日曜日, 10月 1, 2023
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創薬研究に産学連携拠点 筑波大 クライオ電子顕微鏡お披露目

筑波大学生存ダイナミクス研究センター(TARAセンター、つくば市天王台、林純一センター長)は16日、クライオ電子顕微鏡施設のオープニングセレモニーを開いた。競争激化する創薬研究で必須となっている構造解析に不可欠な装置で、セレモニーには研究者ばかりでなく産学官の関係者が集まり、研究の加速、利用の拡大への期待を語った。つくばにおける2号機、3号機となる2台がお披露目された。 クライオ電顕は、液体窒素温度条件下(クライオ)でタンパク質などの生体分子に対して電子線を照射し、試料の観察を行うための装置。タンパク質の立体構造を高分解能で決定する手法として、目覚ましい技術革新を遂げている。2017年その開発に貢献した研究者3人にノーベル化学賞が授与された。以来、日本でも関心が広がり、つくばでは2018年4月に高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所に最初の1台が導入された。 タンパク質の構造解析に威力 TARAセンターには、電子を200キロボルトと300キロボルトにそれぞれ加速する2台の装置が導入され、このほど稼働を開始した。国の2020年第3次補正で総額32億円、全国3拠点に6台のクライオ電顕を措置したうちの2台。新型コロナウイルスや創薬研究のための構造解析に向けた基盤構築を早期に実現するのを目的に、日本医療研究開発機構(AMED)が導入先を選んだ。 導入を指揮した岩崎憲治教授らによれば、クライオ電顕は試料を凍結したまま観察することができるため、タンパク質などの壊れやすい生体高分子、特に分子量の大きなタンパク質複合体の観察に適しているという。創薬研究では治療の標的物質に薬が「くっつくか」の見極めが極めて重要で、特に結晶化というプロセスを介さずにタンパク質の立体的な構造解析が可能なクライオ電顕の可能性は大きい。 装置や撮影技術の高度化の一方、測定試料の事前調製に精緻(せいち)な作業と膨大な労力が必要なのが課題だ。タンパク質の構造決定で自動化が実現すれば、下処理などにかかる回数や時間の大幅な改善が期待できる。遠隔化が可能になればパンデミックのような状況でも研究が継続できると見られている。

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ノスタルジア「八つ墓のたたりじゃ〜!」《訪問医は見た!》4

【コラム・平野国美】岡山県の山間部に吹屋(ふきや)という地区(高梁市)があります。ベンガラ(酸化第二鉄)の街並みで有名なのですが、私は15年ほど前、よく調べずにここを訪れました。街の外れから歩き出したのですが、なぜかデジャヴ(既視感)があるのです。しかし、私には縁もゆかりもない場所のはずです。 そのとき、私の背後に老女が忍び寄り、耳元で突然叫んだのです。「たたりじゃ〜! 八つ墓のたたりじゃ〜!」と。そこで、すべてを悟りました(この部分は作り話です)。 当時、この地域は高齢化が進み、住人の多くが80代の方々でした。そんな街の古民家を利用した喫茶店で、土地の皆さんと話しているうちに、この街の概要がわかってきました。江戸時代は鉱山として、明治時代はベンガラ生産地として、繁栄した街だったのです。 ベンガラは、神社などの建築物に使われる赤い塗料で、腐食を防ぐ目的もあって塗られていました。吹屋の街並みは、壁はベンガラ色、屋根は山陰の石州瓦(これも朱色)で、独特の風景が見られます。 なぜ、私がこの風景に既視感を持ったのか? 喫茶店にいたおばちゃん達と話しているうちに、わかってきました。上で書いた「たたりじゃ〜っ!」は、あながちウソでもないのです。ここは1977年に公開された角川映画「八つ墓村」のロケ地で、この映画の風景が目の前に浮かんだのです。

「大学改革の旗手に」永田学長 筑波大が開学50周年記念式典

マハティール元首相が祝辞 筑波大学(つくば市天王台)が10月1日、開学50周年を迎えるのを記念した式典が30日、同市竹園、つくば国際会議場で催された。永田恭介学長は「世界中の大学との間で頭脳循環を加速させ、知の十字路としてのキャンパスを充実させていきたい。大学改革の旗手として、固定化された社会を再構築する原動力でありたい」などと、次の50年に向けた式辞を述べた。 祝辞を述べるマハティール元首相 式典には大学関係者のほか、つくば市長、県内選出の国会議員、協定などを締結している海外の大学学長など計約1200人が参加した。文科省の安江伸夫政務官のほか、マレーシアのマハティール元首相らが祝辞を述べた。 同大は来年10月、日本の大学で初めて日本の学位を授与する海外分校をマレーシアの首都クアラルンプールにあるマラヤ大学に開設する。2019年、安倍晋三首相とマハティール首相(当時)が取り決めをし海外分校を開設することから、今回来日に至ったという。

朗読列車 今年は紅葉仕立てで運行 筑波山ケーブルカー

山頂駅展望台に新アクティビティ 紅葉シーズンを前に、筑波山ケーブルカー(筑波観光鉄道運行)で10月1日から、車内に色付いたモミジやイチョウを飾り立て、声優らによる朗読劇が体験できる秋のイベント列車「ストーリーテラーズ・レールウェイ」が運行される。昨年に続いて2回目。 8分間の乗車時間の間に、つくばエリアで語り継がれる民話「しっぺいたろう」、宮沢賢治の「注文の多い料理店」、筑波山名物「ガマの油口上」を声優や劇団員らが朗読する。さらに今年から、標高約800メートルの御幸ケ原の筑波山頂駅隣りにあるレストランの展望台屋上に、絶景に浮かぶ的に向かってウォーターガンを発射させるアクティビティが導入される。「天空のガマスプラッシュ」と名付けられたストレス発散系アクティビティだ。 御幸ヶ原、コマ展望台での天空のガマスプラッシュ 展望台での新遊戯ウォーターガン  企画会社の担当者は「今年は朗読に女性声優も参加するなど、昨年よりグレードアップした形となる。また新しいメニューを加え、筑波山観光をグレードアップさせたい」と語り、筑波観光鉄道営業本部の須藤淳さんは「昨年から朗読列車を運行し、大変評判が良く、乗客数も増した。今年は企画がバージョンアップしたので、乗客数がさらに増加することを期待したい」とし、「筑波山ロープウェイの方も、10月から土日祝日に夜間運行がはじまるので楽しみにしてほしい」と話す。

長者と金持ち《ひょうたんの眼》61

【コラム・高橋恵一】岸田首相は就任以来、基本的な経済政策として、これまでの新自由主義的経済から、「新しい」資本主義を掲げ、「成長と分配の好循環」「コロナ後の新しい社会の開拓」を目指すとし、新たな経済対策として、物価高対策、賃上げ、国内投資促進、人口減少対策、国民の安心・安全確保を掲げている。 首相に有言実行してほしいのは、賃上げだ。それも、教師と看護師、介護職員の賃上げと働く環境の改善だ。経営者にお願いしなくても、配置基準と給与額は、政府が決められる。下からの「トリクルアップ」で、非正規雇用と人手不足を解消できる。 バブル期に至る前の日本経済は、高度成長期。国全体の経済力の拡大とともに、個人所得も豊かになったが、まさにバブルの言葉通り、安易な浪費を行い、将来の高齢化社会に備えた社会保障の仕組みや産業基盤、安定的な生活基盤の整備をおろそかにしてしまった。 当時、高度成長は、西欧諸国も同じであり、特に北欧は、堅実に社会保障基盤を固め、ジェンダーフリーの条件を整え、女性の社会進出を実現した。日本は、それを横目で見ていたが、21世紀の今日、両翼飛行の北欧諸国の1人当りのGDPと1.5翼飛行の日本の1人当り所得には、大差がついてしまった。 バブル崩壊後の日本経済は、停滞し、アメリカを習って、新自由主義経済に傾倒した。いわゆる小泉改革であり、経済の効率化、極限のコストカットであった。 アベノミクスの失敗