水曜日, 4月 17, 2024
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運営事業者の継続求め陳情 不登校の学習支援拠点「むすびつくば」保護者会

つくば市とNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(同市二の宮、本山裕子理事長)が協働で、不登校の児童生徒の学習支援を行う「むすびつくば」(同市吾妻)の保護者会が19日、次年度以降もリヴォルヴによる事業継続を訴え、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長に陳情書を提出した。 昨年12月、市は2022年度の委託事業者を公募型プロポーザル方式で募った。名乗りをあげた4事業者中、新規の民間事業者が1位に選定され、リヴォルヴは次点になったという通知が今月7日に届いたからだ。 保護者会代表の小柴架奈子さんは「通所している子どもたちは学校に居場所がなく、親子でお先真っ暗の辛い時期を過ごした。今はリヴォルヴのスタッフのおかげで通所を楽しみにするようになった。人間関係に不安があったり、新たな環境への適応が難しい子どもは通所が困難になることが予想され、またあの辛い日々に戻らなければならないのかと不安を抱えている」と保護者たちの思いをぶつけた。 また「次年度の事業者が公募されることは知っていたが、つくばで20年以上フリースクールを運営しながら発達障害や学習障害への対処法を研究してきたリヴォルヴの実績は市も知っていて、外されることは想定していなかった。当事者は不登校を経験した繊細な子どもたちなのに、モノをとっかえるような教育政策は納得できない」と憤る。 市は不登校の子どもたちの社会的自立に向け、リヴォルヴと協働で2020年10月1日、TXつくば駅に近いつくば市産業振興センター内に支援拠点「むすびつくば」を開設した。支援業務の教育効果などを明らかにする目的で「協働実証事業」と位置づけられた。 週4日の時間割で、教員免許を持つ教科担当者ら12人が個々の適性に応じた学習支援を行っている。自由に過ごせるフリースペースも設けられている。 開所時は定員15人としたが、問い合わせと見学が引きも切らず、21年10月末現在、小1から中3までの35人が通所している。市内の不登校児童生徒数は約400人(30日以上欠席)に上り、不登校の子どもたちへの公的支援はまだまだ少ない。 「変わったら また引きこもりになるかも」 保護者会の塩見直子さんは「むすびつくばにたどりつくまで明日が見えなかった。事業者が変わったら子どもがまた引きこもりになるかも知れない」と不安を募らせる。 保護者会代表の庄司里奈さんは「一部の子や親がうるさく言っていると思わないでほしい。コロナ禍の学校では給食は黙食、休み時間も大きな声を出せないなど子どもたちはストレスを抱え、子どもが登校を嫌がるという話を聞くことが増えてきた」と話す。 学習障害のために3年間不登校になったが、昨年からむすびつくばに通所し、在籍している中学校にも登校できるようになった中1の男子生徒は「自分は頭が悪いと思っていたが、むすびつくばで『頑張らなくていい』と言われて安心でき、勇気を出して学校で友だちと話せるようになった。どうして(運営者から)無くすのかわからない」と訴えた。 保護者会は陳情書で、リヴォルヴの運営継続のほか、3月末に予定されている実証事業の検証を早急に行うこと、利用している子どもたちの声を聞き取り次年度以降の委託事業に取り入れること、実証事業の検証を待たずに事業者選定に至ったプロセスを明確に説明することを求めている。 さらに、不登校の辛さと「むすびつくば」存続への切実な思いを15人がつづった体験集を添えて、20日に森田充教育長に提出する予定だ。賛同者からのオンライン署名も呼び掛けている。 これに対し市教育局学び推進課は、新年度からの新たな運営事業者の選定について、外部の有識者を含む7人による選定委員会を設置し、プロポーザル方式により、価格のみでなく、実績や専門性、企画力などを公正、適正に選定したとし、19日時点で、新たな事業者がどこになったかは公表できないとしている。 一方、運営事業者が変わることに保護者から不安の声が出ていることについて同課の横田康浩課長は「保護者への丁寧な説明をしたい。不登校の子供たちは不安な状況にあることは間違いないので、不安を払拭できるように進めていきたい」としている。(橋立多美)

自治会運営㊦ アナログ業務をIT化し効率的な運営代行 つくばのNPO法人

【橋立多美】退職後のシニア世代が担ってきた自治会(区会)が超高齢社会の到来で曲がり角にきた。催事や集金業務などへの負担や近所付き合いを煩わしく思う人も増えて加入率は低くなり、一部では「不要論」もささやかれている。 こうした自治会運営に一石を投じるのがTX沿線の若いまち、みどりのに誕生したNPO法人「みどりーむプロジェクト」だ。手間のかかる区会業務を代行することで、核家族で共働きの現役世代を中心とした住民の負担をなくしている。 同プロジェクトをけん引するのは理事長の渡邉周一さん(46)。外資系IT企業に勤務し、11年前にみどりのに新居を構えた。入居間もなく近隣の工業団地に産業廃棄物処理工場の建設計画が持ち上がった。渡邉さんは「みどりの第一区会」を立ち上げ、地域住民の署名を集めて建設計画を白紙に戻させた。 以後、同区会の会長として経験を積む中で、業務を整理して委託できるものは外部の代行業者に託し、区会本来の「住みよい地域づくり」を重点にした活動が望ましいと考えるようになった。 区会の仲間らと地域主体のまちづくりについて検討を重ね、継続して取り組むための「みどりーむ憲章」を掲げる一方で、NPO法人みどりーむプロジェクトを2013年3月に設立した。区会の創設と運営、みどりの駅前緑化、同駅前イルミネーション運営支援3本が事業の柱だ。 NPO設立当時、住宅街やマンションを建設する開発業者に区会運営を働きかけて同意を得た。業者の「自治会運営はNPOに委託します」に入居者たちから反対の声が上がることはなかった。渡邉さんは「自治会活動を経験した年配者に喜ばれ、委託の価値が分かっていると思った」と言う。 6つの区会(合計約300世帯)の運営を請け負い、主に行政情報などの提供とごみ集積所の管理、行政機関への要望書作成と提出を代行している。情報は電子化して送信。これによって仕分けしたり一戸ずつ配布する手間と時間を省き、受け取る側も必要な情報に目を通せば事足りる。 誤ったごみ出しが住民トラブルを招くことから、ごみ集積所の利用はルールを決めて順守を呼びかける。ごみ収集後の衛生管理は清掃会社に委託している。区会からの委託料と、各世帯が負担するごみ集積所の管理費と区会費はNPOが管理する区会の口座に入金される。集金担当者の重荷になる従来の集金スタイルが一掃され、時代に即した効率的な運営を実現している。渡邉さんが会長を務めるみどりの第一区会も同様のシステムで運営され、役員選出でもめたことはないそうだ。 渡邉さんは「まちには高齢者や認知症の人もいる。やがて足腰が弱くなってごみ出しも大変になるだろう。どう対処していくかがこれからの課題」と話した。 住んで良かったと思える安心、安全なまちづくりのために、みどりの第一区会の有志約20人が毎月1回街中を徒歩でパトロールしている。顔見知りの住民が増えてまちの安全を見守る輪が広がっているそうだ。 ➡自治会運営㊤はこちら

自治会運営㊤ 脱会増加と担い手不足 高齢化したつくばのニュータウン

【橋立多美】地域住民の親睦や環境美化、防犯・防災活動などの場として存続してきた自治会(区会)。東日本大震災以後は災害時の互助組織として見直す動きもある。だが、担い手が高齢化している自治会は多く、運営維持は各地で大きな課題となっている。 つくば市南端の茎崎地区にある森の里自治会もその一つ。高齢化による活力の低下と加入者の減少、活動をけん引する役員の担い手不足に直面している。森の里は40年前に「ニュータウン」として開発された住宅地。住民約2900人(1300世帯)の半数が65歳以上だ。 例年、150人以上が集まる同自治会の総会は団地に隣接する市立茎崎第三小学校の体育館で開催してきたが、新型コロナウイルスの影響で体育館使用を断念。今月22日、出席者を新旧役員約50人に絞り、団地内の森の里自治会公会堂で開催した。 「女性会員から要望があった公会堂の厨房(ちゅうぼう)拡張整備のめどがたち、他の人に任せるのは無責任と思い、今年も私がやることになりました」と自治会会長の倉本茂樹さん(78)は言う。住民全体が老いた今、誰も役員にはなりたがらない。任期は1年だが、毎年他に候補者がおらず、2020年度も会長を続投することが決まった。会長職は今年で8年になる。 自治会には1040世帯が加入(加入率74%)し、99の街区がある。街区ごとに1年交代の街区委員がおり、月2回の行政情報や回覧物の配布、自治会費の徴収をする。数年前から年をとって街区委員の任務が辛くなったと退会する世帯が目立つようになった。 昨年度から街区委員の負担を減らそうと、一律3カ月分の自治会費の納入を半年または1年分まとめて納入できるようにした。しかし、高齢による体の衰えや家族の介護などを理由に昨年1年間で19世帯が退会した。街区委員免除も試みたが「人様に迷惑はかけられない」と辞退された。 同自治会は夏まつりをはじめとするレクリエーションや環境美化、防災活動などの他、高齢者の引きこもり防止の交流サロンやごみ出しなどの日常生活支援にも取り組んでいる。一方、団地造成から40年を経て道路や公園などインフラの老朽化が著しく、行政機関への修復要請に追われるという。 倉本さんは総会の就任あいさつで「継続してきた夏まつりや餅つき大会などは会員相互の親睦のために可能な限り実施したいが、高齢化が進んでこれまで通りにはいかない状況にある」と話した上で「役員や街区委員の負担を軽減していきたい」とも。 こうした中、区会運営を引き受けて住民の負担軽減に取り組むNPOがある。(つづく)

【震災9年】福島に入り猫救出を経験 つくばで地域猫活動のリーダーに

【橋立多美】つくば市在住の重松聖子さん(71)には9年経っても忘れられない光景がある。住む人を失った家の中に猫の骸(むくろ)が2体並んでいた―。巨大地震、津波に続いて福島第1原発が爆発し避難指示が出された。「すぐに帰れると思い、猫が外に出ないように鍵をかけて行ったんだと思う」 2010年、県南を中心に活動している動物愛護団体のボランティアとして啓発や犬猫の保護譲渡に取り組んた。翌年3月11日に東日本大震災が発生。厳冬期を迎えようとする10月、同団体に所属する3人で福島県東部の太平洋に面した浜通り地域の警戒区域に、置き去りにされた猫の救出に向かった。 早朝に福島県に入り、富岡町の施設で防護服に着替えて線量計を首から下げた。帽子と上着、ズボン、手袋、マスクが渡された。手袋は3重、靴は2重のビニールで覆った。 双葉町や大熊町、楢葉町、浪江町など大地震でインフラや建造物の倒壊が相次いだ被災地で、とり残された猫を探し回った。犬はほかの愛護団体が保護した。 「枯れた草の中に猫が隠れていないかと分け入る度に線量計の針が大きく振れた。自分の被ばく線量より生きている子を助けたいという思いが強かった」と振り返る。震災から半年以上空腹に耐えてまちをさまよった猫たちの体は、汚れてやせ細っていた。 街灯を流された被災地は明かり一つない。午後4時過ぎに活動を打ち切った。この日保護した猫は10匹だった。車に積んでいった100キロの餌は、救出できなかった猫が命をつなぐために、先に被災地に入った動物愛護団体が作った30カ所の餌箱に入れてきた。 土浦のシェルターで世話 所属していた団体が福島で被災した犬猫を保護するシェルターを11月に土浦に設置し、猫舎に約40匹、犬舎に20頭ほどを受け入れた。猫の世話を担当した重松さんは「どうしても懐かない3匹がいて、ケージの隅から動かず目はうつろだった。飼い主に捨てられた、何も信用しないと抗議しているようだった」。 ところが、懐かないのを承知で里親になってくれた家に引き取られると、生き生きして顔つきまで変わった。「家族として迎えられたことで人への信頼を取り戻したと思う。猫は家につくといいますが人につくんです」と重松さんは話す。 心ならずも、ペットを家に置いて逃げなければならなかった飼い主も辛いだろうと、猫たちの写真を、保護した町の避難所に掲示した。3組の飼い主が猫の好物を持ってシェルターに会いにきた。連れ帰ったのは1組。2組は避難所暮らしで飼えないと後ろ髪を引かれつつ福島に帰っていった。 震災時の体験が動物愛護への気持ちをより強くした。犬猫の殺処分数は減少傾向だが全体の80%を猫が占めていること、野良犬を見かけることはなくなったが野良猫が増えて全国的に問題になっていることから、地域の野良猫に不妊去勢手術などをする地域猫活動を推進する「Team.ホーリーキャット」を17年に発足させた=2019年7月17日付。 「飼い主は万一に備えて」 重松さんは「3月11日は震災を思い起こす日。想定外の自然災害が起こっているだけに飼い主には万一に備えてほしい」という。 首輪に迷子札を付けて写真を携帯するほか、フードや猫用の散歩ひもを入れたリュックとキャリーバッグはいつでも取り出せる場所に置く。またペット同伴の避難所が開設されるようになったことから、自治体のハザードマップで避難所の位置を確認しておくことを薦める。 ➡震災9年の関連記事はこちら

日本語学校の1期生30人が卒業 努力たたえ門出祝う つくば国際語学院

【橋立多美】学校法人つくば文化学園「日本つくば国際語学院」(東郷治久理事長)の第1期生の卒業式が11日催され、2年間の課程を終えた30人が巣立った。式典は学院に隣接し、理事長が代表を務めるサンスイグループのつくば山水亭で行われた。 同学院は一昨年の4月20日、つくば市松代に開校した。学生の出身国はウズベキスタンやモンゴル、ベトナム、中国、ネパールなど9カ国に及ぶ。式には学校関係者や保護者、友人らが列席した。 スーツや民族衣装で式に臨んだ卒業生たちに理事長は「生活習慣や文化が違う異国の地でよく頑張りました。ここからが日本社会への第一歩。初心を忘れずに成果を目指してください」とあいさつした。 在校生を代表して中国出身の女子学生マ・ソウソウさんが「先輩たちに日本のルールを教えてもらって勇気と自信を持つことができました。お世話になりました」と送辞を述べた。 卒業生は一人ずつ檀上に上って答辞を述べた。2年前に来日した当時に思いをはせたり、ユーモアを交えて学院での学生生活を振り返るなど、新たな門出に立った若者たちの決意がよどみない日本語で語られた。中国出身のキョ・ジンコさんは「僕は学院で言語より大切な、人とのつながりを見つけた」と語った。 日本語教育事業部の森山英煕本部長によれば、学生のレベルとニーズに合わせて進学と就労を支援しており、第一期生中24人(8割)が大学または専門学校に進むという。 ➡日本つくば国際語学院の過去記事はこちら

【新型コロナ】「一律にいかない」 休校に戸惑うつくばの学校現場

【橋立多美】新型コロナウイルス感染症対策から小中学校の休校が6日に始まるつくば市で、最後の登校日となった5日、市立茎崎第三小学校(同市小茎)の鮏川誠校長に休校に向けた取り組みを聞いた。 低学年の保護者ほど登校希望多い 政府が3月2日から全国すべての小中高校などを臨時休校するよう要請したのに対し、つくば市は5日まで通常登校による準備期間を設けた。鮏川校長は「限られた4日間で休校に対処し、どう6年生を送り出すかと苦労した」と話す。突然の臨時休校の決定に戸惑いつつ、全学年で授業の終わっていない教科に時間を割くなど、授業の穴埋めを新年度に持ち越さないよう対応したという。 その一方で教師らは休校中の宿題のプリント作りに追われた。校長は「長期の休校が児童にとってプラスになるよう、一律ではなく児童のレベルに応じた宿題になるよう配慮した」とも。 休校中、保護者の仕事の都合などで児童の面倒を見ることが困難な場合は学校が受け入れる。授業は行わないが自主学習となる。保護者に登校の有無を問う「調査票」を配布した結果、同校は全校児童215人中、67人が登校を希望した(31%)。6年生4人に対し、1年生は12人で低学年ほど登校を希望する保護者が多いという結果だった。 「核家族で働いている保護者が多い。低学年の子どもほど保護者は心配する。その表れでしょう」と校長は推測する。市教育局教育指導課まとめで、同市の公立小学校で登校を希望した児童数は7,034人(47.3%)、中学校は740人(12.5%)だった。 地区ごとに臨時登校班を編成 自主学習は朝8時過ぎから午後3時まで。教師は休校中も通常通り勤務し、自主学習を支援する。学年ごとのクラスとし、感染防止のために机の間隔を広くとって手洗い対策を徹底する。また図書室での読書や外で体を動かすなど、息抜きに心配りをするそうだ。 通常、登校は8時前後の25分間だが自主学習の登校は8時からの10分間に絞った。通学路を1人で歩いて事件に遭遇しないよう集団で登校する登校班が機能しないためで、地区ごとに臨時登校班を編成してボランティアに登下校時の見守りを依頼した。下校は午後3時から速やかに行われる。 6年生の最後の授業が終わり、教室に入った校長は「卒業式は簡素化されてゆっくり話す時間がない」とした上で、「学校生活が急変したが困難を乗り越える経験はプラスになる」とエールを送った。 小4と中2の子どものいるが休校中の登校を希望しなかった会社員の女性(43)は「休めば同僚に迷惑をかける。家に子どもがいれば食費も暖房代もかかるし火事などの心配もあるが、感染リスクを考えて家にいさせることを選んだ」と複雑な思いを話した。 給食費の扱いも細大漏らさず 混乱は学校現場だけではない。給食に関わる事務を担当する市健康教育課も、前例のない事態に直面している。 給食費は6日以降の登校を希望した場合は月額とされ、希望しない場合は2日から5日までの日額で徴収される。が、3月の給食費は2月分と一緒に金融機関から引き落とされており、登校しない場合は返金される。 児童の年齢によって摂取量が違うため学年で給食費は異なる(小1、2年は月額4100円、1食単価240円)。またアレルギーや宗教に配慮した給食費にも違いがある。同課の職員は「ミスは許されない」と気を引き締める。 同市教委によると、市内の小学校は18日、中学校は12日に卒業式を行い、小中学校とも修了式は24日に行う予定。卒業式は飛沫感染が心配される合唱などは行わず、在校生は出席しない。修了式は各教室で全校放送で実施され、担任から修了証(通知票)を受けとる。 関連記事 https://newstsukuba.jp/?p=22157

新型コロナに判断揺れる つくば・土浦のイベント関係者 

【橋立多美】国内で新型コロナウイルスの感染が相次ぎ、感染者数は日々更新されている。22日現在、県別の感染者に茨城県はないが、都内への通勤や国際交流の機会が多いつくばでは、モヤモヤした不安を抱える人が少なくない。感染の拡大を受け、不特定多数の人が集まるスポーツイベントや会議、集会を中止する動きが広がっている。 ノーベル賞受賞者も来日回避? 農研機構は18日、一般公開施設「食と農の科学館」(つくば市観音台)を当分の間休館すると発表した。19日つくば開催の4つの研究会やサイエンスカフェに加え、21日につくば国際会議場(同市竹園)で予定していた気象環境研究会「近年の猛暑によるイネ高温不稔の顕在化とその対策」を中止とした。 同会議場では3月12日に予定されていた日本学術振興会主催の「第12回HOPEミーティング―ノーベル賞受賞者との5日間」も中止となった。ノーベル賞受賞者3人と著名研究者によるパネルディスカッションが一般に公開される予定だった。パネリストとして招へいの海外のノーベル賞受賞者の1人が直前になって出席を辞退、主催者も「コロナウイルスの影響を考慮」して中止を決めた。 敢行にも中止にも決断力 国が不要不急の集まりを控えるよう呼びかけつつも具体策が示されないなかで、多くの人が集まる会合を開催した例も。つくば市社会福祉協議会は20日、コロナウイルス予防策を練って「地域の絆フォーラム2020」をホテルグランド東雲(同市小野崎)で開催した。230人が参加した。 会場入り口にアルコール消毒液を置き、開演前にマスクを着けていない人にマスクを用意していることをアナウンスして飛沫感染を防ぎ、休憩時間に扉を開けて換気を行った。花粉症の時期と重なってマスクが入手できない現状だが、食事サービスや災害支援向けにストックしているマスクを運び込んだ。 同フォーラムは互いに支えあい、安心して暮らせる地域づくりを目指して8年前から開催。「(開催を)楽しみにしている人がいる」と中止の検討はされなかった。フォーラムを運営した担当者は「できるだけのことをした」と話す。 一方、元開業医の室生勝さんが主宰する、高齢者の居場所づくりを目指す「サロンゆうゆう」(毎週月曜)は、今月初めから活動を中止している。 政府が水際作戦をとったが、室生さんは1月下旬にはすでに国内に無症状患者がいると考えた。周囲からは「そこまでしなくても」という声があったが、医療に携わった者として対策を徹底させた。感染すると重症化する可能性が高い後期高齢者が多いことも背中を押しての決断という。 どうなる?かすみがうらマラソン 土浦市は21日、市が主催するイベント開催の方針を示し、方針に基づいて実施の判断と対応を行うと発表した。 実施するのは出席者や来場者が限定的で特定することができ、イベント会場でのアルコール消毒や手洗い、咳エチケット、換気など、一般的な感染症対策をすることが可能なもの。他方、参加者が不特定多数で感染拡大のリスクが大きく、出席者への感染により、市民の安全確保や行政、企業経営上、多大な影響が予測されるイベントは原則中止とする。 同日、霞ケ浦の湖畔をめぐるウオーキング大会(29日と3月29日)の中止が告げられた。今後は4月19日開催の「かすみがうらマラソン兼国際ブラインドマラソン」の催行に注目が集まる。エントリー者数2万4000人をこえる。 近隣ではつくばみらい市の「みらいマラソン」(3月1日)の中止が決まった。実行委員会では、大会スタッフ用のマスクや消毒液が確保できないことを中止の要因に挙げている。 関連記事 https://newstsukuba.jp/?p=22054

【まちの顔】1 宅配便セールスドライバー 加登谷文之さん

【橋立多美】私たちの日常は誰かの働きで支えられている。つくる、運ぶ、売るなど、さまざまな場面の向こうにたくさんの人の仕事がある。どんな人がどんなふうに働いているか、シリーズで紹介する。 初回は、人々の生活に身近な宅配サービスを提供し続ける、宅急便クロネコヤマトのセールスドライバー加登谷文之(かどや・ふみゆき)さん(37)。 ヤマト運輸(本社東京)つくば平塚支店のつくば研究学園センターに所属。市中部の東光台とその周辺地区の配達と集荷を担当している。入社して7年になる。土浦市在住。 「気は優しくて力持ち」を地でいく。会った瞬間、自然な笑顔とあいさつで相手の緊張を解きほぐす特技の持ち主。初めはこわもてだった人とも数回配達するうちに会話を交わすようになるという。「笑顔はうつると思う」 荷物1個当たりの重さの上限は30キロだが「30キロは重いうちに入らない」と言い切る。2011年の東日本大震災を機に重い飲料水の配達が一気に増えた。 配達先がエレベーターのない集合住宅の上階で、たどり着いたら不在で運んだ荷物を1階まで降ろすこともある。「今年から筋力をつけようとスポーツジムに通い始めた。階段で息が上がらなくなった」と話す。 毎日150個以上の荷物を配り、集荷は100個前後、不在で再配達するケースは多い日で30件ある。早く届けてあげようと無意識に小走りになる一方で、勤務時間内にその日の配達と集荷を成し遂げると達成感を覚えるそうだ。 全国安全大会で優勝 忘れられない日がある。ヤマト運輸は全社の安全意識や運転技術の向上を目的に、10年から毎年「全国安全大会」を開催している。県大会と関東大会を制した勝者が全国大会に出場する。加登谷さんは12年の関東大会で2位になり、全国大会出場を逃した。 翌年のリベンジを誓い、休日は家にこもって全国大会競技種目の学科試験に向けて知識を蓄えた。迎えた第6回全国安全大会は鈴鹿サーキットで開かれた。学科と日常点検整備、運転実技を競い、マニュアル車部門の優勝ドライバーに輝いた。16年10月17日のことだった。「自分の名前が読み上げられて号泣した」と振り返る。 全国優勝ドライバーの名に恥じぬよう働く加登谷さんに、妻は「セールスドライバーはあなたの天職だね」と声をかけた。妻からの最高の誉め言葉だったと照れながら笑顔で語った。 担当エリア内の道路は路地裏まで入社後1カ月で覚えたという。交通弱者にやさしい運転を心がけ、通学路など子どもがいる道路は徐行を怠らない。 黒ネコのマークを見つけた児童たちが笑顔で手を振ってくれたり、幼児が近づいてくることもある。「我が家の子どもは大きくなったから小さい子がかわいくて。ありがとうの思いを込めて運転席の窓から子どもたちに手を振る」そうだ。 ヤマトファンをもっと増やしたいという加登谷さん。荷物と一緒にまちに笑顔を運ぶ。

つくばの市民劇団 伊賀七座 16日、集大成の組曲お披露目

【橋立多美】江戸時代にからくり時計を作った、つくば市谷田部出身の発明家、飯塚伊賀七を題材にした舞台を手掛ける地元の劇団伊賀七座の5回目の公演「組曲伊賀七」が16日、同市谷田部の「よりあいや伊賀七庵」(旧呉服店アラキヤ)で開かれる。 同劇団などの活動は昨年7月、市が実施している周辺市街地を元気にする「つくばR8地域活性化コンペティション」で最終審査に残り、最高額の200万円を獲得した。16日の公演は今年度の集大成になる。 伊賀七座の初演は昨年6月で座長は地元在住の劇作家で舞台演出を兼ねる70歳の沼尻渡さん(ペンネームは北野茨)。以来、伊賀七の発明を基にした演劇を披露してきた。今回は、測量器具「十間輪」をモチーフに人情味に満ちた物語に仕上がっている。 当初7人だった劇団員は15人に。初演から舞台に立ち、今公演で伊賀七を演じる中村壮志さん(22)は「芝居は奥が深い。悩みは尽きないがやめるつもりはない」。伊賀七の女房役の竹田京子さん(51)は「着物に慣れないので、テレビに和服姿の女性が登場すると食い入るように見てしまう」と話した。 劇団の母体は、シャッター通りと化した谷田部地区に活気を取り戻そうと、昨春立ち上がった「わわわやたべや町民会議」(長塚俊宏代表)。伊賀七をシンボルに町おこしが動き始め、劇団と地域住民の交流拠点「よりあいや伊賀七庵」が発足した。 つくばR8地域活性化コンペで最高額を獲得したことについて沼尻さんは「コンペで認められたことが地域の励みになり『勇気づけられた』『まちが元気になりそう』という声がある。参加する住民も増えてきた。約500個の和提灯を町内に飾り付けた11月のイベントには、子どもやボランティア約300人が集まった」という。 また「コンペの支援金でのぼりを購入できたが約半分は会場の家賃に充てる。『よりあいや』は日常的に利用できる場にしたいが、それには常駐者が必要で人件費がいる。これからも寄付を募っていく」と話す。その一方で「3年間はまちの発展のために全速力で走る」とも。 「組曲伊賀七」は同町民会議の今年度の集大成で、公演には迫力ある太鼓演奏が加わるほか、伊賀七座のテーマソングが発表される。 ◆公演は16日(日)午後1時からと同3時からの2回。3時からの部は終演後、参加者たちで谷田部の地域づくりを語り合うパネルディスカッションが開かれる。チケットは大人1000円(3時の部は1500円)、中高生500円、小学生300円。当日チケットあり。問い合わせは電話090-3341-7351(沼尻さん)。 ◆「つくばR8地域活性化コンペティション」の成果報告会は、11日(火)午後1時30分から、つくば市役所コミュニティ棟1階で開催する。 ➡つくば市周辺市街地活性化の過去記事はこちら

みやびな貝合わせ展 3月8日までつくばの古書店

【橋立多美】つくば市吾妻の古書店、ブックセンター・キャンパス(岡田富朗店主)で、桃の節句にちなんだ江戸期の「貝合わせ展」が開催されている。 貝合わせは平安時代から伝わる日本の遊び。江戸時代の貝合わせは、360個の二枚貝ハマグリの貝殻の内側に、金箔(きんぱく)や砂、石などを砕いて作った顔料で絵を描き、裏返して並べた貝殻のペアをいくつ見つけられるかで優劣を競った。トランプゲームの「神経衰弱」に似た遊びだ。 江戸期には名家の嫁入り道具 ハマグリはどれも同じに見えるが、対の貝殻しか組み合わせることができず、夫婦和合の象徴として公家や大名家の嫁入り道具として豪華絢爛(けんらん)な貝合わせが作られた。 装飾された対のハマグリを納めたのが貝桶(かいおけ)で、主流は八角形で2個1組だった。大名家の姫の婚礼調度の中で最も重要な品で、婚礼行列の際には先頭で運ばれたという。 貝の内側には、花鳥などの自然風物や平安時代中期に書かれた源氏物語を彷彿(ほうふつ)させる優美な絵が描かれ、対の貝殻にも同じ絵が描かれた。手のひらに収まる小さな世界だが平安時代のみやびをまとっている。 同店には約200個の対の貝があり、店内のショーケースに約100個が展示されている。近代以降、実物は博物館などでガラス越しに見られる程度だが、申し出れば手に取ることができる。また2個の円形貝桶にも触れることができる(いずれも非売品)。 古書店ブックセンター・キャンパスは昨年、店主の岡田さんが開店した。広さ約160平方メートルの店舗に江戸や明治、大正、昭和期の古書数万冊が並べられている。 ◆江戸期の貝合わせ展 会期:3月8日(日)まで 営業:午前10時~午後4時(火曜日定休)つくば市吾妻3-10-12(北大通り沿い)店舗裏手に駐車場 電話:029-851-8100

つくば市役所にチャレンジショップ 女性2人が2月7日まで開業

【橋立多美】つくば市役所(同市学園都市)1階キッズスペース隣の特設会場で若者によるチャレンジショップが開かれ、市民が立ち寄って商品を手に取る姿が見られる。 出店しているのはTシャツやトートバッグ、ポーチなどオリジナル生活雑貨を展示販売する店と、欧米から取り寄せた子どもを前に抱いて固定する抱っこひものサンプルを展示し無料相談を受ける店の2店。 ショップは、市が今年度から3年間実施予定の「若者地域定着加速化事業」の一環で、市内で起業または新規出店して定住を目指す若者を対象に試行の場を提供し、マーケティングなど準備活動を補助して事業化を応援する事業。昨年秋に出店者を募り、今回出店した2人が選定された。 生活雑貨の店は、筑波大学芸術専門学群4年の内堀夢梨実(ゆらの)さん。同大の学園祭で販売して好評だったオリジナルTシャツと、使い勝手の良さを重視したトートバッグを並べている。いずれも大人とキッズサイズがある。 内堀さんは「学園祭と市役所とでは客層が違い、手に取ってくれるか不安だった」というが、キッズ向け商品を中心に売り上げを伸ばし手応えを感じている。「内定を得たデザイン関連の企業で社会経験を積んだ後、脱サラしてつくばで自分の店を持ちたい」と笑顔を見せた。 もう1店は子育て中でベビーウェアリングコンサルタント=メモ=の角田クリスティーナさん(32)が出店した。子どもが快適に過ごせる欧米の抱っこひもと、伸縮性のある細長い布で子どもを巻きつけて使うことで親が前傾姿勢になっても体がフィットすると注目を集めるベビーラップを体験できる。 クリスティーナさんによると欧米の育児アイテムは進歩しており、抱っこひもは新生児の時期から使えて子どもの身長や体重の増加に応じて調整できる。近年、抱っこひもを着脱するのに操作するバックルを外され赤ちゃんが落ちそうになったという物騒な話があるが、欧米の製品にはロックボタンが装備されたものがあるそうだ。 抱っこひもの選び方や肩の凝らない装着方法、昔ながらのおんぶひもの使い方を教えてくれて体験も可。「便利な育児グッズを使って自分らしい育児ライフを過ごしてほしい」とクリスティーナさんは話す。ハンガリー出身。日本男性と結婚し来日して4年のクリスティーナさんの日本語は完璧だ。 ショップは期間限定で営業日と時間は店によって異なる。雑貨店は31日までと2月3日~7日。時間は午前10時~午後4時。育児アイテム店は31日までと2月5日~7日。時間は午前10時~午後3時。両店とも土日は休み。 チャレンジショップ事業は次年度も出店対象業種や出店期間などを拡充して実施予定で、6月以降に市公式HPなどで募集する。 ※メモ 【ベビーウェアリングコンサルタント】赤ちゃんの適切な抱っこやおんぶに関する知識を持ち、赤ちゃんの発達と保護者のライフスタイルに適した育児アイテムをアドバイスする専門家。

生誕100年の李香蘭から新民謡まで 2日に新春つくばおどり

【橋立多美】人生100年時代を元気に踊って長生きしよう―をテーマにした「新春つくばおどり」が2月2日、つくば市小野崎のホテルグランド東雲で開催される。 地元の名コンビが手がける さまざまな踊り手の共演が楽しめる集いを目標に、昨年発足した「つくばおどり実行委員会」が主催。同市天久保の舞踊スクール、国際美学院学院長で実行委員長の恩田鳳昇さん(88)が舞台制作と振り付けを担当。同市在住の脚本家で副委員長の冠木新市さん(68)が企画・構成した。 幕開けは「李香蘭誕生百年を舞う」で、今年生誕100年(1920年2月12日満州生まれ)の歌姫、李香蘭こと山口淑子の代表曲「支那の夜」「蘇州夜曲」など11曲を、中国舞踊を取り入れた振り付けで17人が踊る。 第二景「おんなの朧(おぼろ)月」は、俳優松平健の新曲「マツケン・アスレチカ」と同市出身の演歌歌手、北条きよ美さんが歌う「きよ美の元気節」が繰り広げる人生賛歌のステージ。 続く第三景「夢二憂愁」は、人生100年を全うするには平和であることが必要との考えで構成された。太平洋戦争末期、旧陸軍の特攻基地が置かれた知覧を舞台にした曲「知覧の母」を演歌歌手、黒岩安紀子さんが熱唱。また竹下夢二をモチーフにした曲「夢二憂愁」も登場して歌と踊りで独特の憂愁と叙情を表現する。 最後の第四景「春夏秋冬花をどり」は民謡が流行し歌い継がれるのは、戦後75年平和が続いているからと構成された。同市北条を舞台とした新民謡「筑波節」や「水戸春秋」「長生きよさこい」などの民謡と踊りが披露され、民謡グループが華やかに踊って終演となる。 恩田鳳昇さんは、日本舞踊はもとより太極拳やフラメンコも教えるマルチな舞踊家。「格式を重んじつつ、振り付けと衣装は枠にとらわれず自由にイメージした」と話した。 つくば、土浦地域のまちおこしを目的に冠木さんが立ち上げた演劇集団「桜川芸者学校」の出演者、ぼたんさんは今回のつくばおどりにも出演する。「恩田先生の教え『心を込めて踊る』を実践したい。舞台は何度経験しても体が震えます」と、稽古の汗を拭いながら笑顔で話してくれた。 チケットは完売も続演決定 冠木さんは「中国で4000年前から続く健身気功やフラメンコ、太極拳とコラボした。つくばおどりは多彩な舞踊がつながる舞台。参加希望の舞踊家や舞踊教室はぜひ連絡を」と話す。また新春つくばおどりはすでに満席となり、年内に次回つくばおどりを開催するという。 問い合わせは、同実行委員会(Eメール:casatakenoko@meil2.accsnet.ne.jp)まで。

手話パフォーマンス招く資金を募る 「みんなの学会」来月つくば開催で

【橋立多美】筑波学院大学(つくば市吾妻)経営情報学部ビジネスデザイン学科2年の高木祐輔さん(20)が、手話パフォーマンス集団「きいろぐみ」を招待するためのクラウドファンディングへの支援を呼びかけている。同大と筑波大、筑波技術大の学生や院生らで作る「つくば院生ネットワーク」主催で来月開くイベント「みんなの学会」に招く計画でいる。 院生ネットワークは、筑波大学システム情報工学研究科の讃井知さんが代表を務め、学問分野の垣根を超えて交流したり研究成果を社会に伝える催しを開催している。発足から10年目の今年は、手話の表現力を研究発表に生かす「学会」を開催する。 ネットワークの大学院生が、手話の芝居や手話ミュージカルを展開するパフォーマンス集団「きいろぐみ」の公演を観て、手話は科学の研究発表にぴったりだと思ったのが招へいの始まり。 聴覚の差に関係なく研究を語ることを目標にした企画が始動。昨年10月に市内3大学の学生を対象に企画・運営を担当するスタッフを募った。応募者の中に筑波学院大の高木さんがいた。 同大は、学生たちが地域に出て社会貢献活動をする「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」が必修科目。まちづくりや文化、環境など多彩な活動分野の中から選択する。高木さんは昨年10月初旬につくばセンター広場で行われた、つくばクラフトビアフェスト実行委員会のスタッフとして運営を体験した。 3日間で参加者1万人を超えたビアフェスタは、それまで味わったことのないワクワク感に満ちて、設営や撤去作業なども苦にならなかったという。「OCPがゼロから創り出すイベントの面白さを教えてくれた」と話す高木さん。迷わず「みんなの学会」の運営スタッフに手を挙げた。 大学生14人による運営委員会の席上、筑波技術大で学ぶ聴覚障害者の手話を初めて間近で見た高木さんは「声に頼らずコミュニケーションをとる手話は表現力が豊かですごい。手話トークは楽しそうで素敵だなと感じた」と話す。 「きいろぐみ」を招待してみんなで手話を楽しむことで手話への理解が進むと考える高木さん。「つくばに手話パフォーマンスを呼べるよう支援をお願いします」と力を込めた。 「ユニバーサルな学び」をテーマにしたみんなの学会は、2月15日午後4時からつくば市吾妻のノバホールで開催。3人の研究発表に手話・文字・音声通訳が付く。研究発表後に手話パフォーマンス集団「きいろぐみ」の公演を予定しており、その費用をクラウドファンディングで募っている。 「みんなの学会」の参加費は学生無料、社会人千円で申し込みはこちらから。 クラウドファンディング「つくばに手話パフォーマンスを呼んで、手話と科学を繋ぎたい!」の目標金額は70万円、募集期間は1月31日まで。詳細と申し込みはこちら。

【民生委員】㊦ 災害の時代を超えて 取り組みと見守り

【橋立多美】「続けるからこそ横のつながりができ、地域のことがよく分かった」。11月末で茎崎地区の民生委員を退任したつくば市あしび野の稲川誠一さん(75)はそう語る。 子らの環境守った除染活動 4期12年の活動で忘れられないのが、2011年3月11日に発生した大地震に伴う福島第一原発の事故で、放射性物質に汚染されたあしび野児童公園の除染だという。 国は同年12月、被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上の地域がある8県102市町村を、除染の財政支援が受けられる「汚染状況重点調査地域」に指定した。指定を受けた市が「放射線対策室」を設置。毎時0.23マイクロシーベルトを超える21区域の除染実施計画を公表した。 その中にあしび野が含まれ、住民たちに動揺が走った。当時民生委員兼自治会長だった稲川さんは、自治会主催で放射線物質の専門家による勉強会を開催し、あしび野自治会館は保護者や住民でいっぱいになった。 一方、同対策室から線量計2台を借りて自治会館や団地内道路、公園など5カ所の空間放射線量を測定した。稲川さんは測定を担当したり立ち会って数値に目を凝らした。「どうか(数値が)下がってくれと祈るような思いだった」。 8月22日の時点で、児童公園だけが毎時0.249マイクロシーベルトと数値が高いことが分かった。市は子どもたちが長時間滞在する幼保や小中学校の除染は行ったが、公園の除染は実施しなかった。 10月、子どもたちの被ばく線量低減のために自治会役員と保護者らの協力で児童公園の除染に取り組んだ。作業は対策室の助言を受けて進め、安全を確保するためにマスクと長袖、手袋、長靴を着用した。 砂場は砂を入れ替え、ブランコ周辺のくぼみは土盛りをした。さらに公園内に植えられていたヒマラヤ杉6本のうち4本を伐採。残る2本は枝木を剪定した。ヒマラヤ杉は放射線物質が葉に溜り、降雨で地表の放射線量が高くなりやすいとされるためだ。 ヒマラヤ杉周辺の表土は放射線物質濃度を測定しながら掘り進め、芝生は深く刈り込んだ。汚染土は何重にも重ねた放射線遮へいポリ袋に入れ、公園内の土中深く埋めた。 除染作業の結果、11月中旬に児童公園の放射線量は基準値を下回った。 大震災から8年9カ月ー。残った2本のヒマラヤ杉は大きくなった。目に見えぬ放射性物質におびえ、子どもたちの健康被害を食い止めようと住民が1つになったと稲川さんは振り返る。 「地域の福祉を担う民生委員は、住民の生活を守るのも仕事のうち。予想外の自然災害が発生する昨今、民生委員には臨機応変の判断が求められる」と話した。 30年やってよかった 10期30年間、桜地区の民生委員として地域を見守ってきた中川発子さんも先月末で退任した。 市から引き受けてくれないかと声がかかり、民生委員として活動を始めたのは45歳のとき。「自分にできるか」という不安を「なんとかできそう」に変えたのが、先輩委員が言った「民生委員は目立ってはいけない」だった。 「そっと見守って困り事の悩みや寂しい気持ちを理解することで、人へのいたわりを持ち続けることができた。自分のためにも続けてきてよかった」と満足そうに振り返った。(おわり)

【民生委員】㊤ 担い手不足と高齢化 つくば

【橋立多美】住民の生活相談に応じて行政に橋渡しをする民生委員が今月、3年ぶりに全国一斉に改選された。困ったときの地域の「見守り役」だが、高齢の単身世帯や高齢者のみの世帯が増える一方、なり手不足などによる高齢化で「老老見守り」が進む。 今月の改選で2期目に入った50代女性は、担当区域で身寄りのない高齢男性の孤立死を経験した。 最初に訪問した時はパジャマ姿で現れ、「民生委員なんかの世話にはならない」と怒鳴られた。恐る恐る訪問するうちに玄関の椅子を勧めてくれてパジャマは洋服になった。 次の訪問で終活の相談に乗ることになっていたが、その日を待たずに亡くなった。「もっと早く訪問すればよかった」と今も自分を責める。 オートロックに阻まれて 女性によれば訪問はおおむね月1回、認知症の発症が疑われるなど目配りが必要なケースは毎週。さりげない地道な見守りは毎日のことだという。 訪問をかたくなに拒んだり、居留守を使う人もいる。ある委員は「民生委員に相談していることを知られたくない人の家には暗くなってから訪問する。それが民生委員の常識」と明かしてくれた。 「マンション1階玄関のオートロックに阻まれて会うことすら難しい」と話すのは田中邦宏さん(79)。TX沿線開発で誕生した高層マンションが林立する研究学園地区担当で、約860世帯を受け持つ。 まれに1階の共有スペースに降りてきてくれる人もいるが、インターホン越しでは会話は成立しない。「近所付き合いが面倒でマンションを購入した人が多く、一歩一歩やっていく」と話す。 茎崎地区で4期民生委員を務める片岡三郎さん(76)は、ほぼ毎夕、宝陽台団地の単身高齢者34世帯を見守るパトロールを続けている。昨日と違っているところはないか、電灯が付いているか、と注意を払う。 これまでに急に手足がしびれ、車庫で動けなくなった高齢者を見つけたり、徘徊する女性を見つけ、牛久の家族の元に帰したことがある。 改選のたびに適任と思う何人かに頼んでみたが「仕事が忙しい」「向いていない」と断られた。使命感から続けてきたが、ようやく60代の後任者が見つかった。「今期3年を悔いのないように努めたい」。 60代、70代で9割占める 民生委員は市町村の推薦で厚生労働相が委嘱する非常勤の地方公務員。任期は3年(再任可)で全国に約23万人、県内には約5千人いる。月1万円程度の活動費が支給されるだけで報酬はない。守秘義務があり、児童や妊産婦を支援する児童委員も兼ねる。 市社会福祉課によると、今月の改選時の定数271人に対し欠員は7人。再任は206人で新たに58人が推薦を受けた。30~80歳代で構成されているが60歳代が5割(133人)、70歳代が4割(110人)を占め、75歳以上の後期高齢者は21人いる。 国は「民生委員は原則75歳未満」としていたが、なり手不足を受けて2007年に年齢基準を緩和した。多くの自治体が国の通知に沿って選任したことで高齢化が進んだ。同課の木本係長は「75歳を目安として地域の事情に詳しく健康な人を推薦している」と話す。 担い手がさらに不足しかねない動きがある。国が進める高齢者の就業拡大だ。安田課長は「共働きや定年後も働く人が増え、支援が必要な人を支える分母の人数が減っている」と表情を曇らせた。 2018年度中に民生委員が受けた相談件数は7528件で年々増加している。介護保険や生活困窮の相談をはじめ、家族形態の変化に伴って家や墓の後継者問題など困難化しているという。安田課長は「日常的に地域に目を配り、相談に乗って支援することは行政には難しく、民生委員に助けられている」と話してくれた。(つづく)

参加できるインタラクティブアート 筑波学院大学生が作成

【橋立多美】つくば駅前の商業施設モグ(つくば市吾妻)1階のプラザ・パフォーマンス・ギャラリーで、クリスマスの25日まで「インタラクティブ作品」が上映されている。 作品は、筑波学院大学(同市吾妻)経営情報学部メディアデザインコースでコンピューターのプログラミングを学ぶ学生たちが制作した「参加形」映像で、子どもから大人まで楽しめる。つくば都市交通センターがセンター地区の活性化を目的に、筑波学院大学と協働でギャラリーを活用したさまざまな取り組みを実施しており、今作品の上映はその一環。 インタラクティブは「相互に作用する」ことを指し、作品の前に立った鑑賞者をセンサーが刻々と変化する映像の中に取り込み、鑑賞者がその中で自由に動くというもの。 ギャラリーの壁に縦約140センチ、横約200センチのスクリーンがセットされ、日本の四季の美しい画像を背景に四季を代表するモチーフが落下する映像が映し出される。30秒ごとに四季が移り変わり、映像の中に鑑賞者の輪郭が登場して落下物をキャッチすることができる。 作品制作に取り組んだのは学生10人で、中心になって作り上げたのが3人の3年生。鈴木拓海さん(20)は「映像に厭きないように四季をテーマにし、落下物は春なら行楽をイメージしておにぎりにするなど工夫した」。須山貴峰さん(21)は「アイデアを持ちより、2週間で完成させた」。草地万里さん(20)は「外部から関われる参加型の作品です。工夫して遊んでほしい」と話した。 画像の前ではしゃいで遊んでいた4姉妹の小3の長女は「ゲームみたいで楽しい」。40代の父母は「買い物の途中で立ち寄ったが、子どもたちは楽しくて帰りたくないと言っている」と笑って話していた。 上映期間は25日(木)まで。時間は午後4時~同8時。会場はモグ1階のギャラリー(宝くじ売り場前)。誰でも自由に鑑賞、参加できる。

救われた小さな命 交通事故被害の子猫もらって つくばの愛護団体

【橋立多美】街中や住宅地でネコがのんびり昼寝をしている風景は平和そのもの。しかし交通量が増え、不意に道路に飛び出したネコが走ってきた車とぶつかったら小さな体はひとたまりもない。 つくば市に活動拠点を置く動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(7月17日付)が、交通事故に遭った生後4カ月半の雌ネコの里親になってくれる人を探している。 今月中旬、同団体に「交通事故に遭った子ネコの里親さんを探してほしい」という連絡があった。連絡したのは牛久市在住の坂朋子さん(36)。 坂さんは今月6日午後4時半頃、つくばみらい市の職場から帰宅途中の市道で、前を走っていた2台が左側をよけていることに気が付いた。スピードを緩めると道路上に子ネコが座っていた。「頭が上がっているから生きている。このままでは後続車にひかれる」と思った。安全な場所に移動させようと車を停めて近づいた。 抱き上げると鼻血が流れ出て坂さんの手首を赤く染めた。ぐったりした全身は小刻みに震え、鳴くそぶりを見せたが声は聞こえなかった。置き去りにできないと助手席に乗せて動物病院に運んだ。 すぐに対応した小林獣医師は「レントゲン検査で大きな骨折は見られない、鎮痛剤で経過を見ましょう」と坂さんに告げ、1週間入院することになった。鼻血は頭をはじかれたことによるものと診断された。 入院中は仕事帰りに立ち寄り、ケージの中で痛みに耐えて頑張っている子ネコを見守った。また、飼い猫かも知れないと思い、保護した場所近くのコンビニに「子ネコを保護しています」と写真付きのチラシを貼らしてもらったが、飼い主は現れなかった。 病院での早い処置もあり、運び込んだ時は自分で歩くことができなかったが退院するときには歩行できるまでに回復した。だが体の右側を強打したことで右目を失明し、右耳の聴力と声を失った。同獣医師は「一過性の神経障害で発達途中なので回復する可能性はある」と話す。 退院後は坂さんの自宅に引き取った。ところが手乗りで遊んでいたハムスターがケージから出てこなくなった。「ハムスターは警戒心が強いそうで、手に残ったネコのにおいが影響しているかも」と肩を落とす。 先住のハムスターを優先させる決意をし、子ネコの里親を探すことにしたという。子ネコは右目が見えないとは思えないほど活発に遊びまわり、食欲旺盛だ。坂さんは「人懐こくてかわいい。やさしい里親さんの下で幸せに暮らしてほしい。でも手放す日は涙が止まらないと思う」 里親探しを依頼されたホーリーキャットの代表重松聖子さんは「後続車にひかれる前に坂さんの機敏な行動で保護され、獣医師につないだことで救われた小さな命。家族として迎えてくれる里親さんに手渡したい」と話した。同獣医師は「室内で飼育し定期的に健康チェックをしてやってほしい」と言い添えた。 ◆子ネコを譲渡する里親会は明日22日(日)午後1時~4時、つばた接骨院(牛久市さくら台1丁目)。新年は1月5日(日)と19日(日)午後1時~3時、TXつくば駅前のセンター広場(つくば市吾妻)で開催。問い合わせは重松さん(電話090-8058-3129)まで。

難民は現代生活を甘受する私たちの問題 筑波学院大准教授の国際協力講座

【橋立多美】つくば市吾妻の市民活動センターで13日、国際協力講座「移動を強いられている人々の課題:難民、国内避難民、移民」が開講された。講師は、国連ボランティアや国連難民高等弁務官事務所の職員として活躍した筑波学院大学(同市吾妻)准教授の米川正子さん。同センターが主催した。 昨年、紛争や迫害から逃れた難民や国内避難民は世界中で7000万人を超えた。なぜ難民たちの数は増え続け、どんな問題に直面しているのか、背景にあるグローバル構造の実態を学んだ。 師走とあって参加者は6人と少なかったが、それぞれの質問に米川さんが体験を交えて丁寧に答え、難民や避難民について理解を広げるひとときとなった。 一般的に難民と移民が同義で用いられることが多いが「難民」は迫害や紛争などで強制的に自国を追われ、「移民」は自分の意志で定住国を変える人々と述べた。そして、国内避難民と聞いても日本人は遠い国での出来事と捉える人がほとんどだが、東日本大震災から8年を経た今も福島県民を中心に避難生活を送る約5万人は「国内避難民」と説明した。 紛争は、スマートフォンなどの電子機器に使用されるコルタン(希少金属)をはじめとする鉱山資源や農園からの搾取を狙って仕掛けられる。仕掛けなければ難民は生まれないと紛争の本質を説いた上で、「難民は(生活の豊かさを追い求める)私たちの問題でもある」と語りかけた。 「日本の難民受け入れが少ないのはなぜか」という質問に米川准教授は、迫害を受ける恐れがある場合のみと定義され、受け入れは国交のある相手国を裏切るという考えに基づいていると話した。 また「日本は、私たちはどうしたらいいか」の問いには「難民、移民を生まない社会にするためには、なぜ人々が移動を強いられるのか、根本的なことを理解し全体図を見ることから」と熱を込めた。 美浦村から参加した看護師の羽太多智子さん(56)は「県南地域に外国人が多くなった。なにか手助けすることはないか、そのために学ぼうと参加した」と話した。

英語の読み書きを応援 クラウドファンディングで出資募る つくば

【橋立多美】つくば市で不登校児を支援するNPO法人リヴォルヴ学校教育研究所が、英語の読み書きへの苦手意識を軽減する「RISE(ライズ)英語罫線ノート」の改訂と普及を目標に、プロジェクト「英語学習のつまずきを防ぐノートを日本中に広めたい」を始動。ノート製作の資金をクラウドファンディングで募っている。 同研究所は、2000年から元教師らが不登校や学習障害(LD)児のための学びの場「ライズ学園」=5月29日掲載=を運営。子ども一人ひとりに応じた学習支援を実践しつつ、子どもが感じている困難さに耳を傾け、発達障害などへの対処法や成果をまとめ、独自の教材として販売している。 プロジェクトは、光過敏(まぶしくて見にくい)への配慮に重点を置くなど、既存の英語ノートにさらに工夫を重ねる。判型はA4判、小学校高学年から中学3年の利用を想定している。 目のちらつきを抑えて正しく文字を書くために4線内は目に優しい色をつける。また文字と文字の間隔を適切に空けて書けるように4線上部にドット記号を配置したり、語彙(ごい)を増すための学習のポイントを記すなど、つまずきを回避して学び取る力をつける工夫がされている。 公立中学の英語教諭を辞して同研究所を設立し、ライズ学園で英語を指導する小野村哲さんは「これまで出会った子は『みんな自分と同じように見えていると思っていた』と言う。目に見えない困難は当人さえも自覚できず、数学は100点なのに英語は0点というつまずきを生じてすべてに自信を失うこともある」と話す。 また「英語に限らず、入門期はとても大切です。転ばぬ先の杖として当研究所が開発した英語ノートを活用してほしい」と言葉をつないだ。 プロジェクト「英語学習のつまずきを防ぐノートを日本中に広めたい」のクラウドファンディングは目標金額は50万円、募集期間は来年2月27日まで。詳しくはこちら。 ◆認定NPO法人リヴォルヴ学校教育研究所(つくば市千現1-13-3)ホームページはこちら。

食べきれないお歳暮は「きずなBOX」へどうぞ

【橋立多美】年の暮れが近づき、台所の片づけをしたら賞味期限を過ぎていないが使わないと思われる食品が出てきた、なんてことありますよね。そんな時はNPO法人フードバンク茨城(牛久本部)が設置している食品収集箱「きずなBOX(ボックス)」に寄付しよう。 企業やスーパー、農家、個人などからまだ食べられる食品を無償で提供してもらい、生活困窮者や福祉施設、こども食堂などに無償で届けて食の支援をするフードバンク。「もったいない」精神を追い風に、2011年に設立されたフードバンク茨城を含めて17年時点で全国80カ所以上でフードバンク活動が行われている。 社会的弱者の命を支える「きずなBOX」は、多くの人が利用する公共の場所に設置され家庭からの提供を待っている。県内ではフードバンク茨城が回収し、種類や賞味期限に基づいて仕分けして食品を必要とする家庭や施設などに届けている。 同茨城によると、きずなBOXを設置したいという協力申し出は年々増えており、今年10月時点でつくば市内8カ所、土浦市内13カ所を含め、県内で108カ所に設置されている。 18年度の同BOXでの受け取り量は約11トンで、前年より約3トン増えた。企業や団体からの寄付も含めた昨年度の受け取り量は県全体で109トン(約6500万円相当)。昨年12月から、企業が廃棄食品をフードバンクに寄付する場合、損金扱いできるようになったなどから、さらに増える傾向にある。 一方、企業からの寄付は飲料水など福祉施設向けのものが多く、レトルト食品や缶詰などすぐに食べられる食品を必要としている生活困窮世帯は、個人からの寄付が集まるきずなBOXが役立っている。 理事の田中健一さんは「年末の時期は、お歳暮をもらっても消費しきれず、たまってしまう家庭もあると思うので、食べきれないギフト食品はきずなBOXに入れていただけば」と話している。 ただし、寄付できる食品は▽未開封の食品▽常温可能な食品▽賞味期限が2ヵ月以上残っている食品に限られる。要冷蔵や冷凍、野菜やくだものは受け付けない。特に必要とされるのが缶詰や市販の米や玄米、カレーなどのレトルト食品、インスタント麺、うどんなどの乾麺だという。 ◇つくば市の「きずなBOX」設置場所は次の通り。 市社会福祉協議会(筑穂1-10-4)/市役所1階レストラン前(研究学園1-1-1)/市民活動センター(吾妻1-10-1)/竹園交流センター(竹園3-19-2)/市民ネットワーク事務局(二の宮2-1-3)/並木交流センター(並木4-2-1)/ふれあいプラザ(下岩崎2164-1)/茎崎窓口センター(小茎320) ◇土浦市の「きずなBOX」設置場所は次の通り。 市役所1階福祉の店ポプラ(大和町9-1ウララビル)/市社会福祉協議会(大和町ウララ2ビル4階)/一中地区公民館(大手町13-9)/二中地区公民館(木田余1675)/三中地区公民館(中村南4-8-14)/四中地区公民館(国分町11-5)/上大津公民館(手野町3252)/六中地区公民館(烏山2-2346-1)/都和公民館(並木5-4824-1)/新治地区公民館(藤沢982)。

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