土曜日, 4月 20, 2024
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総合運動公園 -検索結果

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旧総合運動公園用地に土砂、がれき不法投棄 つくば

【鈴木宏子】つくば市は7日、同市大穂、旧総合運動公園用地(つくば市土地開発公社所有)入り口の門扉とかぎが壊され、敷地内に土砂やがれきが不法投棄されていたと発表した。 市財政課によると、10月25日、市職員が、入り口の門扉の南京錠が切断され、門扉がよじれて、約50㍍ほど入った敷地内にがれきなどが投棄されているのを発見した。6月上旬から10月25日までに不法投棄されたとみられるという。 がれきには住宅廃材などが混じり、近くには車両のタイヤ跡などが残っていた。捨てられた量は、大型ダンプ4台程度、約100立方㍍という。 市は同29日、つくば北警察署に器物損壊の被害届けを提出。同日午前11時30分、同署が市職員立ち会いで現場検証した。 今後、市は土砂やがれきの成分を分析し有害物質がないかなどを調査した上で撤去する予定という。 再発防止のため、かぎを二重にし、防犯カメラや看板を新たに設置したほか、今後、つくば市防犯、環境美化サポーターなどによるパトロールを強化するという。

商業施設やランニングパークなど 民間13事業者がアイデア つくば市総合運動公園用地

【鈴木宏子】返還を断念したつくば市総合運動公園用地約46ha(同市大穂)の利活用アイデアについて、同市は、2、3月に実施した民間事業者の意向調査結果を18日発表した。県内外の13事業者から、複合型商業施設、メガソーラー、ランニングパークなどの提案があった。 ただし市による造成工事やインフラ整備を求めていたり、利用したい面積も全体から1haまでさまざまだったり、土地利用の用途変更が必要など課題があり、市は引き続き検討を続けるとしている。調査結果は今後、住民説明会を開いて説明する。土地処分のスケジュールについては決まっていないという。 用地全体を利用するアイデアとして、金融業者、建設業者、デベロッパー、スポーツクラブから、農場を併設したメガソーラー、ジム・スパなどがある高機能ランニングパーク、ガーデニングに特化し健康増進施設や商業施設などがある戸建て賃貸住宅街、サッカーグラウンドを中心に道の駅や自然体験・宿泊エリアがあるスポーツツーリズム推進拠点の整備などの提案があった。一部を利用するアイデアとしては小売業者、農業法人などから複合型商業施設、植物工場などの提案があった。 総合運動公園をめぐっては、2014年、市開発公社がUR都市機構から約66億円で購入、15年、住民投票の結果を受けて市原健一前市長が計画を白紙撤回した。16年に初当選した五十嵐立青市長はURへの返還交渉を公約に掲げ、17年、著名弁護士による検証委員会を設置、「不正の事実は認められなかったが、民意の把握や説明に不十分な点があった」などの報告書がまとめられた。同年7月、五十嵐市長はURへの返還を断念し、利活用の可能性を調査するため今年2、3月に民間の意向調査を実施した。調査にあたっては公共施設用地としての利用可能性も継続して検討するとしていたが、現時点で具体的計画はないという。

つくば市長の主公約 陸上競技場始末《吾妻カガミ》179

【コラム・坂本栄】つくば市の陸上競技場設計作業が来年度から始まります。3月議会に出された基本計画は2年前とほぼ同じで、人口や予算規模で水戸市に肩を並べる県内2番目の市の施設としては、他の県内施設に比べて見劣りするのが気になります。 県内の他施設に比べ地味 上郷高廃校跡に造られる陸上競技場(全天候型舗装8レーンの400メートルトラック)は、▼走路=第4種公認、▼観客席=2900(うち芝生席2000)、▼駐車場=700台(うちバス25台分)―といった計画です。 他の県内競技場を見ると、▼県営笠松:第1種、2万2000席、2700台、▼水戸市営:第2種、1万2200席、2000台、▼日立市営:第3種、8500席、1500台、▼ひたちなか市営:第3種、1万5000席、3000台、▼古河市営:第2種、3700席、1200台、▼龍ケ崎市営:第3種、2600席、174台、▼石岡市営:第3種、2500席、650台―となっています。 これら施設は記録公認に必要な種別が第1種~第3種なのに、つくば市営は第4種と「格落ち」です。これで市民のプライドは保てるでしょうか? 使い勝手を左右する観客席数や駐車台数も、他の施設に比べるとかなり控えめです。 市長は政治的判断を優先 どういった競技場を造るか議論されていたころ、私はコラム99「つくば市の2大案件」(2021年2月1日掲載)で、「県に掛け合って高規格(第1~2種)の競技場をつくば市内に造らせ、県南の各市にも建設費を分担してもらったらどうか」と提案しました。少なくとも水戸市営並み、できれば県営笠松並みを想定していたからです。 どこに造るかについては、「上郷高校跡(7ヘクタール)と総合運動公園計画(メインは陸上競技場)用地跡(45ヘクタール)が候補に挙げられます。市は前者に誘導したいようですが、アクセス路の利便性や拡張の可能性などは明らかに後者が上です」と指摘、狭い市道に囲まれた上郷高跡よりも国道408号に近い運動公園用地跡を推しました。 しかし、市原前市長が策定した運動公園計画を市民運動で葬った五十嵐市長には、最初から運動公園用地跡を使う選択肢はなかったようです。しっかりした施設をアクセス性がよい場所に造るという判断よりも、前市長の計画を否定する政治的な判断を優先したと言え、行政が政治に引っ張られた形です。 市史に残る「歪んだ選択」 五十嵐市長にとって運動公園用地返還と陸上競技場建設は1期目の主要な公約でした。ところがUR都市整備への用地返還は失敗し、扱いに困って倉庫業者に売り飛ばしました。陸上競技場を造る場所の方は、政治的な思惑から運動公園用地跡を外して、規格、規模、利便性で劣後する上郷高跡を選択しました。政治的な思惑が施策を歪めた事例として市史に残るでしょう。(経済ジャーナリスト)

つくば市長の主公約 陸上競技場始末《吾妻カガミ》179

【コラム・坂本栄】つくば市の陸上競技場設計作業が来年度から始まります。3月議会に出された基本計画は2年前とほぼ同じで、人口や予算規模で水戸市に肩を並べる県内2番目の市の施設としては、他の県内施設に比べて見劣りするのが気になります。 県内の他施設に比べ地味 上郷高廃校跡に造られる陸上競技場(全天候型舗装8レーンの400メートルトラック)は、▼走路=第4種公認、▼観客席=2900(うち芝生席2000)、▼駐車場=700台(うちバス25台分)―といった計画です。 他の県内競技場を見ると、▼県営笠松:第1種、2万2000席、2700台、▼水戸市営:第2種、1万2200席、2000台、▼日立市営:第3種、8500席、1500台、▼ひたちなか市営:第3種、1万5000席、3000台、▼古河市営:第2種、3700席、1200台、▼龍ケ崎市営:第3種、2600席、174台、▼石岡市営:第3種、2500席、650台―となっています。 これら施設は記録公認に必要な種別が第1種~第3種なのに、つくば市営は第4種と「格落ち」です。これで市民のプライドは保てるでしょうか? 使い勝手を左右する観客席数や駐車台数も、他の施設に比べるとかなり控えめです。 市長は政治的判断を優先 どういった競技場を造るか議論されていたころ、私はコラム99「つくば市の2大案件」(2021年2月1日掲載)で、「県に掛け合って高規格(第1~2種)の競技場をつくば市内に造らせ、県南の各市にも建設費を分担してもらったらどうか」と提案しました。少なくとも水戸市営並み、できれば県営笠松並みを想定していたからです。 どこに造るかについては、「上郷高校跡(7ヘクタール)と総合運動公園計画(メーンは陸上競技場)用地跡(45ヘクタール)が候補に挙げられます。市は前者に誘導したいようですが、アクセス路の利便性や拡張の可能性などは明らかに後者が上です」と指摘、狭い市道に囲まれた上郷高跡よりも国道408号に近い運動公園用地跡を推しました。 しかし、市原前市長が策定した運動公園計画を市民運動で葬った五十嵐市長には、最初から運動公園用地跡を使う選択肢はなかったようです。しっかりした施設をアクセス性がよい場所に造るという判断よりも、前市長の計画を否定する政治的な判断を優先したと言え、行政が政治に引っ張られた形です。 市史に残る「歪んだ選択」 五十嵐市長にとって運動公園用地返還と陸上競技場建設は1期目の主要な公約でした。ところがUR都市整備への用地返還は失敗し、扱いに困って倉庫業者に売り飛ばしました。陸上競技場を造る場所の方は、政治的な思惑から運動公園用地跡を外して、規格、規模、利便性で劣後する上郷高跡を選択しました。政治的な思惑が施策を歪めた事例として市史に残るでしょう。(経済ジャーナリスト)

負担軽減へ 小中7校、洞峰公園のプール利用を検討 つくば市が3カ所で説明会

つくば市二の宮の県営の都市公園、洞峰公園(20ヘクタール)を、つくば市が県から無償譲渡を受ける方針をめぐる市民説明会が22日、市内3カ所で実施された。五十嵐立青市長は、谷田部東中地区と並木中地区の小中学校7校の児童生徒に洞峰公園のプールを使ってもらうことを検討していることを明らかにした。 老朽化により来年度、大規模改修を実施する計画だった並木中プールの改修費用を試算したところ、5000万円から1億円かかることが分かったとして、7校のプールの維持管理費(大規模改修を含む)が年間2300万円から3700万円かかっており、児童生徒が各校から洞峰公園に行くとするとバス代が1300万円であることから、バス代を差し引いても洞峰公園プールを利用してもらう方が年間1000万円から2400万円プラスになり、その分が、市が新たに負担することになる洞峰公園の年間維持管理費約1億5000万円の低減につながるなどとした。 無償譲渡を受ける今後のスケジュールについては、8月にアンケートを実施し、すべてがスムーズに行けば、9月議会に県から無償譲渡を受ける条例改正案を市議会に提案、10月に市に移管になるとした。大井川和彦知事も7月6日の定例記者会見で、移管の時期を「順調に行けば10月になる」との見通しを示している。8月に市が実施するアンケートの設問や方法などはまだ決めてないとした。 今後の洞峰公園の管理方法については協議会を設置し検討するとし、協議会の構成は自治会、愛好者団体、商工団体、学識経験者などを挙げた。 22日の説明会は市北部の大穂交流センター、洞峰公園体育館、市南部のふれあいプラザで実施され、大穂には26人、洞峰公園50人、ふれあいプラザには16人が参加した。 午前中実施された大穂交流センターでは「(年間維持管理費の)1億5000万円をかけて市が引き取ってやる意味が全然分からない」など無償譲渡を受けることに反対する意見と、「洞峰公園の美しい自然と静かな環境を子供や孫に伝えていくべき」など賛成意見の両方が出された。「協議会に分科会を設置しいろいろな方面の意見を聞いてはどうか」などの提案や、「今のように庭園として管理するのではなく自然公園として管理すれば維持管理費がかなり安くなる」などの提案もあった。 午後からの洞峰公園体育館では、無償譲渡を受けることに賛成する意見や市長への感謝の声が多く出された。夜開催のふれあいプラザでは、説明会開催を告知する市の広報が少なく、地元茎崎地区の参加者が少なかったことについて「市は本当に(茎崎の住民に)参加してもらいたかったのかと(疑問に)思う。1億5000万円使ってもしょうがないねと思ってもらえるよう、洞峰公園に興味がない人に知ってもらう努力をすべきではないか」などの苦言も出た。 最終回となる4回目の説明会は28日午後6時30分から、洞峰公園筑波新都市記念館で実施される。(鈴木宏子) 次ページは大穂交流センターでの第1回説明会のやり取りの概要 【28日午後追加掲載】説明会には県都市整備課の大塚秀二課長らも出席した。22日、大穂交流センターで開かれた1回目の参加者と五十嵐立青市長及び県都市整備課長との質疑の概要は以下の通り。 参加者1 いろいろご説明いただいたが、要約すると結局、茨城県のパークPFIが嫌だからそれを阻止するために引き取って、つくば市が1億5000万円負担しますという話ではないか。1億5000万円かけて何が変わるかと言うと、いろいろ取り組みますという話はあったが基本的に今まで通りという話だった。それって何のメリットがあるのか、非常に疑問。なぜパークPFIをつぶさなきゃいけなかったのか、よく分からない。グランピングをやるから問題なのかというと、例えばゆかりの森でバーベキューをやっていて、あそこで問題が起きているのか、騒音が起きているのか、悪臭があるのか、治安が悪くなったのか、そんなことはない。(市が無償譲渡を受けるという説明について)何のためにやるのか全然分からない。修繕費も大丈夫だという説明があった。総合運動公園の時も前の市長が同じような説明をされていた。要はお金をかける価値があるかどうかだ。年1億5000万円かけて県から引き取ってパークPFIをつぶす意味が全然分からない。つくば市の仕事は、県により良いパークPFIにしていただいて、不安に思っている方に理解してもらうとか、心配している点を解消するよう県に変えてもらう方向にもっていくのが本来の姿ではないか。なぜパークPFIをつぶして引き取らなきゃいけないのか教えていただきたい。 市長 費用の話とパークPFIの話があった。費用に限ってみれば、学校プールで地域で利用できるようにする。長期的な学校プールの大規模修繕費を考えると、周辺の学校を全体でならして計算すると年間2000万円から3000万円くらいになる。子供たちが通うバス代はいくらかというと千数百万円。それだけで見ても1億5000万円は十数年あれば十分回収できる金額。金額だけでそういうメリットがある。パークPFIに反対しているのではない。パークPFIにするにせよ、民間が入るにせよ、入るべき場所に適切に入るのは私は歓迎する立場。洞峰公園のパークPFIの中身がどうかというと、住宅街の中で、文教地区になっていて、ビール工房とかグランピングとかが入ってきて、これまで積み上げられてきた様々な環境が影響を受け、樹木もかなりの数、伐採する計画があったので、伐採してしまえば生態系は元に戻らない。グランピング、駐車場拡張、樹木伐採のような形ではないものに、ということは(県に)いろいろ話をしてきた。オブザーバーの形で県に心配点は伝えてある。そもそもグランピングは作れない場所なので、できませんよとお伝えしてきた。ただ当時の県の説明ではグランピングがないと収益として成り立たたないから、絶対やらなくちゃだめなんだという話があった。別のパークPFIならよかったのかもしれないが、このプランに関しては交渉の余地がなかったということが今に至る流れ。費用面では学校プールの足し算、引き算で十分黒字になる可能性がある。パークPFIはいいものであれば私も賛成。よりよいものになるよう相談したが県はできないという結論だったので、市が引き取ることによってこの環境を守りながらよりよい形に生かしていこうと考えた。 参加者2 洞峰公園ができた頃は経済環境も国力も全然違っていた。官じゃないとできないことだけをやる観点でお考えいただきたい。ほとんどの市町村は人口オーナス期(人口構成が経済の重荷になる時期)の状況になっている。つくば市は人口が1割ぐらい増えている。税収を含む歳入の伸びはプラスに切っている。そもそも洞峰公園をいる、いらないの議論が最初になきゃいけない。最後は民意しかない。十分に議論を尽くして、公益性、公共性の価値がある公園であるのか、民主主義の原点に立ち返る判断をしていきたい。今回なさる市のアンケートについては、アンケートはいかようにも解釈できるので、選択肢とか解釈は十分考えてほしい。 市長 洞峰公園を残す必要があると政治家として判断している。だからといって1人で決められるものではない。皆さんと対話する機会をいただいたり、民意の究極の表出は市議会での議決になるので、議員の皆さんにもご理解いただけるようにしたい。大枠としてはご理解をいただいているのではないかと考えている。2点目の、行政がやらなくちゃいけないことは何かということは難しいテーマ。民間の力をもっと使いたいと基本的には考えている。例えばまちづくり会社をセンター地区でつくった。プロフィット(利益)を生み出せる事業をしていこうと思っている。これについても市がやるべきだという声もあったりし、正解はない話だと思っている。民間で収益性が出せないけれども、守らなきゃいけない部分はコストをかけても守るというのが私の考え方。いろんな方から話を伺いながら進めていきたい。 参加者3 最初の方の質問の回答の中で、学校プールの修繕費が年2000万円から3000万円ある、1億5000万円は回収できるという話があった。学校プールとの足し算、引き算の話が理解できなかったので、詳しく説明していただきたい。 市長 洞峰公園の近くには谷田部東中学校区があり、小野川小、二の宮小、東小がある。並木中学校区には並木小、桜南小がある。プールの大規模修繕は20年程度で必要になる。小規模修繕もそうだが、20年、30年経っているところは大規模修繕が必要になる。並木中でいうと(大規模修繕を)5000万円ぐらいでできればいいと思っているが、高い金額だと1億円くらいいってしまう。これに加えて日々の修繕費がかかってくる。それを20年でみたときに大規模修繕費、年間維持管理費を足し算すると、並木中のプール改修費は設計委託で180万円かかっている。来年度やる予定なのは5000万円から1億円になる。プールの修繕サイクルを20年から30年とすると、年間で1校当たり300万円から500万円かかる。7校分のライフサイクルコストでいくと年割にすると2100万円から3500万円くらいかかる。施設維持費を含めて割っていくと2300万円から3700万円くらいになる。子どもたちが学校プールを使うのを止めて洞峰公園のプールで実施することになったら、バス代が最大限1300万円くらい、ライフサイクルコストの一番低い金額だとしても年2300万円なので年1000万円の黒字になる。3700万円の数字にすると年間で2400万円の黒字。7年で回収できる計算になる。 参加者3 やっぱり分からない。学校プールの毎年の修繕費と洞峰公園の維持管理費がどういう関係にあるのか。1億5000万円回収できるとか、学校プールの足し算、引き算という意味がわからない。 市長 それによって年間の赤字額が縮減される。プラスの効果を生んでいくということを説明している。 参加者3 洞峰公園(の管理運営)を市がやったからと言って、学校プールの修理費がいらなくなるわけではないですよね。 市長 今申し上げたプールは、いらなくする、使わなくするということだ。 参加者3 洞峰公園のプールを使うから、学校プールを廃止して、その分、足し算、引き算だということか。 市長 はい。みどりの地区に新しく造るプールがその方式だが、いま造っている学校も、今年4月にオープンした学校も、学校の中にプールをつくってない。みどりの地区に今、学校市民プールを作っている。学校の(プールの)授業はバスで子どもたちが行く。子どもたちが使わない時間は市民、地域の人が自由に使えるようにする。新しいプールを各学校につくるよりもコストがかからない。それと同じ考え方をここでもしている。 参加者3 その意味は、1億5000万円の洞峰公園の維持費を出す代わりに、それに相当する額の学校プールを廃止する、その足し算、引き算ということか。 市長 1億5000万円すべてではない。縮減効果をそれぐらいみているということ。ただただ赤字が増えていくということではない。 参加者3 資金ということを考えた場合、逆に毎年1億5000万円の資金があった場合、いくらの一時金を調達できるのかを考えると、今金利が低い時代なので正確には複利年金現価で計算しなければならないが、つくば市はだいたい20年で減価償却、残金償還している。単純にゼロ金利だとすると30億円の一時金が調達できる。言い換えれば30億円で洞峰公園で買うのと同じことだ。先ほどの学校プールだが、毎年2000万円ずつ修理費がかかるとなると、いくらの一時金が調達できるかを計算して、新しいプールをつくるのとどっちが得かなと計算するのが必要だと思う。そこまでお金をかけてパークPFIを嫌う理由がどこにあるのかという説明が必要だ。 市長 総合的に、コスト面、洞峰公園がもっている価値、市民からのさまざまな声を反映して、今回このような計画をご用意しただけ。市民がそれに反対して、議会が否決されるのであれば、民主主義ですからそういう結果になっていく。ただ今までの1000を超える方のアンケートを読むと、どれだけ公園に価値を置き、市民に必要な場所になっているかということを含めれば、私はこれを進めていくべきと考える。コストを最小化する努力は一生懸命する。 次ページに続く 参加者4 そもそも何ために洞峰公園を守るかを皆で共有したい。洞峰公園の魅力は美しい緑と静かな環境だと思う。つくば市の持続可能都市ビジョンがあるが、洞峰公園はその方向性に沿った公園だと思う。それからつくば市SDGs未来都市計画がある。この中で「公園の中に街があるような緑豊かなゆとりある街並み」という表現がある。まさにつくばの魅力ではないか。赤塚から松見までペデストリアンデッキがあって、西大通り、東大通り、408号の並木道、これは世界に誇る美しい環境だ。洞峰公園はその中核にある象徴的な公園だと思う。洞峰公園を大事にすることは私たちの願い、ビジョンに基づくものだと思う。そこで、公園を守るということのつくば市のビジョン、SDGsとの五十嵐市長の思いを語っていただきたい。洞峰公園は(都市公園法上の)総合公園だ(という位置づけ)、周辺住民だけじゃない、つくば市全体のものである、という意味はとても参考になった。今の県の公園でも、つくば市だけじゃなくて、県全体の人と共有したい美しい公園だと思う。パークPFIをやらないことのメリットを考えると、PFIをやってしまったらグランピングをやって、にぎわいをやって、多くの人を呼び込んで、駐車場を拡張して、一説によると数百本の木を切ってしまうという計画があった。収益を上げるために自然を壊してしまうことがどんなにデメリットなのか、自然を守ることは金銭に換算できない大きなメリットがあると思う。 市長 総合公園について、都市公園法上はつくば市全域が対象という位置づけになる。持続可能都市宣言に書いたことで大事にしていることは、我々は先人から引き継いで今の環境を預かっている。その時の思い付き、はやっていることだけでやってしまうとしんどいことになる、次の世代に責任をもって伝えることができなくなることは大きな問題になる。つくばの市長として、先人たち、積み上げによって守られてきたものを、経営が厳しいから全部民間にということは、生態系や皆さんが積み上げてきたものが崩れてしまうと思う。ただコスト度外視ということはいかない。1億5000万円ではなくて毎年何十億だよと言われたら現実的には無理。今の市の財政状況を考えて、例えば学校のプールとして使うことで少しでも縮減させていくことができたら、総合的に考えた上で、さらに協議会をつくって少しでも収入を増やすことをやっていいと思っている。洞峰公園の設計思想に合う事業なら積極的にやるべきだと思っている。当面は市が管理することが考えられるが、いろんな方からいろんなお知恵をいただいて、どういうものが設計思想を生かしながら収入面でもプラスになるか、地域の皆さん、市内全域の皆さんも納得感のある事業を考えていきたい。1億5000万円はそういうことをしないで今のままやったマックスの数字。今回多くの方が「ボランティアで(公園の手入れ)やるよ」「寄付するよ」と言ってくださった。ある議員さんは「絶対反対」だと言っていた。しばらくしてお会いしたら「考えを変えました」と。「洞峰公園に行ってきました」ということだった。いろんな森の中でいろんな活動をしているのを見て、真逆になって、「これはわれわれが議員として守らなくちゃだめだ」となった。 参加者5 最初の方の質問のような指摘があると思って、行政とは違う地域住民としてコメントということで発言させてください。あの公園は有料で使っている人が年間27万人いる。散歩をしたり、通学路で使ったり、公園に園児を連れてくる保育園や幼稚園もいっぱいある。目の不自由な方が伴走者と安心してトレーニングで走ったり、多様な使われ方をしている。朝5時からお年寄りや体の不自由な人が集まってラジオ体操している。ある日突然(パークPFIの)ポスターが張られて、説明会といって「公園に空き地があるから儲けろと県に言われました」と言って、事業者がグランピング建てて、ビール工房でビール売って、昼間から飲めるようにします、という説明会が去年の5月にあった。それで皆びっくりした。洞峰公園は年間50万人から100万人使っている。大きく変わるということで地域がびっくりした。それをきっかけに去年の4月からボランティア団体を始めて、けさも20人くらいで掃除してきた。絶滅危惧種の植物も生えているので自主管理させてもらったり、調査活動を学校の先生とやったり、木の観察会を子供たちとやったりしている。お金の話になると本当に申し訳ないと思っている。ただ、どの地域にも心に残る風景や場所がある。そこに突然知らないものがやってきて、とにかく子供たちが嫌だと言っている、つくばに移住していた若いお母さんたちが、こんなはずじゃなかったっていう声がいっぱい集まってきてしまった。県に何回もお願いに行ったが、知事の定例記者会見をご覧のように基本的には「やります」「やります」とそこを変えていただけなかったので、こういう結果になったんだと思う。これがまた白紙に戻ったら地域としては県にアプローチをしていかなくちゃいけないので頭が痛いところはある。今回いろんなタウンミーティングに行って、各地域にいろんな問題があることを知った。道路がまだないとか、水道がきてないとか、本当に勉強になって、そういうところに足を運んで、できることをしたいという気持ちだけはある。そういう気持ちが私たちの周りにはできている。大穂の皆さんや北条の皆さんも一緒に考えてほしい。つくば市のど真ん中にある緑の木を切っちゃう、沼のアシ原を切っちゃうって聞いたら、ただの汚い池になっちゃう。今もかなりアオコが出始めている。そうなった時、だれがどうするのか、皆で考えるきっかけにしていただきたい。地域住民のエゴととらえられるのが苦しいのでそこだけは理解いただけたら。 参加者6 洞峰公園の周辺に住んでいる。感情論しか言えない、金額は議会、市長にお任せするしかないが、つくばは本当にいいところだと日ごろ思っている。息子がゼロ歳の時からほぼつくばで子育てをした。洞峰公園は、本当に子どもが安心して過ごせるいい公園。ゼロ歳から、妊婦から、年齢、年齢で過ごし方があって、過ごす時間帯がある。パークPFIの話を去年聞いて、公園でお酒、公園でどんちゃん騒ぎできちゃうのって、素朴な母目線で、嫌だなというので、周りのお母さんたちと話して、誰一人、洞峰公園周辺じゃなくても、「それはちょっと」という声がいっぱいあった。このままであってほしいという思いを去年はお伝えさせていただいた。今のままの洞峰公園であるためには大井川知事が提示した無償譲渡、市への移管を五十嵐市長が受け入れようとしていることに本当にありがたいと思っている。生きずらさを感じている子供たちいっぱいいる。そういう子たちが一人でも安心してのびのび過ごせる場所があちこちにあればいいなというのが子育て世代の願い。その一つに洞峰公園はなり得る公園。プールの話、なるほどと思った。コロナ前は洞峰公園を活用している学校がもっといっぱいあった。フィールドワークのできる公園として利用してほしい。自由に過ごせる場、安心して過ごせる場としてこのままであってほしい。質問だが、万が一つくば市議会で否決されることがあった場合、県の管理のままでパークPFIが再開するという認識でいいのか。 県都市整備課長 今のご質問に対して案は持ち合わせていないが、今までの議論の経過や、パークPFIをこれからどのようにやるかを含めてもう一度考え直すことになると思う。今一旦止めているので、立ち止まってもう一度考えるタイミングにはなると思う。ただ今は、移管を前提にいろんなことを進めているので、そういう段階にはないということで、答えになっているかどうか、申し訳ないんですけど、グランピングをやるかどうかは、もう1回、市と協議させいただいて、どういう形がふさわしいかということを当然協議するということになると思うのでご理解いただきたい。 市長 何ともわからないところだが、全体的な県の流れは、いろんなものを民間に売却する方針になっている。これまでのプロセスではゼロか百かの議論でずっと進んでいた。グランピングを含めたパークPFIは一度も揺らいだことは無いので、普通に考えるとその流れなのかなという気はする。 参加者7 市民説明会の周知について、洞峰公園の説明会が3カ所で4回行われるが、場所と回数がかなり少ない。このような回数と場所で市民の意見を聞いたことになるのか。7月7日にネットで知らされ、ほんの数週間で説明会、わずか4回。私たちの住む地域ではほとんどの住民が説明会の開催を知らない状況にある。特に7月22日、23日は地域の祭り等の行事が多く、住民は夏祭りに参加して、説明会に来たくても来られない住民が多くいる。なぜこのような大きな問題となっている洞峰公園の説明会をわずか4回、しかも地域の夏祭りが集中する日に設定したのか、伺いたい。 市長 説明会は通常は何かやるときは、その施設のエリアと市役所の2カ所というのが多い。洞峰公園は総合公園で市全域に関わる話なので通常より拡大して南と北でやる、真ん中でも時間帯を変えてやるということをした。周知は各公園施設などでご案内した。通常よりもより広い形で市民の意見を伺ったと思っている。市には大きな事業だが説明会をやらないケースもある。皆さんの関心がひじょうに高いのでアンケートをこの後、実施する。設問の作り方によって、いくらでも誘導できるので、どういう形で市が取り組むかということをきちんとお伝えして、正しく事実を伝えながらバイアスがかからない設問を用意したい。(説明会の日程は)場所が空いている時間、スケジュールを見ながら今日になった。 次ページに続く 参加者8 洞峰公園にビール工房ができるとか、グランピングの場所になる、樹木が伐採されるという話を聞いた。五十嵐市長が大方この話に乗って進めようとしているのか、もしそうならとんでもないと思って出席した。説明いただいて五十嵐さんがそう考えているわけではなくて、県が考えて提案してきたことに対して、今この段階にきているという話を伺い安心した。協議会を設置して、これからいろんな角度から議論をしてよりよい答えを見出していきたいということだった。いろんな方面から意見を聞いていただきたい。(協議会は)規模として大きなものになるが、分科会的なもので議論して、ある時は全体が集まって意見を出し合う、こんな形の協議会にしていくようにしたらどうか。 市長 協議会の形はまだ検討している段階。(資料を示し)部会から1人出すだけでも10人超えるので結構な規模になる。どこまで全体で議論するのか、部会的に議論するのか、他の自治体でも協議会をつくっているところがあるので、先行事例を学びながら、今ご提案いただいたことも含めて考えていきたい。 参加者9 9月議会に関連予算や公園設置条例の改正を提案する噂が広がっている。現段階ではとても説明不足、情報提供不足はいなめない。市長は常々、対話を積み重ねていくとしている。今回、あまりにも簡単に進めていると思う。大変、将来負担が大きい事業なので慎重に進めていただきたい。ネットで知らせるだけじゃなくて、市報やかわら版を通じて情報提供していただきたい。県がバーベキュー施設、有料施設をつくって維持管理費を生みだそうと苦労している公園だ。鹿島セントラルホテル同様に頭を悩ませている公園だと思う。そういうものをあえて引き受けるのならなおさら、多くの市民に説明したり議論したり意見を聞いたりする機会をもっともっと増やしていただきたい。特に短期間の維持管理計画ではなくて、施設が老朽化してくるので、10年先、20年先を見据えた管理運営計画をつくって説明すべき。長寿命化計画もつくると聞いているので、きちんと情報公開していただきたい。 市長 これまでも様々な形でプロセスをすべていろいろな形で共有してきたと思っている。中長期的な修繕費は年額約3500万円という数字を出した上で説明した。どれだけ説明しても届かないケースもある。一番広く意見を伺えるのはアンケートだ。ぜひアンケートにご意見をいただいて最終的には議会に諮りたい。 参加者10 最初の方の危惧が気になった。県は、今年の方(担当者)は先ほど柔軟なことをおっしゃっていたが、去年の方は何も聞こうとしなかった。もう(パークPFIの指定管理者と)契約しちゃったんだからこれしかない、多少計画が変わったのは(指定管理者代表法人の)長大の方が引いていったんだと思う。県はまったく百、ゼロで、余地がないと思った。県は洞峰公園の実態を知らなかった。野球場がどのくらい使われているのか、中でキャッチボールしていても使ったことにしてない。業者の方も、もし儲からなかったらどうするんですかと聞いた人がいて、また聞きですけど、(業者は)いろんなことやります。どんなことに代えてもいいから儲けますと言ったそう。何をやるか分からない、県が止めなかったら何をやられてもしょうがない、これだとどうしようもないと感じた。そういう中で、知事がじゃあだめだったら無償譲渡だよと言って、市が受けてくださったのはまず良かったと思っていた。お金のことだが、1億5000万円という維持管理費はそんなにかからないのは間違いない。県は、県の事業でこれまで4000万円儲かっていたのを知ってたのに、それを考慮しないで、それでもパークPFIと言っていた。不思議なのは人件費がかなり積み上がっていること。積み過ぎだ。笠松運動公園の人件費は20人で5000万円いってない。洞峰公園の人件費は25人で8000万くらい。今度増やして1億円近く、9000万円とかになっている。どうやったら節約できるか、笠松の例をよく聞いていただきたい。とにかく地球温暖化をストップしなきゃいけないので、洞峰公園をそういう場にしてほしい。環境を守るということで洞峰公園を手に入れたと思っているので、環境のための洞峰だと言うことが分かるような形にしてほしい。 市長 (維持管理費は)一番固く見て、一番収入が少なくて一番支出が多い形で計算しているので、圧縮の可能性がある。通常こういう計画は、甘く見て、後で増える。(筑波研究学園都市は)一つの思想に合った部分、思い付きとかではなくて、ペデを中心に緑を生かしながらしっかりとした都市軸をつくってきた。その都市軸が、今回のパークPFIの当初計画では木が多く切られてしまい、合致しないものになってしまう。子どもたちに何であの時止められなかったのか、ということになってしまうので頑張っていきたい。 参加者11 今回、説明会を開いた理由は、洞峰公園で主にグランピングに対する反対があったからだと思う。これに対して市長と知事との間でどんなやり取りがあってここに至ったのかは説明いただいたが、今後も当事者間の意思疎通を密にして、市の公園であれば市の公園として、県の公園であれば県の公園として、ボタンの掛け違いが起こらないようにやっていただきたい。 市長 こうして県と連携を密にしながらやっている。鈴木県議が間に入って、調整していただいた。 参加者12 協議会をつくることは賛成だ。協議会の中で無償譲渡も含めて議論した方がいい。もっと話し合って考えればもっといい方法がある。先ほど女性2人が危機感をもって、子供たちのために環境を残したいと言ったのはもっともなこと。アンケートで、値上げしてもいいから環境守ってくれと言う意見が強かったことに五十嵐さんが感動していたが、それくらい強い思い入れがあることを大事にしないといけない。一方で、県の言い分をもう1回ちゃんと聞いてみると、総合公園、外部に向けた利用ということで五十嵐さんと県は考え方が同じだ。維持管理費だが現在、年間1億5000万円かかっている。半分が建物で、半分が緑地。緑地管理に7500万円かかっている。それを業務委託で6000万円浮かしたい。年9000万円は県がこれからも出していく。つくば市の費用負担はゼロですよということだ。先ほど、議会で否決されたら真っ暗になってしまうというご心配があったが、決して真っ暗にはならないと思う。むしろそこから考えた方がいい。まずは今の洞峰公園があのままでいいのか、年間7500万円の緑地の管理費はちょっとクレージー。水戸の偕楽園とか金沢の兼六園のような庭園公園の管理をいているからこんなにお金がかかる。庭園公園が本当に生態系を大事にしてるのかと言ったらそうではない。私は洞峰公園の昔の状態は知らないが、乙戸沼の状態は知っている。モウセンゴケがあって本当に自然豊かだった。今の乙戸沼公園はとても自然豊かな状態は思えない。洞峰公園も似たような状態だと思う。自然公園の管理をすると実はお金がかからない。たぶん3分の1か4分の1になる。自然公園の管理をしたらどうだろうねと、造園業者に聞いてみた。自然公園と庭園公園はどこがどう違うかと言うと、まず木の選定はやらない、木は間伐でいくが、伐採した枝や刈った草を外に持ち出さない。持ち出す管理費はべらぼうに高いので、そうすると本当に自然公園の管理をすると、管理費は3分の1か4分の1で済むことになる。ということになると、もっと今よりも自然公園として良くなる、お金もかからない、県の財政負担も減る、という解決策もある。それをぜひじっくり考えてもらいたい。今とにかく無償譲渡なんだ、地域エゴだ、そんなに金かかけるのはおかしい等の議論になって、お互い同士でいがみあうと不幸な結果になるので、ここはもう1回、むしろ議会で否決があれば、先が明るくなる気がする。ここでこのままいくと、財政負担の問題で、1億5000万円は決して小さくない。もう1回考え直して、何かいい解決法を探してはどうですかと申し上げたい。 市長 常に県と話をしている。私も知事と話をしている。今のところはこの形態で話を進めていく。ご提案があったように管理の仕方はいろいろな工夫の余地がある。それについては協議会をつくって、皆さんと管理運営で結果として市民の主体的な参加につながるものにしていきたい。 第1回説明会 終わり

五十嵐市長はなぜ市民との責任ある議論を避けるのか【投稿・酒井泉】

議会の議決を経ずに高エネ研南用地を売却 五十嵐立青つくば市長は、2022年9月27日、高エネ研南用地(旧総合運動公園用地)46ヘクタールを外資系のグッドマンジャパンに一括売却しました。売却に先立って、パブリックコメントや市民説明会が行なわれ、市民からは様々な土地利用計画が提案されました。2021年6月に市議会特別委員会が出した提言書も一括売却には否定的であり、市民のための公共利用を優先する方針を提示していました。 また大穂地区の市民説明会では、五十嵐市長1期目の選挙公約の目玉「UR都市機構(国)への返還交渉」の具体的内容について問われましたが、それには答えず、「議会がOKすればそれが民主主義」と開き直っていました。 それにもかかわらず、2022年1月9日の市議会全員協議会で、市長は「(高エネ研南用地は)市土地開発公社の所有であり、市の所有ではないから、市議会の議決は不要」と言って、市議会の議論を経ることなく一括売却を強行したのです。これによってつくば市民が被る損失は以下の3点です。 陸上競技場?豊かな緑地?学園都市の未来? ▼市長も必要性を認めている陸上競技場は、誰もがその最適地と思っている高エネ研南用地ではなく、市の西端の上郷高校跡地に追いやられてしまったのです。 ▼市長が市民に約束した「公共利用」「緑豊かな街づくり」は、高エネ研南用地全体の1割程度の面積に防災倉庫を建設して、その屋上を緑化することで市民を欺こうとしています。市報に公表されている俯瞰(ふかん)図は、広角レンズの遠近強調効果により、まるで用地の半分が緑地であるかのように見えます。平面図は掲載されていません。 ▼これが一番重要な問題ですが、グッドマンへの一括売却によって、筑波研究学園都市の未来が閉ざされてしまいます。もう、新たな研究施設をつくる用地は研究学園都市の内部には無くなってしまいますから、研究学園都市の未来はありません。 市民説明会は時間切れで打ち切られましたが、市議会で十分な議論が行われていれば、これらの問題について、市長は市民が納得する説明を求められたはずです。市長が市議会での議論を避けたことは、市民説明会での「議会がOKすれば、それが民主主義」との発言にも矛盾します。市長の「公約無視」「市民無視」「議会無視」をつくば市民は容認してもよいのでしょうか? 議会裁決拒否の理屈は認められるのか? 五十嵐市長の市議会議決不要の理屈は「高エネ研南用地は、市の土地開発公社が買収した土地で、市の所有ではないのだから、売却について市議会で議論する必要はない」ということです。そして、2022年1月の市議会全員協議会で、一部良識派議員の強い異議申し立てがあったにもかかわらず、市長与党の多数派議員はこれを認めてしまったのです。 市土地開発公社は、公共用地の先行取得を目的につくられた組織であり、理事長は飯野副市長で、市長や部長が役員に連なり、その職員も市職員が兼務しており、給与も支払われていません。実質的に市と一体の組織ですから、この市長の理屈は明らかにおかしい。これが認められたら、市長や市職員が市民の税金を勝手に使うことが可能になります。しかも、議会の与党多数派がこれを認めてしまうのでは、市民は唖然(あぜん)とするばかりです。 地裁却下→高裁控訴、最高裁まで闘う この不条理を正すため、我々は2022年3月29日、住民監査請求を行ったものの、市の監査委員は市長の言い分を認め、我々の請求を却下しました。監査委員は市長が選任するので、これは予想されたことです。そこで我々は取り得る最後の手段として、司法の判断を求め、2022年5月20日、水戸地裁に住民訴訟を提訴しました。これは却下されましたが(2023年6月20日)、即、東京高裁に控訴しました。我々は高裁の判決によっては最高裁で闘うつもりです。 ▼住民訴訟の主旨:①市土地開発公社は、その実態がつくば市の行為であることが明白であるにもかかわらず、②形式的に土地所有者が公社であり、売主が公社であるとして、法の網の目をかい潜り、③地方公共団体の財務会計行為を、民主的なコントロールからすり抜けさせることで市民の目を欺き、市民に不利益な行為を行っている、④従って、グッドマンジャパンへの一括売却契約は無効である。 ▼水戸地裁の判決:公社は実質的にはつくば市であると見ることは相当ではない、として却下。 ▼高裁控訴の理由:①公社の行為実態が、まさにつくば市の行為であることが明白であるにもかかわらず、②非常に形式的に、実質的にはつくば市であると見ることは相当ではない、という理由で地裁は却下した、③地方公共団体の財務会計行為を、民主的コントロールからすり抜けさせることに手を貸すことは、法の番人たる司法府がその責務を放棄することである。 司法で問えるのは不条理の一部 我々は民主主義における司法の役割について諦めてはいません。五十嵐市長の不条理を正すため、司法の場での議論は今後も続けます。しかし、司法の場で問えるのは、市側の「市の土地開発公社は市とは別組織である」という形式論に対し、我々の「市の開発公社は市と事実上一体である」という現実論に限られます。 水戸地裁の判決は形式論を優先して、「(高エネ研南用地は)市の土地開発公社の土地だから、売却にあたって市長が市民(市議会)と議論しないことは合法である」としましたが、市長が市民・市議会と議論しても違法ではありません。違法どころか、市民・市議会と責任ある議論をすることで、問題のより良い解決策が望めるし、市長と市職員に対する市民の信頼度も上がる好循環が期待できるはずです。それにもかかわらず、なぜ違法性のリスクを冒してまで、市長は市民との責任ある議論を避けるのでしょうか? 司法の世界では形式論が優先される場合があったとしても、市民社会や政治の世界は現実論で動いています。市長が市民との議論を避ける不条理と、これがもたらす市民社会の損失については、市民の力(政治の力)の現実論で対抗することが重要です。 センタービル再開発でも議論回避 高エネ研南用地と同様のことは、つくばセンタービル再開発問題についても言えます。再開発に10億円を超える事業費を使うのに、市長はなぜ自分で決めた第三者委員会でその是非を議論しないのでしょうか? その理屈は「街づくり会社への市の6000万円の出資金は事業費とは別だから、(この分をマイナスすると)この事業は10億円を超えない」という形式論を用いた詭弁(きべん)です。 この詭弁に対しては、現実論では違法ではないか?という疑義が生じます。我々はこの点についても、住民監査請求を経て住民訴訟を行いました。しかし、高エネ研南用地判決と同じ日に出された地裁判決は、またしても形式論に堕した「街づくり会社への出資金はセンター地区の再開発の事業費とは別であり、第三者委の審議は不要」というものでした。 「第三者委の審議は不要」が合法であっても、第三者委で議論することは違法ではありません。第三者委での議論があれば、五十嵐市長と関係が深いと言われている人物らが街づくり会社に共同出資することで、センタービルの半分の面積を占有することの是非も議論され、市民が納得できる説明が求められたはずです。(元高エネルギー加速器研究機構准教授、元福井大学教授、つくば市在住)

霞ケ浦、男子が初優勝 関東高校サッカー県予選

高校サッカー関東大会県予選の決勝が14日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開かれた。男子は霞ケ浦が水戸啓明を3-0で破り初優勝。女子は霞ケ浦が鹿島学園に0-2で敗れ準優勝。男子の霞ケ浦と水戸啓明、女子の鹿島学園は、27日から東京都内で開催の関東大会に出場する。 無失点で勝ち上がる 霞ケ浦は前半、風上に立つ水戸啓明の攻撃をことごとく抑え、後半の3得点で一気に試合を決めた。前半はサイドから切り込んでくる相手に対し、中を切って縦をカバーリング。後半は相手が多用してきたロングボールを、ディフェンスラインがはね返し、中盤が回収、前がかりになった相手の裏をFWが狙うという戦い方で進めた。 先制は後半6分。コーナーキックでMF青野嘉寿紀が蹴ったボールを、FW吉沢友慶が頭で合わせた。2点目は21分。FW谷本一翔のスローインを青野が受け、再び谷本へ。右足のクロスが吉沢の頭にぴたりと合った。このとき相手守備陣は谷本のロングスローを警戒してゴール前に密集。スローインの周りにマークが付いていないのを突いた頭脳プレーだった。 23分の3点目は、GK根本将翼のキックから吉沢がつないだボールを、MF久保木周がドリブルで敵陣内を切り裂いてシュート。「前半にも同じような場面があり、このときもドリブルで行けそうだったので、イメージ通りに落ち着いて流し込めた。ゴール前の形にはチーム全員でこだわってきた」と久保木の振り返り。 今大会、霞ケ浦は明秀日立や東洋大牛久などの強豪を次々と撃破、無失点でトーナメントを勝ち抜けた。優勝はおろかベスト4以上に入るのも創部以来初めてという。「予選から我慢して1つ1つのチャンスをものにしてきた。関東では厳しい試合になると思うが、チームで意志統一し、セットプレーなど自分たちの得意なところで点を取りたい。県でやってきたことを出せれば勝つチャンスはあると思う」と久保木主将は話す。 女子は関東出場逃す 霞ケ浦は、前半はGK芹澤彩を中心とする堅い守備で相手の猛攻に耐えたが、後半鹿島学園に相手の勢いに飲まれた。 きっかけは選手交代。後半頭から入った相手FWの宿野部夏澄に、4分の最初のプレーで得点を許した。「相手のワントップには自分がマンマークで付いていたが、こぼれ球に前へ出たところを裏へ抜けられた。前半付いていたFWとは違って、ゴリゴリ来るタイプで寄せもうまかった」とDF井上祐実主将の振り返り。8分にはコーナーキックにFW玉井小春が右足で合わせて追加点。0-2と引き離された。 反撃に出たい霞ケ浦は16分、井上から中央でパスを受けたDF地島愛彩がゴールを狙うものの相手DFに阻まれる。25分にMF矢内杏奈が放ったボールは相手DFに当たりゴールへ向かわず、このまま試合終了を迎えた。 「もっと攻撃に持っていきたかったが、守備で押されてやりたいことが全然できなかった。選手権に向けて点の取れるチームになり、鹿島学園を倒すとともに、去年できなかった全国大会1勝を自分たちの代で果たしたい」と井上。今年は関東リーグ2部にも参戦し、去年はできなかった経験が積めているという。 竹元栄子監督は 「この5年間で守備はできるようになってきた。次の課題は一人一人がゲームの流れを読み、点を取ること。試合では練習でやったことしかできない。毎日の練習の積み重ねを大事にしていきたい」と話す。(池田充雄)

筑波大が連覇 天皇杯県代表決定戦

第25回県サッカー選手権兼天皇杯JFA第103回全日本サッカー選手権県代表決定戦は7日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催され、筑波大蹴球部が流通経済大ドラゴンズ龍ケ崎を2-0で破り、昨年に引き続き天皇杯本戦への出場を決めた。 筑波大 2-0 流経大前半0-0後半2-0 強い雨風による難しいコンディションの中、筑波大が我慢の勝利を手にした。「相手の狙いははっきりしていたので、じれずに戦えるかがカギだった。出方を見極めながら柔軟に取り組み、選手たちが落ち着いてゲームを進めてくれた」と小井土正亮監督は評する。 筑波大は前半から圧倒的に攻めながら、流経大の堅い守りに阻まれ、時折鋭いカウンターを浴びるという展開。だがリスクマネジメントも怠りなく、前半は相手にシュートらしいシュートを打たせなかった。 攻撃の面では「風でしんどい部分もあったが、中途半端な攻め方よりも、やりきってクロスの方が相手は嫌がっていた」とボランチのMF山内翔主将がみたように、サイドのFW山崎太新やFW角昂志郎から押し込む形を多く使った。もう一人のボランチMF加藤玄は「相手の守備裏へのパスで、中央のFW内野航太郎へボールをしっかり届けようと意識した」という。またトップ下のMF瀬良俊太は「点が取れないと気持ちがマイナスな方向に行きがちだが、じれずにやればいつかは取れると、やることは変えずにとにかく継続した」と話す。 得点が生まれたのは後半6分。加藤の左サイドからのクロスが追い風に乗り、相手ゴールに突き刺さった。「ここも前に人がいるのは分かっていて、速いライナー性のボールを出すつもりで蹴った。前半よりも早いタイミングで、FWが抜け出す前にノールックで出そうと意識していた」との振り返り。 追加点は後半20分。コーナーキックのこぼれ球を瀬良が右足アウトサイドで蹴り込んだ。「こぼれて来るのを予想してニアサイドで待っていた。自分は左足より右足アウトの方が得意。いい感じで打てて、相手GKのすぐ左側を抜いた」 天皇杯本戦では、5月21日に市原市のゼットエーオリプリスタジアムで千葉県代表のブリオベッカ浦安と対戦する。昨年も1回戦で戦い、土壇場で追い付きPK戦で勝利した相手だ。2回戦に進むと6月7日、横浜市のニッパツ三ツ沢球技場でJ1の横浜F・マリノスと対戦することになる。「ブリオベッカとは今年も難しい試合になると思う。マリノスはJクラブとの貴重な真剣勝負の機会。去年の柏レイソル戦と同様、戦って得られるものは大きいと思う」と山内主将は意気込む。(池田充雄)

洞峰公園の市営化、住民投票が必要?《吾妻カガミ》153

【コラム・坂本栄】県営洞峰公園(つくば市二の宮)の無償市営化について、市議や市民の賛否が割れているようです。知り合いの市議から市議の皆さんの考え方を聞き、本サイトの記事に寄せられた読者のコメントを読むと、そんな感じがします。151「…洞峰公園問題バトル…」(2月20日掲載)では「今度は『市街戦』が勃発か?」と書きましたが、予想通りの展開になっているようです。 公園の維持管理費と運営構想で対立 151では、無償譲り受けに対する市民の反応を3グループに分けました。市営化によって公園維持管理予算が増えることに反対する派。県のアウトドア施設計画を受け入れて管理は県に任せておいた方がよいとする派。公園の現状が維持されるのだから市の負担増は仕方ないとする派。つまり、公園管理経費の出所、公園運営のコンセプトをめぐる「市街戦」です。 市が県の計画を蹴っていれば県営が維持されましたが、県は「無償で譲るから市の考え方で管理したらどうか」と提案。市が「市営にすればアウトドア施設を止められる」と受け入れたことで、問題が複雑になりました。 無償譲り受けには、市営公園リストに洞峰を加える条例の可決、市営化に伴う必要予算の可決が必要になります。市議さんは両議案に賛成するか反対するか悩んでいるようです。市議さんの場合、先のような議論のほかに、市長提案には基本賛成する(基本反対する)といった会派的な思惑、自分の地盤・支援者は賛成する?(反対する?)といった選挙上の対応もありますから、賛否判断はより複雑になります。 そこで提案です。市民の考えの大勢を知り、市議さんの判断を助けるためにも、住民投票を実施したらどうでしょうか? 以前、総合運動公園の是非判断で使った意見聴取手法です。もちろん、無作為抽出アンケート調査という簡易版もあります。無償譲り受けが正しい選択であることを確認するためにも、市はいずれかの調査が必要でしょう。 県営赤塚公園の方も市営化したら? 先週、国道354号沿いの県営赤塚公園(つくば市稲荷前)に行ってきました。洞峰は市営化されるのに赤塚は県営のままでいいのかと思い、園内を見ておきたかったからです。面積は、洞峰が20ヘクタール、赤塚が8ヘクタール。開園は、洞峰が1980年、赤塚が1981年。両公園の距離は1400メートル。県がセットで造った兄弟公園です。 洞峰は市営化されるのに、赤塚が県営のままだと、維持管理に差ができないでしょうか? 洞峰が県の手を離れることで、赤塚の管理が粗末にならないでしょうか? 洞峰周辺市民と赤塚周辺市民の住環境に、優劣が生じないでしょうか? 赤塚も譲り受け、市が一括管理した方が、市民の間の公平性は保たれるのではないでしょうか? 私は毎朝、霞ケ浦総合公園(土浦市大岩田、32ヘクタール、1990年開園)を散歩しています。ここは県営区画と市営区画が混在しており、県と市の共管になっています。文化体育館は県、多目的広場も県、水郷プールは市、風車がある湖畔も市―といった具合に。公園造りを決めた知事と市長は息が合っていたようです。(経済ジャーナリスト) <参考>市長は無償譲渡に伴う議会手続きについて議会をミスリードしています。小森谷議員の「議会に議案として出るのか」との質問に「無償譲渡を受けるのに議会の議決は必要ない」と答弁しているからです。質疑応答の詳細は「…無償譲渡受ける方針を議会に説明…」(2月14日掲載)をご覧ください。

洞峰公園の市営化、住民投票が必要?《吾妻カガミ》153

【コラム・坂本栄】県営洞峰公園(つくば市二の宮)の無償市営化について、市議や市民の賛否が割れているようです。知り合いの市議から市議の皆さんの考え方を聞き、本サイトの記事に寄せられた読者のコメントを読むと、そんな感じがします。151「…洞峰公園問題バトル…」(2月20日掲載)では「今度は『市街戦』が勃発か?」と書きましたが、予想通りの展開になっているようです。 公園の維持管理費と運営構想で対立 151では、無償譲り受けに対する市民の反応を3グループに分けました。市営化によって公園維持管理予算が増えることに反対する派。県のアウトドア施設計画を受け入れて管理は県に任せておいた方がよいとする派。公園の現状が維持されるのだから市の負担増は仕方ないとする派。つまり、公園管理経費の出所、公園運営のコンセプトをめぐる「市街戦」です。 市が県の計画を蹴っていれば県営が維持されましたが、県は「無償で譲るから市の考え方で管理したらどうか」と提案。市が「市営にすればアウトドア施設を止められる」と受け入れたことで、問題が複雑になりました。 無償譲り受けには、市営公園リストに洞峰を加える条例の可決、市営化に伴う必要予算の可決が必要になります。市議さんは両議案に賛成するか反対するか悩んでいるようです。市議さんの場合、先のような議論のほかに、市長提案には基本賛成する(基本反対する)といった会派的な思惑、自分の地盤・支援者は賛成する?(反対する?)といった選挙上の対応もありますから、賛否判断はより複雑になります。 そこで提案です。市民の考えの大勢を知り、市議さんの判断を助けるためにも、住民投票を実施したらどうでしょうか? 以前、総合運動公園の是非判断で使った意見聴取手法です。もちろん、無作為抽出アンケート調査という簡易版もあります。無償譲り受けが正しい選択であることを確認するためにも、市はいずれかの調査が必要でしょう。 県営赤塚公園の方も市営化したら? 先週、国道354号沿いの県営赤塚公園(つくば市稲荷前)に行ってきました。洞峰は市営化されるのに赤塚は県営のままでいいのかと思い、園内を見ておきたかったからです。面積は、洞峰が20ヘクタール、赤塚が8ヘクタール。開園は、洞峰が1980年、赤塚が1981年。両公園の距離は1400メートル。県がセットで造った兄弟公園です。 洞峰は市営化されるのに、赤塚が県営のままだと、維持管理に差ができないでしょうか? 洞峰が県の手を離れることで、赤塚の管理が粗末にならないでしょうか? 洞峰周辺市民と赤塚周辺市民の住環境に、優劣が生じないでしょうか? 赤塚も譲り受け、市が一括管理した方が、市民の間の公平性は保たれるのではないでしょうか? 私は毎朝、霞ケ浦総合公園(土浦市大岩田、32ヘクタール、1990年開園)を散歩しています。ここは県営区画と市営区画が混在しており、県と市の共管になっています。文化体育館は県、多目的広場も県、水郷プールは市、風車がある湖畔も市―といった具合に。公園造りを決めた知事と市長は息が合っていたようです。(経済ジャーナリスト) <参考>市長は無償譲渡に伴う議会手続きについて議会をミスリードしています。小森谷議員の「議会に議案として出るのか」との質問に「無償譲渡を受けるのに議会の議決は必要ない」と答弁しているからです。質疑応答の詳細は「…無償譲渡受ける方針を議会に説明…」(2月14日掲載)をご覧ください。

回答めどは「今月いっぱい」 つくば市への無償譲渡で知事 洞峰公園問題

つくば市二の宮にある県営の都市公園、洞峰公園(約20ヘクタール)について、大井川和彦知事が昨年12月の知事会見で、つくば市が自ら管理するのであれば洞峰公園を無償で市に移管したいなどと述べ、これを受けて五十嵐立青市長が市長会見で、無償移管を受けて市が管理することも選択肢の一つだと応じたことについて(22年12月8日付)、大井川知事は今月13日の定例会見で「今月いっぱいをめどにつくば市の方から何らかの回答をいただけるようにお願いをしているところ」だと話した。 大井川知事は「今はつくば市の方から、つくば市が無償で洞峰公園の移管を受けた場合に、どのような費用がかかるのかということの詳細を知るための様々な情報提供の依頼をいただいており、それについて提供させていただいている」とした。 その上で「無償でつくば市に譲渡するか、あるいは我々が譲歩できるところは譲歩した案に切り替え、ある程度修正した案で(パークPFI事業によりグランピング施設を整備するなど)洞峰公園の改修を進めるか、その両者のいずれかだと考えている」などと強調した。 一方、五十嵐立青つくば市長は今月6日の定例会見で、県から無償譲渡を受けるか否かの判断について「(現在)担当課レベルで正確な管理費がいくらか、情報共有をしている。(維持管理や大規模改修の)費用が分からない中で、情報がないと判断に入らない。(市が県に回答する)時期的な縛りはないと思っている。必要な情報が得られるまで協議を続ける」などの考えを示していた。 回答期限について市公園・施設課は16日「今(県と)協議している段階なので、1月中(の回答)はちょっと難しいと思う」とし、県から維持管理や大規模改修費用の詳細について資料提供を受け、不明な点について県に問い合わせており、現在、県からまだ回答をいただいていない状況だとしている。 市が県から無償で譲渡を受けた場合の洞峰公園の維持管理費用などについて県は、昨年8月の説明会などで、維持管理や運営のための指定管理料が年約1億5000万円、23年度から2027年度までの大規模修繕費用として3億5600万円かかるとしている。 市議会一般質問はいずれも慎重論 昨年のつくば市議会12月定例会では3人が洞峰公園問題について一般質問した。それぞれ「つくば市はこれから公共施設を整備するお金がすごくかかる。県として責任をもってもらいたい」(山中真弓市議=共産=)▽「移管は多額の維持費をつくば市が負担することになる。もっと詳細なデータをいただく必要がある。総合運動公園の基本計画が反対に終わったのは、総工費のみならず毎年3億円の維持管理費に疑問や拒否感があったからだと思っている」(あさのえくこ市議=つくば市民ネット=)▽「市と県で共同管理を行うなど、口も出すけど金も出す折衷案で県と話し合い、洞峰公園の維持を行う考えはないか」(飯岡宏之市議=自民党政清クラブ=)など、3人いずれからも慎重な意見が出た。(鈴木宏子)

つくば市有地売却 おかしな行政手順《吾妻カガミ》145

【コラム・坂本栄】つくば市の運動公園用地売却については、その手順のおかしさを何度も指摘してきました。市の財産処分なのに議会の決を取らなかった、公募意見では売却賛成が少数なのに無視した、売却の是非を市民に聞く無作為抽出調査をやらなかった―などです。これらに、行政手続きを終える前に売却契約を結ぶという、おかしな手順も加えておきます。 議会無視(取得するときは議決)、公募意見無視(売却賛成はたった3%)、無作為調査不採用(市政運営の定番を無視)の3点については、137「つくば市長の宿痾 総合運動公園問題」(7月18日掲載)をご覧ください。 市は用途変更ダメの事態も想定 前市長時代、市がUR都市機構から買った運動公園用地は「住宅地域」「文教地区」です。市は8月、この用途を「準工業地域」に変更するとともに、「文教地区」を外すと約束をして、用地を売却する契約を倉庫業者と結びました。この業者は、ここに電子情報倉庫や物流倉庫を建てるそうですから、用途変更が土地取得の前提になります。 そこで、市は10月から、都市計画審議会で用途変更が妥当かどうか審査しています。県とも相談して、来年2月に結論を出すそうです。 用地変更がOKになる前に売却契約を結ぶというこの手順、おかしくないでしょうか? 購入者の使途を確認→用途変更を決定→売買契約を締結というのが、正しい手順ではないでしょうか? 担当部に手順逆転の理由をただしたところ、ウヤムヤな説明でした。市は、この用地をできるだけ早く処分したいと焦っているようです。 売買契約書には、都市計画審の結論がNOとなった場合に備え、解約条項が入っているそうです。手順が正しい流れであれば、そのような条項は必要ないのに、です。市は、各方面への根回しを済ませ、NOはないと判断しているようですが、その可能性がゼロではないとも思っているのでしょう。ちなみに、土地を元の状態に戻す「解約リスク」は、原則として業者が負うそうです。 元研究者は反対、前市長は慨嘆 先の都市計画変更・公聴会では、元研究者から、用地売却=用途変更に反対する意見が述べられました。その主張については「2人が反対意見を公述…都市計画変更で…公聴会」(11月11日掲載)をご覧ください。 反対意見は、▽未利用地だからと言って、売却してしまうのはデベロッパー(開発業者)の発想だ、▽研究学園都市としては、将来、研究機関用地が必要になる事態を想定し、公有地として残しておくべきだ、▽売却は市の決定だが、学園都市つくばの特殊性を考え、県や国と一緒になって、公有地の扱いを判断すべきだ―と、整理できます。 市は研究学園都市を「経営」する構想力に欠け、その「視野」も遠くが見えていない、ということです。つくば市は困った市執行部を抱えてしまったものです。 元県議・首長の視点から、前市長は「あの土地を売らないで、市有地として確保しておけば、いつでも体育館や陸上競技場を建てられたのに、それを売り払ってしまうとは…。つくば市だけでなく、県南地域にも悔いが残る」と、慨嘆しています。詳細は「今、何をしているのですか? 前つくば市長の市原さん」(11月15日掲載)をご覧ください。(経済ジャーナリスト)

つくば市有地売却 おかしな行政手順《吾妻カガミ》145

【コラム・坂本栄】つくば市の運動公園用地売却については、その手順のおかしさを何度も指摘してきました。市の財産処分なのに議会の決を取らなかった、公募意見では売却賛成が少数なのに無視した、売却の是非を市民に聞く無作為抽出調査をやらなかった―などです。これらに、行政手続きを終える前に売却契約を結ぶという、おかしな手順も加えておきます。 議会無視(取得するときは議決)、公募意見無視(売却賛成はたった3%)、無作為調査不採用(市政運営の定番を無視)の3点については、137「つくば市長の宿痾 総合運動公園問題」(7月18日掲載)をご覧ください。 市は用途変更ダメの事態も想定 前市長時代、市がUR都市機構から買った運動公園用地は「住宅地域」「文教地区」です。市は8月、この用途を「準工業地域」に変更するとともに、「文教地区」を外すと約束をして、用地を売却する契約を倉庫業者と結びました。この業者は、ここに電子情報倉庫や物流倉庫を建てるそうですから、用途変更が土地取得の前提になります。 そこで、市は10月から、都市計画審議会で用途変更が妥当かどうか審査しています。県とも相談して、来年2月に結論を出すそうです。 用地変更がOKになる前に売却契約を結ぶというこの手順、おかしくないでしょうか? 購入者の使途を確認→用途変更を決定→売買契約を締結というのが、正しい手順ではないでしょうか? 担当部に手順逆転の理由をただしたところ、ウヤムヤな説明でした。市は、この用地をできるだけ早く処分したいと焦っているようです。 売買契約書には、都市計画審の結論がNOとなった場合に備え、解約条項が入っているそうです。手順が正しい流れであれば、そのような条項は必要ないのに、です。市は、各方面への根回しを済ませ、NOはないと判断しているようですが、その可能性がゼロではないとも思っているのでしょう。ちなみに、土地を元の状態に戻す「解約リスク」は、原則として業者が負うそうです。 元研究者は反対、前市長は慨嘆 先の都市計画変更・公聴会では、元研究者から、用地売却=用途変更に反対する意見が述べられました。その主張については「2人が反対意見を公述…都市計画変更で…公聴会」(11月11日掲載)をご覧ください。 反対意見は、▽未利用地だからと言って、売却してしまうのはデベロッパー(開発業者)の発想だ、▽研究学園都市としては、将来、研究機関用地が必要になる事態を想定し、公有地として残しておくべきだ、▽売却は市の決定だが、学園都市つくばの特殊性を考え、県や国と一緒になって、公有地の扱いを判断すべきだ―と、整理できます。 市は研究学園都市を「経営」する構想力に欠け、その「視野」も遠くが見えていない、ということです。つくば市は困った市執行部を抱えてしまったものです。 元県議・首長の視点から、前市長は「あの土地を売らないで、市有地として確保しておけば、いつでも体育館や陸上競技場を建てられたのに、それを売り払ってしまうとは…。つくば市だけでなく、県南地域にも悔いが残る」と、慨嘆しています。詳細は「今、何をしているのですか? 前つくば市長の市原さん」(11月15日掲載)をご覧ください。(経済ジャーナリスト)

今、何をしているのですか? 前つくば市長の市原さん【キーパーソン】

つくば市長を3期12年やった市原健一さん(71)が市長を退いてから6年。市原さんが経営している総合病院のところ(つくば市大曽根)で何やら工事が始まっているのに気付き、何を建設しているのか聞きに行った。ついでに、手広く医療・福祉施設を展開する市原グループの現状、市原市政の後の五十嵐市政への評価についても話してもらった。 新病院棟を建設し現棟と連結 東大通りに面している「いちはらメディカルグループ」施設を道路側から見ると、左に老人保健施設(リハビリセンター)、中央に病院棟、右に有料老人ホームが並んでいる(写真)。工事現場は、病院棟の手前(東大通り寄り)で、駐車場に使われていた場所だ。 「現在の病院棟(3階)を建ててから34年たつ。老朽化してきたし、新しい医療に対応するためにも、病院棟を新設することにした。今の建物は壊さないで、レントゲンや検査室、給食用厨房、院内薬剤業務、歯科医療の充実などに使う。現棟と新棟(4階)とつなげ、新旧が一体化した病院になる」 1階が外来診療区画、2~3階が病床室、4階が手術(オペ)区画になるという。「今は年に約1000件のオペをこなしているが、年々増えている。手術室を新棟の4階に移し、増加に対応したい。完成は来年10月になる」。病床数は現在と同じ199だが、急性期79+回復期120の現構成を、急性期79+回復期100+慢性期20に変える計画。 全17の医療・福祉施設を運営 医療・福祉法人トップの市原さんの話を聞き、「いちはらグループ」の全体像を初めて知った。医療法人「健佑会」(市原さんが理事長)が病院や老健など6施設を運営。社会福祉法人「健誠会」(奥様が理事長)が特別養護老人施設など10施設を運営。ほかに有限会社が有料老人ホームを1施設運営。職員は3法人合わせて約900人という。 全17施設のうち、13施設は病院がある場所とその周辺に配されているが、4施設は東京都内の一等地にある。身体障害者施設(港区六本木)、特別養護老人施設(杉並区永福)、同(港区南麻布)、身体障害者支援施設(同)だ。 運動公園用地売却は悔いが残る インタビューの半分は、現在の五十嵐市政の感想を聞く時間に充てた。予想通り、自分が市長時代に計画したものの、現市長らの反対運動で白紙に戻さざるを得なかった総合運動公園計画の後日談(46ヘクタールの用地を倉庫業者へ一括売却)については厳しかった。 「あの土地を売らないで、市有地として確保しておけば、いつでも体育館や陸上競技場を建てられたのに、それを売り払ってしまうとは…。つくば市だけでなく、県南地域にも悔いが残る所業だ」 市長時代、市原さんは、用地取得と施設建設のために二百数十億円を投資、公式競技ができる体育館(5000人収容できる水戸市営体育館クラス)、公式記録が取れる陸上競技場(ひたちなか市にある県営笠松運動公園の陸上競技場クラス=第2種、五十嵐市長が廃校跡に造ろうとしている陸上競技場は第4種)、プロチームを呼べるサッカー兼ラグビー場の3施設から成る総合運動公園を、10年ぐらいの時間をかけて、順次、建設する計画を立てた。しかし、住民運動での反対に遭い、断念した。 高規格の運動施設が県南に必要 「総合運動公園のような施設は、つくばだけでなく、県南に必要と考えた。茨城県では、ちゃんとした施設が水戸地区に集中している。つくばは東京に近いし、(TXや圏央道も通る)交通の要所。市内に総合運動施設を造れば、県南の活性化に役立つからだ」「あの用地のように、土地の形、周辺の環境、アクセスの便に優れた、まとまった土地は北関東にはもうない」 【いちはら・けんいち】1979年、北里大医学部卒、東京女子医大病院整形外科入局。1988年、つくば市に市原病院を開設、院長に就任。茨城県議(4期連続当選)を経て、2004~2016年、つくば市長。現在、「いちはらメディカルグループ」最高経営責任者。2017年から県教育委員。1951年、つくば市大曽根生まれ。同市竹園在住。 【インタビュー後記】市原さんはいつも細身のズボンをはいている。大体イタリア製という。とてもオシャレだ。インタビュー数日前、「あみプレミアム・アウトレット」に行き、ブランドのゴルフ用ズボンを3本、まとめて安く買ったと喜んでいた。私は大体ユニクロで済ませている。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

「非常にうれしい」五十嵐市長、つくば市旧総合公園用地売却で所感

つくば市大穂の旧総合運動公園用地(約46ヘクタール)を、外資系物流不動産会社グッドマンジャパンに売却する契約を、8月30日付で市土地開発公社とグッドマンジャパンつくば特定目的会社が締結したこと(8月30日付)について、五十嵐立青つくば市長は6日の記者会見で所感を聞かれ、「非常にうれしく思っている」と述べた。 会見で五十嵐市長は「国策でも(整備促進が)示されているデータセンターに加え、市がずっと必要としていた防災拠点を無償で提供いただける。結果として売却益も大きい。ドッグランや大きなシアターを付けてくださる。非常にいい土地活用方法になると思っている」と述べ、「市としても周辺整備を事業者と協議しながらきちんと進めていきたい」とした。 一方、売却前に市が実施した市民説明会やバブリックコメントでは参加者の大半が売却に反対したのに、追加のアンケート調査すら実施せず、売却を強行したことに対しては「反対された方たちは、説明会で繰り返し発言された方と重なりがある。結果としてリコール運動も(集まった署名が)千何票で、全国の様々なリコール運動からするとかなり少ない。逆に言えば市民はこの事業を前に進めることを望んでいるということが示されたのではないかと思っている」とし、「必要な事業の形で実現できるということは、長い懸案だったのでうれしく思っているということ」だとした。 同用地は2015年、住民投票で総合運動公園計画が白紙撤回された。翌年、五十嵐氏は、同用地を「URと返還交渉する」ことを最大公約に掲げて市長になった。(鈴木宏子)

つくば市政を迷走させる 困った市議会 《吾妻カガミ》140

【コラム・坂本栄】つくば市長リコール(解任)署名集めが未達に終わったことで、総合運動公園問題の次の焦点は住民訴訟の判決に移りました。市議会が運動公園用地跡売却の可否を議決にかけていれば、解任運動も住民訴訟もありませんでした。議会の怠慢が問題をこじらせているといえます。 署名運動の結果は、本サイトの「市長リコール請求を断念 … つくばの市民団体」(8月16日掲載)をご覧ください。また、用地処分契約の内容は「グッドマンと売買契約を締結 …旧総合運動公園用地」(8月30日掲載)に出ています。 未達の原因について、▽つくばには研究機関用地が必要だとの訴えに市民の関心が薄かった(市民の多くは東京通勤に便利な上質な街つくばに満足?)、▽訴えが多岐にわたり、問題の核心(市の用地売却手順の違法性)がぼけた、▽市民の関心が売却額(110億円)に集まり、用地売却の手順に向かわなかった―と、私は分析しています。 運動公園用地問題はまだ終わらない 解任運動を引っ張った酒井泉さん(研究者)は、市長解任を決意した理由を「今年1月の議会で、用地売却は議決不要との市執行部の判断が示された。売却案を議会に諮り、それを議会が承認するなら、それはそれで仕方ない。しかし、議会の議決も取らず、執行部の勝手な売却を許すというのなら、市民運動で止めるしかないと思った」と言っています。 その第1弾が水戸地裁への住民訴訟(5月下旬、判決は1年ぐらい先、訴状は下記リンク先に転載)、第2弾が不発に終わったリコール署名集め(7中旬~8月中旬)でした。 地裁判決後の流れは、A:市の売却手順は合法→有志市民は上級審に持ち込む、 B:市の売却手順は違法→市執行部は上級審に持ち込む―といった展開が考えられます。判断するのは、(議会を軽視する)行政でも(執行部に従順な)議会でも(あまり関心がない)市民でもなく、(法律に基づき裁く)司法ですから、どうなるか予想できません。いずれにしても運動公園問題はまだまだ終わりそうにありません。 市の「議決不要」を素直に受け入れ 有志市民が違法だと主張する「市の用地売却手順」のおかしさについては、コラム135「運動公園用地売却に見る つくば市の不思議」(6月20日掲載)で取り上げました。 私はこの中で、「不思議なのは、66億円で購入した運動公園用地が市の大事な財産であるにもかかわらず、帳簿上は市のものでなく、市のペーパーカンパニー『つくば市土地開発公社』の所有だから、その売却については議会に諮らなくてよい―という手続き論をタテに、議会の議決を回避したことです」と指摘しました。 笑えるのは、執行部の「議決不要」に議会が異論を唱えず、素直に受け入れたことです。市が運動公園用地を買ったときは、関連する議案を審議しています。ところが、売るときは必要がないというのでは、議会の仕事の放棄です。議決しておけば、この問題はずっと前に片付いていたのに、実に困った議会です。(経済ジャーナリスト) <参考> 住民訴訟の訴状

つくば市政を迷走させる 困った市議会 《吾妻カガミ》140

【コラム・坂本栄】つくば市長リコール(解任)署名集めが未達に終わったことで、総合運動公園問題の次の焦点は住民訴訟の判決に移りました。市議会が運動公園用地跡売却の可否を議決にかけていれば、解任運動も住民訴訟もありませんでした。議会の怠慢が問題をこじらせているといえます。 署名運動の結果は、本サイトの「市長リコール請求を断念 … つくばの市民団体」(8月16日掲載)をご覧ください。また、用地処分契約の内容は「グッドマンと売買契約を締結 …旧総合運動公園用地」(8月30日掲載)に出ています。 未達の原因について、▽つくばには研究機関用地が必要だとの訴えに市民の関心が薄かった(市民の多くは東京通勤に便利な上質な街つくばに満足?)、▽訴えが多岐にわたり、問題の核心(市の用地売却手順の違法性)がぼけた、▽市民の関心が売却額(110億円)に集まり、用地売却の手順に向かわなかった―と、私は分析しています。 運動公園用地問題はまだ終わらない 解任運動を引っ張った酒井泉さん(研究者)は、市長解任を決意した理由を「今年1月の議会で、用地売却は議決不要との市執行部の判断が示された。売却案を議会に諮り、それを議会が承認するなら、それはそれで仕方ない。しかし、議会の議決も取らず、執行部の勝手な売却を許すというのなら、市民運動で止めるしかないと思った」と言っています。 その第1弾が水戸地裁への住民訴訟(5月下旬、判決は1年ぐらい先、訴状は下記リンク先に転載)、第2弾が不発に終わったリコール署名集め(7中旬~8月中旬)でした。 地裁判決後の流れは、A:市の売却手順は合法→有志市民は上級審に持ち込む、 B:市の売却手順は違法→市執行部は上級審に持ち込む―といった展開が考えられます。判断するのは、(議会を軽視する)行政でも(執行部に従順な)議会でも(あまり関心がない)市民でもなく、(法律に基づき裁く)司法ですから、どうなるか予想できません。いずれにしても運動公園問題はまだまだ終わりそうにありません。 市の「議決不要」を素直に受け入れ 有志市民が違法だと主張する「市の用地売却手順」のおかしさについては、コラム135「運動公園用地売却に見る つくば市の不思議」(6月20日掲載)で取り上げました。 私はこの中で、「不思議なのは、66億円で購入した運動公園用地が市の大事な財産であるにもかかわらず、帳簿上は市のものでなく、市のペーパーカンパニー『つくば市土地開発公社』の所有だから、その売却については議会に諮らなくてよい―という手続き論をタテに、議会の議決を回避したことです」と指摘しました。 笑えるのは、執行部の「議決不要」に議会が異論を唱えず、素直に受け入れたことです。市が運動公園用地を買ったときは、関連する議案を審議しています。ところが、売るときは必要がないというのでは、議会の仕事の放棄です。議決しておけば、この問題はずっと前に片付いていたのに、実に困った議会です。(経済ジャーナリスト) <参考> 住民訴訟の訴状

市長リコール請求を断念 署名集まらず つくばの市民団体

つくば市が旧総合運動公園用地(同市大穂、46ヘクタール)を外資系物流不動産会社、グッドマンジャパンに一括売却する問題(6月21日付)で、売却に反対し五十嵐立青市長のリコール(解職)を求める署名運動を実施(7月8日付)していた市民団体「つくば市長リコール住民投票の会」(酒井泉代表)は16日記者会見し、署名が1028筆(15日時点)しか集まらなかったとして、リコール投票の請求を断念すると発表した。 同会は7月11日から8月10日までの1カ月間、署名を集めていた。リコールの賛否投票を請求するには、有権者数の3分の1以上の6万4658人以上の署名が必要だった。 酒井さん(73)は「(売却は)議会も通さず、市民の意志表示の機会がなかった」とリコール運動を実施した理由を改めて話し、署名が集まらかった原因については「自分の住所、氏名、生年月日などの個人情報をさらけ出すことに抵抗もあったと思う。6万筆なんて集まるはずないのに、負け戦に参加することに恐怖もあったと思う」とした。 さらに「これまで新聞にちらしを3回折り込んだが、1割くらいしか読んでおらず、(売却により)学園都市がなぜ存亡の危機か、ほとんどの人が理解してなかった。理解している人でも、リコールまでやる必要はない、全市的な問題ではないという意見もあった。110億円で売れたからいいじゃないという話も随分聞いた」などと述べ、「問題提起をするのが役目だったが、我々の役目が足りなかった」と話した。 酒井さんは「私が中学生の時(筑波研究学園都市の)用地買収がスタートし、その時の地元の苦悩を見ている。反対が多かったが地元が受け入れたのは、世界に遅れないよう研究学園都市をつくるという明確な理念が国にあったから。その後、成田闘争があったが、当時つくばが成田闘争のようなことになっていたら、研究用地を売却することなどできなかったと思う」と振り返り、「(研究学園都市建設から)たった50年で研究用地を売却するとはどういうことか。研究用地の売却は工業団地の売却とは違う」「50年経って、そもそも研究学園都市がどんな理念でつくられたかを知る人は、我々の世代しかいなくなっているのかと思う」とし「市民に気付いてもらう努力はこれからも続けたい」と語った。 今後については、用途地域の変更などつくば市が今後実施するさまざまな法的手続きに意見を言っていくほか、つくば市と係争中の、売却の違法性を訴える住民訴訟に力を注ぎたいとした。リコール運動についても「(状況によって)何度でも繰り返しやる」と強調した。 今回集まった1028筆の署名は、開封せず、報道機関など第3者の立ち合いの下、近日中にシュレッダーですべて裁断し処分するとしている。(鈴木宏子)

県営の洞峰公園、つくば市が買い取ったら?《吾妻カガミ》134

【コラム・坂本栄】茨城県が改修しようとしている県営・洞峰公園(つくば市二の宮)。つくば市は了解したのだと思い、改修を進めようとしたら、市民から計画の目玉と進め方に疑問の声が。当然、市は市民の側に立ち、県と市はバトル状態に。いっそ、市が公園を県から買い取り、市民に現状のまま利用してもらったら? 県と市のバトルに市民運動が参入 県の改修計画のあらましは「…4社グループに決定…洞峰公園の整備事業…」(2021年11月30日掲載)に出ています。学園都市にふさわしい、レクリエーションも楽しめる、にぎわいを創り出すエリアにする―という考え方で、野球場をつぶし民営のグランピング(宿泊用具が備わった豪華テント)や、バーベキュー施設を設けるのが目玉です。 県の内外からたくさんの人に来てもらい、おカネを落としてもらうだけでなく、公園運営に民間会社も加わってもらい、その上がりを公園管理費の足しにしようという、大井川知事らしいアイデアです。県の魅力度アップ作戦の一環でしょう。 この計画に対し、そんなものは要らないとの声が市民の間から上がりました。自然公園の形が壊され、宿泊者の騒音・酒・たばこ、バーベキューの煙・臭いは迷惑だ、と。市側の懸念は「26項目で(市と県が)やりとり」(5月4日掲載)に詳しく出ています。市民運動も起き、2000人を超える署名を集め、県の計画策定作業に参加したいと言っています。そのいきさつは「県に協議の場設置を要望…」(5月13日掲載)をご覧ください。 県営公園は合併前の谷田部に開園 県にとって、洞峰公園改修は、水戸偕楽園改修(現在策定中)、大洗水族館改修(知事はジンベエザメに執心)、石岡フラワーパーク改修(昨春完了)と同じ、観光振興策です(小粒ではありますが)。市の懸念に配慮し、「騒音、酒、タバコ、煙、臭い」に極力対処することはあっても、改修そのものにはこだわるでしょう。 そこで提案。公園管理費を減らしたい県の立場を考え(魅力度アップの方は勘弁してもらい)、同時に市民の疑問や反対に応えるためにも、洞峰公園を買い取って市営にするのも一案です。 洞峰公園が1980年に開園したとき、つくば市はありませんでした。谷田部町、豊里町、大穂町、桜村が合併して生まれたのは1987年ですから、場所は谷田部町でした。事情通によると、学園都市にふさわしい公園が必要と考えた県が、町の財政力では無理と考え、代わりに造ったそうです。それから42年。市が管理するのは自然ではないでしょうか。 洞峰公園は20ヘクタール、総合運動公園用地が45ヘクタール。運動公園は66億円ですから、土地単価が仮に同じとすると、洞峰公園は29億円になります。これをどれだけ下げてもらうかは、市の交渉力にかかってきます。市と県のバトルが続くことは好ましくありません。それは市と県の関係の泥沼化を意味するからです。(経済ジャーナリスト)

県営の洞峰公園、つくば市が買い取ったら?《吾妻カガミ》134

【コラム・坂本栄】茨城県が改修しようとしている県営・洞峰公園(つくば市二の宮)。つくば市は了解したのだと思い、改修を進めようとしたら、市民から計画の目玉と進め方に疑問の声が。当然、市は市民の側に立ち、県と市はバトル状態に。いっそ、市が公園を県から買い取り、市民に現状のまま利用してもらったら? 県と市のバトルに市民運動が参入 県の改修計画のあらましは「…4社グループに決定…洞峰公園の整備事業…」(2021年11月30日掲載)に出ています。学園都市にふさわしい、レクリエーションも楽しめる、にぎわいを創り出すエリアにする―という考え方で、野球場をつぶし民営のグランピング(宿泊用具が備わった豪華テント)や、バーベキュー施設を設けるのが目玉です。 県の内外からたくさんの人に来てもらい、おカネを落としてもらうだけでなく、公園運営に民間会社も加わってもらい、その上がりを公園管理費の足しにしようという、大井川知事らしいアイデアです。県の魅力度アップ作戦の一環でしょう。 この計画に対し、そんなものは要らないとの声が市民の間から上がりました。自然公園の形が壊され、宿泊者の騒音・酒・たばこ、バーベキューの煙・臭いは迷惑だ、と。市側の懸念は「26項目で(市と県が)やりとり」(5月4日掲載)に詳しく出ています。市民運動も起き、2000人を超える署名を集め、県の計画策定作業に参加したいと言っています。そのいきさつは「県に協議の場設置を要望…」(5月13日掲載)をご覧ください。 県営公園は合併前の谷田部に開園 県にとって、洞峰公園改修は、水戸偕楽園改修(現在策定中)、大洗水族館改修(知事はジンベエザメに執心)、石岡フラワーパーク改修(昨春完了)と同じ、観光振興策です(小粒ではありますが)。市の懸念に配慮し、「騒音、酒、タバコ、煙、臭い」に極力対処することはあっても、改修そのものにはこだわるでしょう。 そこで提案。公園管理費を減らしたい県の立場を考え(魅力度アップの方は勘弁してもらい)、同時に市民の疑問や反対に応えるためにも、洞峰公園を買い取って市営にするのも一案です。 洞峰公園が1980年に開園したとき、つくば市はありませんでした。谷田部町、豊里町、大穂町、桜村が合併して生まれたのは1987年ですから、場所は谷田部町でした。事情通によると、学園都市にふさわしい公園が必要と考えた県が、町の財政力では無理と考え、代わりに造ったそうです。それから42年。市が管理するのは自然ではないでしょうか。 洞峰公園は20ヘクタール、総合運動公園用地が45ヘクタール。運動公園は66億円ですから、土地単価が仮に同じとすると、洞峰公園は29億円になります。これをどれだけ下げてもらうかは、市の交渉力にかかってきます。市と県のバトルが続くことは好ましくありません。それは市と県の関係の泥沼化を意味するからです。(経済ジャーナリスト)

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