【相澤冬樹】サイエンスアイデアコンテスト「つくばScience Edge(サイエンスエッジ)」(同2019実行委員会主催)が22、23日、つくば国際会議場(つくば市竹園)で開かれ、国内の中高生に加えアジア各国の参加者らが、科学クラブなどで学んだ研究アイデアや成果を競った。審査の結果、メーン表彰の一つ、創意指向賞に、つくば市の小澤一毅さん(茗渓学園5年=高校2年)が選ばれた。
コンテストは2010年3月に始まり、ことしで9回目の開催。書類選考を経て選抜された8グループ(個人含む)が口頭発表するアイデアコンテストをはじめ、普段の研究活動のポスター発表、英語によるポスター発表の3つの部門で争われた。今回は国内81校、海外12校が参加、2日間で延べ1600人を超す大会史上最多の規模となった。ポスター発表には英語56、日本語248のグループからの発表があった。
メーンの口頭発表は23日午前中行われ、8研究グループの代表が国際会議場大ホールの壇上に立ち、プレゼンテーションの後、審査員のベテラン研究者と議論するスタイルで行われた。始祖鳥はどのように飛んだかを模型製作して考察したり、全編英語で学会風発表に臨んだ高校生もいた。臆することない受け答えに、審査員も感心することしきりだった。

審査で、「線虫の紫外線学習の発見と神経メカニズムの解明~イソアミルアルコール学習との比較」を発表した小澤さんが創意指向賞を、「50年後の熊本は…。珪藻・花粉分析からの海水準変動」を発表した山下鮎人さん(熊本県立天草高)が探求指向賞を、「エンドファイトで農業革命!ソバ栽培における施肥剤削減技術の開発」を発表した笹原悠馨さん(山形県立村山産業高)が未来指向賞をそれぞれ獲得した。
小澤さんの研究は、害をなす紫外線を線虫が避ける行動の学習について調べ、その神経回路を解明したというもので、インスリン、グルタミン酸が関わっている経路であることから、人間の学習能力の向上に寄与できる可能性があるとした。講評で審査委員長代行の西村暹(すすむ)筑波大学生命科学動物資源センター客員教授が「このまま研究を進めれば国際誌に論文が載るレベル。評決は全会一致だった」と評価するレベルだった。
小澤さんは学校内外で研究を発表しており、受賞歴も多いそうだが、今回は「素直にうれしい。この先は学校ではできないレーザーを使った研究の方向に進んでいきたい」と目を輝かせた。3賞の代表は7月26日からシンガポールで始まる「グローバル・リンク」に派遣される。