日曜日, 5月 22, 2022
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《食う寝る宇宙》81 衛星のクリーンルームに住みたい

【コラム・玉置晋】2月の上旬くらいからでしょうか、目の腫れぼったさを感じて、僕の花粉センサが反応する季節がやってきました。今年はあらかじめ病院で薬をもらって準備していたので、例年に比べて症状は軽めなのですが、つらいものはつらい。つい先日は夜中に鼻がつまって、呼吸困難に陥って死ぬかと思いました。 職場では、鬼の形相で「窓を開けるな!」とオーラを出しますが、コロナ禍ですから換気も大事です。家では花粉症とは縁のない奥様はちゅうちょなく窓を開放します。布団は豪快に外に干します。僕はこれを「花粉症DVだ!」と抗議をしますが、「それが何か?」と却下されます。 「べんぞうさん」大分元気に 本コラム79(2月14日掲載)で、人工衛星の地上試験について書きました。人工衛星は大変繊細な機械の塊ですので、試験はクリーンルームの中で行われます。僕は以前、地上試験中の人工衛星のデータを収集して、評価する仕事を担当したことがあります。 このときは、専用の靴に履き替え、専用の防塵(ぼうじん)服を着て、エアシャワーでホコリを吹き飛ばした上で試験設備に入室しました。今、僕はクリーンルームに住みたいです。 前回のコラムで、ウチの大事な家族である犬の「べんぞうさん」の体調がすぐれないと書いたら、何人かの方から心配のメッセージをいただきました。大分、元気になってまいりました。どうもありがとうございます。(宇宙天気防災研究者)

《食う寝る宇宙》80 火星探査「魔の7分間」

【コラム・玉置晋】ウチの大事な家族である犬の「べんぞうさん」の体調がすぐれません。この数年、検査で腎臓の数値が悪かったので、腎臓ケアの食事に変えていたら、今度は肝臓の調子が悪くなり、手製の食事に替えましたが食欲がなく、昨日も仕事のお休みをいただいて獣医さんに連れていきました。2008年に我が家にやってきたこのワンコ、人間でいえば70歳くらい。70歳だったら、まだまだバリバリ働いている人いっぱいいるぞ。どうか元気になってくれ。 こういう時に限って、仕事の締め切りやら、確定申告の準備やら、異様に忙しい。2月19日早朝に、たまった領収書と悪戦苦闘しながら、NASA(米航空宇宙局)のライブ中継をみていました。NASAジェット推進研究所の火星探査機「パーシビアランス」が火星への着陸を試みている真っ最中です。 これまで各国で試みられてきた火星探査の成功率は半分以下。火星周回への軌道投入、大気圏突入、軟着陸のためのパラシュートの展開―すべて難易度が高い。地球から火星までの距離は光(電波)の速さでも10分かかるので、探査機に事前にプログラムしておき、自己判断させなければならないのです。特に探査機の大気圏突入の時間は、「魔の7分間」として恐れられているそうです。 着陸成功にガッツポーズ 火星の大気圏突入時には、時速2万キロという高速移動しているために、ものすごい勢いで探査機前方の大気を圧しつぶします。圧しつぶされた大気の分子が激しくぶつかり合って、熱が発生します。火星の大気だと2000℃程度に加熱されるので、高温に耐えねばなりません。 そして、着陸点に向かう軌道を修正しつつ、適切なタイミングでパラシュートを開く。しばらく降下した後、「スカイクレーン」と呼ばれるロケット推進で噴射する装置につるされながら、ゆっくりと着陸していきます。この間7分間。NASAの運用室の緊張感がパソコン画面を通じて伝わってきました。着陸成功が報じられたときは、思わず僕もガッツポーズ。

《食う寝る宇宙》66 宇宙開発現場の言霊信仰

【コラム・玉置晋】宇宙開発は科学技術の塊(かたまり)であることは言うに及びませんよね。その中で、僕は人工衛星の運用に関わる仕事をしているのですが、面白いことに非科学的な伝承がいくつかあるので紹介しましょう。 言霊(ことだま)とは「言葉には霊的な力があり、声に出した言葉が現実の事象に対して何らかの影響を与える。良い言葉を発すると良いことが起こり、不吉な言葉を発すると凶事が起こる」ということです。 これは、人間の社会では、あながち間違っているとは思いません。1人から発せられた信憑(しんぴょう)性の怪しい情報が人々に伝播して、国家的な意思決定に影響して、紛争や戦争につながることもありますよね。だから、言葉は慎重に発せねばなりません。 人工衛星運用の現場における凶事とは、衛星が通常とは異なる状態になることです。現場では、不明事象とか不具合が発生したと表現します。最悪の場合、人工衛星が失われることもあり、現場の先輩方はこれを経験してきました。だから、現場で不具合に関する話をすると、ベテランの先輩方から怒られます。 不具合を語る「軌道上技術評価」 ところが、僕は「宇宙天気防災」を専攻しています。宇宙天気は人工衛星の不具合を発生させる疫病神のようなものですが、宇宙天気が世の中に普及するには、その被害を明らかにする必要があります。僕は、衛星運用の中でも「軌道上技術評価」という仕事に取り組んでいます。

《食う寝る宇宙》64  ソロリソロリと3時半起床

【コラム・玉置晋】まずは御報告。2020年4月12日、宇宙ビジネスサロンの一般社団法人「ABLab」において、宇宙天気プロジェクトを発足させました。プロジェクトメンバーがキックオフミーティングの様子をまとめましたので、こちらをご覧ください。 プロジェクトのコンセプトは「宇宙天気キャスタ・宇宙天気インタプリタが活躍する近未来社会を創造する」です。「宇宙天気キャスタ」は読んで字の如くですが、「宇宙天気インタプリタ」って何?という人は、コラム49とコラム50をご覧ください。昨年末に鹿島神宮でうけた神様のお告げ(コラム51)を、しっかり実践しておりますよ。 このプロジェクトは、ABLabと僕がお世話になっている茨城大学理学部・野澤研究室(宇宙天気防災)の協力により、「教育・研究」「社会ニーズの醸成」「利用・防災」の3つの柱をつなげていきます。 愛犬のご飯は僕の担当 さて、上記の宇宙天気プロジェクトを推進するために、僕は「会社勤めの宇宙エンジニア」と「宇宙天気防災を研究する社会人大学院生」の二足のわらじを履いています。時間のやりくりが大変なのですが、どのような1日を送っているのか紹介します。 朝3時半にムクっと起き出し、ソロリソロリと椅子に座ってパソコンを開く。「ガタ」という椅子のきしむ音、カチャカチャというキーボードの音。これらの音で家族を起こすわけにはいかない。一挙一動を慎重に行う必要があります。

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認識の対立を克服するには? 《文京町便り》4

【コラム・原田博夫】2月24日以降、ロシアのウクライナ侵攻の報道に接していると、戦争の背後に潜む正義は、時代や場所、あるいは人や組織で異なっていることが分かる。侵攻したロシアやプーチンには、少なくとも自国民向けの必然性や正当性があるはずである。 ロシアがこのような暴挙に至った経緯や背景は必ずしもつまびらかではないが、ここ数年来、米国やNATO(北大西洋条約機構)によるロシアへの圧力・圧迫があった(と、少なくともロシアおよびプーチンが思い込んだ)ことは確かである。その意味では彼らには、ゆがんでいたにせよ、なにがしかの必然性があったはずである。それなくしては、このように大規模な「特別軍事作戦」(一方的な侵略)を決行できない。 対して、この侵攻は、侵攻されたウクライナのみならず、EU(欧州連合)、NATO、米国や日本などの民主主義国にとって全く理解できない暴挙である。 この認識の対立構造は、それぞれの国民世論にも反映していて、ロシア国内の世論調査では(国内世論の操作が行われている上に、政府系の御用調査機関と揶揄(やゆ)されているが)、今回の特別軍事作戦は相当の支持を得ている。たとえば、全ロシア世論調査センターの3月17日調査やレバダセンターの4月21~27日調査では、いずれも「支持する」が74%に上っている。 他方で、国連総会でのロシアの軍事行動への圧倒的な非難決議(3月2日の非難決議への賛成141カ国、反対5カ国、棄権5カ国)に見られるように、国際政治・国際世論はロシアへの非難では歩調を合わせている。 関係者・当事者の「良識」に期待

昔「アダルトチルドレン」、今「毒親」 《続・気軽にSOS》109

【コラム・浅井和幸】おかげさまで、浅井心理相談室はこの6月で20周年を迎えます。様々な方にご支持いただき、本当に感謝しております。以前相談に来られた方からのご紹介で来談されるケースや、相談をして元気になったので精神保健福祉士を目指したいとか、公認心理師やカウンセラーになりたい―といった話を聞くと、とてもうれしくなります。 といっても、「浅井のようになりたい」という言葉を聞くと、うれしい反面、「もっと上を目指した方がよいよ。君はもっと大きな可能性を秘めている」と思いますし、正直にそう伝えます。 相談室を開いたころ高校生だった来談者も、すでに30代になって再び来談されることもあります。皆さん、本当に立派になられて感慨深いものがあります。70代の方もいましたので、あの方はもう100歳を超えるのかぁ―などと考えることもあります。 20~30年前、アダルトチルドレンという言葉を頻繁に目にしました。この言葉はもともと、アルコール依存症の親の元で育った子供が、大人になって様々な支障が出てくるという概念です。その意味が広がり、機能不全家族で育った人が様々な生きづらさを抱えていく―という意味にもなりました。医学的な診断名ではありません。 相談の場でも多く耳にしたものですが、最近では「毒親」という言葉に置き換わっていると感じます。毒親は「親ガチャ」とセットで聞くことも多いですね。これらの言葉の登場に、気持ちが軽くなった人もいるでしょう。こんなにつらいのは自分だけではないのだという仲間意識、訳の分からない苦しさから「毒親に育てられた子ども」に属せたという安心感です。 これは、どこの病院に行っても、何も悪くないと医師に言われ苦しさが続く中、うつ病とか難病などの病名がつくことで、何となく治療法があるのだろうという救われた感覚に似ているのだと思います。カサンドラ症候群という、アスペルガー症候群のパートナーを持つ人の苦悩もこれに似ていますね。

入国待ちわびた留学生52人 日本つくば国際語学院で3年ぶり入学式

つくば文化学園が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(つくば市松代、東郷治久理事長兼校長)の入学式が20日、隣接の日本料理店、山水亭で催され、コロナ禍の中、入国を待ちわびた13カ国の52人が入学した。3年ぶりの入学式となった。 2年間入国できず待機していた留学生が多いという。例年なら4月に入学式を開催するが、コロナ禍で留学生の入国が遅れたため1カ月遅れの式典となった。 出身国は、イラン、ウズベキスタン、タジキスタン、スリランカ、ネパール、ガーナ、カメルーン、ミャンマー、モンゴル、中国、韓国など。 新入生一人一人に学生証を手渡す東郷治久理事長兼校長(右)=同 式典では、東郷理事長が一人ひとりに学生証を手渡し、「去年、おととしは入学式が行えなかった。待ちわびていた入学式が盛大に行えたことは大きな喜び」とあいさつした。さらに「コロナの中、一度は入学を断念しようかと考えた人もいたと思うが、将来の夢の実現のために目標を果たすという強い意志が扉を開いた」と称えた。その上で「日本語を楽しく学び、日本を好きになってもらおうというのがモットー。たくさん日本語で話して上手になってください」などと呼び掛けた。 新入生を代表してイラン出身のハディース・ダナーさん(28)が日本語であいさつし「もし世界中のどこにも戦争がなかったら、おそらく今日、ウクライナ人やシリア人も私たちとここで入学式を祝うことができたと思う」と語り、「ここにいる新入生は、大きな願いを達成し成長するために留学を決意し、さまざまな人が安全に安心して一緒に暮らせる日本を選んだ。今の気持ちを忘れずに精一杯頑張るつもりです」などと決意を話した。

死に方が選べない時代 《くずかごの唄》108

【コラム・奥井登美子】死に方を自分で選ぶのが難しい時代になってしまった。コロナの流行がそれを加速してしまっている。人生で最後のしめくくり、「ご臨終」が不可能になってしまったのだ。 Tさんはがんの末期で入院したご主人に会いに行ったけれど、コロナの感染を恐れて会わせてもらえなかった。そのままご主人は亡くなって、遺体をさわることすらコロナの危険でできなかったという。愛する夫の臨終に立ち会えなかったTさんはノイローゼみたいになってしまった。 奥井恒夫さんはご近所に住む親戚で、薬剤師。家族の次に大事な人である。認知症予防に碁と散歩。毎日散歩をして、脳と身体、両方を鍛えていた。彼は自宅で倒れ、救急車で入院。コロナで会わせてもらえないまま、亡くなってしまった。亭主にとって、会えないままになくなった恒夫さんの死はショックだった。 在宅死について書かれた本 「このごろ、息を吐くときが苦しい。おやじも最後のころ、そう言っていた。ぴんぴんころりバタンキュー。人間らしさの残っている間に家で死にたいよ。図書館に行って、在宅死の書いてある本借りてきてくれよ」 亭主に頼まれて、私は図書館に行って本を探してみた。