木曜日, 3月 20, 2025
プロモーション
ホームつくば「はれのひ」つくば店も閉鎖 「着物だけでも返して」母訴え 消費センターや警察に相談増える

「はれのひ」つくば店も閉鎖 「着物だけでも返して」母訴え 消費センターや警察に相談増える

【大志万容子】成人式の振り袖販売やレンタルなどを手がける「はれのひ」(本社・横浜市)が8日、突如連絡がとれなくなった問題で、つくば駅前の商業施設キュート(つくば市吾妻)にある同つくば店も8日から休業状態となっている。

9日、キュート2階にある同店は天井近くまで白いついたてで覆われ、店内が見えない状態になっていた。ついたてなどには「都合により休業致します」と書かれた紙が張られていた。店頭には、報道でトラブルを知った利用者が訪れ、商業施設を運営する筑波都市整備の職員が警備員と店頭に立ち、対応に追われていた。

長女(18)の来年の成人式に向け、昨年2月に振り袖一式を約36万円で購入した鉾田市在住の女性(38)は「買った着物だけでも返してほしい」と訴えた。

女性は昨年2月24日に家族で来店。「最初は軽い気持ちで見に来たが、半日がかりで5着ぐらい着物を着せてもらううちに娘が気に入った着物があった」。レンタルか購入か迷ったが「(兄と弟はいるが)女の子は1人だけだから」という夫の言葉が背中を押した。「取り置きはできない」と店側に言われ、同月27日までに振り袖や草履バック、写真撮影、当日着付けなど一式約36万円を支払った。

8日のLINE(ライン)のニュースを見て「まさか」と驚いた。そろそろ前撮り撮影をしようと考えていた矢先で、その際、振り袖などを引き渡してもらうことになっていたからだ。「つくば店は大丈夫だろうとHPを見たら休業になっていた」。今手元にあるのは、最初に店を訪問したときに持ち帰った草履、バッグ、髪飾り、着付けの小物(4万3800円相当)だけという。

女性のスマートフォンの中には、黒地にピンクの牡丹柄の振り袖を来た長女が、晴れやかな笑顔で写った写真がある。この後、夫とともに警察に相談に行くという女性は「(会社がどういう状態であっても)買ったのだから着物だけでも返してほしい」と辛い胸の内を訴えた。

筑波都市整備クレオスクエア運営部の須毛原伸夫部長によると、つくば市などで成人式が行われた7日は、同店で約60人の着付けの予約があったが、当日はスタッフの手が足りず、同都市整備の職員約10人が受け付けなどを手伝ったという。しかし午前中行われたつくば市の成人式に間に合わない人も出た。8日は、休業状態となった同店に30~40人がレンタルした着物を返却に来たが、預かる人がいないので、持ち帰ってもらったという。

9日午前もニュースで問題を知った客が店舗を訪れ、涙ぐむ姿も見られた。須毛原部長は「お客様にきちんと説明して安心させてあげたいが、直接の当事者ではないので、ストレートな解決方法を示せないのがもどかしい」と困惑する。

つくば市消費生活センターには、9日までに「前撮りした写真が届かない」など数多くの相談が寄せられている。現在、状況の把握に努めているといい「新しい情報が分かり次第、提供していきたい」という。同センターは電話029・861・1333。

つくば中央警察署にも8日に問題が発覚してから一気に相談の電話が寄せられてるといい、総合相談係で対応している。同署は電話029・851・0110。(同署の相談時間は月~金曜日の午前8時30分~午後5時15分)。

➡NEWSつくばが取材活動を継続するためには皆様のご支援が必要です。NEWSつくばの賛助会員になって活動を支援してください。詳しくはこちら

スポンサー
一誠商事
tlc
sekisho




spot_img
Advertisement
spot_img

最近のコメント

spot_img

最新記事

微生物で温室効果ガスに立ち向かう 茨城大 農学部中心に新研究組織 

4月1日立ち上げ 二酸化炭素やメタンなど温室効果ガスの排出量削減に役立つ微生物を探して農業に取り入れ、気候変動緩和や環境保全につなげようとする研究が4月1日、茨城大学(太田寛行学長)でスタートする。新たな研究組織「グリーンバイオテクノロジー研究センター(Gtech)」を立ち上げるもので、18日、準備委員長の小松崎将一農学部教授らが記者会見して概要を明らかにした。 同センターは総合気候変動科学の推進を掲げる。さらに農業生態系の保全技術の革新、産学官連携を通じた社会実装を目指しており、阿見町中央の農学部を中心に、理学部(水戸)、工学部(日立)にウイングを広げて編成される。 農学部がある阿見キャンパスには1999年に設置された遺伝子実験施設(GRC)があったが、四半世紀が経過し、遺伝子研究は新たなステージに移行したとの判断から、同施設を発展的解消し、Gtech設置に向かった。 研究体制は、①微生物を活用した農業や生態系における温室効果ガス低減に取り組む「農業・生態系保全ユニット」②微生物による物質循環機能のゲノム解析の解明に取り組む「微生物遺伝子情報解析ユニット」⓷これらの研究の社会実装を促進する「社会共創ユニット」-の3つのユニットで構成される。 環境再生型有機農業の成果ベースに 世界の二酸化炭素(CO₂)やメタン(CH₄)、一酸化二窒素(N₂O)などの温室効果ガス(GHG)排出量のうち「農業・林業・その他の土地利用」はおおむね4分の1を占めるとされる。日本の農業分野からのGHG排出は稲作によるメタン排出(約39%)が最多で、畑地からのN₂O排出(15.5%)も多くを占める。 地中でメタン生成や硝化、脱窒などの反応が起こっての排出のプロセスだが、肥料を投入せず地中の微生物の働きに任せた有機農法を採用すると土壌の炭素貯留能力が向上し、土壌に健全性をもたらすことが分かっている。同農学部では不耕起栽培やカバークロップの活用などによる環境再生型有機農業で成果をあげてきた。 これらの実績をベースに今後は、農地における土壌炭素・窒素の動態や循環機能の解析などを行うとしている。作物としては稲作と穀物を中心とした畑作が対象となる。 小松崎将一教授は「農業活動は世界中で営まれており、特にアジアにおける農業の温暖化対策研究の拠点としたいが、農学部には霞ケ浦流域で培った研究実績もあり、まずは地域の農業や環境保全に貢献する成果を上げていきたい」としている。(相澤冬樹) https://www.youtube.com/watch?v=alrs18M-5ok

谷田部の飯塚伊賀七「五角堂」《ご近所スケッチ》15

【コラム・川浪せつ子】つくば周辺の絵を描いていくと言っておいて、最近はなんだか行き詰まりを感じていました。ステキな風景はたくさんあるのですが、もう一つ個性を出すことができませんでした。そんな時にたまたま見つけたのが、つくば市民センター講座「つくば市の歴史や文化財を知ろう!」というチラシ。開校1日前に締め切られていましたが、電話するとあと1名OKということで滑り込み。 以前から、つくば周辺の歴史には興味がありましたが、なかなか勉強するチャンスがありませんでした。でもこの講座、あまりに面白くて目覚めました! つくば市には遺跡が600カ所以上あるそうです。TX工事などで掘り返したところからも発掘され、研究学園駅~みどりの駅の間では、県の大規模な発掘が始まったそうです。 郷土史に目覚めた私 そこで、以前から気になっていた「飯塚伊賀七の五角堂」(つくば市谷田部)を見に行き、描いてみました。前々から、この地にどうしてこんな素晴らしい研究(和時計)ができたのか疑問に思っていましたが、それを解決してくれたのが「つくば市谷田部郷土資料館」。五角堂の近くの建物(1階保健センター、2階図書館)の3階にあります。40数年近くつくばに住んでいて知りませんでした。皆さん、ぜひ行ってみて! 歴史に目覚めた私は、土浦市の「上高津貝塚ふるさと歴史の広場(考古資料館)」へも。それに、つくば市内にある「桜歴史民俗資料館」。いずれも無料か低価格で入館できます。私の場合、歴史館巡りの目的は歴史の紹介ではなく、あくまでも「絵」です。でも歴史を知ることで、今まで以上に地域を愛しちゃうことになりました。(イラストレーター)

筑波山地域ジオパークが絵本に

独特の地形や地質をもつ「筑波山地域ジオパーク」をモチーフとした絵本「ロッグとビットのおかしな旅 ひみつのてっぺん」(ロクリン社)が完成した。18日、作者の岡林ちひろさん(53)と、絵を担当した絵本作家のおおさわちかさん(51)がつくば市役所を訪れ、五十嵐立青市長を表敬訪問した。本はAB判サイズ、44ページで、前半35ページが絵本に、後半9ページがジオパークについての解説になっている。筑波山地域ジオパーク推進協議会が監修を務めた。 作品は、筑波山や周辺地域を舞台にした、好奇心旺盛な主人公のカエルとウサギによる冒険物語。今にも落ちそうな巨岩の下をくぐり抜ける「弁慶七戻り」や「ガマ石」など筑波山の奇岩や、12万年以上前のカキの化石が露出する霞ヶ浦に面する出島半島南端の崎浜・川尻地区の崖、大きく蛇行する桜川と小貝川など、筑波山地域ジオパークの特色ある自然が多数登場する。フランスで絵画を学び、フランスや日本で絵本作品を出版してきたおおさわさんが、色彩豊かに筑波山地域の自然を描き込んだ。 岡本さんは「物語に登場するのは地域に実際に生息する植物や動物たち。主人公と一緒に冒険を楽しんでもらうような物語にした。苦労して山頂にたどり着いて見た風景への感動を、主人公と同じように感じてもらえたら」と作品への思い話す。おおさわさんは「実際に筑波山に登って、山頂から見た平野の広がりに感動し、その思いを絵に表現した。自然の質感や温かさを大切に描いたので、見てくれる子どもたちにそこを感じてもらえたらうれしい」と語った。 同ジオパーク推進協議会会長を務める五十嵐立青つくば市長は「ジオパークの認知度について悩んできた。ジオパークには未就学児や小学生たちが多く訪れている。今回の作品を通じてジオパークの存在をさらに多くの方に知ってもらい、実際に現地に足を運び、学びを深めてもらうきっかけにしてもらいたい」と話した。 筑波山地域ジオパークは、つくば、石岡、笠間、桜川、土浦、かすみがうらの6市にまたがるエリアで構成されており、一帯にある筑波山、霞ケ浦、平野を流れる河川が生み出す独特の地形や地質、地域に根ざした営みが評価され、2016年に日本ジオパークに認定された。4年ごとの審査をへて、今年1月に2度目の再認定を受けた。(柴田大輔) ◆絵本「ロッグとビットのおかしな旅 ひみつのてっぺん」は今月27日から販売される。価格は1870円(税込み)

京都・94歳の語り部《デザインを考える》18

【コラム・三橋俊雄】今回は、1998年の暮れに、白川女(しらかわめ)をされていた94歳のYKさんから伺った「ちょっと昔の京都」のお話です。白川女とは、京都北白川に住み、四季の草花を頭上に載せて京都市内を売り歩いた女性たちのことです。 「ひーふのさんきち、ひるはうまおい、よるはくつおち、おひめさまがた、りょうちすごろく、おめんかけとて、にわのもみじを、はるとながめて、ほーほけきょとさえずるあすは、ぎおんのにけんじゃやで、ことやしゃみせん、はやしてんてん、てまりうた、うたのなかやま、ちょろんごんじゅで、ちゃろくろくろく、ちゃしちしちしち、ちゃはちはちはち、(中略)いちでよいのが、いとやのむーすめ、にでよいのが、にんぎょやのむーすめ、さんでよいのが、さかやのむーすめ、さかやむすめはきりょうがようて、きょうでいちばん、おさかでにばん、さがでさんばん、よしだでよばん、よしだおとこにだきしめらーれて、くしやこうがい、こちゃもーろーた」 この唄は、YKさんが天保2年生まれのおばあさんから教わった「てまりうた」です。 生活文化の美学や哲学 京大農学部をつくるときに、お地蔵様がぎょうさん出てきて、そのお地蔵様を粗末に扱ったら皆ケガして、それからお祭りをしはった。比叡山から良い石が出て、夫が東福寺山門の前の石灯篭一対、京都市美術館や国立京都博物館の土台の石をつくった。御所の建令門の土台の石の仕事では、戸籍謄本を持って身分の保証とした。 「味噌(ミソ)豆たことて 、豆炊いて、豆の数ほど家焼いて、もよもん(屋号)とは、ちーはうちーはう」。これは、「おひたき」という氏神さんの行事があり、ミカンやユズの香りのする三角のオコシやオマン(饅頭)をもらいに行きたくて、頼まれていた豆の火の番を放ったらかしにして火を出してしまった、というお話です。  YKさんが、親指などすれたところを刺し子した足袋に草鞋(わらじ)を履いて花売りに行くと、皆がきれいに刺してあるなと言ってくれた。おばあちゃんが小さな布を刺して、雑巾にして使った。夜なべに、行灯をくるっと回して、灯明の明かりで着物を継いで継いで、ほかさへん。誕生日にボウダラを炊くのがごちそうだった。普段は野菜を炊いて揚げ豆腐を入れたり、男は酒を呑むので魚が一つ付いた。 毎月1日は小豆ご飯、1日と15日はカシワ(鶏肉)をすき焼きにして食べた。ニシンと刻みコブのおかずの「しぶうこぶう(ニシンの渋みと昆布)」は慎ましく暮らすようにとの意味があった。桶(おけ)がすいて(隙間が空いて)きたものは、川幅が1メートルくらいで深さ30センチくらいの小川に沈め、コイモ(里芋)を入れて、竹の棒を組んだ道具で芋洗いをした。白川女が頭に乗せていて使い古された「箕(み)」は、ちりとりや土運びの道具として転用した。 こうしたYKさんとの出会いが、コラム16(25年1月21日掲載)と17(2月18日掲載)で取り上げた「京のしまつ調査」の始まりでした。京都の「普段着」の暮らしの中には、ものを大切にしながら豊かさを追求する「生活文化(Design of Life)」の美学や哲学がありました。(ソーシャルデザイナー)