金曜日, 1月 29, 2021
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舌を巻くグルーミングで育つ牛 つくば・農研機構のアニマルウェルフェア

【相澤冬樹】耳に「084」という黄色いタグをつけた子牛は、20年11月17日に生まれたホルスタインのメス、近づくと人懐こい仕草で寄ってくる。体重はすでに100キロを超えているが、まだ乳離れの最中だ。牧草を発酵させたサイレージ飼料に徐々に切り替えられている。 乳牛は通常、母乳では育てられない。母牛は搾乳のため子が生まれるとすぐに引き離され、子牛は母親のケアを受けない。肉牛となる黒毛和種でも早期の母子分離、哺乳ロボットの利用が増えつつある。この母子分離のストレスは、畜産業者にとって大きな経済的損失になると指摘するのは、農研機構畜産研究部門(つくば市池の台)の矢用健一飼育環境ユニット長(55)だ。 日本の畜産業では、乳牛に黒毛和種の子を産ませる受精卵移植が広く行われている。ホルスタイン種の子は40~50キロの体重で産まれてくるが、黒毛和種の子は30キロ前後しかなく、その分抵抗力に欠ける。しかもホルスタインの母乳は濃度が薄く、下痢や腸炎にかかりやすいため、引き離しの時期もさらに早められるという。 出生直後の母子分離は、近年のアニマルウェルフェア(Animal Welfare)の考え方からも問題視されている。家畜の誕生から死を迎えるまでの間、ストレスをできる限り少なく、健康的な生活ができる飼育方法をめざす、欧州発の考え方。日本では「動物福祉」や「家畜福祉」と訳される。 母親の舌触りに近づける 矢用さんは、黒毛和種で母親が舌で舐めるグルーミングを受けた子牛ほど、下痢が少なく、より早く体重が増加するという研究報告(2012年)に目を留めて、疑似グルーミング装置を開発、実証実験に取り組んできた。

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イベントの動画配信が可能に 2月からクラフトシビックホール土浦

【伊藤悦子】土浦市東真鍋のクラフトシビックホール土浦(市民会館)で、2月からインターネット回線を利用した動画配信が可能になる。コロナ禍の芸術文化活動の支援策として、新しい生活様式に対応して整備した。 同ホールの事務所にはもともと光回線が入っていたため、整備に伴う工事費や材料費は約3万円ですんだという。大ホールや小ホール、会議室、和室などすべての部屋で動画配信および受信が可能だ。 主催者は同ホールで無観客イベントを開催、動画を撮影しインターネット回線を使ってライブ配信をする。あらかじめチケットを購入した観客は、パソコンやタブレット、スマートフォンなどでライブ動画を視聴する。主催者はコロナ禍でもイベントを開催しやすくなり、観客は自宅にいながらリアルタイムでイベントを楽しむことができる。 動画配信のシステムは、ホール以外で開催されるイベントにも利用可能だ。主催者はイベント動画を撮影、同ホールに配信する。パソコンをマルチメディアプロジェクターにつないで、動画を大きなスクリーンに映し出すことも可能だという。 主催者は、遠方にいても県をまたいだ移動をすることなく、土浦市でのイベント開催ができる。土浦周辺の住民は、同ホールでの視聴が可能になるため市外や県外に移動する必要がなくなるのがメリットだ。 1、2階合わせ...

《ひょうたんの眼》33 今の唯一のコロナ対策

【コラム・高橋恵一】日本の役人やサラリーマンの悪い癖は、「やらない理由」を探すことだ。求められる仕事が、正当で必要なことであっても、やらない。バリアの除去を躊躇(ちゅうちょ)するだけでなく、さらなるバリアを見つけ出して、できない理由を強化することもいとわない。 なぜか? 前例がない、予算と計画がない、結果がよくない場合の責任を取れない、他人に指摘されてからやるのは嫌だ―などなど。新型コロナ対策の現状を見ると、小学生に判断してもらった方がよいのではないかと思われるほど、適切な対策の選択ができない。 第3波が来て、緊急事態宣言が出ても、感染者を救うための医療体制も用意できず、治療も受けられないまま、死亡する人もいる。この日本で、だ。 まず、PCR検査を最大化して、今からでも悉皆(しっかい)検査をして、無症状の感染者からの感染拡大を止め、無感染者の行動を開放すべきだ。検査を受けてないために、自分や接触者が感染しているかどうかが分からない。医療従事者、介護施設、学校、保育施設、その他の福祉施設などの従事者や関係者は、検査が陰性なら感染させる心配をせずに従事できるし、児童生徒や利用者は、安心して通学・通園、利用ができる。 医療体制が間に合わないので、検査数を抑えているという情報があるが、本末転倒も甚だしい。医者が多いと病人が増えて、医療費が増えるというのは、日本の厚生行政が堅持している基本姿勢だが、この事態に至って、人命軽視の非情な結末が明らかになっているのだ。 1年前、新型コロナ感染が起こったとき、中国の武漢やヨーロッパ各国では、臨時の大規模病院を設置して、感染者を収容する態勢をつくった。日本でも、帰国者の待機期間を受け入れた千葉県のホテルの英断があったし、オリンピック選手村を利用したり、つくば市にある某財団の広大な敷地を臨時施設用地として提供する提案もあった。

《県南の食生活》21 節分 今年は2月2日

【コラム・古家晴美】今から20年くらい前のことになるだろうか。コンビニが節分めがけて恵方巻きの全国販売に乗り出した。その年の恵方(歳神が訪れる方角)に向き、家族がそろって、切っていない太巻きずしを丸ごと1本無言で食べると、福を招く、願い事がかなうという触れ込みだ。節分に海苔巻きを食べることは、戦前から、近畿地方の海苔業者、すし屋、あるいは一部の家庭でも見受けられたが、現在は全国的な行事食となっている。 「節分」は立春(2021年は2月3日)の前日に当たる。二十四節気(にじゅうしせっき)では、立春から春に入る(春とは名ばかりで実際は寒のピークであるが…)。つまり、命が芽吹く季節の始まりであることから、節分を「トシコシ」と呼ぶところは茨城県南でも多い(牛久市、土浦市、つくば市など)。そして、節分に年越しそばを食べる。また、風呂の水にも年を取らせないようにと、風呂の水を抜いてから節分の豆まきをする(牛久市、阿見町、つくば市など)。 大声をあげながら豆まきをされた思い出をお持ちの方もいらっしゃるだろう。豆まきには、災いを象徴する鬼を追い払うという意味がある。また、イワシの頭をあぶって豆がらに刺して柊(ヒイラギ)を添え、戸口やナガヤ(作業小屋)、便所、勝手口、カマバに挿しておくこともある。これもイワシの臭気と柊のトゲが同様に魔除(よ)けとなるからだ(牛久市、土浦市、阿見町、つくば市など)。 このほかに、神社のお札を玄関に貼り、トマモリ(戸守り)とし(牛久市、阿見町)、厄年の人が節分に厄除け神に参拝する、わら人形に餅を背負わせ三叉路(さんさろ)に立てるなど、厄払いとの関わりも深い(阿見町、つくば市)。 季節の変わり目に跋扈(ばっこ)する悪鬼から、豆、魚臭さ、柊のとげ、お札などを用いて、自らの身を守り、ついでに自分にかかった厄まで追い払ってしまおう、という算段だ。 豆まきの結びは「福でもってぶっとめろ」

銀河中心ブラックホールが止まる機構 筑波大など研究チームが解明

宇宙の多くの銀河の中心にある「大質量ブラックホール」は、他の銀河との衝突で活性化するだけでなく、中心部と衝突すれば活動が止まることもあるとする研究成果が東京大学、筑波大学、尾道市立大学の研究チームによってまとめられ、26日付の英科学誌「ネイチャーアストロノミー」で発表された。 東京大の三木洋平助教と筑波大の森正夫准教授、尾道市立大の川口俊宏准教授=いずれも宇宙物理学=の共同研究。銀河に天体望遠鏡を向けた観測ではなく、スーパーコンピューターのシミュレーションなどによって銀河衝突と大質量ブラックホールの活動性の謎に挑んだ。主に東京大学情報基盤センターと筑波大学計算科学研究センターが千葉県柏市で共同運営している共同施設で運用するスーパーコンピューター、Oakforest-PACS(オークフォレストパックス)で行われた。 ほとんどの銀河の中心には、太陽の質量の10万倍を超える大質量のブラックホールが存在している。ブラックホールは、そこに落ち込むガスによって明るく輝く活動的なものもあるが、大部分は銀河の中心で鳴りを潜めている。ブラックホールの活動は、銀河の衝突がきっかけで活性化すると考えられる一方で、活動を止める機構ははっきりしていなかった。ブラックホールが活動を急に停止した痕跡が見られる銀河も多数観測されていることから、活動停止の機構を特定することが望まれていた。 研究チームは、他の銀河との衝突が起こる際、ブラックホールへと落ち込んでいるガスが衝突した銀河によって取り払われるためにブラックホール活動が停止する、という仮説を立てスーパーコンピューターを用いたシミュレーションを行った。 銀河衝突が中心ブラックホール活動に与える影響=同 その結果、小型の衛星銀河が大型の銀河に衝突しその中心領域を突き抜けた場合には、大型銀河の中心のブラックホールへと落ち込んでいるガスが取り払われてしまうことが判明した。衛星銀河が大型銀河の中心から離れた領域に衝突するとガスの落ち込みが激しくなると考えられてきたのに対し、銀河の中心領域に衝突するとガスを取り払ってしまい、ブラックホールの活動を止めることになるという。これまで活動を活性化するのみと考えられてきた銀河衝突が、逆に活動を止める働きをすることもあることが明らかになった。推定される銀河衝突の頻度も、ブラックホールの活動の活性化と停止のタイムスケールをよく説明できるそうだ。