土曜日, 2月 21, 2026
ホームつくば【シルバー団地の挑戦】11 小学校に地域交流室ができた!(下) 住民の奉仕活動が結実

【シルバー団地の挑戦】11 小学校に地域交流室ができた!(下) 住民の奉仕活動が結実

【橋立多美】2013年4月、小池義寿校長が、つくば市立茎崎第三小学校に着任して間もなく、児童数の減少で活気を失い草木が生い茂っていたことにぼうぜんとした。30年前、39学級が各々の級の花壇を持っていたころの環境を取り戻したいと、小池校長の奮闘が始まった。

市教委に環境整備を申し出たが「順番があるので時間がかかる」と言われた。殺風景で季節感のない学校環境では児童に情緒は育たない。「これは俺の仕事」と草刈り鎌と耕運機で中庭の整地に取りかかった。

すると保護者の中にかつての教え子たちがいて「先生がやるなら俺たちも」と声を挙げ、孤軍奮闘を見た地域住民の助っ人も現れた。校舎裏手にはヤブカラシが繁茂した中に古い備品が放置されていた。助っ人たちが不要品を片付け、根気強く整地して駐車場に生まれ変わるなど、彼らの力で中庭を含めて学校はきれいになった。

同校の玄関に飾られていた「南極の石」が取り持つ縁もあった。地域に目を配ると、倉本茂樹さん(76)が12年に森の里自治会長に就き、団地横を流れる東谷田川の堤防に草花を植栽する「堤防美化プロジェクト」と、地域ぐるみの自警団「かわせみパトロール隊」を組織。同隊は同小に通学する児童の見守り活動を行っていることを知った。

「すぐに倉本会長は南極の石を寄贈した人だと分かって親近感を覚え、裏付けもないのにこの人となら協働できると思った」と小池校長は振り返る。学校周辺がきれいになり、次は花壇と思っていた小池校長は倉本さんと連絡を取り、自治会による学校の花壇づくりが始まった。

花壇への植栽に向けた苗の植え替え作業=同

3年後、小池校長と入れ替わりに黒澤美智子校長が着任すると、今度は、毎年文化の日に開催される「三小まつり」への協力依頼が自治会に舞い込んだ。地域住民の知識と経験を児童に伝えてほしいというもの。昨年は輪投げや紙飛行機といった昔遊びの伝承や、プラネタリウムの解説、将棋指導など9種目を住民が受け持って児童たちと世代間交流を楽しんだ。

「三小まつり」では地域住民が児童たちと将棋を指して指導した=同

個別に同小を支援する団地住民もいる。長谷川郁夫さん(73)は職員室に困っている箇所がないかと尋ねて修理から片付けまでをこなす。「日曜大工の簡単な作業だけど、時間の許す限り続けていきたい」と話してくれた。

愛着色あせず

開校時のにぎわいはないが、我が子が巣立った学校への愛着は色あせず、住民らは今も、未来を担う子どもたちの成長を支えようと、学校と連携して登下校の見守りや花壇づくり、学校行事支援などの活動を続けている。こうした地域住民の奉仕活動が結実したのが同小の地域交流室だ。

自治会長の倉本さんは「住民たちの活動が実を結び、鮏川校長の英断で地域交流室ができた。茎崎地区のサークル活動の拠点は茎崎交流センターだが登録団体が多く、2カ月毎の予約日には2時間前からセンター入り口に行列ができる。それだけに地域交流室の開設は有り難い」。また「自治会発行の森の里だよりで周知するなど、地域として全面的に交流室の運営に協力していく」と語った。

地域交流室は小学校の開校時間(平日の午前9時~午後4時)に開放され、現在は琴のほかダンス、詩吟、カラークラフトの4団体が利用している。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img

最近のコメント

最新記事

雪と氷とコハクチョウ《鳥撮り三昧》10

【コラム・海老原信一】今回の題は「雪と氷とコハクチョウ」ですが、北国に行けば普通に見られる光景です。県南地域ではどうでしょう。寒さが募る1~2月、時々雪が降り、公園の池や沼も結氷します。洞峰公園の沼でも、日陰になる場所の雪や氷が溶けることなく、厚さを増すことがあります。そんなときはカモたちの様子を楽しめます。 しかし、ゼロではありませんが、つくば市の洞峰公園の沼にハクチョウが飛来することはあまりありません。20数年前に数羽の飛来を確認できたのに、連続しての飛来がなかったのは残念です。 水戸市の大塚池や旧瓜連町の古徳沼は、ハクチョウの飛来地として知られています。土浦市の乙戸沼もハクチョウの飛来を楽しめる場所です。私の記憶では、主にコハクチョウでしたが、数羽で飛来したハクチョウが20~30羽に増え、多いときには90数羽にもなりました。 私が観察を始めてから数年、20羽前後で飛来していました。しかし、ここ数年は減っており、「気候温暖化」の影響かなと思っています。少なくなったものの、今でも12月末には飛来し、乙戸沼を散策する人たちは、2月中旬ぐらいまでハクチョウを楽しめます。 ところが、2025年12月末~26年1月初旬、その姿が見られませんでした。この原稿を書いている1月18日には飛来しているのか、分かりません。近日中に行ってみるつもりです。 降雪後の晴れて冷えた朝 乙戸沼でのことですが、「雪と氷とコハクチョウ」を経験できたことがあります。22年1月の雪が降った後の晴れて冷えた朝、水面は全面結氷。コハクチョウが数羽、岸近くの日が当たりそうな氷の上に身を伏せ、じっとしていました。 長い首を水中に差し込み、水底の水草の根などを食べる彼らにとって、氷が解けないことには食事ができません。人が与える食べ物を得るにしても、足元が氷では思うように動けません。身を守る上でも不利と思っているのでしょう。ひたすら氷解を待っていると、私は見ていました。 こういったコハクチョウの様子をうれしそうに見ている私を、彼らは「ひどい奴だ」と思っていたかもしれません。それでも「これからも来てほしい、楽しませてほしい」と、彼らの飛来を願っている私。そのために何ができるのかを考えながら、野鳥の観察を続けたいと思っています。(写真家) 追記:1月20日、11羽の乙戸沼飛来を確認し一安心。

つくば市平沢で林野火災

20日午後2時14分ごろ、つくば市平沢の山林で火災が発生、午後7時30分時点で鎮火しておらず、市消防本部と消防団が消火活動を継続している。 市消防本部によると、現場は社会福祉法人筑峯学園北側の山林で、消防本部と消防団がジェットシューター(背負式消火水のう)で消火活動を実施しているほか、県防災ヘリコプターが上空から放水を実施した。 20日午後7時30分時点で、消失面積や原因は不明。 現場付近に住宅などはない。筑峯学園の利用者らが一時避難したものの、現在は避難していないという。

高市首相に土浦のレンコンをお届け 安藤市長ら

土浦市は、安藤真理子市長らが17日、高市早苗首相を表敬訪問し、生産量日本一のレンコンとレンコンの加工品を届けたと発表した。レンコンと花火を全国にPRしようと、安藤市長のほか、JA水郷つくばの池田正組合長、土浦商工会議所の中川喜久治会頭、市議会の勝田達也議長らが首相官邸を訪れた。 市によると、安藤市長らが、レンコンは穴が空いていることから先の見通せる縁起物の食材であることを説明したところ、高市首相は「今後、地方自治体の事業者の予見可能性を高めるべく、予算の組み方をがらっと変える」などと話したという。 表敬訪問にあたり高市首相には、贈答用の箱入りレンコン4キロ、レンコンが入ったレトルトカレー、レンコンの粉末が入ったバームクーヘンとサブレ―、レンコンと牛すね肉の煮物のレトルトパック、薄くスライスしたレンコンを油で揚げたレンコンチップスを贈呈したほか、今年度のれんこんグランプリ(1月30日付)で市長賞を受賞した羽成純さんのハス田で採れたレンコンを使ったきんぴらと酢の物を試食してもらったという。 土浦市長が首相を表敬訪問したのは初めて。地元選出衆院議員の国光あやの外務副大臣がとりもったという。

サックス奏者らが開催 「土浦の音」を聞く体感イベント 23日 東光寺

市民がさまざまな音集める 土浦市民が製作した竹のランプを灯し、土浦産のそば殻などで染めたストールを装飾した東光寺(同市大手町)の本堂で、市民が集めた土浦のさまざまな音をスピーカーから聞く体験イベント「音と光の建築at東光寺」が23日夜、開催される。当日は住職の読経も加わり、本堂がライトアップされる。音、光、建物そのものが作品となり、全身で体感するアートイベントだ。 同市在住のサックス奏者、宇津木紘一さん(44)が代表を務める「つちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクト実行委員会」が主催し、つくば市在住の染色家で「futashiba(フタシバ)248」を営む関将史さん(36)、裕子さん(36)夫妻、東光寺住職の松井泰信さん(44)らがゲストとして関わる。同市の土浦協働のまちづくりファンドの助成金を得て開催する。 土浦の魅力再発見を イベントで流す音は、同プロジェクトが昨年10月に開催したワークショップ「土浦 サウンドピクニック」の参加者らが録音した。 宇津木さんは土浦で生まれ、土浦で育った音楽家。これまで、土浦全国花火競技大会に合わせて観光客を歓迎するウエルカムフェスティバルを開催するなど(24年10月29日付)、地元の魅力を発信する活動にも取り組んできた。 今回は、土浦の音を記録して、独自のアートを表現し体感してもらうことで「地元の魅力を再発見しよう」とプロジェクトを始めた。「土浦に住んでいても知らないことは意外とあると思うし、何気ない日常の音でも土浦にしかない音がある」と宇津木さんは語る。 関さん夫妻は、県内の農家から譲り受けた草木、規格外の農作物など本来は廃棄される素材から色を抽出して、染色作品を製作している。 今回のプロジェクトには、所属しているまちづくり団体「土浦界隈まちづくり研究会」(同市中央)の紹介で参加した。「土浦はかつて私たちが工房兼店舗を構えていた場所でもあり、現在も継続的に関わり続けている思い入れのある土地」だとし、「地元のものを生かし、新たな魅力の再発見につながる取り組みになるのであればと思い参加した」と話す。 湖岸を自転車で走り録音 音を集めるワークショップは昨年10月に開き、小学生親子10人が参加した。霞ケ浦湖岸を自転車で走り、自分たちの足音、湖の波音、葉のこすれ合う音、水車の音、野球を練習する音などを、数秒から数十秒、参加者がスマートフォンなどで録音した。さらに同日は、遊覧船にも乗船して霞ケ浦を航行する船の音なども録音した。何を何秒録音するかなどの指定せず、参加者に任せた。集まった音源は50本以上になり、宇津木さんが編集して1本に繋げた。 イベントでは、東光寺本堂にスピーカーを設置して流す。スピーカーは立体的に音が聞こえるよう左右に向かい合せて置く。宇津木さんは「本堂の場所によって音の聞こえ方が異なる。当日は、席を決めずいろいろな場所に自由に移動して土浦の音を楽しんでほしい」という。途中、松井住職の読経が加わる時間帯もあり「読経と合わせて土浦の音を聞くことも、新しい体験だ」と話す。 地元の材料で染めたい 会場に飾る竹のライトと染め物のストールは昨年12月開催したワークショップで、参加者約30人が作った。竹のライトは「にれ工房」(つくば市下平塚)の関係者が指導し、廃材となった竹を切ったりドリルなどで穴を開けて作った。中にLEDライトを入れることで穴から光がこぼれる仕組みだ。 ストールの染色は関さん夫妻が指導した。「地元土浦の材料を使って染めたい」と、小町の館(同市小野)が販売する常陸秋そばのそば殻を譲ってもらったという。さらに土浦地方卸市場(同市卸町)で出た廃棄物となるタマネギの皮も譲り受け、綿のストールを染色した。 関さん夫妻は「当日はワークショップの参加者にも来てもらう予定で、自分で染めたストールを持参してもらう。来ないとそれだけ装飾は寂しくなる。どれだけ参加者が一緒に盛り上げてくれるかという試みもユニーク」と話す。 東光寺の本堂を会場に選んだのは「非日常を味わえるから」と宇津木さん。住職の松井さんと宇津木さんは中学の同級生で、野球部のピッチャーとキャッチャーだった。松井さんは「東光寺は市民に開かれたお寺として落語や演劇などにも使用してもらっているし、こういったイベントは大変うれしい」とし「この機会にお寺を身近に感じてもらえたら」と話す。「夜のイベントもライトアップも初めてなので、いつもと違う表情のお寺が見えるのではないかと思う」と語る。 観客が当事者に 宇津木さんは「コンサートや展示というと、通常多くは演者と観客が分かれている。しかし今回は観客がイベントの当事者になるというのがテーマ」とし「録音に参加した人は自分が録音した音かな?と聞き入る。録音してない人も、この水音は土浦のどこで録音した音だろう?と能動的に聞く。これらも体験のひとつだ」と話す。「今回のイベントが、積極的に物事にフォーカスを当てることにつながればいい。結果的に市民が自分から率先して動くことで土浦での文化活動が広がるのではないか、それが根付いていくきっかけになれば」と話す。(伊藤悦子) ◆「音と光の建築」は23日(月・祝)午後7時から7時30分まで、土浦市大手町3-14、東光寺で開催。参加費無料。定員50人程度。事前予約が必要。問い合わせ・予約はメール(contact@bbmusic.tokyo)で。詳しくはつちうらサウンド・アーカイブ・プロジェクトのウェブサイトへ。