【橋立多美】つくば市茎崎地区の住宅団地、森の里では、スーパー・商店撤退後、主婦が始めた定期市がスタートから6年目に存続の危機を迎えた。
発起人の主婦3人のうち2人が引退。また魚屋の店主が高齢のために出店を取りやめた。発起人で1人残った田辺くるみさん(69)が踏ん張り、定期市を続けた。
引退した1人は夫婦で定期市運営に取り組み、夫君がフリーマーケットの商品を移動したり、コーヒーショップの中心的役割を担っていた。この夫君が病にかかって介護のために引退。もう1人は元々足が悪く、毎週の活動で足への負担が大きくなったことが原因で引退した。
田辺さんは「軌道に乗っていたしボランティアもいて続けることにしましたが、二本の柱を失い、フリマとコーヒーショップをやめるなど、規模を縮小せざるを得ませんでした」と淡々と話してくれた。
2013年3月には同市から委託を受けた食品スーパーカスミの移動販売が始まり、不便な生活解消という役目を終えたと解散することになった。
しかし、出店者側から「利用客から続けてほしいという要望があってやめられない」の声が挙がり、「里の市」オープンから12年経った14年春、出店者の希望で定期市は継続されることになった。
名称を「土曜朝市」と改め、運営は主婦たちから出店者に移った。開催日時は里の市と変わらず毎週土曜の午前10時から。里の市の発起人だった田辺くるみさんと松浦悦子さん(70)、松元栄子さん(同)がボランティアで世話係を務めている。
待ってくれている客がいる間は続ける
朝市に並ぶのは肉と和菓子、野菜の3品目。1320平方㍍の畑を借りて野菜と落花生を育てている団地住民の土屋達夫さん(66)は「にぎわいの一つになればと思って出店している。売上500円の日もあるが種と肥料代の足しになればいい」。
定期市のスタート時点から出店している土浦市の精肉店店主の村山勉さん(73)は「客は少なくなって今は多くて15人ほど。もうけを考えたらやっていけない。待っていている人とのつながりは切れないし、客が一人でもいるうちは続ける」と話す。暮れには和菓子店が正月用の餅を、精肉店がハムやすき焼き用牛肉などを販売するという。(つづく)