【橋立多美】2013年4月、小池義寿校長が、つくば市立茎崎第三小学校に着任して間もなく、児童数の減少で活気を失い草木が生い茂っていたことにぼうぜんとした。30年前、39学級が各々の級の花壇を持っていたころの環境を取り戻したいと、小池校長の奮闘が始まった。
市教委に環境整備を申し出たが「順番があるので時間がかかる」と言われた。殺風景で季節感のない学校環境では児童に情緒は育たない。「これは俺の仕事」と草刈り鎌と耕運機で中庭の整地に取りかかった。
すると保護者の中にかつての教え子たちがいて「先生がやるなら俺たちも」と声を挙げ、孤軍奮闘を見た地域住民の助っ人も現れた。校舎裏手にはヤブカラシが繁茂した中に古い備品が放置されていた。助っ人たちが不要品を片付け、根気強く整地して駐車場に生まれ変わるなど、彼らの力で中庭を含めて学校はきれいになった。
同校の玄関に飾られていた「南極の石」が取り持つ縁もあった。地域に目を配ると、倉本茂樹さん(76)が12年に森の里自治会長に就き、団地横を流れる東谷田川の堤防に草花を植栽する「堤防美化プロジェクト」と、地域ぐるみの自警団「かわせみパトロール隊」を組織。同隊は同小に通学する児童の見守り活動を行っていることを知った。
「すぐに倉本会長は南極の石を寄贈した人だと分かって親近感を覚え、裏付けもないのにこの人となら協働できると思った」と小池校長は振り返る。学校周辺がきれいになり、次は花壇と思っていた小池校長は倉本さんと連絡を取り、自治会による学校の花壇づくりが始まった。

3年後、小池校長と入れ替わりに黒澤美智子校長が着任すると、今度は、毎年文化の日に開催される「三小まつり」への協力依頼が自治会に舞い込んだ。地域住民の知識と経験を児童に伝えてほしいというもの。昨年は輪投げや紙飛行機といった昔遊びの伝承や、プラネタリウムの解説、将棋指導など9種目を住民が受け持って児童たちと世代間交流を楽しんだ。

個別に同小を支援する団地住民もいる。長谷川郁夫さん(73)は職員室に困っている箇所がないかと尋ねて修理から片付けまでをこなす。「日曜大工の簡単な作業だけど、時間の許す限り続けていきたい」と話してくれた。
愛着色あせず
開校時のにぎわいはないが、我が子が巣立った学校への愛着は色あせず、住民らは今も、未来を担う子どもたちの成長を支えようと、学校と連携して登下校の見守りや花壇づくり、学校行事支援などの活動を続けている。こうした地域住民の奉仕活動が結実したのが同小の地域交流室だ。
自治会長の倉本さんは「住民たちの活動が実を結び、鮏川校長の英断で地域交流室ができた。茎崎地区のサークル活動の拠点は茎崎交流センターだが登録団体が多く、2カ月毎の予約日には2時間前からセンター入り口に行列ができる。それだけに地域交流室の開設は有り難い」。また「自治会発行の森の里だよりで周知するなど、地域として全面的に交流室の運営に協力していく」と語った。
地域交流室は小学校の開校時間(平日の午前9時~午後4時)に開放され、現在は琴のほかダンス、詩吟、カラークラフトの4団体が利用している。