水曜日, 3月 4, 2026
ホームつくば【シルバー団地の挑戦】12 若い世代の参加が鍵 自治会存続に向け住民アンケート

【シルバー団地の挑戦】12 若い世代の参加が鍵 自治会存続に向け住民アンケート

【橋立多美】超高齢化社会の今、高度成長期に建てられた住宅団地や大型の分譲マンションの住民が一斉に老い、自治会が岐路に立たされている。高齢化による活力の低下や加入者の減少、活動をけん引する役員の担い手と後継者不足などで継続が難しくなり、解散した自治会もある。また独り暮らし高齢者が増えたことで安否確認や空き家問題など、自治会は新たな課題に応じた活動に迫られている。

入居開始から40年、つくば市茎崎地区の森の里自治会は住民の2人に1人が高齢者という深刻な高齢化に直面している。昨年6月には「高齢化に伴う自治会運営等に関する検討委員会」を設置して打開策を探ることにした。委員は11人で構成され、佐藤文信さん(68)が委員長に就いた。

検討課題の解決には住民のニーズを知ることからと11月に会員全世帯(1067世帯)を対象にアンケート調査を実施した。調査は選択方式で回答する13の設問のほか、自由に意見を記載する欄を設けた。463世帯(43・4%)から回答を得て集計と分析を行い、年頭に「答申及び意見書」を自治会に提出。このほど同文書が住民に公表された。

文書は自治会運営の維持について、冒頭で街区委員(町内会では班長に相当)対策を揚げている。輪番制の街区委員が各部会に属する一方で、担当街区の会費や寄付金集めなどの役割まで担っているが、高齢で負担が増していることから軽減を提案。軽減されれば脱会の防止策にもなると記述する。同じように役員も役割の見直しと人員の削減を求めている。その他、体力を必要とする夏まつりの準備作業に外部組織を活用する案や、自治会活動を側面から支える自主的な住民組織「コミュニティー委員会」の検討などが盛り込まれた。

世代間を切れ目なくつなぐ活動を

委員たちの意見を集約した最終章の「課題の解決に向けて」では、高齢化対策の特効薬はないとしつつ、子育て中の若い世代を呼び込むことが自治会活性化の鍵を握ると述べる。時間はかかるが、空き家のリノベーションや空き地を利活用して子育て環境を整えることで、若い世代の入居を促そうとするものだ。

さらに「高齢者向けのイベントや事業が多い。子育て世代にも目を向けて」の意見が多く寄せられたこともあり、生活に密着した防災訓練など家族で参加できるイベントや活動の実行を提言。世代間を切れ目なくつなぐことで、住民間の交流と自治会本来の助け合いが生まれるとした上で、「高齢化対策はこの辺りからスタートしてはどうか」と結ばれている。

森の里自治会は3月24日に定期総会を開く。次年度自治会長に立候補して無投票当選が決まった現自治会長の倉本茂樹さん(76)は「2019年度の活動及び予算は、答申の中から実行に移せるものを(優先したい)と考えている。総会で会員の皆さんの理解を得たい」と話す。

調査をまとめた佐藤文信さんの話 意見書で触れたが、自治会の存続には若い世代との融合が欠かせないと思う。そのための仕掛けが重要で、ITを使いこなす若手に自治会の情報発信を任せるなど、時代に即した活動を展開することで人材の幅も広がる。また、多様化する住民の要望に応えるには女性たちの行動力がモノをいう。だが回答者が世帯主に偏り、潜在している女性たちの意見を拾い上げることができなかった。手だてを考えるべきだった。

➡【シルバー団地の挑戦】の過去記事はこちら

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

半世紀の集大成 光を描く水彩画家 中野瑞枝さん回顧展 つくば美術館

土浦市在住の水彩画家、中野瑞枝さんの回顧展が3日、つくば市吾妻の県つくば美術館で始まった。画家として歩んだ50年余りの集大成として、過去25年間に描いた作品を中心に180点余りを展示している。 北海道や東北の農村、ドイツやスイスの風景から、茨城県内の身近な自然まで。一貫して追い求めてきたのは光だ。「光はどこにでもある。光が全ての事物を美しく見せてくれる。なるべく身近なものを描いていきたい」と語る。 回顧展は、以前にも開催を考えたことがあったが、「まだ早い」と踏みとどまった。だが体の衰えと進行性の病気が重なり、「今やらないともうできない」と決断した。8日まで。 「白」に命を宿す 中野さんの描く光は、水彩紙の白そのものだ。「水彩画の白は、色を乗せない。周囲に塗り重ねた色が、白を浮かび上がらせる」という。描きたい光をあえて描かずに、周辺の影や背景を塗り重ねることでモチーフを際立たせる、透明水彩の技法「ネガティブペインティング」を駆使する。 「あの木を見てください」と中野さんが指差す絵には、斜めから射す陽光に輪郭が照らされる3本の白樺の木がある。幹の光る部分を紙のどこに置くか、描き始めたら動かすことはできない。「塗ったら白は終わり。どこに光を残すか、描き始める前に決めなければいけない。描いてしまったら、波も雲もピカッと光らない」。緊張感の中で、光に命を宿していく。 会場入り口正面に置かれた作品「帰り道」は、山形県西村山郡の岩根沢をモデルにした風景画だ。刈り取りを終えた田んぼに沿う小道が画面の奥へと緩やかに伸び、柔らかい穂をつけたススキが土手を覆う。夕日に染まる雲が一面を赤く包む。車移動を重ねながら「心に響く光」を求めて旅した北海道・東北の景色や、スイスやドイツで出合った風景も並ぶ。 一方で、暮らしに近い場所にある風景にも眼を向ける。豊かな緑に囲まれる湿地と森の奥にのぞく階段、広い敷地に咲き誇る桜の木々は、つくば市の自然公園「高崎自然の森」だ。「桜なんて、以前は描く気はなかった。でも教室を始めて生徒たちと行ってみると、やっぱりきれいで、この世界がやっぱりすごくきれいに見えるんです」と笑みを浮かべる。ほかにも、つくばみらい市の小貝川沿いにある「福岡堰」、牛久市岡見町の「上池親水公園せせらぎの里」など、地域住民に馴染み深い場所の絵が並ぶ。 けがが開いた絵への扉 東京 伊豆大島で生まれた中野さんは、幼少期から自然に親しみ、高校時代はアルピニストを夢見た。「リュックの中にいろんなものを詰めて、お弁当を入れればパッと山へ行けるようにしていた。明日学校で試験だと言っても山へ行っちゃう、そんな人間だった」。そんな高校時代にアキレス腱の断裂を経験、さらに治療中の感染症が重なり、登山を断念することになった。「山登りしたかった子がそうなったんだから、人生絶望状態でした」と振り返る。 大学卒業後、20代半ばに「元々関心があった」絵画を始めた。芸大を目指す高校生たちとともに美術学校で腕を磨き、「やり始めたらすごく面白かった。一度も描くのが嫌だと思ったことはない」。 わが子が幼い頃は、1日1万枚を目指して毎日子どもを描いていた。1990年に初めて開いた展覧会を30年以上に渡り毎年開催し続けてきた。 「お裾分けできれば」 けがによって限られた選択肢の中で手にしたのが「絵を描くこと」だった。しかし、いつの間にか絵のない生活はありえないほどに人生そのものとなっていた。「絵を描くことで私はプレゼントをいっぱいもらった。絵そのものも頂き物、人との出会いもそう」 「(病により)1週間前にできたことが今日できないこともある。でも、そう生きている人は山ほどいる。老いや病は誰もが通る道。かわいそうだという見方はすごく嫌なこと。そこにフォーカスするより、私が絵を通して頂いてきたものをお裾分けできればいい。そんな思い」と静かに話す。 16年前、牛久市に転居したのを機に始めた絵画教室は、土浦に引越した現在も、つくば市内で月2回続けており、現在約10人の生徒が学ぶ。 「自分が培ってきた技術や、いろいろなものをできるだけ人に伝えていきたいと思うし、絵を通して人と関わることによって、与えたり与えられたりすればいいと思っている」と話し、「高校時代、足のけがで山に登れなくなったのは、今は本当に良かったと思っている。あのまま突き進んでいたら、雪山で命の保証はなかった。けがで命拾いをして、絵を描き始めた」。時間はかかったが、そう思えるようになったと微笑んだ。(柴田大輔) ◆「中野瑞枝水彩画回顧展」は、つくば市吾妻2-8 県つくば美術館で3月3日(火)~8日(日)まで開催。開館時間は午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分、最終日は午後3時まで)。入場無料。詳しくは県つくば美術館ホームページ内の展示会情報へ。

「普通」だけに頼る危うさ《続・気軽にSOS》170

【コラム・浅井和幸】寒い日に寒いと言う。普通ですね。暑い日に暑いと言う。普通ですね。嫌なことを忘れたいと思う。普通ですね。好ましくない状況を解決したい、好ましい状況にしたいと考える。やっぱり普通ですね。 寒い日や暑い日にエアコンをつけて快適な室温にする。解決できますね。室温が低いから寒いと感じる。間違っていません。だから、エアコンで室温を上げれば解決する。外気が低いとか冬だからとか文句を言っていても、暖かくはなりません。文句を言えば、誰かがエアコンをつけてくれるかもしれませんが…。 寒い時に体が震えますね。あれは筋肉を震わせて体温を上げる反射だそうです。寒い日に運動をすれば体が温まり、寒いと感じないどころか、暑いと感じることもあるでしょう。寒いと感じるのは、体が冷えていることの方が本質に近いかもしれません。 部屋にいる状況で、外気が寒くても部屋が暖かければ寒いと感じない。部屋にいる状況で、部屋が寒くても体温が高ければ寒いと感じない。どちらも正しく普通だと思います。寒さを解決するには、エアコンをつけてもよいし、運動をしてもよいし…、他にもたくさんの解決法がありそうです。 嫌なことを忘れる方法 さて、嫌なことを忘れるにはどうすればよいでしょう。人には、忘れようと意識して忘れるという機能はないそうです。嫌な奴や出来事を忘れようと意識するほど、長い時間考えるほど、その意識か強く記憶に刻まれ、嫌な気持ちは大きくなり、よろしくない状況が起きそうです。 嫌なことは忘れようとすると、逆に嫌な気分が強くなることもあります。普通ということがいつも正しく、よいものではなさそうです。嫌なことを忘れる、いくつか方法がありますので、いくつか挙げておきます。これらがあなたの「新しい普通」になることを願いながら、詳しくは、機会に取り上げたいと思います。 (1) 嫌なことが思い浮かんでも、そのまま放っておき、別のことを行う。 (2) 嫌なことに少し近づき、思ったよりも嫌なことが起こらない体験をする。 (3) 身体的なリラックス方法を試してみて、呼吸をゆっくり行ってみる。 (4) 嫌なことを味方と思える人と共有して、安心できる時間や空間をつくる。 (5) 嫌なことを乗り越える対応策に悩み、計画を立て実行する。 (精神保健福祉士)

電子看板のガイドラインを策定 土浦市 県内初 光・動き・音に指針

良好な景観と交通安全確保へ 街中で、LEDビジョンなどを用いて広告などを流す電子看板「デジタルサイネージ」の設置件数が増加する中、良好な景観を維持し交通安全を確保しようと、土浦市は2日、屋外などのデジタルサイネージの表示に関するガイドラインを県内で初めて策定した。 デジタルサイネージに特有の光のまぶしさ、映像の動き、音の大きさなどについての指針を示すもので、市内を、にぎわいを創出するエリア、自然と歴史のあるエリアなど4つに分け、エリアごとにそれぞれの指針を示している。デジタルサイネージは、人の視線や注意を特に引きつけるなどの特性があることから、景観維持のほか、ドライバーや歩行者の不注意による交通事故を誘発するのを防ぐことが目的。 具体的には ①夜間の光の明るさは、原則として1平方メートルあたり400カンデラ以下(スマートフォンを暗闇で光らせたくらい)とする ②光が夜空に拡散しないようひさしなどを付ける ③色や模様は、うずまき模様や細かい縞模様などは見る人に錯覚などを引き起こすことがあり好ましくない ④動きは、極端な点滅、高速で動く、クイズ形式などは、ドライバーに幻惑を誘発し交通事故を誘発する恐れがあるため避ける ⑤設置位置は信号機と重ならないようにする ⑥霞ケ浦や河川の水面に反射しないよう配慮する ⑦音は、駅前などにぎわいを創出するエリア以外は音を出さないーなど。 市内を駅前などにぎわいを創出するエリア、幹線道路沿いや工業団地などのエリア、霞ケ浦湖畔や筑波山麓エリア、落ち着きのある旧城下町エリアの4つに分け、それぞれエリアに応じた指針を示している。旧城下町エリアについては屋外広告物条例で設置そのものを禁止している。 これまで同市は市景観計画や屋外広告物条例で屋外広告物の大きさや設置位置などを規制してきた。現在、市内には17基のデジタルサイネージが設置されており、これまで市民から「まぶし過ぎる」などの意見が計5件、市に寄せられ、市はその都度、設置事業者に連絡などしてきた。今回のガイドラン策定を機に、17基の事業者のほか、新たに設置を計画している事業者にも周知を図っていきたいとしている。ただし強制力や罰則はない。 同様のガイドラインは全国で、さいたま市、千葉県柏市、名古屋市、大阪市などがすでに策定している。同市の特徴として、夜間の光の明るさについて、近くに別の光源などがある場合は一部、明るさの基準を緩和している。大学の研究結果などを取り入れた緩和で、全国初という。

「うつろ舟」享和3年 常陸国に漂着《ふるほんや見聞記》14

【コラム・岡田富朗】皇居向かいに位置する国立公文書館では2月28日から3月13日までの期間、所蔵されている『弘賢随筆』(ひろかたずいひつ)の原本から、「うつろ舟」が描かれている箇所(上の写真)が展示されています。「うつろ舟」の形は現代の人が見ると空飛ぶ円盤のようにも見えますが、江戸時代後期の1803(享和3)年2月22日、常陸国に漂着したとされる舟です。 漂着したのは、現在の茨城県神栖市波崎舎利浜(しゃりはま)ではないかと言われています。『弘賢随筆』は、幕臣で蔵書家としても知られる屋代弘賢(やしろひろかた、1758~1841)の手もとにあった雑稿を取りまとめ、不思議な出来事や変わった噂(うわさ)などが数多く収録されています。 55年前設置された国立公文書館 国立公文書館は、「公文書等の保存、閲覧・展示などへの利用、公文書の調査研究を行う機関」として、1971(昭和46)年7月に設置されました。今日では、公文書館は図書館・博物館とともに、文化施設を支える三本の柱の一つとなっています。 館内入口の展示スペースでは、常設展示に加え、1~2カ月ごとにテーマを変えた企画展や特別展が実施されています。常設展示では複製資料を展示していますが、期間限定で貴重な資料の原本が並ぶこともあります。 国立公文書館の設置に際し、その重要な一部門となった内閣文庫は、1873(明治6)年に太政官に置かれた図書掛に始まり、1885(同18)年の内閣制度創始と同時に内閣文庫となりました。以来、和漢の古典籍・古文書を所蔵する我が国屈指の専門図書館として、内外の研究者に親しまれてきました。 所蔵品のうち、日本の資料で最も古いものとしては、東大寺文書に含まれる908(延喜8)年の文書があるそうです。 1998(平成10)年7月には、筑波研究学園都市内に、つくば分館を設置し、書庫などの拡充を行いました。現在、175万冊が所蔵されており、うち50万冊が内閣文庫、125万冊が行政機関などから移管された公文書です。 3~5月に昭和100年記念特別展 データ化が進んでいるものの、毎年行政機関から4~5万冊の公文書を受け入れており、永久保存していく資料であるため、蔵書は増加の一途をたどっているそうです。そのため、既存施設の書庫が近年中に満架となる見込みであることを踏まえ、2029(令和11)年度末には、新館の開館を予定しています。新たな国立公文書館は、新たな憲政記念館と合築で整備され、展示スペースも広くなるそうです。 「公文書は保存するだけではなく、利用していただくことにも意味があるので、より多くの方に公文書館を訪れていただきたい」と、総務課広報の新井さんは話してくれました。「うつろ舟」展示終了後、3月20日~5月24日までは、昭和100年記念特別展「昭和の日本人とフロンティア―南極・深海・宇宙への挑戦―」が開催されます。(ブックセンター・キャンパス店主)