金曜日, 3月 29, 2024
ホーム検索

中心市街地 つくば市 -検索結果

If you're not happy with the results, please do another search.

クレオを日本エスコンに売却 西武棟は複合施設、イオン棟はマンションに

【鈴木宏子】百貨店やスーパーなどが撤退後、閉鎖されたままになっているつくば市吾妻、TXつくば駅前の商業施設クレオについて、所有者の筑波都市整備(同市竹園、石原孝社長)は27日、不動産会社の日本エスコン(東京都千代田区、伊藤貴俊社長)に同日付けで売却したと発表した。 日本エスコンは全国各地で地域密着型の商業施設開発やマンション、ホテル建設などを手掛けるデベロッパー。昨年12月に売却された隣接のキュート(Q't)、モグ(MOG)=2018年12月22日付=に続いて、同駅前商業施設つくばクレオスクエア全体を日本エスコンが取得したことになる。同社は「これまでの多面的な不動産開発のノウハウを生かし、3施設一体でのつくば駅前の開発を推進していく」としている。 クレオの再生問題は、施設閉鎖から約1年2カ月でようやく方向性が定まった。 日本エスコンによると、旧西武棟部分は改修して、商業施設のほか、県・市や、周辺の教育機関、先端技術研究開発系企業などと連携した複合施設にするという。同社は「駅直結のペデストリアンデッキでつながる立地を活用し、キュート、モグを含め、マーケットニーズに合う業種業態・店舗を構成して魅力的な施設を設計し、駅前街区全体の新たなにぎわいを創出する」などとしている。 旧イオン棟部分は解体して先進的なマンションを建設するという。同社は中部電力と提携していることから、省エネルギーのスマートハウスなどを計画しているという。マンションは14階建て程度を検討しているが、戸数などの規模は未定という。 再オープンに向けたスケジュールは現時点で未定だが、旧イオン棟部分の解体工事は年内に着手するとしている。 一方、筑波都市整備は、日本エスコンに売却した理由について「つくば市のまちづくり方針に共鳴し、施設運営やまちづくりにノウハウがあり、中心市街地の活性化の実現に寄与できる」などと説明する。日本エスコンとは、つくば市が取得を断念した昨年10月以降、協議してきたという。売却価格は公表しないとしている。 つくば市長「再びにぎわいを期待」 クレオは敷地面積約1万5600平方メートル、建物は鉄筋コンクリート造り地下2階・地上8階建て、延床面積は約5万7000平方メートル。科学万博が開催された1985年3月に開業した。 その後、つくばエクスプレス開業により郊外に大型店が立地したことやライフスタイルの変化などから売り上げが減少し、2017年2月に西武筑波店が撤退、18年1月にはイオンつくば駅前店が撤退し、全館が閉鎖となった。 筑波都市整備は西武が撤退を発表した16年8月から、新たなテナントの誘致を続けたが再開の見通しが立たず=17年12月25日付=、売却方針に転換した=18年9月4日付。 こうした中、つくば市の五十嵐立青市長は昨年9月、クレオの土地と建物を38億円で取得し、子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設=18年9月28日付=をつくる計画を発表した。市内4カ所で説明会を開き=18年10月10日付、同12日付、同14日付、同15日付=、市民の意見を募集するなどした=同18日付=が、議会の理解を得られないと判断し、昨年10月、議会に諮らないまま計画を断念=同25日付=した経緯がある。 五十嵐市長は「取得が決定したことで再び中心市街地のにぎわいに資する施設になることを期待している。つくば市が目指す中心市街地のビジョンの実現に向けた取り組みについても協力いただきながら進めていきたい」などとするコメントを発表した。

プリツカー賞受賞の磯崎新氏設計 つくばセンタービルを脚本家が語る 「仕掛けに満ちた建物」

【鈴木宏子】つくばセンタービル(つくば市吾妻)を設計した磯崎新氏が、建築界のノーベル賞といわれる2019年のプリツカー賞受賞者に選ばれた。つくば市在住の脚本家で、NEWSつくばコラムニストの冠木新市さん(67)は、同ビルを「仕掛けに満ちた建物」として、つくばの七不思議の一つに取り上げ、2014~15年にご当地ドラマを制作した。冠木さんとつくばセンタービルを歩いた。 冠木さんがまず教えてくれたのは建築の思想だ。「普通、中心にはシンボル的な施設が建てられるべきだと考えると思うが、磯崎氏はつくばの中心に沈み込む空洞をつくった」という。磯崎氏自身、著書「建築のパフォーマンス―つくばセンタービル論争」(パルコ出版局)で、筑波研究学園都市という国家プロジェクトゆえに中心に国家のシンボルを描き出すのではなく「中心を空間にし、空間の中に向かって消滅していくような反転した空間をつくり上げた」と記している。一方で建築の思想は、つくば市民の間で議論されたり共有されることはほとんどないまま建築から35年がたった。 同ビルの中心にあるくぼ地のセンター広場には、崩れかけた石が積まれてあり廃墟が表現されている。冠木さんは、商業施設クレオの閉鎖やつくばセンタービル内の商店街アイアイモールからの飲食店全店の撤退など、現在直面している中心市街地の空洞化について「磯崎氏にとってすでに折り込み済みだったのではないか」と話し、「磯崎氏は『断片やあつれき、縫合の合い間が別な物語を語り始めることはないかと期待をもっている』と語っている。つくばの中心にあるセンタービルは空っぽの器であり、情報が入り発信して初めて成り立つメディア(媒介するもの)のようなもので、どう使いこなすのかが問われている」と話す。 ご当地ドラマで魅力紹介 冠木さんが制作したドラマは「サイコドン」という題名で、つくば市のケーブルテレビACCSで全16話が放映された。そのうちの3話分で磯崎氏が折り込んださまざまな仕掛けを紹介している。建物の随所に使われているモンローカーブと呼ばれる曲線、筑波山の筑波石と笠間市の稲田石をわざと崩れたように積み上げて廃墟を表現したセンター広場の石、霞ケ浦の北浦と西浦を表現したとされる水の流れなどだ。 さらに独自の解釈もドラマの中で展開した。ホテル「オークラフロンティアつくば」の建物の最上階の独特な形の窓を東西南北を見つめる瞳と解釈し、南を向く瞳がノバホール2階入り口のピラミット型の窓に重なり、さらに重なった瞳がまっすぐ北を見つめ松見公園の展望台とつながっている―などの解釈だ。「瞳やピラミッドはドラマの撮影中に偶然見つけた。つくばセンタービルは至る所に仕掛けが満ちている。いろいろな建築様式がコラージュされていて奥が深い」と述べ「受賞を機につくばセンタービルが市民の間で再び注目され、いろいろな人が新たな魅力を発見できれば」と語る。 【つくばセンタービル】コンサートホール、店舗、ホテル、交流センター、広場などで構成される複合施設。1983年に完成した。設計者はプロポーザルにより13人の建築家の中から磯崎新氏が選ばれた。日本のポストモダン建築の代表作と評価されている。

《映画探偵団》15 今年の初夢は「桜川文化圏構想」

【コラム・冠木新市】1960年代の楽しみの一つは、新年に日本映画各社が発表するその年公開予定のラインアップだった。ずらりと並んだ映画のタイトルにワクワクさせられたが、年末になると製作されなかった作品が何本もあった。しかし、夢をかきたててくれたのでだまされた気はしなかった。 1970年代「スター・ウォーズ」(1977年)が公開されたが、悪のダース・ベイダーが逃亡して終わる結末に拍子抜けした。だが公開後、この作品は9本ある物語の中間部にあたるとのニュースが流れ、驚くとともに、当時はまだ見ぬ8本が気になってならなかった。 監督のジョージ・ルーカスは全作つくるつもりではなかったようだ。けれども今年末には9本目が公開される。シリーズの完結に約40年かかったわけだ。 「幻に終わった傑作映画たち」(竹書房)という本を購入した。1920年代から2000年代まで、種々の理由で完成に至らなかった50数本の記録が書かれている。オーソン・ウェルズの「ドン・キホーテ」、フェデリコ・フェリーニの「Gマストルナの旅」、セルジオ・レオーネの「レニングラードの900日」等々。 これらは各監督の伝記などで紹介され知ってはいたが、これだけ集められると壮観で圧倒される。レオーネの項に次の一節があった。「めったにお目にかかれないよ。まだ撮ってもいない映画についてあんなにべラベラと、しかも、しょっちゅう喋る監督なんて」と。 幻の映画とは夢みたいなものである。だから語りたくなるのが自然ではないのか。団員との新年会で、最近は夢を語る人が少ないとの話で一致した。大きな話をして、馬鹿にされるのが怖いのか。実現できなかったらと不安で口ごもるのか。確かに、夢を語る人の話は、他人にとってはホラ話と聞こえなくもない。 植木等の「日本一のホラ吹き男」 「日本一のホラ吹き男」(1964)という植木等主演の作品があった。主人公の初等(はじめ・ひとし)は東京オリンピック三段跳びの選手候補で、練習中に世界記録を出すがケガしてしまう。故郷に戻った等は、地中から発見された先祖の一代記を読む。そこには、ホラを吹いて日夜努力して目的を達成する教訓が書かれてあった。 先祖の教えに奮起した等はオリンピックをあきらめ、一流企業の臨時守衛を皮切りにホラを吹いて出世し重役となり、社内の美女を射止める。周囲の抵抗に少しもひるまず、猪突猛進で有言実行する姿がリズムカルに表現され、楽しい作品に仕上がっていた。 人には、黙って夢を実現する人とペラペラと夢を語って実現する人の2つのタイプがある。私は後者を支持する。夢を語る人に接すると、こちらも楽しくなるからである。 なぜ新年にこんな話を持ち出すかというと、講演会(2月16日)のチラシを手にしたからだ。チラシには「つくば市長五十嵐立青が語る つくばのグランドデザイン」と上にあり、真ん中に「世界のあしたが見えるまち。TSUKUBA」とデンと大きくあり、その下に小さく「市長は何を語るのか!」とあった。 まるで50年前の映画ラインアップの空気感が漂っている。昨年の「中心市街地ヴィジョン」は残念だったが、今年は期待が持てそうだ。 いや、私も初夢を語ろう。今年は、桜川市、つくば市、土浦市を流れる桜川流域の文化とアジアの文化を結ぶ『桜川文化圏構想』に取り組むつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

【クレオ再生問題】キュートとモグ 筑波都市整備が日本エスコンに譲渡 つくば駅前

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設キュート(Q't)とモグ(MOG)が20日、不動産会社の日本エスコン(東京都千代田区、伊藤貴俊社長)に売却された。両施設を所有していた筑波都市整備(つくば市竹園、石原孝社長)と、新たに取得した日本エスコンが同日、それぞれのホームページで発表した。 日本エスコンは全国でマンションや商業施設、ホテルなどの開発を手掛けるデベロッパー。キュートもモグも引き続き商業施設として運営し、名称も当面変更はないという。 西武筑波店とイオンつくば駅前店が撤退した後、空き店舗となり閉鎖されているクレオについても、キュートやモグと一体で日本エスコンに売却する方向で調整を進めているとみられる。クレオについてつくば市は12月議会一般質問に答弁し、旧西武棟は既存建物を利用して商業施設とし、イオン棟は解体してマンションにすると聞いているなどと説明している。 筑波都市整備は、日本エスコンに譲渡した理由について「同社は、つくば市が掲げるまちづくり方針に共鳴し、施設運営のみならず、エリアマネジメントの発想に基づく面的な活性化に高い意欲をもっており、中心市街地の活性化に寄与できる」としている。 一方、両施設を取得した日本エスコンは「これまでの多面的な不動産開発のノウハウを生かし、つくば駅前開発を推進していく」とし「つくば駅前という交通拠点の強みと、ペデストリアンデッキでつながる駅周辺街区の回遊性の良さを生かし、地域に根差した開発を行うと同時に、エリアマネジメントを充実させることで駅前地区の活性化とさらなる発展に貢献していく」などとしている。 キュートは2005年3月に開業、敷地面積約9900平方㍍、地下1階地上4階建て。モグは1993年10月開業、敷地面積約1100平方㍍、地下1階地上4階建て。両施設には物販店、飲食店など約110店が入居している。 筑波都市整備は「売却後も、つくばセンタービルの運営など中心市街地の活性化に向け努力して参りたい」としている。

【クレオ再生問題】4カ所の市民説明会終わる

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)再生問題で、市民説明会が14日午後、筑波交流センターで開かれ、計4カ所の説明会が終了した。説明会は9日大穂交流センター、11日茎崎交流センター、14日午前市役所で開かれた。 筑波交流センターでの主なやりとりは以下の通り。 参加者 (立体の)駐車場はどうなるのか。 市長 今ある駐車場は狭い。1区画を広げる工事をしている。駐車料金が高いという問題もあるので買い物すると3時間無料から5時間まで無料にできる。 参加者 再生案はいいと思った。お願いだが、3Dプリンターやいろいろな工作機械が置いてあって1時間いくらで自由に使えるスペースを置いてほしい。つくばならではのものだと思う。小指の先ほどのダイオード(半導体素子)1個もつくばに売ってない。秋葉原に買いに行かないと無い。 市長 クレオの建物ですべてを満たすことは難しい。インキュベーション施設を新しくつくり来年夏にオープンするので、そのような場所に3Dプリンターや工作機械を置きたい。 参加者 (「市が関与すべき」と回答した人が8割だったと広報つくば8月号で発表された)意見募集は圧倒的に学園中心部の回答が多かった。違和感を感じた。 市長 8割あったからそれみろという気は毛頭ない。全域から声を聞けるようにしたい。 参加者 (食品スーパーや雑貨物販店などが入る)1階と2階ゾーンはマーチャンダイジング(商品化計画)まで市が関与していただき質の高いマーチャンダイジングを組んでいただきたい。スマートでコンパクトな社会実験的なものを打ち出してほしい。 市長 どこにでもあるスーパーにしないでくださいという声をたくさんいただいている。単なる商業施設でなくロボットが動き回るような施設を提供していきたい。 参加者 思い切った観光施設をこの中につくっていただきたい。そして、きらきらするバスを1台(筑波地区まで)走らせてほしい。つくば市の将来は研究学園地区が中心になるので、庁舎の近くに2000人入れるホールをつくって、総合運動公園用地には野球場と蹴球場をつくってほしい。 市長 動線をちゃんとつくっていく。子どもたちは上(3~5階)で遊んで、大人は小田に行って、帰りに(子どもたちを)拾って帰るなどの過ごし方もある。筑波大学が最大7000~8000人のアリーナを中心市街地に計画している。アリーナによってとても大きな流れができてくる。陸上競技場をつくってほしいというニーズがあり、9月議会で検討する予算をいただいたので、場所の選定も含めて詳細に検討したい。候補地は廃校跡地になる。 参加者 マンションを建ててはいけない条例をつくば市として作る考えはないか。 市長 どういう形の規制があるのか、あらゆる選択肢を検討している。 参加者 具体的なタイムスケジュールは。 市長 市民や議会に評価をいただいて、出資金の予算をつけたら、11月にまちづくり会社を作って、12月に筑波都市整備に取得のお金を払う。詳細なものを詰めて、改修工事をして、うまくいった場合、2020年の秋ぐらいにできる。 参加者 地元で起業したいとか出店したい人をサポートするシステムが手薄だと感じている。箱モノと同時にそういった人への資金援助などのサポートは考えているか。 市長 スタートアップ戦略のパブリックコメントをやっている。段階に応じて資金を含めいろいろな形の支援を検討している。 参加者 これだけの支出をして市の財政が回るか大変心配。大穂にある空き地(旧総合運動公園用地)を早く整備してほしい。マンションを建ててつくばの人口を増やせば消費が伸びると思う。 市長 この事業をやったから税金が上がるというのは絶対にない。他の予算を削って回すのでもない、貯金を崩してやる。運動公園跡地はいろいろな形で調査している。方向性を迅速に出していきたい。

【クレオ再生問題】170人が参加 抵当権の指摘も 市役所で説明会

【鈴木宏子】つくば駅前の商業施設クレオ(筑波都市整備所有)再生問題で、市による市民説明会が14日午前、つくば市役所で開かれ、約170人が参加した。幼い子ども連れの姿も見られた。9日の大穂交流センター、11日の茎崎交流センターに続いて3回目の説明会となる。 五十嵐立青市長は「今、何も関与しないとクレオはマンションになる。一等地がマンションになると周りの公務員宿舎が売れなくなる」と危機感を強調し、新たに、テナントの入居交渉について、ディスプレイデザイン会社大手の乃村工藝社(東京都港区)が行っており「(入居交渉の手応えは)ひじょうにいい反応だったということだった」と話した。 主なやり取りは以下の通り。 参加者 同じ子ども向け施設のつくばエキスポセンターとの関係はどう考えていくのか。うまくいかないときのプランBは考えているか。 市長 エキスポセンターは30年前につくられた。今の最先端の科学技術を紹介したり、子どもたちを引き付けるかというとちょっと方向性が違う。質が違うものになる。(テナント)の入居率を95%で設定している。リスクは広くみてプランを組んでいる。 参加者 市が出資するまちづくり会社への市の関与が強くなりすぎることを懸念している。(青森市が第3セクターで運営した駅前再開発ビル「アウガ」が失敗したのは)早く失敗を認めて何らかの対応をとればよかったが、政争の具になってしまってずるずる引っ張ったからだ。市の関与が強くなり過ぎることがないようにきちんとしていただきたい。 市長 ずるずるいくようなことはしないことをしっかり決めていきたい。 参加者 きょうの説明を聞いて安心した。乃村工藝社だとか(市が出資者を打診している)ミント機構(民間都市開発推進機構)とか実績のあるところと連携していて安心した。 市長 マンションに固定化されると手も足も出ない。時代のニーズに合った経営をしていくためにもまちづくり会社である必要がある。 参加者 マンションで賛成だ。TXのすばらしい駅があり、つくば駅前のマンションは価値が違う。 市長 私はマンション廃止論者ではない。この場所はマンションがだめだということだ。 参加者 個人的には(再生案に)消極的な立場だ。西武、イオンが撤退したのは(立体駐車場なので)平置きの駐車場ではないからだ。アクセスの対策が行われなければ家賃を安く見積もっても大丈夫とはいえない。(まちづくり会社の)出資割合が大きいサイバーダイン社に家賃を安くして貸すのであれば間接的な助成になるのではないか。つくば市は(まちづくり会社の出資金50億円のうちの)20億円で過半数ではない。市がイニシアチブをどうとるのか。民間企業の意向が(まちづくり会社の運営に)反映されてしまう。 市長 立体駐車場は1台当たりの駐車スペースを広げる工事をしている。(購買者が無料駐車できる時間は)3時間から5時間程度無料になっていく。(再生後の施設の)賃料は適正な金額で貸し出していく。つくば市の出資は4割だが筆頭株主になる。4割は単独で否決権をもつ。 参加者 (1階に置く予定の)食品スーパーは周辺にマンションをつくって人口を増やさないと採算が合わない。一定の条件でマンションを作る必要ある。(隣接の)ライトオンつくば本店ビルはタカラレーベンに売却された。ここをマンションにしない方策は考えているのか。(市長は)財務内容がいいとおっしゃるがサイバーダインは(損益が)赤字会社だ。クレオに抵当権が150億円ついている。整理の見通しは立っているのか。 市長 ライトオンに今入っている企業はオフィスとして入っている。ライトオンの社長とも話をして、マンションにはしないという話はいただいているが何が起こるか分からない。サイバーダインは研究開発を先行させているので赤字だが、中堅企業の中では一番お金を持っている。状況によって、いかようにもなっていく見通しをサイバーダインはもっている。(所有者の)筑波都市整備がクレオとモグ、キュートの三つを売りたい話がある。(三つが)共同担保になっている。クレオの担保をはずすことは十分に可能だろうという話になっている。 参加者 TXを使った集客が大事。電車をつかって県外から来てもらう魅力を発信することが重要。 市長 つくばに行ってみようと思われるようなシティプロモーションはこれまでなかなかされてこなかった。今、一から見直している。 参加者 きょうの話でいろいろなことが分かってすっきりした。市長は2階部分がつくば市の1丁目1番地と言ったが、電車で来たとき1階の角のところが1丁目1番地になる。そこに温浴施設があるのはもったいない。インフォメーション施設をつくってはどうか。 市長 駅からの動線を含めて案内機能を考えていきたい。 参加者 (つくば駅周辺の)建築の用途制限をすべき。クレオは減価償却をやると価格はどのくらいあるのか。5年先、10年先に事業計画が困難になるのであれば、イオン棟側だけセットバックしてマンションとして建てるのはやむを得ないのではないか。 市長 どういう規制の可能性があるのか検討している。減価償却と保証金は民間企業の経営に関わることなので開示は難しい。イオン棟を既存のまま使っていくことが必要。マンションが建ってない街区は4街区しかない。 参加者 基本的には賛成だがいくつか心配している。センタービルとの関係はどうなるのか。筑波都市整備はまちづくり会社だが、(新たにつくる)まちづくり会社との違いは何か。 市長 センタービルは中心市街地のビジョンに紐付けて戦略をつくっているところ。クレオと役割分担しながら。エリア全体として再生させることに力を入れている。筑波都市整備は本来まちづくり会社だが、建物の管理が中心になった。今度のまちづくり会社は主体的に動いていく。 参加者 方向性は共感するが、具体論に入っていくと、まちづくり会社の出資会社にサイバーダインが入っていることが疑問。本業とは違うところに出資することになる。市民から出資を募ってはどうか。エキスポセンターがあるのになぜ子供の施設をつくるのか。既存の施設をもっと活用するようなハブの役割をすべき。(1階に予定している)温浴施設も周辺にある施設を活用すべき。 市長 出資はこの形で限定ではなく増資もある。市民が主体的に関わっていく仕掛けを作っていくことも必要。エキスポセンターと食い合うことはない。温浴施設は、つくば駅から筑波山の登山に行く人がある。周りのものを食うのではない。 参加者 概ね賛成。モグ、キュートがマンションになってしまうと再生案が瓦解してしまう。将来の取得を含めて何とかできないか。 市長 規制を具体的に検討しているので、そういう中で、(民間が)買ってもマンションにできない方向性をつくっていきたい。 参加者 市の中心のクレオに、市民活動総合センターをつくるという話があった。それが消えてしまった。 市長 市民活動センターは箱としてはずかしい。移転をさせないといけないと思っている。移転先だが、すべての機能をクレオに盛り込むのは難しい。市民活動センターは重要なので私の意志として必ず移転させたい。 参加者 まちづくり会社の情報を十分な開示していく必要がある。 市長 当然開示しないといけない。 参加者 (市が5階にテナントとして入居させる)子ども科学図書館は市が家賃を払うが、ほかはきちんと家賃をとれるのか。 市長 当然、黒字にしていくことが重要。利益を出すバランスと公共性とのぎりぎりでパズルを組み合わせてつくった。すべてのテナントから家賃をとる想定で考えている。 参加者 家賃を安く設置できるのは、古くなった建物を安く買うからか。あまり安く借りられると周りのモグとかに入っている企業が不満に思う。 市長 先を見据えた形でできることを誘導していく。 参加者 中高大学生にアンケートとったらどうか。 市長 先週の金曜日に小中学校に(再生案について説明した広報紙の臨時号を)配った。若い世代の声をたくさん出してもらえればいい。 参加者 ほとんど賛成だが、気になるのは温浴施設の水。地震とかあったときにクレオの耐久性は大丈夫か。 市長 大規模改修の必要なく動かしていける判断している。対応可能だと思っている

《映画探偵団》12 市のクレオ計画 サスペンス映画の手法

【コラム・冠木新市】千葉県にある東京デイズニーランドが開園して35年。同じく、つくばセンタービルができて35年。デイズニーランドの祝賀ムードに比べると、センタービルを祝うのはオークラホテルのみと、かなり寂しい状況だ。同じエリアでも、つくば市にとってはクレオ再生が最重要課題のようだ。 市は「広報つくば臨時号」を発行して、急激にクレオへの関与を市民にアピールしてきている。早く関わらないと、今年中に筑波都市整備がクレオを売却し、センター地区内外に建設されるかも知れないマンションも売れなくなると警告を発する。 情報を小出しに、タイムリミットを設け、説明会は短期集中でたたみかける。これはサスペンス映画の手法そのものである。 ふと気付けば、市のキャッチコピーも「つくばホンモノ」から「世界のあしたが見えるまち。TSUKUBA」に。イメージキャラクターの「ツクツク」は姿を見せなくなり、「フックン船長」単独出演となり、「つくばセンター地区」の名称も「つくば中心市街地」に変化した。「つくばセンター地区活性化協議会」も「つくば中心市街地活性化協議会」に変わるのだろうか。 デイズニーの未来型都市 それにしても、「つくば中心市街地まちづくりヴィジョン」の軽さと比較し、「広報つくば臨時号」のクレオ再生にかける市の思いは熱く、落差を感じる。ヴィジョン発表時には市が関与する意思は固まっていたのだろう。あの時、素直に発表すればよかったのにと思う。 NHK『BS世界のドキュメンタリー・ウオルト・デイズニー』(2015)という番組があった。ウオルトは「デイズニーランド」を構想するが、身内やスタッフが猛反対する。で、秘密裡に準備を進める。そして建設資金をTV局から引き出すため、美術係に綿密なイメージ画を急きょ描かせる。 しかし、TV局は遊園地の計画に関心を示さなかった。その後、ウオルトは「デイズニーランド」を実現し、次はフロリダに「エプコット」という実験的未来型都市をつくろうとする。今度もウオルトは大企業の研究所を誘致するため、巨大なイメージ画を描き、プレゼン用の映画を製作するが急死してしまい、計画は幻に終わる。 10数年前、ある大学の先生から「筑波研究学園都市は、デイズニーの未来型都市をモデルにつくられた」という話を聞いた。二の宮の洞峰公園休憩所には、巨大な銅板の研究学園都市の地図が飾ってあるが、なるほどよく似ていると思った。 ただ、「エプコット」の中心は塔のような高層ビルだが、「つくばセンター地区」の中心は空洞と石の塊だ。つくばは東京の北東の方角にあるから、設計の磯崎新が鬼門封じのために空洞と石の塊を設置したのではないか。そんな「つくばセンタービル」に私は愛着を感じる。 さて今後の予測だが、ママさん世代を味方に計画を進める市側と、周辺地区の高齢者の支援を受け反発する市議会議員側と、子育てを終えどっちつかずの市民側との論争が巻き起こるに違いない。何はともあれ、「つくばセンター地区」が活発化してきた。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

【緊急特集クレオ再生問題】市の案に問題点指摘相次ぐ 9日市民説明会スタート

【鈴木宏子】百貨店などが撤退し今年2月から閉鎖されているつくば駅前商業施設クレオ(筑波都市整備所有)の再生問題で、つくば市による市民説明会が9日から同市筑穂、大穂交流センターを皮切りに始まった。約50人が参加し、「出資もテナントもサイバーダイン1社に頼っていいのか」「なぜクレオが優先なのか分からない」など問題点を指摘する意見が相次いだ。 再生案について五十嵐立青市長は、つくば市が20億円出資するまちづくり会社などをつくって、クレオの土地と建物を取得し、71億円かけて子どもたちが遊びながら科学を学べる体験型商業施設に再生する案を示している=9月28日付け。 説明会は回数を増やし計4カ所で開催される。今後は▽11日午後6時~、茎崎交流センター▽14日午前10時~、市役所▽14日午後3時30分~、筑波交流センターで開かれる。 大穂交流センターでの主なやり取りは以下の通り。 参加者 (市の再生案の)ターゲット層が見えない。(例えば書店が入るとあるが)書店の特徴が見えない。 市長 子どもを基点に各世代が楽しめる施設にする。(市が示した)こういう組み合わせが最も効果的で可能性がある。(配置するテナントは)これまでのアンケートに基づいている。 参加者 (クレオ再生案について書かれた広報つくば臨時号が新聞折り込みで配布されたため)臨時号が手に入らない人がいる。まちづくり会社と建物を保有する特定目的会社の2つをつくるというあるが、事業スキームが分かりにくい。 市長 (臨時号を読めないという)おしかりをたくさんいただいているので子どもたち経由で渡せないか検討している。2つの法人をつくるのは税制上の優遇を受けられるため。 参加者 出資もテナントもサイバーダインに相当頼っている。1社に頼っていいのか。 市長 サイバーダイン(などがつくる投資会社)はキャッシュを300億円もっている。 参加者 つくばセンタービルがかなり空いている。磯崎新がつくった建物だ。なぜ優先度としてクレオなのかが欠けている。 市長 筑波都市整備は急に3棟(クレオとキュートとモグ)を売りたいと言っている。全棟マンションにしてはいけない。クレオとつくばセンタービルは双子のような施設。クレオが固まらないとちぐはぐになる。 参加者 子どもをターゲットに置くのは甘い考えだ。子どもたちが動いて親が動くのを期待するのは古いモデル。子どもが少なくなり競合にさらされる。年配者が再チャレンジする場とするコンテンツを増やしてはどうか。 市長 (再生案は)教育を柱にしている。教育には皆お金を使う。研究者OBが活躍する場を3、4階につくっていきたい。 参加者 子ども向け施設だと平日の日中利用する人は少ない。中心部は十分恵まれている。周辺部は公共サービスが足りていない。税金でやる事業の場合、一等地でやるのは理解が得られない。 市長 平日の日中は考えていきたい。中心市街地は公共サービスが根本的に欠落している場所だ。 参加者 食品スーパーとあるが同じようなスーパーでなく高級スーパーに入っていただきたい。 市長 中身はこれからいろいろ工夫していきたい。 参加者 市役所のサテライトオフィスをつくって情報発信するスペースや、市長と市民が同じ目線で議論できる機能がほしい。 市長 6階のミニシアターで市が取り組んでいることを紹介したり、トークショーなどができると期待している。 参加者 クレオが商業施設として不良物件になったのは立体駐車場であるという内的要因がある。車で行きやすいかどうかが命運を決する。つくばセンタービル付近は駐車場がどんどん減っている。(市の再生案は)ゲームチェンジャーにはならない。 市長 (立体駐車場の)1区画を広くする工事をしている。相当止めやすくなる。無料時間を延長する交渉をしていく。 参加者 企画書はひじょうによくできていて、説明は丁寧でよかった。 市長 つくば市の市街地のまちづくりは国とURがやってきた。市が主体的に動くタイミングは今しかない。今やらなければ行政として責任放棄だ。 参加者 筑波都市整備が民間事業者に売却した場合、民間事業者は旧西武側に商業施設と公共施設を計画していると解釈してよろしいか。 市長 ご指摘の通りだが、市の意向をまったく無視している。マンションが建つ建物に多額の投資をしていくことはできない。 参加者 20億の出資というのは市民1人当たり1万円負担になる。テナントに出ていかれるリスクを市が背負わない方がいい。クレオ1棟で中心市街地の問題は解決できない。無理に急がない方がいい。 市長 空き室率を5%に設定している(固く見積もっている)。

《映画探偵団》11 クレオ再生調査 市は方向性を誘導

【コラム・冠木新市】「広報つくば」9月号のトップ記事は「クレオの再生を検討しています」。7月29日から8月15日まで実施した「クレオに関する意見募集の結果(速報)」が出ている。回答者数は1,242件。そして「クレオのあり方」「市の関与の是非」の結果グラフの下に、小さな文字でコメントがある。 「約8割の方が商業施設を、約5割強の方が公共施設を選択」「約8割の方が『負担額にもよるが、一定の財政負担をしても市が関与すべき』と回答」とある。すでに方向性は決定したとの印象を与えかねない、見事な誘導テクニックだ。 「クレオのあり方」では、「その他」が19.2%。「市の関与の是非」では、「市場動向に任せ、市は関与すべきではない」が18.3%と、共に2割弱を占める。 「回答者の属性」の「つくば駅周辺の来訪頻度」では、年に数回が34.7%、ほとんど行かないは12.6%、行ったことがないは2%で、計49.3%がつくば駅周辺にあまり足を運んでいない。つまり、回答者の半分がセンター地区にそれほど行かない人たちなのだ。 さらに、回答者のうち、30歳代と40歳代が63.4%を占めるが、50歳代~70歳代は19.4%と少ない。国も企業も警察もデータを偽造する昨今、私は市のデータを信じてはいるが、調査期間の短さと回答者世代の偏りが気になる。 私は、クレオ再生は所有者の筑波都市整備に任せるべきだと考える。つくばセンター地区(中心市街地の名称にはまだなれない)には、調査費用をかけないで再生活性化を考える場所がいくつもあるからだ。 F・ダラボンの『マジェスティック』 他人所有のクレオよりも、つくば市管轄で35周年を迎えたセンタービル中心部の活用再生を優先すべきと思っている。再生とは何か。フランク・ダラボン監督の『マジェスティック』(2001)にそのヒントがある。 ハリウッドB級映画で脚本家デビューしたピーター(ジム・キャリー)は、赤狩り対象リストに上がり、泥酔し、車の運転ミスで川に落ち、記憶をなくす。たどり着いた町でピーターを見た人は、「戦争に行ったルークが10年ぶりに戻った」と皆驚喜する。 その町では68人の若者が戦死した。失意の親たちは、ルークの帰還に息子の姿を重ねる。ルークの父親は閉鎖した映画館マジェスティックの館主で、ルークと映画館の再生を計画。これを町中の人が応援し、活気を取り戻す。 再生した映画館でルークは、自分が書いた脚本の作品を見て、記憶を取り戻す。これが前半部分である。後半は赤狩りをめぐる話となる。 映画館マジェスティック再生は、町民の共通の思いを掘り起こす、心の再生に他ならない。 センター地区の再生に名乗りを上げるのは誰なのか。再生する場所はどこなのか。私は、50歳代から70歳代の人々であり、アイアイモールに囲まれたセンタービルの何もない空間と考えるのだが、いかがなものであろうか。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

《映画探偵団》10 つくばセンター地区 実証実験の要

【コラム・冠木新市】つくば駅を中心に東西南北の道路に囲まれた長方形の場所を「つくばセンター地区」と呼んでいる。しかし、昨年あたりから「中心市街地」との表現が多用され、現在では2つの名称が入り混じり、紛らわしい状況である。 そんな中、つくばセンター地区の中央公園で継続的な賑わいや魅力向上のための実証実験が8月からスタートした。「つくば市学園地区市街地振興室」が活動の主体のようで、内容は3つある。 1 てぶらでバーベキュー:8月4日~9月30日の土日祝日、10:00~17:00。利用料2,000円。公園脇の道路沿いの林の中で、計19回実施予定。 2 まちなかカヌー体験:8月4日~9月30日の土日祝日、10:00~16:00。利用料500円(30分)。市民ギャラリー横の人工池で行われる。 3 じゃぶじゃぶ水遊び:レストハウス北側の広場と池を子どもたちに開放する。 私は、8月4日(土)、筑波学院大学コミュニティカレッジ『芸者文化史Ⅱ/水辺の花街の構造』の講義終了後、猛暑の中央公園を歩いてみた。元気に水遊びする子どもたちがいた。カヌーは5艘のうち1艘が動いていた。バーベキューはテーブルが30席用意されていたが、3組が楽しんでいた。 翌日も団員と行ってみた。バーベキューを楽しもうと思ったからだ。手ぶらで行ったが、実は材料は持ち込みで、場所と道具を借りるシステムだった。「てぶら」は誤解を招くタイトルだ。テーブルは5席に減っていた。企画運営はナムチェバザールというアウトドアグッズの会社だった。ちなみに、カヌーは2艘動き、水遊びに子どもはいなかった。猛暑が原因だろう。 「バグダッド・カフェ」 私がこのイベントを知ったのは、「つくばセンター地区活性化協議会」の『打ち水遊びで夕涼み』のチラシである。表には「公共空間活用実証実験つくばペデカフェプロジェクト」とあり、協力はつくば市生活環境部。チラシの裏に中央公園の企画が載っていた。いろいろな組織がセンター地区活性化の実験を重ねている。 強烈な日差しを浴びて歩いていたら、映画『バグダッド・カフェ』(1988)の冒頭シーンが蘇った。アメリカのルート66の砂漠の車道をドイツの中年女性がトランクを引きずって歩く。画面は黄色っぽく、時々暗くなったり明るくなったり。カットのつなぎも予想を裏切る。 灼熱の画面が続くが、何故かさわやかな空気が流れる。それは、夫と喧嘩別れしたドイツ人女性と、自分勝手な家族に年中わめいているカフェ兼ホテル経営者の黒人女性とが、徐々に心を通じ、仲良くなるお話だからだ。 後に作られた「完成版」は説明し過ぎで、「ディレクターカット版」では原色の色彩が普通になっていて興味半減だった。だが、しかし、実験映画といえる名作だった。 私は妄想する。センター地区には13軒以上のカフェがある。それぞれが実験をしたら面白いことになる。実証実験の要は、仲良く連携することだと思う。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

つくば駅前でバーベキュー、カヌー体験を 中央公園に8、9月オープン

【鈴木宏子】つくば駅に隣接するつくば中央公園(つくば市吾妻)に、バーベキュー場、カヌー乗り場、水遊び場が8、9月の2カ月間、期間限定でオープンする。 西武筑波店などが撤退し中心地区のにぎわい創出が課題となる中、公園など公共空間を活用して小さな取り組みを数多く実施し魅力を高めていこうという同市の中心市街地プレイスメイキング事業の一環。年間事業費計約900万円で実施する。 バーベキュー場は、公園南西の樹木に囲まれた約700平方㍍に土日祝日のみオープンする。6人掛けのテーブルと椅子、バーベキュー用グリルを10セット配置し、食材と飲み物、食器などを持ち込めば体験できる。飲酒も可能という。市の公園では火の使用やバーベキューは禁止しているが、実証実験として実施し、他の公園利用者や周辺への影響、採算性などを調査して、来年度以降も実施するかどうか検討する。 カヌー乗り場は約6500平方㍍の大池に設置し、一人乗り用5台を用意。初心者でも指導員がこぎ方を教えてくれるという。 水遊び場は、6、7月に大池西側のステージ池約680平方㍍の水を抜いて底を洗浄し、水を入れ替えて、深さ10㌢程度の水遊び場にした。9月末まで毎日、無料で遊べる。 市は7月10日、同駅周辺の事業者で組織する「つくばセンター地区活性化協議会」(会長・石原孝筑波都市整備社長)と、同駅前の商業施設キュートに出店するアウトドア用品店「ナムチェバザール」(水戸市・和田幾久郎社長)の3者による地域連携協定を締結した。今回は協定に基づく第1弾の取り組みで、バーベキューとカヌーは、市がナムチェバザールに委託して運営する。 オープンを前に3日、五十嵐立青市長が中央公園でバーベキューとカヌーを体験しPRした。五十嵐市長は「パブリックスペースを活用することで、まだまだできることはたくさんあるので、いろいろな資源を活用していきたい」と話し、ナムチェバザールの和田社長は「あるだけでなく、どう使うかで価値を高めていくつくば市の考え方に賛同し、積極的に取り組んでいきたい」と話した。バーベキューの予約は3日時点ですでに半分ほど予約が入っているという。 ◆バーベキュー場は土日祝日の午前10時~午後5時まで開設。料金は1テーブル(6人まで)2000円▽カヌーは土日祝日の午前10時~午後4時。小学4年生以上が対象で、料金は1人1回30分で500円▽水遊び場は9月末まで毎日利用できる。問い合わせは電話029・225・8848(ナムチェバザール)、またはつくば中央公園アウトドア体験2018ホームページ(https://peraichi.com/landing_pages/view/tsukubapark2018)へ。

桜川水害対策は? 洪水想定を昨年見直し 面積1.75倍に拡大

【鈴木宏子】200人を超える死者を出した西日本豪雨から3週間が経った。地元の土浦、つくば市などを流れる桜川の水害対策は今どうなっているのか。常総市などに甚大な被害をもたらした2015年の鬼怒川水害を教訓に、桜川の対策は3年間でどこまで進んだのか。 桜川を管理する県によると、鬼怒川水害などを教訓に昨年9月、桜川の洪水浸水想定区域が大幅に見直され、想定区域は見直し前の1.75倍に大幅に拡大された。洪水発生前に住民を確実に避難させ逃げ遅れをなくすための具体的な対策の検討は始まったばかりだ。 昨年見直されたのは霞ケ浦に流れ込む河口から桜橋(土浦市田戸部とつくば市栗原)までの下流10キロ区間のみ。10キロより上流については、まだ堤防が整備されていない箇所があるなど未整備のため、見直しまでに至ってないという。 見直し前は30年に一度の48時間246ミリの降雨を想定していたが、見直し後は、考えうる最大の雨量として、3倍の48時間746ミリを想定した。7月の西日本豪雨では高知、徳島、岐阜、長野県内など8カ所で746ミリを超える総雨量を実際に記録しており、起こりえない数値ではない。 見直し前の下流10キロの浸水想定区域は16平方キロ。見直し後は、1.75倍の28平方キロに広がった。中心市街地一帯が浸水想定区域になる土浦市は、見直し前は、常磐線の線路の東側は浸水が想定されてなかったが、見直し後は線路も東側も浸水すると想定されている。市役所、消防本部、警察署も浸水想定区域内に立地する。水の深さも見直され、見直し前は2階に避難すれば助かるという想定の深さだったが、見直し後は2階天井付近まで浸水すると想定された区域もある。 下流の暫定整備は完了 見直しに伴ってハード面の整備はさらに強化されないのだろうか。県によると桜川は、霞ケ浦圏河川整備計画に基づいて下流10キロ区間の堤防整備や川底の掘削などの暫定計画はすでに完了しており、ハード面をさらに整備する予定は当面ない。今後おおむね30年間でさらに川底を掘削し流量を現在の1.6倍にするという将来計画はあるが、現時点でいつになるか具体的見通しは立たないという。 河口から10キロより上流に堤防が未整備の区間があるため、県は現在、築堤のための用地買収を進めたり、樹木が茂って流れを妨げている箇所は樹木を伐採などしている。ただしハード面の事業費は年間数千万規模だという。 「逃げ遅れなくす」はこれから 15年の鬼怒川水害のほか、16年に岩手県の高齢者施設で入居者が逃げ遅れた台風被害を教訓に、国は減災のための治水対策を見直した。桜川の洪水想定区域の見直しも、国の水防災意識社会の再構築に向けた緊急行動計画などを受けて動き始めた。 桜川では昨年1月に関係市、県、気象庁による県管理河川県南(土浦)ブロック減災対策協議会を設置し見直しが進んでいる。「逃げ遅れによる人的被害をなくす」「地域社会機能の継続性を確保のする」の二つを21年度まで5年間で達成することを目標に据える。ハード面では堤防が未整備の上流区域の早急な堤防整備、ソフト面では地域住民との情報共有や福祉施設入所者の確実な避難をどう実現させるかなどが課題とされる。 昨年の洪水想定区域の見直しを受けて土浦市は、今年度当初予算に洪水ハザードマップの見直し約380万円を計上、今年度中に新たなマップを策定し、全戸に配布する予定だ。見直し前のマップは、浸水想定区域に1万4013世帯、3万5794人が住むとされ、洪水時の避難所として24カ所を指定した。見直し後の世帯数や人口がどうなるかは現時点で未定だ。市役所が浸水した場合、現在、市保健センターがある下高津に災害対策本部機能を移動するという。避難所まで距離があることも課題だ。 一方つくば市は、見直された洪水想定区域に基づいて今年3月までに新たな災害ハザードマップを策定し全戸に配布した。住民の逃げ遅れをなくすなど対策はこれからになる。

「土浦音頭」響かせたい 七夕に7カ所で街頭公演 桜川芸者学校

【鈴木宏子】土浦の名所や風物を歌った昭和初期の新民謡「土浦音頭」を街中に響かせたいと、七夕の7日、同市の中心市街地7カ所で「粋な七夕まつり」が催される。土浦の歴史や文化を掘り起こしまちおこしをする演劇公演「桜川芸者学校」の出演者らが、当時、土浦で一番人気だった芸者、君香の物語を展開しながら、街頭7カ所で土浦音頭を舞い踊る。 正午ごろ土浦駅前をスタート、中心市街地を下り、土浦音頭に歌われた土浦城(亀城公園)に向かう。7カ所は▽土浦市役所うらら大屋根広場(正午ごろ)▽アルカス土浦1階入り口(午後0時30分ごろ)▽古書店「つちうら古書倶楽部」店内(1時ごろ)▽モール505野外ステージ(1時30分ごろ)▽土浦名店街(2時ごろ)▽古民家カフェ「城藤茶店」店内(3時30分ごろ)▽亀城プラザ前(4時ごろ)と市立博物館前(4時30分ごろ)。 つくば市の脚本家、冠木新市さん(66)が代表を務めるまちおこし団体「スマイルアップ推進委員会」が主催する。冠木さんらは2016年、土浦音頭を掘り起こし、亀城公園前の古民家カフェ、城藤茶店(同市中央)で土浦音頭をテーマにした演劇公演を開催し、新たな踊りで復活させた。 今年5月、土浦音頭がCD「日本の名城を唄う」(日本コロムビア発売、税込2500円)に収録され発売された(https://newstsukuba.jp/?p=6423)のをきっかけに、もともとあった中心市街地7カ所で公演する構想を実現させる。 土浦音頭は昭和初期に、土浦芸者組合の関係者らが、下妻市出身の詩人、横瀬夜雨に作詞を依頼して制作した。当時の名妓、君香がSPレコードに歌を吹き込み、東京の三越や松坂屋ホールなどで踊ったとされる。君香はその後突然、芸者を引退し、土浦でワカサギを売り歩いたり、東京に闇物資を運ぶ担ぎ屋となって働き、1943年結核で死去した。7カ所の街頭公演では、君香の人生の断片が少しずつ明かされるという。 冠木さんは「これをきっかけに、駅前だけでなく土浦の中心市街地に人の流れができれば」と話す。 ◆7日(土)の街頭公演はいずれも観覧無料。雨天決行。詳しくは電話090-5579-5726(冠木さん)。

レストラン街から飲食店すべて撤退 つくばセンタービル

【鈴木宏子】つくば駅近くのつくばセンタービル(同市吾妻)1階のレストラン街、アイアイモールから22日、飲食店がすべて撤退した。同日、最後に残ったそば店「一成(いちなる)」が閉店。閉店を惜しむ馴染み客らが最後のそばをすする姿が見られた。 同ビルでは今年5月20日、1983年の同ビル開業と同時に開店したピザチェーン店「シェーキーズ」が閉店、続いて同月末、スペイン料理店「ボンド」が閉店し、「一成」が最後に残っていた。 同ビルを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると、現時点で新たに入居を予定している店舗や事務所などはないという。同市では、中心市街地の求心力の低下が問題になっていることから、今年度、市が同センタービルの在り方を検討する調査を実施する。同都市整備は「その中で、どうあるべきか考えたい」と話す。 かつて「どの店も行列」 閉店について、一成を運営する一成フードサービスの成山正樹社長(53)は「さびしい限り」と語る。同店は24年前の1994年にオープンした。当時センタービルに空き店舗はなく、どの店も行列ができていた。当時、成山社長は20代で、厨房に入ってそばを打ち、現在の味を完成させた原点が同店だったという。人通りが少なくなった原因については「隣接した場所にたくさんあった駐車場がマンションや商業施設、業務ビルになり、アクセスが悪くなってしまったのも一因ではないか」と話す。 近くに勤務し昼食を食べに来たという牛久市の男性会社員(57)は「月1回必ずセンタービルに来てシェーキーズに立ち寄っていた。一成も今日で閉店になると知ってびっくりした」と述べ、職場の同僚3人で来た男性は「無くなると困ります」と話していた。 新たな在り方 市が調査 同センタービルは日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計により建築された。同都市整備の小林睦営業部長は「建てられた当初はつくばの中心の中の中心だったが2009年に常陽銀行、10年に筑波銀行が撤退したころから役割が変わってきた。つくばエクスプレスが開通し、新しい商業施設ができ、人の流れが変わってきた」とし「つくば市から、センタービルの役割を見直してはどうかと言われている。私たちもそうだろうと思うので、その中でこれから何が必要か考えていきたい」とする。 市は中心市街地の活性化を検討する一つとして、同ビルの在り方を検討する調査を7月から来年3月まで約470万円かけて実施する。センタービルの施設や設備の現状、周辺の公共施設との関連、市場性などの基礎調査を実施。同市学園地区市街地振興室は、調査結果をもとに今後の在り方を改めて検討したいとしている。

《映画探偵団 》8 市街地ヴィジョン(案)の裏を読む

【コラム・冠木新市】5月20日(日)、つくばイノベーションプラザで『つくばまちづくりシンポジウム―中心市街地のヴィジョンを考えよう―』(つくば市主催)が開催された。若い女性は少なかったが、場内は100人で満席だった。知人は、市職員が多いと言っていたが、市民活動家や市議の姿も目立った。 配布資料は「つくば中心市街地まちづくりヴィジョン(案)世界のあしたが見えるまち」というA3用紙1枚。そこには「リラックス×遊び心」「科学技術の恩恵×新たな価値の創造」「ローカル×持続可能性」の3項目の下に、<イメージ>として、それぞれ5つの願望と小イラスト5点、計15のカットがあった。選挙公約風の印象で具体的な内容はなかった。 五十嵐立青市長は「このヴィジョンは第1段階です。第2段階は目標設定と戦略、第3段階はマスタープラン発表となり、実行は秋ごろから」と語っていた。2017年7月にまちづくりアドバイザーが就任して、ほぼ1年が経過した。本当にこれだけなのか。何か裏があると思えてならなかった。 今年、開業35周年記念を迎えたオークラホテルのパンフチラシ『オークラつくば』(vol.27)には、『お祭り騒ぎスケジュール』として、来年3月までのレストランとイベントの企画が目白押しで載っている。 さらに「2019年もつづきます!」とのコピー。また、地元団体とタイアップして新たな行動計画策定中とあり、筑波大学応援イベント企画、社会貢献活動が具体的に示され、意気込みが伝わってくる。6月中にアイアイモールの最後の飲食店「一成」も閉店予定の中、応援したくなるヴィジョンとなっている。 スピルバーグ監督「未知との遭遇」 ヴィジョンで思い出すのは、スティーブン・スピルバーグ監督の作品『未知との遭遇』(1977年公開)である。UFOを目撃した市民が一様にあるイメージを受け取る。1人の女性は、そのイメージを何枚もの絵に描いていく。それは巨岩のような山のような奇妙な形である。後で、デビルズタワーという実在する岩山だと分かる。そのイメージに突き動かされて市民が岩山めざして集まってくる。ヴィジョンとは人々の行動を刺激するものである。 自分だったらヴィジョン(案)をどう表現するか考えた。人は謎を好み得体の知れないものに興味を抱く。松見公園の展望塔、エキスポセンター、ノバホール、筑波銀行前の時計台、さくら大橋、大清水公園、国際会議場などに隠されたピラミッド群をイラスト化し、説明を省略してヴィジョン(案)とするだろう。 後日、団員たちに市の配付資料を見せて感想を求めたところ、口の悪い団員が「餡(あん)のないアンパンですな」と返ってきた。 私はハッとした。今回のヴィジョン(案)は内容の無さをさり気なく隠し、発表と実行を先延ばしすることで市民の心を刺激、まちづくりへの参加へと誘導しようとしたのではなかろうか。そうだとしたら、遊び心に満ちた凄いヴィジョンと言えるかも知れない。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

CD「日本の名城」に土浦音頭が収録

【鈴木宏子】5月23日発売されたCD「日本の名城を唄う」(日本コロムビア発売、税込2500円)に、土浦城跡(現在の亀城公園)などを歌った「土浦音頭」=メモ=が収められた。霞ケ浦や桜川などの名所や風物を歌った新民謡で、昭和初期に下妻市出身の詩人、横瀬夜雨が作詞した。戦後活躍した歌手、照菊が歌う。1960年代後半に発売されたレコードが音源で、半世紀ぶりにCDでよみがえった。 土浦の歴史や文化を掘り起こしまちおこしに取り組むつくば市の脚本家、冠木新市さん(66)らが2016年9月、亀城公園前の古民家カフェ、城藤茶店(同市中央)で土浦音頭をテーマにした演劇公演「桜川芸者学校」を開催し、新たな踊りで復活させるなど注目された曲だ。 CDは日本の城と、城にまつわる武勇伝や悲喜劇などを歌った全17曲の歌謡曲集で、美空ひばりの「千姫」、村田英雄の「白鷺の城」などと並んで、17番目に収められている。小唄調で、照菊が格調高く歌い上げている。 16年の公演に出演し新たな踊りを復活させた国際美学院(つくば市)の恩田鳳昇学院長(86)が、日本コロムビアの振付専任講師を務めていることから、公演後、同社幹部らに土浦音頭をPRした。今年1月には静岡県熱海で開かれた同社の新年会で、当時公演した桜川芸者学校のメンバーが、全国から集まった振付専任講師らを前に同曲の踊りを披露するなど印象付けた。 同CDを企画した同社伝統邦楽ビジネスユニット特別顧問の吉田輝之さんは「歴史やお城に興味を持つ若い女性が増え『お城ブーム』と言われる中、名城を集めて一枚のCDを作りたいと企画した」と語り「全国のいろいろなお城を探り、関東で名城がないか探していた中、今は建造物がほとんど残されてないが、城にまつわる歌が残っている土浦音頭を取り上げてみようということになった」と選定の理由を話す。 恩田学院長は「まさかCDに入るとは思わなかった。うれしい。土浦のお役に立たせていただければ」と話し、土浦音頭を掘り起こした冠木さんは「土浦音頭がようやく知られるようになり、公演して良かった。踊りたいという若い人が出てくれれば」と述べ「土浦は新しいものと古いものが融合するまちなので、中心市街地で土浦音頭の踊りを披露したい」と話している。 7月7日と16日に披露 CD収録を祝って7月7日、16年に公演した桜川芸者学校の出演者らが「粋な七夕まつり―土浦音頭で愛の夜明けを」と題し、土浦市中心市街地の7カ所で、演劇を織り交ぜた土浦音頭の踊りを披露する。街頭で前触れなく踊るフラッシュモブ風になるという。さらに同16日、筑波銀行つくば営業部(つくば市竹園)で開催される舞踊イベント「チャリティー真夏の饗宴」(国際美学院、つくば舞踊研究会主催)でも披露する予定という。 メモ 【土浦音頭】昭和初期に制作された。当時の土浦芸者組合見番(けんばん)頭取、桜井留吉や、三業組合長、堀越正雄らが制作し、当時、土浦で一番人気の名妓だった君香(きみか)らが歌い踊ったとされる。完成直後は7人の芸者が東京に出向き、三越や松坂屋ホールで開かれたイベントに出演し好評を博したといわれる。作曲は「鯉のぼり」や「靴が鳴る」などを作曲した弘田竜太郎。歌詞は1~4番まであるが、CDは1、3、4番が収録されている。 土浦音頭  横瀬雨作詞/弘田竜太郎作曲 1、船が見えそろ 霞ケ浦の 千艘萬艘(せんぞばんぞ)の帆曳船 船がみえそろ 土浦入りに 風をはらんだ 帆曳の船が 恋知り初めし 十六七の 娘心は 白魚か海老か 人は知らじな 公魚(わかさぎ)は 恋のやまいに よしとかや さて 2、十六七は 砂山のつゝじ 寝いろとすれば 起さるゝ 逢いたさ見たさ 夢見てばかり ねざめすぐれぬ 暁かけて 手枕近き プロペラの音 れんじあくれば 燕がえし 伸ばすは翔けるは 飛行機の 道をさえぎる 雲とてもなし 3、松になりたや 有馬の松に 藤にまかれて ねとござる 藤にまかれて 巻かれて藤に 藤にまかれて ねたというた 有馬の松は こちや 知らねども お城の址に 大きな大きな 榎の木 宿して ぬっと立つ 松を見しゃんせ あれ男松 4、男山(おやま) 女山(めやま)の しづくを受けて 淵となりたる 桜川 月よし雪よし さをさしゃとどく 屋形屋形の あのさんざめき 船はヤハでも 炭薪ゃつまぬ 春はうれしや 霞とともに 花がはらりと 咲くならば さぞや弥生の なあ人心

二刀流で土浦を発信 入沢弘子図書館長

【鈴木宏子】土浦市立図書館の入沢弘子館長(55)がこのほど、市広報マネージャーに任命された。全国にも例を見ない館長と広報マネージャーの二刀流で、今後は図書館だけでなく市全体の魅力を発信していく。 週4日、館長として図書館に勤務し、週1日、市役所広報広聴課シティプロモーション室に勤務する。大手広告代理店、博報堂の広報統括ディレクターだった経験を生かし、市の情報発信を総合的にプロデュースしたり、関連事業を企画、立案するという。 具体的な構想として「高校生パワーで土浦を盛り上げたい」と抱負を話す。「土浦の良さは高校生が多いこと。県立、私立を含め9校ある自治体は周辺にない。高校生が多いという強みを生かしたい」という。 高校との連携事業は図書館で8日からスタ―トしている。県立土浦二高図書委員会の生徒にお薦め本を紹介してもらい、高校生が多く集まる4階学習室隣りのロフトに28冊の推薦文を展示し、本を貸し出している。今後、他校にも声を掛け広げていく方針だ。 現在、高校対抗ビブリオバトル(書評合戦)や制服ファッションショー、部活紹介などの企画案を温めているところだという。 さらに「土浦の高校を発信することは、進学を目指している小中学生や家族が土浦に足を運んでくれる機会にもなるのでは」と期待を寄せる。 「連携企画を通して土浦の高校生に楽しい思い出をつくってもらい、ずっと土浦のファンでいてほしい。進学や就職でいったん土浦を離れても、土浦に戻ってきたり、家族を連れて遊びに来たり、将来、土浦で事業を展開するなどしてくれれば」と夢を語る。 つくば市在住。父親が朝日新聞記者で転勤族だったことから全国各地を転居し、小学2年から中学2年まで土浦で過ごした。 博報堂退職後は、つくば市でプロモーションマネージャーを務めた。土浦市中心市街地活性化の核として昨年11月、駅前にオープンした市立図書館の館長に公募で選ばれ、今年3月、通信制大学で司書の資格を取得した。

商店同士の交流活発に 土浦まちゼミ2年目 参加店2倍

【鈴木宏子】商店街の店主が講師となり、プロならでは専門知識や情報、コツを無料で教える「土浦まちゼミ」(同実行委員会主催)が4月5日まで、同市内の各商店で開かれている。2年目を迎えた今年は、参加店が前年の2倍近い約40店に増え57講座が実施されている。的場弘幸実行委員長は「あまりよく知らなかった店主同士が知り合いになり、お客さんを紹介し合うようになった」と、商店同士の交流が活発になった成果を語る。 はんこ屋さんが、はんこの商品価値を決める材料や彫りのうんちくを教えたり、化粧品店が、手や指が見違えるハンドマッサージの方法を教えたり、イタリア料理店が家庭でできる本格的なカルボナーラの作り方を教えるなどの講座が開催されている。1講座当たり受講生は3~5人程度と少人数なのが特徴だ。弁護士事務所が結婚前の娘をもつ母親に最低限押さえておきたい離婚の基礎知識を教えるなどのユニークな講座もあり、人気だという。 郊外の大型商業施設や通信販売に対応することが困難な商店が、受講者とのコミュニケーションを通してファンをつくり顧客につなげようという取り組みで、2002年に愛知県岡崎市の中心市街地商店街が「得する街のゼミナール」の愛称で全国で初めて開催し、全国に広まった。 土浦市では、市の勧めで15年に岡崎市から講師を招いて勉強会をスタート。講座を受講した商店主らを中心に有志で実行委員会をつくり、手弁当で取り組んでいる。第1回目の昨年は約25店が参加したという。 2年目の今回は中心市街地の商店のほか、新たに神立地区などの商店も参加、子どもを対象にした「キッズまちゼミ」も初めて登場し、靴屋さんが、より速く走ることができる靴の選び方を教えたり、工務店が、ママとの約束を忘れない予定表ボードの工作教室を開くなどしている。 同市川口のショッピングモール「モール505」で洋品店「マイノリティ」を経営する的場実行委員長は、昨年を振り返り「お客さんが増え成果が上がったという店と、あまり変わらないという店があると聞いている」と話す。一方、2年目の今年は「受講申し込みがすぐにいっぱいになり、開催回数を増やしたという講座もあり、受講者は全体として前年より多いのではないか」という。口コミで広がり、つくば市など市外からも来てくれる受講生もいるという。 昨年から着物の講座を開いている前野呉服店(同市中央)の前野有里社長は「土浦にどんなお店があるのか知っていただく機会になるし、他のお店の人とも仲良くなれる。お店に立ち寄ってくれる人が増えればそれだけでプラス」と意義を話す。 的場実行委員長によると、2回目の今回は、受講者にアンケート調査を実施しており、受講生の声を今後に生かす方針だ。さらに今年は年2回、まちゼミを開催する予定で、秋ごろ開く第3回目は参加店が50店以上に増える見通しだという。

《映画探偵団》5 007映画の眼 センター地区の謎

【コラム・冠木新市】「つくば市議会だより」(No.151)には、つくば市が「中心市街地まちづくりビジョン」を6月目途に策定すると出ていた。また、閉店したクレオを所有する筑波都市整備㈱は売却を考えているようだともあった。 「世界のあしたが見えるまちつくば2018年度予算」には、「クレオ跡地利活用事業」(新規648万円)、「中心市街地プレスメイキング事業(新規1000万円)」が計上されている。つくばセンター地区活性化のための謎を解く「映画探偵団」としては、今後の推移をしっかり監視するつもりである。 監視といえば、“人の眼”になるが、テレビ『つくつくつくばの七不思議/サイコドン』(2014)の撮影中に、面白い発見をした。それは、オークラフロンティアホテルつくば11階の東西南北の窓ガラスが“人の眼”の形をしているということだ。 そして南側の窓ガラスは、なんとノバホール入り口上にある三角形の窓ガラスにぴったりと映り込む仕掛けとなっていた。まるで古代エジプトの石工組織に端を発したフリーメーソンのシンボルマークを思わせるのである。 三角形の眼の視線の先は、一直線でエキスポセンターのプラネタリウムに向けられ、さらに奥の松見公園の展望台を見ている。この展望台の10階には壁画が飾ってあり、東側に黄色、西側に緑色のピラミッド群が描かれている。このことは何を意味しているのか。 “人の眼”で思い出すのは、映画007シリーズである。『007/ゴールデンアイ』(1995)以降、ボンドの巻頭アクション後に始まるタイトルバックには、毎回のように片方の“人の眼”の大写しが挿入される。観客を監視するような“人の眼”である。 「未来はすでに映画の中に予告されている」とは私の持論だが、007シリーズはその裏付けをしてくれている。ボンドが使うスパイの小道具や悪の組織犯罪計画は、公開後20~30年で現実化したものが多い。カーナビ、水陸両用車、顔認証識別システムなどは、はるか昔に描かれていた。 『007/スペクター』(2015)では、ボンドの体内にマイクロチップが注入され、生体データが管理される。犯罪組織スペクターは、偽医薬品を製造し、その秘密をあばく者の抹殺をはかる。人身売買では16万人の移民を風俗に売り飛ばす。 極め付けは、テロ対策を名目に9カ国の情報機関でつくられた“九つの目委員会”に情報を集約させ、世界監視網を形成、その主導権を握ろうとする。 もしスペクターのような組織が、美名のもとにセンター地区に入り込んできたら、市民は見抜けるだろうか。『007/サンダーボール作戦』(1965)では、難民救済所の奥がスペクター本部の作戦本部だった。 そんなことを妄想しながら、センタービル1階のアイアイモールを団員と歩いた。「あ、居酒屋閉じちゃいましたね」と団員が言った。クレオ閉店の陰で、また1店が消えた。だがしかし、居酒屋前のバー「ボンド」は健在である。サイコドン ハ トコヤンセ。(脚本家)

クレオ再開いつに? 来年2月以降完全閉店 「売却可能性ゼロでない」 議会が財政負担を決議

つくば駅前の大型商業施設クレオ(つくば市吾妻)から来年2月までにイオンつくば駅前店が撤退する。今年2月末の西武筑波店に続く相次ぐ撤退となり、科学万博が開かれた1985年にオープンしたクレオは後継店が決まるまで完全閉店となる。クレオを運営する筑波都市整備(同市竹園)によると西武撤退から10カ月が経ち現在も後継店の誘致を続けているが、再開の見通しはまだ立っていない。クレオ再開はいつになるのか。 クレオ2階では現在、専門店8店も営業している。同都市整備によると8店は来年1月末にそろって撤退する。そのうち呉服店「さが美」は隣接の商業施設キュートに移転、残り7店はキュートへの移転も含め交渉中という。 ■引き合い7割も断念 西武が撤退を発表したのは2016年8月。同都市整備は直後から後継店の誘致活動を続けてきた。まず全国規模で展開する百貨店を対象に誘致をしたが難航。続いて家電量販店や家具店などフロア単位で入居する大型店の誘致を行った。入居を希望する大小それぞれのテナントから引き合いがあり、何社かと交渉も進めた。 しかし「(面積の)7割程度の引き合いがあったが、維持管理費などコストを考えると赤字になる」などの判断から再開を断念したと、同都市整備の糸賀徹総務部次長は説明する。「賃料など条件が合わないところもあった」という。 建築から32年経ち設備の老朽化も指摘されている。イオン駅前店店長は閉店に関する顧客からの問い合わせに「開店後32年を経過し、建物や各施設自体に老朽化が進んでいる」(12月18日付け回答)とも言及した。 これに対し同都市整備は「設備の故障や修理はその都度、対応している」とし、設備の更新については「後継店が決まったら投資するが、今のところ見えないのでどうするとは言えない」と話す。 ■市が公共施設を 15日閉会したつくば市議会12月議会最終日、クレオなどの再生に市が施策を講じることを求める決議が採択された。多くの市民からクレオ再生を望む声が寄せられ、中心市街地に図書館の拡充や子育て関連施設など公共施設の整備を求める声が高いなどとして①市がクレオ内に公共施設を整備するなど一定の財政負担をする②同都市整備などに拙速にものごとを運ばないよう申し入れることを求める内容だ。背景にクレオ売却への懸念があったとされる。 同都市整備の糸賀次長は売却懸念に対し「建物が大きいので固定資産税などかなりの経費が掛かっている。いつまでも後継テナントが決まらないと支えきれないし、持ちきれない」とし「今後引き続き後継テナントを当たって目途がつかない場合、(売却の)可能性もゼロではない」と語る。 一方で決議に関しては「(市と)できるだけ協議したい」とし前向きに応じる意向だ。ただし7割の引き合いがあっても採算見通しが立たなかったことを考えると、市との協議がすんなり進むと見通せる話ではないのが実情だ。(鈴木宏子)

Most Popular