人。推薦入試は64人が受験し悠仁さまも含め22人が合格した。同大は学際的な学びを重視しているため、入学後は、自分が入学した学類以外の科目を6単位以上とらなくてはならないという。実習については、特に生物学類は学内の演習もいろいろあるほか、下田臨海実験センター(静岡県下田市)で海の生物に関する実習や、菅平高原実験所(長野県上田市)で授業や研修をすることもあるという。

小学生時代の昆虫食体験《くずかごの唄》145

【コラム・奥井登美子】スーパーで干し柿の「市田柿」を見ると、つい買ってしまう。この柿には、私の異文化体験の思い出がぎっしり詰まっているのだ。 小学6年生のとき、空襲に備えて、都内の小学3~6年の子どもは強制的な疎開。田舎に親戚のない私は、学校単位で集団疎開したものの、あまりの過酷さに耐えられず、父に迎えに来てもらった。そして、父の知人の知人を頼って、長野県の下伊那に疎開できた。 天竜川が流れていて、両側はかなり急斜面の山間の村。おいしい干柿で評判になった市田村のお隣が山吹村だった(両村は後に合併して一つの町になった)。私は山吹小学校6年に転入した。クラスの友だち数人で、山の中のキャンプ場になりそうな空き地で食事会をしてくれるという。 昔からの昆虫食文化が残っている地域だ。田んぼが少ない。蚕(カイコ)に食べさせる桑(クワ)の木がいたるところに植えてあって、どこの家でも蚕をたくさん飼っていた。 蚕の蛹(サナギ)は子供たちの大事な蛋白(タンパク)質源だ。蚕の蛹を油炒めすると、キトキトと動くのが気になったけれど、食べてみたら魚の煮干しの味だった。会食のとき、男の子が蛇を採ってきて、きれいに皮を剥(む)き、5センチくらいに切ってフライパンの中に入れた。 蛇は怖くない 山の友達だ 私は生きた蛇を初めて見たので、ついつい「蛇が怖い…」と泣いてしまった。次の日、私が蛇が怖くて泣いた、という話がクラス中に知れてしまった。女の子は私を優しくかばってくれるが、男の子は、服装も言葉も違う疎開者をからかったり、いじめてみたりしたいらしい。 学校の帰り、生きた蛇をぶっつけられたこともある。蛇を怖がっていたら道も歩けない。草むしりもできない。私は怖くないフリをするしかない。「蛇は怖くない。山の友達だ」と、1人で唱えているうち、だんだん蛇の行動や性格がわかるようになった。 蜂(ハチ)の子は大ごちそう。高価なので子供たちの食事には出してもらえなかったが、私も教えてもらいながら、「蜂の子取り」に参加させてもらった。 蜂の足に真綿の目印をつける。山の中のどこを飛んでいるかよくわかるので、その真綿を目当てに、3~4人で追いかけて地蜂の巣を見つけ、それを掘り取って貴重な蜂の子をゲットする。蜂の幼虫は、チーズに蜂蜜をかけたような風味のある食べ物だった。 この村で味わった昆虫食体験は、今ではとても貴重な体験だったと思っている。(随筆家、薬剤師)

日本国際学園大生の作品が表紙に つくばエリア下宿探し情報誌

日本国際学園大学(つくば市吾妻、橋本綱夫学長)がこのほど学内で実施した「ひとり暮らしガイドブック」の表紙デザインコンペ(ジェイ・エス・ビーグループ協賛)で、4年の矢治竜乃介さんの作品が最優秀賞を受賞し、10月につくば市エリアで発行された学生向けマンション・アパート情報誌「学生下宿年鑑2025ダイジェスト版ーつくば市エリア ひとり暮らしガイドブック」(ジェイ・エス・ピーグループ UniLifeつくば店発行)の表紙になっている。年間で約5000部発行される。 優秀賞には同大4年の菊地祥真さんの作品が選ばれた。同大向けの冊子「日本国際学園大学・2025年度春入居のご案内」(同)の表紙となり、同大の受験生や来校者らに配布される予定だ。 学内コンペは、学生の作品を磨く力を伸ばし活躍の場を与えることを目的に、各エリア版の学生下宿年鑑「ひとり暮らしガイドブック」を各地で発行しているジェイ・エス・ビーグループの協賛で、昨年から実施している。今年の学内コンペには教育の一環として学生4人が応募した。 最優秀賞の矢治さんは「自分の部屋に似たイメージでデザインした。学生という立場から、自分の部屋の雰囲気を『本』の中に表現するというコンセプトで挑戦した。気合を入れて作った作品なので、評価をいただけて本当にうれしい」と喜びを語った。 矢治さんは山梨県甲府市出身、卒業後は都内の会社に就職が決まっている。今後は「イラストだけでなく、動画クリエーターにも挑戦し、総合クリエーターとして生きていけたらいい」と語る。 優秀賞の菊地さんは「自分の理想の一人暮らしの部屋を、設計図のように表現した。好きな色合いや木目調の素材感を取り入れたことが、評価されたポイントだと思う。遊び心が隠されてあるので探してみてほしい」とコメントする。 菊地さんは千葉県柏市出身、つくば市内の会社に就職予定で「会社に入ってからは総合的なデザイナーとしての役割があったり、ドローンを使った撮影などもやっていくことになっている。自分のやりたいことをやっていけたら」と話す。 主催者は「昨年よりデザインのクオリティーがより高くなっていて感心した。賞の選定は、どれも素晴らしく僅差の結果となった。来年も開催するので、さらに多くの素晴らしい作品が集まることを楽しみにしている」と講評する。 同大企画部広報課の原沙織さんは「2人のデザインは特に優秀で、教員からも評価をもらっている、2人は今年8月にタペストリーコンペティション(8月2日付)にも選ばれており、今後の活躍に期待したい」と述べる。(榎田智司)

クリスマス坊や《短いおはなし》34

【ノベル・伊東葎花】 子どもたちが巣立つと、クリスマスは普通の日になる。ケーキも買わないし、ごちそうも作らない。ツリーも飾らなければ、プレゼントを用意することもない。夫婦2人で、鍋でもつついて終わり。そう、あの子が来るまでは。 あるクリスマスの夜、その子はひょっこりやって来た。まるで最初からそこにいたように、ちょこんと椅子に座っていた。とても小さな男の子。絵本に出てくる小人のような男の子。 「あらあら、なんてかわいい坊やかしら」 私は急いで夫に電話をした。 「あなた、帰りに駅前でケーキを買ってきてちょうだい。かわいいお客様なの」 子どもたちが小さかったころを思い出して、チキンライスを作り、てっぺんに折り紙で作った旗を立てた。小さな坊やに出してあげると、目を輝かせてきれいにたいらげた。イチゴがたくさん載ったケーキを片手に帰って来た夫は、坊やを見て頬を緩めた。 「かわいいなあ」 ケーキを切り分けると、小さな手で上手にフォークを使って食べた。満足そうな笑顔を残して、坊やはいつの間にか消えていた。 クリスマス坊やは、毎年やって来た。どこから来るのか分からない。だけどそんなことはどうでもいい。イブの夜、私たちは坊やを待ちわびて、ケーキを買ってごちそうを作る。去年のプレゼントは、毛糸で編んだ小さな帽子。その前は手袋とポシェット。坊やは大事そうにそれを持って帰り、次の年にはちゃんと身に着けて来た。 そして今年もクリスマスがやってきた。プレゼントは赤い小さなマフラー。水色の箱にリボンをかけてテーブルの上に置いておく。もうすぐ来ると思うと、そわそわした。 しかしその日、クリスマス坊やは来なかった。 「私の手料理に飽きちゃったのかしら」 「いや、僕がいつも同じケーキを買うからだ」 夫も私もひどくがっかりした。 「まあ、せっかくのイブだ。シャンパンでも開けようじゃないか」 「あら、珍しい。日本酒しか飲まないあなたが」 夫がシャンパンを買ってくるなんて初めてのことだ。ふたの開け方がわからなくて、ふたりであれこれ言い合ううちに、ポンと跳ねたふたが天井に当たって落ちた。 「あらいやだ。あなた下手ねえ」 そう言って大笑いした。 「夫婦2人でも、充分楽しいな」と夫が言った。 「そうですねえ」 私たちは、グラスを合わせて乾杯をした。 「メリークリスマス」 クリスマス坊やは来なかったのではなく、私たちに見えなくなっただけだ。だって、テーブルに置いたプレゼントが、いつのまにかなくなっている。それはきっと、坊やがいなくても楽しく過ごせることが分かったから。坊やは「もう大丈夫だね」と笑いながら、来年は他の家に行くのかしら。 「ねえあなた、来年はプレゼント交換でもしましょうか」 「いいね」 (作家)