金曜日, 1月 24, 2025
ホームコラム今度は関鉄竜ケ崎線に乗ってみた 《茨城鉄道物語》13

今度は関鉄竜ケ崎線に乗ってみた 《茨城鉄道物語》13

【コラム・塚本一也】県南地域でかねてから気になる鉄道がありました。それは、関東鉄道の竜ケ崎線です。常磐線の龍ケ崎市駅(竜ケ崎線の名称は佐貫駅)で接続し、総延長4.5キロ、駅数3駅のローカル線です。一体どんな経緯で開業し、どんな人たちが利用しているのか、大変興味がありました。竜ケ崎線は茨城県最古の私鉄であり、1900年に開業し、120周年を迎えました。

そもそも常磐線が開通した1896年時には、竜ケ崎村は仙台伊達藩の領地であった歴史などから、すでに市街地として発展していました。それゆえに、常磐炭鉱の石炭を運ぶ常磐線は、地元との調整やその線形などを考慮し、今の龍ケ崎市の中心部を外れたところを通過することになりました。

しかし、鉄道輸送の必要性を感じた地元有志らの尽力により、竜ケ崎線は4年という短期間で、当時としては珍しい客車を主体とした路線として開通しました。その後、稲敷から鹿島方面への延伸計画もあったそうですが、世界恐慌により、とん挫したということです。

このように長い歴史を持つ竜ケ崎線ではありますが、近年は利用者の減少が課題であり、特に昨年は、コロナの影響により旅客収入の減収に一層拍車がかかったそうです。

ほのぼのとした空気が漂うローカル線

休日の昼、体験乗車をしてきました。交通系のICカードが使えたのは、さすが首都圏を走る鉄道と感じましたが、トイレなどもきれいに整備されており、企業努力の跡がうかがえました。車両は1両編成で、10人ぐらいの乗客がいました。鉄道マニアらしい子供を連れた家族連れもおり、結構、注目されていることに感心しました。

中でも注目すべきは、車両のつり革に、龍ケ崎名物のコロッケがキーホルダーのように飾られていたことです。家族連れも珍しそうに写真を撮っていました。竜ケ崎線が地域に愛され、それに応えるかのように、地域の名産品とコラボしているのでしょうか。なかなか粋なことをするなと、感心してしまいました。

コロナによって、あらゆる旅客輸送事業が痛手を被っていますが、どこかほのぼのとした空気が漂うローカル線に、久しぶりに癒された感じがしました。(一級建築士)

竜ケ崎線のコロッケ手すり

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野口雨情没後80年 詩劇で生き方と作品を解く つくばの脚本家 冠木新市さん

25日、山水亭でコンサート 大正から昭和初期にかけて多数の童謡や民謡を作詞した茨城出身の詩人・野口雨情の没後80年と、雨情が作詞した「筑波節・筑波小唄」の誕生95周年を記念する公演「雨情からのメッセージIII 詩劇コンサート 空の真上のお天道さまへの旅」が25日、つくば市小野崎の料亭、つくば山水亭で開かれる。 主催するのは、つくば市や土浦市などを流れる桜川流域の歴史や文化を掘り起こし、アートイベントを開くつくば市の市民団体「スマイルアップ推進委員会」(冠木新市代表)。脚本家でもある冠木さん(73)が企画、演出する。2部制で、前半は雨情の歩みを調べてきた冠木さんによる講演、後半は、雨情が残した詩や歌を元にした詩劇コンサートが開かれる。旧筑波町や雨情の故郷の旧磯原町にちなんだ民謡や、青い目の人形、赤い靴などの童謡のほか、土浦小学校校歌、水戸歩兵第二連隊歌など全部で19曲が披露される。 2曲と出合う 「空の真上のお天道さま」ー 。1945年1月25日に他界した野口雨情の遺稿から見つかったのが、このフレーズを含む一編の詩だった。雨情の作品や人物に魅せられてきた冠木さんは、長年、曲をつけられずにいた詩に着目し、作曲家の宮田まゆみさんと協力して、2023年、曲をつけて発表した。 桜川流域に残る歴史や文化に注目する冠木さんは、地域に残る伝説や逸話を元に数々の舞台作品などを手掛けてきた。野口雨情との出会いは、かつて雨情が残した筑波にまつわる「筑波節」「筑波小唄」の2曲との出合いからだった。 歌の背景を知ろうと、旧筑波町で聞き込みをするも、手がかりはつかめない。地元の人も「そんな歌は知らない」という人ばかりだった。なんとか手がかりをつかもうとする中で知ったのが、筑波を歌う2曲が、元は一つの曲だったことだ。「雨情は、なぜ、そんなことをしたのだろう」。冠木さんは、疑問を解こうと、雨情が生きた歩みをさらに調べていく。その中で見えてきたのが、多数の童謡や民謡を手掛けてきた雨情が持つ、ミステリアスにも思える意外な人柄と、冠木さんが関心を持ち続ける桜川流域とのつながりだった。 隊歌を作った思いは 今回のイベントでは、雨情が生きた時代とその時作った作品ごとに5章に分けて、雨情の人生を作品を通じて表現する。歌に合わせて披露されるのは、日本舞踊を始め、スリランカ舞踊やストリートダンスに精通する踊り手による舞だ。 「軍歌は作らないと言っていたはずの雨情が、戦中にペリリュー島(パラオ諸島の一つ)で1万人以上の戦死者を出した『水戸歩兵第二連隊』の隊歌を作っていた。戦争に対する雨情の思いも今回の企画で解き明かしたいと思っている」と冠木さん。今回の企画では、茨城出身者が多く参加した水戸歩兵第二連隊の生き残りだった人物と、その遺志をついだ子どもたちが、この『詩劇コンサート』を開いたという設定で舞台は進行する。観客も、企画の参加者になるという設定だ。 「今が『新しい戦前』だという考えもある。しかし、戦後80年を迎えてこれからも『戦後』であり続けるためのあり方が、雨情の生き方を通じて感じ取れるのではと思っている。雨情の魅力を多くの方に知ってもらう機会になればと考えている」と話す。(柴田大輔) ◆「雨情からのメッセージIII 詩劇コンサート 空の真上のお天道さまへの旅」は、25日(土)午後1時30分から、つくば市小野崎254、料亭「つくば山水亭」万葉ホールで開催。入場料は一般5000円、高校生以下は1000円。予約制。申し込み、問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)へ。詳しくは、スマイルアップ推進委員会のホームページへ。