土曜日, 4月 20, 2024
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つくばセンタービル -検索結果

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市長、磯崎さんに面会熱望「改修着手前に意向の確認を」 つくばセンタービル

つくば市によるつくばセンタービルのリニューアル計画について、五十嵐立青市長が「私どもは(設計者の)磯崎先生と直接お話している」「磯崎先生の意向は今後も大切にしながら計画を進めていきたい」と9月議会で答弁する一方、市担当課が答弁と同じ日に磯崎新事務所関係者に「市としてもつくば市のシンボルともいえるつくばセンタービルの改修工事に直接着手する前には、是非(磯崎)先生にお会いし、ご意向の確認をと、市長は熱望しております」とメールを送っていたことが情報開示請求で分かった。 市長が磯崎さんに面会を申し入れたメールは、今年8月と9月に計4回、担当課が送っている。磯崎事務所関係者からは現在までに「コロナの状況がますますひどくなっています」「ご報告に関しましては引き続きメール等で」などとする返信がきている。 つくばセンタービルは、プリツカー賞を受賞した磯崎新さんのポストモダン建築の代表作として世界的に評価されている。つくば市のリニューアル計画をめぐっては、建築意匠に詳しい筑波大学の鵜沢隆名誉教授の見解をもとに、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、エスカレーター設置の見直しなど市のリニューアル計画の見直しを求め、建物や広場の輪郭は保持すべきだなどとする要望書を出している。 情報開示資料によると、市のリニューアル案に対し磯崎さんの意向が示されたのは、2020年12月の事務所からの「改修案への磯崎の意見は特にございません。最初に屋根を架ける案を聞いたときはぎょっとしましたが、見送りになって安心いたしました」とするメールのやりとりだけだった。 その際、市担当者が事務所関係者に示したメールの内容は「基本的に外観については既存のままとし、建物内部をリニューアルする予定ですが、1階と2階の動線を改善するために、センター広場にエスカレーターを2基設置するとともに、一部階段を拡幅したいと考えています。以前懸念をいただいていおりました屋根については、今回、見送ることといたしました」などリニューアルの方向性の資料で、リニューアルによって建物や広場の輪郭のどの部分を改変するかは、当時、磯崎さんに具体的に説明してなかった。 つくば市職員が磯崎さんと直接面会したのは2019年3月の1回のみだった。(鈴木宏子)

つくばセンタービルの保存すべき価値示す 市民団体が報告書作成

市のリニューアル計画に対峙 つくばセンタービルの価値はどこにあり、何を未来に残すべきなのかーつくば市がつくばセンタービルのリニューアル計画を進めようとしている中、見直しを求めている市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)が、「緊急討論!つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した報告書(A4版、64ページ)を作成した。 6月27日に研究会が開催した「ーエスカレーターは必要か」と題したシンポジウムの講演や討議の内容、参加者から寄せられたアンケート結果などを掲載し、リニューアル計画の問題点やつくばセンタービルの何を保存すべきかを示している。 報告書で鵜沢隆筑波大学名誉教授はつくばセンタービルの価値について「センタービルと不可分な存在としてのセンター広場が最も特筆すべき点として世界的に評価されている」とし、さらに広場の特徴について「広場に行くことを目的とした人でないと通らない、動線的に全く分離された広場」と解説している、磯崎さんの設計意図については「1階の広場と2階のペデストリアンデッキとの間で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとして理解できる」とし、市によるセンター広場へのエスカレーター設置計画に対して「エスカレーターのような設備がつくことで解決できる問題ではない」と指摘している。 その上で「広場に降りる動機をつくりだす」ための活性化方法を提案し、「広場を活性化させる新たな主役は当然、市民」だとして、市民が提案し、つくば市やまちづくり会社が市民の提案を実践して、出来上がったものを市民が享受する仕組みづくりや、具体的なアイデアを提案している。 筑波大学の加藤研助教は、つくばセンタービル建築当時を振り返り、磯崎さんが筑波研究学園都市建設をどのように見て、つくばセンタービルがどうして現在の設計になったのかを解説している。 神奈川大学の六角美瑠教授は、磯崎さんが設計したつくばセンタービルと水戸芸術館の運営方法を比較し、つくばの磯崎さんの設計意図を理解できるキュレーター(学芸員)の配置を提案している。 報告書ではさらに「貴重な広場は当初設計のまま残し活用すべき」だなどとする参加した市民の意見も紹介している。 研究会代表の冠木新市さんは「エスカレーターが必要か、必要でないかということだけでなく、つくばセンター広場を活性化するにはどうしたらいいのかなども提案しているので、ぜひ読んでほしい」と話している。 報告書は計約350部作成し、市長や市議会議員、市民のほか、全国の著名な建築家などにも配布しているという。冠木さんは「とても好評で、残り少なくなっているので、いま増刷を検討している」としている。 ◆報告書は500円(カンパ)。問い合わせは電話090-5579-5726(冠木さん)またはメール(tsukuba.center.studygroup@gmail.com)へ。

「建物の輪郭や広場の形状維持を」市民団体が再要望 つくばセンタービル

つくばセンタービルリニューアル計画について、つくば市が実施設計の入札を7日に予定している問題で、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)は3日、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長に、建築物の輪郭や中央広場の形状を維持し、改修は室内に限定するよう求める2度目の要望書を提出した。西側エスカレーターの設置見直しや中央広場を囲う一部の壁の撤去見直しなどを求めている。 市のリニューアル計画の主な内容は▽西側(クレオ側)にエスカレーターを新設する▽現在の1階ノバホール小ホールや廊下、市民活動センターなどに市民活動拠点をつくる▽ノバホール西側外階段の半分をスロープにする―など。これまで市は、市議会の意見を受けて、北側(ホテル側)のエスカレーターについては設置を取り止めた。 これに対し要望書は、つくばセンタービルはプリツカー賞を受賞した磯崎新氏のポストモダン建築の代表作であり、築50年の2033年には登録文化財となることが間違いないのに、市のリニューアル計画では貴重な申請資格が失われることになりかねないとしている。その上で、建物の歴史的、文化的意義を尊重し、建物や広場の空間的な輪郭はそのまま保持して、リニューアルは室内改修に限定すべきだとしている。 具体的には、西側エスカレーターについて、2基の計画のうち北側の1基を市議会の決断で撤回したことは評価するが、西側(クレオ側)エスカレーターについても見直すよう求め、10メートルも離れてない位置に既存のエレベーターがあること、既存エレベーターを改修する方が安全でコストが安いこと、エスカレーター設置に伴う中央広場を囲う壁の改変や屋根の設置は広場の価値を損なうなどと指摘している。 市民活動拠点の整備については、中央広場を囲う壁の4分の1を撤去し、開閉式の透明なガラス扉に置き換える計画に対して、中央広場の特徴であるメタリックな正方形とガラス窓、ガラス扉のバランスで構成された空間構成を台無しにし、世界的に価値が認められた広場の形状を壊すとしている。 さらに市民活動拠点などを整備するに際し、1階室内の幅4メートルの廊下を2メートル以下に狭めたり、廊下をふさぐなどの計画に対して、1階からの中央広場へのアクセスが狭められ、機材の搬入や搬出がほとんど不可能となってしまい、つくば市がエスカレーターを設置する目的にしている中央広場の活性化の弊害になると指摘している。 併せて、ノバホールと小ホールの間の幅4メートルの通路は、センタービルの正面玄関入り口となっているばかりか、中央広場の楕円の長軸に沿って筑波研究学園都市の南北の主要軸を形成しており、正面玄関入り口の堅牢な石造りの壁を壊すことは、筑波研究学園都市の骨格を破壊することになるとしている。 ほかにノバホール西側の外階段を改変し、車両用のスロープを新設する計画に対しては、スロープの傾斜角度が13度を超え、急な傾斜になるとみられることから、自転車などが加速し過ぎて停止できなかった場合、歩道と、交通量が多い土浦学園線の車道に行きつき、危険な事故の誘発要因となる恐れがある危険なスロープだとし、加えて、車両の通行に限定しないと建築基準法違反の勾配になるが、人や自転車の進入を24時間防ぐことは、かなり困難だなどと課題を指摘している。 要望書を提出した冠木代表は「6月1日にエスカレーター設置の見直しを求める要望書を出し、北側の1基はなくなったが、まだまだ大きな問題点があって市民に知らされないまま実施計画に入ろうとしている。つくば市の改造計画は磯崎新さんの設計ビジョンを無視したもので、プリツカー賞をとったことに対する敬意があるのか、疑問に思う」と話している。 再要望を受け取った小久保貴史市議会議長は「(議員全員で)要望書を共有し、中心市街地の特別委員会で協議していただくことになる」と述べ、飯野哲雄副市長は「(要望書を)読ませていただいてからの話になると思う」としている。(鈴木宏子)

改修へ設計を発注 つくばセンタービル 専門家懸念「文化財の資格手放す」

つくば市が計画しているつくばセンタービル(つくば駅前)のリニューアル事業について、同市は、改修に向けた実施設計の入札を9月7日に実施する。 センタービルは、プリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新さんが設計し、ポストモダン建築の代表作として世界的に評価されている。市の改修計画に対しては、市民団体から見直しを求める要望書が出され、専門家からも「大がかりな改修をしてしまうと登録文化財の資格すら手放すことになる」など懸念の声が出ている。 リニューアルに向けた実施設計の一般競争入札は、5日に市ホームページで告示された。開札は9月7日に実施する。予定価格は4742万円(消費税抜き)、設計書などの作成期間は来年3月まで。 エスカレーター2基を設置するなどのリニューアル計画のうち、センター広場北側(ホテル側)のエスカレーター1基とV字型階段の改修は、市議会の意見を受けて取り止める。(4月27日付 6月3日付 6月22日付) 一方、西側(クレオ側)のエスカレーターは当初の計画通り新設する。 リニューアル計画の主な内容は、ほかに▽現在の1階ノバホール小ホールや廊下、市民活動センターなどに市民活動総合センターや交流センター、市民窓口をつくる▽ノバホール西側の外階段の半分をスロープにして土浦学園線から車両が出入りできるようにする▽現在の吾妻交流センターの内装を解体するーなど。 これに対し市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)は6月1日、つくば市が進めようとしている計画は文化財としての価値を失うことになるなどとして、エスカレーター2基いずれも設置を取り止めるよう要望していた。(6月1日付) さらに同会が6月27日に開催したシンポジウムでは、筑波大学の鵜沢隆名誉教授が「つくばセンタービルの中央広場は主要な動線から孤立した、閉鎖的な屋外空間であることが広場の大きな特徴であり、広場に降りていくことを目的とした人でないと降りていかない広場なのだから(市が目的に掲げるにぎわい創出などは)エスカレーターを付ければ解決できる問題ではない」「磯崎さんの設計意図は、1階と2階で交わされる視線の交差、視線を介したある種の劇場広場のようなものとしてつくられた」「最も特筆すべき点はフォーラムと呼ばれる中央広場であると評価されている」など建築の特徴を話し、市のリニューアル計画に懸念を表明した。(6月27日付) 神奈川大学の六角美瑠教授はシンポジウムで「つくば市の計画書には、磯崎さんが中央広場を『にわ』と言ったから『シェアガーデンにしよう』と書いてあるが、取り違えている。磯崎さんがいう『にわ』の意味はコスモロジーとしてのセンターであり、ここにしか展開できないようなスケールのものごとを起こせよ、と磯崎さんは言っているだと思う」などと指摘し、疑問を投げ掛けていた。(鈴木宏子)

ナノスケールが魅せるアートな世界 20日からつくばセンタービルで展示イベント

つくば市は20日から、つくばセンター地区活性化協議会(茂木貴志会長)、つくばまちなかデザイン(内山博文社長)と共に、つくばセンタービル(同市吾妻)で「つくまちアート」を開催する。まちなかの公共空間を活用して、アートやサイエンスを感じてもらうための取り組みで、第1弾として物質・材料研究機構(NIMS)の国際ナノアーキテクトニクス研究拠点(WPI-MANA、つくば市並木)によるマテリアルズナノアートの展示とイベントを行う。 会期は8月19日まで。展示会場はつくばセンタービル1階通路に設けられる。 マテリアルズナノアート(MA-NanoArt、マナノアート)は、電子顕微鏡などでしか見えないナノスケール(髪の毛の太さの10万分の1の大きさ)の物質が織りなす形象をとらえアート作品としたもの。WPI-MANAの研究者が普段見ている世界を切り取った。 電子顕微鏡は構造上、単色でしか観察できない装置だが、画像処理技術を駆使してカラー表示を実現している。そのビジュアルがおもしろく、作品として目にする機会が増えているそうだ。 深田直樹さん(MANA主任研究者)の作品はシリコン基板上に成長したゲルマニウムナノワイヤの走査型電子顕微鏡像で、タイトルは「花ひらく Efflorescence」。ナノワイヤと呼ばれる構造を基板垂直方向に一面に形成した際、試料を観察していて撮影できたという。 共に研究グループリーダーを務める川上亘作さん、ヒル・ジョナサンさんは、大豆成分からできた粒子の走査型電子顕微鏡像から「ナノ手毬(てまり)」、「ナノ花」を作品化した。 アートをきっかけにまちなかを回遊してもらうため、アートポストカードラリーも同時に行う。つくば駅周辺の各施設に16種類のアートポストカードを1種類ずつ設置。ポストカード10種類以上を集めると、MANAオリジナルグッズなどがプレゼントされる企画だ。 NIMS国際ナノアーキテクトニクス研究拠点は、ナノテクノロジーの新概念「ナノアーキテクトニクス」に基づいて、世界トップレベルの新材料開発の研究を進める国際研究拠点。半導体加工などに用いられるマイクロテクノロジーとは一線を画し、理論やシステム分野における材料開発の新しいパラダイム変換を目指している。(相澤冬樹) マナノアート詳細ページはこちら 

つくばセンタービルで「ダイ・ハード」 《映画探偵団》45

【コラム・冠木新市】ジョン・マクティアナン監督の「ダイ・ハード」(1988)が無性に見たくなった。ニューヨーク市警のマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、クリスマスにロサンゼルスの超高層ビルで働く妻のもとにやって来る。そこで左翼テロリストを装う強盗チームと遭遇し、妻と人質を助けるため、ビル内を這いずり回り、時々ぼやきながらも敵を1人ずつ倒していく。犯人の銃弾で粉々になった窓ガラスを裸足で踏み血だらけになったり、白のランニングシャツが黒くなるまでしぶとく戦う。 そして私は「ダイ・ハード」を見ると、なぜかジョン・フランケンハイマー監督の「大列車作戦」(1964)を思い出してしまう。 パリを占領していたナチスドイツが本国に撤退するにあたり、美術愛好家の将校が、美術館にあるルノワール、ゴーギヤン、ゴッホ、マネ、ピカソなどの名画を列車に積み持ち帰ろうとする。それをフランスの鉄道員ラビッシュ(バート・ランカスター)らは、「たかが絵を守るために」と一度は疑問に思うが、結局は「フランスの誇りのために」と命を賭け、取り戻す行動を開始する。仲間は倒されていくが、ラビッシュは油と汗まみれになりながらも最後まで戦い、絵を取り戻す。 「ダイ・ハード」と「大列車作戦」の主人公はよく似ている。 センター広場にエスカレーターは必要か 6月12日。つくばセンター研究会は講演&シンポジウムを27日に開催することを決めた。テーマは「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」。開催まで2週間しかない。翌日からゲストの交渉とチラシ制作(デザイン・三浦一憲、写真・斎藤さだむ)が始まる。 6月17日。1500枚のチラシが印刷所から届く。早速、メンバーに手分けして配布。 6月18日。私は市役所関係(秘書課、広報戦略課、都市計画課、文化芸術課、文化財課、生涯学習課)にチラシを配布。その後、つくばセンター地区活性化協議会関係者に配布しながら会話を交わし、数々の情報を得た。15時半、研究交流センター内の記者クラブで共同代表の三浦氏と会見(5社が集まる)。 6月19日。各地の地域交流センターを回り、チラシ配布。締めくくりは「まちなかデザイン」。専務に「ぜひ出席を」と参加要請した。 6月27日。台風の進路が変わり、雨の予報ははずれた。参加者は60名(市議8名、県議2名を含む)。エスカレーター賛成派にも呼び掛けたが、参加は少なかった。鵜沢隆先生の講演、加藤研先生と六角美瑠先生の話は好評だった。 参加者の発言から教えられたこともあった。「リニューアルのパブリックコメントは実施されていない」「昨年末のオープンハウスは途中で打ち切られた」などだ。 今回はあえてエスカレーターに焦点を当てたのだが、市の改造計画では、ノバホール横の階段は半分削られてスロープになり、広場の窓ガラスは取り替えられてしまう。さらに、ノバホールの正面玄関の通路は変形し、狭くなる。それらを考えると、イベントの反応がよかったなどと安心してはいられないのだ。 最後まで諦めないしぶとさを学ぶ だからなのか、「ダイ・ハード」の、ビルを占領する金目当ての犯人たちをやっつけるマクレーンを見て、最後まで諦めないしぶとさを思い起こそうとしたわけだ。 7月3日。つくばセンター研究会に新しく参加した方から「文化財を守ることを訴えるだけでは、文化財とも思っていない人たちとの溝は埋まらないのでは」との問題提起があり、次の企画が検討された。 7月5日。ノバホール前。人々の密集する中で、東京オリンピック聖火リレーが行われた。今後、市も予算を使い、センタービル改造計画のイメージアップをはかっていくことだろう。こちらは、泥くさく地道にセンタービルでの「ダイ・ハード」を続けるつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

つくばセンタービルで「ダイ・ハード」 《映画探偵団》45

【コラム・冠木新市】ジョン・マクティアナン監督の「ダイ・ハード」(1988)が無性に見たくなった。ニューヨーク市警のマクレーン刑事(ブルース・ウィリス)は、クリスマスにロサンゼルスの超高層ビルで働く妻のもとにやって来る。そこで左翼テロリストを装う強盗チームと遭遇し、妻と人質を助けるため、ビル内を這いずり回り、時々ぼやきながらも敵を1人ずつ倒していく。犯人の銃弾で粉々になった窓ガラスを裸足で踏み血だらけになったり、白のランニングシャツが黒くなるまでしぶとく戦う。 そして私は「ダイ・ハード」を見ると、なぜかジョン・フランケンハイマー監督の「大列車作戦」(1964)を思い出してしまう。 パリを占領していたナチスドイツが本国に撤退するにあたり、美術愛好家の将校が、美術館にあるルノワール、ゴーギヤン、ゴッホ、マネ、ピカソなどの名画を列車に積み持ち帰ろうとする。それをフランスの鉄道員ラビッシュ(バート・ランカスター)らは、「たかが絵を守るために」と一度は疑問に思うが、結局は「フランスの誇りのために」と命を賭け、取り戻す行動を開始する。仲間は倒されていくが、ラビッシュは油と汗まみれになりながらも最後まで戦い、絵を取り戻す。 「ダイ・ハード」と「大列車作戦」の主人公はよく似ている。 センター広場にエスカレーターは必要か 6月12日。つくばセンター研究会は講演&シンポジウムを27日に開催することを決めた。テーマは「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」。開催まで2週間しかない。翌日からゲストの交渉とチラシ制作(デザイン・三浦一憲、写真・斎藤さだむ)が始まる。 6月17日。1500枚のチラシが印刷所から届く。早速、メンバーに手分けして配布。 6月18日。私は市役所関係(秘書課、広報戦略課、都市計画課、文化芸術課、文化財課、生涯学習課)にチラシを配布。その後、つくばセンター地区活性化協議会関係者に配布しながら会話を交わし、数々の情報を得た。15時半、研究交流センター内の記者クラブで共同代表の三浦氏と会見(5社が集まる)。 6月19日。各地の地域交流センターを回り、チラシ配布。締めくくりは「まちなかデザイン」。専務に「ぜひ出席を」と参加要請した。 6月27日。台風の進路が変わり、雨の予報ははずれた。参加者は60名(市議8名、県議2名を含む)。エスカレーター賛成派にも呼び掛けたが、参加は少なかった。鵜沢隆先生の講演、加藤研先生と六角美瑠先生の話は好評だった。 参加者の発言から教えられたこともあった。「リニューアルのパブリックコメントは実施されていない」「昨年末のオープンハウスは途中で打ち切られた」などだ。 今回はあえてエスカレーターに焦点を当てたのだが、市の改造計画では、ノバホール横の階段は半分削られてスロープになり、広場の窓ガラスは取り替えられてしまう。さらに、ノバホールの正面玄関の通路は変形し、狭くなる。それらを考えると、イベントの反応がよかったなどと安心してはいられないのだ。 最後まで諦めないしぶとさを学ぶ だからなのか、「ダイ・ハード」の、ビルを占領する金目当ての犯人たちをやっつけるマクレーンを見て、最後まで諦めないしぶとさを思い起こそうとしたわけだ。 7月3日。つくばセンター研究会に新しく参加した方から「文化財を守ることを訴えるだけでは、文化財とも思っていない人たちとの溝は埋まらないのでは」との問題提起があり、次の企画が検討された。 7月5日。ノバホール前。人々の密集する中で、東京オリンピック聖火リレーが行われた。今後、市も予算を使い、センタービル改造計画のイメージアップをはかっていくことだろう。こちらは、泥くさく地道にセンタービルでの「ダイ・ハード」を続けるつもりである。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

「活性化はエスカレーターでは解決できない」 つくばセンタービル改修めぐり市民団体討論

プリツカー賞を受賞した磯崎新氏の代表作といわれるつくばセンタービルに、つくば市がエスカレーターを設置するなどの改修を計画している問題で、「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した市民団体による講演とシンポジウムが27日、同ビル内のつくばイノベーションプラザで開かれた。講演した鵜沢隆筑波大学名誉教授は「広場の活性化はエスカレーターでは解決できない」などと指摘した。 市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)主催し、約50人が参加した。センター広場にエスカレーターを2基つくる計画をめぐっては、市が22日、2基のうち1基をとりやめる方針を議会に示したばかり。 鵜沢名誉教授は、つくば市が計画しているリニューアルに対して「磯崎新氏の意匠を評価するとうたいながら、十分に評価したものになっていない」と批判した。 ポストモダン建築の代表作と世界的に評価されているつくばセンタービルの特徴を示した上で、センター広場について「広場に降りる目的がない人はあえて通る必要がない設計になっている」とし、「広場の活性化はエスカレーターをつくるかつくらないかの問題ではない」と指摘した。 磯崎氏の設計の意図については「1階の広場と2階のペデストリアンデッキの視線の交差、劇場広場のようなものとしてつくったと理解できる」とし、建設当初は、広場に引用されているミケランジェロ設計のカンピドリオ広場の床のパターンや流れる水、噴水などが、ペデストリアンデッキから見られる対象だったが、時間が経つと新鮮さがなくなって、主役が不在になっているという。 その上でセンター広場の活性化について「(現在のやり方は)まちづくり会社が提案し、実施して、市民が享受する図式になっているが、図式を変えて、コンペを開いて市民からアイデアを募り、つくば市やまちづくり会社が市民のアイデアを実践し、享受するのは市民としたらどうか」と提案した。 具体的には、欧米の各都市の取り組みを例に挙げ、段ボール迷路、ヘッドフォンを付けて楽しむ野外映画会やサイレントディスコなどを提案した。さらに「中央広場にクラシックカーを置いても日常と違う風景になる」とし、「改修計画では4メートル幅の通路が2メートルになるが、中央広場の活用のためにはルートの確保が重要だ」と強調した。 水戸芸術館にはキューレーター 続くシンポジウムでは、筑波大学の加藤研助教が、つくばセンタービル建設時の磯崎氏のコンペ案を紹介し、つくばセンター広場がローマのカンピドリオ広場を反転した空洞の形になっていることについて「国家がつくった都市の中心をあえて空洞にしたのは、痛烈な筑波研究学園都市批判があった」と話した。 神奈川大学の六角美瑠教授は、同じ磯崎氏が設計した水戸芸術館とつくばセンタービルを比較し「水戸はプログラムを運営する組織ができあがっている。つくばは市民のアイデアを引き上げるキュレーターが必要」だなどと話した。 主催者の冠木共同代表は「(市のリニューアル計画に対して)話し合う場がない、意見を言う場がないことが問題。本来、こういう場は、つくば市がつくるべき」だなどと述べた。 「市民の文化度に対する挑戦状」 参加者からは「体の不自由な人がいる。エスカレーターはあった方がいい」という意見が出て、鵜沢名誉教授は「体の不自由な人には、エスカレーターよりエレベーターの方が安全」と説明し、「屋外にエスカレーターを付ける場合、雨天時に滑らないよう屋根を付けることが必要になる。エスカレーターの屋根が現状の景観になじみにくい」などと話した。 市のリニューアル計画を磯崎氏がどう受け止めているのかの議論もあった。鵜沢名誉教授が「つくば市が公開している磯崎氏のインタビューをみると、ベラスケスの絵画『ラス・メニ―ナス』を引用するなど難解な話をあえてして、ノーともイエスともとれる言い方をしている」と話すと、参加者から「磯崎さんがはっきり言ってないのは、つくば市民の文化度に対する挑戦状だと思う」「拙速にリニューアルをやる必要があるのか」などの意見が出た。 鵜沢名誉教授はその上で「あと10年ほどで登録有形文化財になるのに、大がかりな改修をするとその資格すら手放すことになる」「筑波研究学園都市は世界的にもまれな国家プロジェクトがつくられ、研究機能が根付いている。1987年に世界遺産になったブラジリア(ブラジルの首都)は規模は大きいが、貧困や犯罪などの問題が内部にある。つくばセンタービルは筑波研究学園都市の中心にある象徴的な建物。その辺も射程に入れてリニューアルを考えるべき」だなどと話した。(鈴木宏子)

エスカレーター1基は取り止め つくばセンタービルリニューアル

つくばセンタービルのリニューアルで、つくば市が、エスカレーター2基の設置を計画していた問題で、市議会中心市街地調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が22日開かれ、市は、2基のうち北側(ホテル日航つくば側)の1基の建設を取り止めることを明らかにした。 一方、特別委では「エスカレーターは1基で了解した」(皆川幸枝氏)という意見と、「(1基であっても)磯崎新氏の建築物の全体イメージを壊す」(飯岡宏之氏)という相反する意見が出された。 エスカレーターをめぐっては、今月3日開かれた同特別委で「1基はなくてもよい」という方向性が出された(同3日付)。市議会の意向を受け市は、改めてどうするか検討していた。 22日の市の説明によると、2基のうち、西側(旧ライトオンビル側)の1基のみを設置する方向で、近く実施設計を発注する。 北側の1基を取り止める理由として市は①北側に計画していたエスカレーターは、1階のセンター広場まで降りることができず、途中から階段を下りなくてはならなくなること②議会から磯崎新氏の建築意匠に与える影響について指摘が出ていることなどから「慎重に対処する必要があるため」だと説明した。 もともとエスカレーターを設置する理由について、動線と視認性の向上が目的だと説明していたことから、1基を取り止めることによる動線や視認性の確保について、案内表示を工夫したり、まちづくり会社のつくばまちなかデザインと連携して情報発信を充実させるなどとした。 その上で「必要な改修について、リニューアル後に改めて検討したい」などとした。 一方、特別委ではさらに、市が1階に整備する計画の市民活動拠点についても意見が出された。「市民交流スペースが十分なのかという意見が出ている。窓口センターをBiViに移すことはできないか」(皆川氏)、「(市民活動拠点の)スペース自体が狭いので(まちづくり会社が貸しオフィスにする)アイアイモールや吾妻交流センターなどを含めて市民活動拠点を広げるべき」(橋本佳子氏)などの意見が出された。

エスカレーターは必要か 27日に緊急討論会 つくばセンタービル改修で市民団体

つくば市が進める、つくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアル計画に対し、文化財としての価値を知った上で改修の是非を改めて考えてほしいと、市民団体「つくばセンター研究会」(共同代表・冠木新市さんなど)が27日、同センタービル内で「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」と題した講演とシンポジウムを開く。 筑波大学の鵜沢隆名誉教授が、プリツカー賞を受賞した磯崎新さん設計のつくばセンタービルの価値について、なぜポストモダンの代表作だと世界的に評価されているのかなどを建築の観点から講演する。さらに活性化についても提案する。 続いて筑波大芸術系の加藤研助教、神奈川大学建築学科の六角美瑠教授らが加わってシンポジウムを開き、参加者と意見交換しながら、エスカレーター設置など市のリニューアル計画について討論する。 研究会は今月1日「市が進めようとしているつくばセンタービルのリニューアル計画は、文化財としての価値を失わせることになる」などとして、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長宛てにそれぞれ、センター広場へのエスカレーター2基の設置計画を見直すよう求める要望書を出した(6月1日付)。 27日の緊急討論会は要望書提出に続く取り組みとなる。 共同代表の冠木さん(69)は「つくば市は中心市街地を活性化するためにつくばセンタービルをリニューアルすると言っているが、活性化してないのは、センタービルの建物や設備のせいではなく、ソフトの問題だ。市のリニューアル計画に反対の人も、賛成の人も、センタービルの文化財としての価値を知ってほしい。それでもエスカレーターを付けるのか、市やまちづくり会社の関係者にも討論に参加していただきたい」と話す。 同じく共同代表の三浦一憲さん(68)は「つくばセンタービルで音楽活動をやってきた。最初は屋根を掛けることや改造に賛成だったが、文化財としての価値を知って、これだけの建築物をそんなに簡単にいじってはいけない、文化財として大切にしていかなくてはいけないと立ち位置が変わった。立ち止まることも大切。いろいろな人に講演を聞いてほしい」と参加を呼び掛ける。 つくばセンター広場にエスカレーターを設置したり、1階を改修して市民活動拠点をつくるなどのリニューアル計画について、市は7月にも実施設計を発注する予定だ。一方、1階アイアイモールを貸しオフィスに改修する計画は、市が出資する第3セクターのまちづくり会社「つくばまちなかデザイン」などが、9月にも改修工事に着手する計画だ。 ◆講演&シンポジウム「緊急討論 つくばセンター広場にエスカレーターは必要か」は27日午後1時30分から、つくばセンタービル内のつくばイノベーションプラザ大会議室で開催される。入場無料。コロナ禍のため定員50人。参加希望者は事前申し込みが必要。メール(tsukuba.center.studygroup@gmail.com)または電話(090-5579-5726=冠木さん)で申し込む。詳しくは同会ホームページ

「1基は無くてもよい」で一致 エスカレーター計画で市議会 つくばセンタービル

つくばセンタービル(つくば市吾妻)のリニューアルで、市がセンター広場にエスカレーターを2基建設する計画を立てている問題(4月27日付)を扱う市議会中心市街地まちづくり調査特別委員会(ヘイズ・ジョン委員長)が3日開かれた。エスカレーターを計画通り2基設置すべきかなどについて各会派が意見を出し合った結果、議会として、北側(ホテル日航つくば側)の1基は無くてもよいとする意見で一致した。 市は、今回の議会の意向を踏まえて改めて検討し直し、結果を議会に示す。3月時点では、エスカレーターを2基設置する内容の実施設計を6月にも発注する予定だったが、ずれ込む見通しだという。 一方、今回は「西側(クレオ側)のエスカレーター1基をつくって(2基目は)改めて検討する方がよい」などとする意見と、「つくばセンタービルは文化財的価値が高い建造物なのだから2基とも設置する必要がない」などの意見に分かれたほか、新たに「北側(ホテル側に)にエスカレーターではなくエレベーターを設置してはどうか」などの意見が出された。特別委では、市民活動拠点の配置なども含めて今後さらに検討する。 各会派の主な意見は次の通り。(鈴木宏子) 2基が妥当、妥協点として1基でもよい つくば自民党・新しい風(発言者は黒田健祐市議)エスカレーターを2基つくるのが妥当だが、妥協点として1基でもよい。視認性、回遊性をみても2カ所が妥当。ソフト面とハード面、両輪で推進することを考えた場合、中心市街地まちづくり戦略全体の中で、ハード面が先行し、議論の的になっている。2基が妥当な考えだが、活性化した姿を前提に、まちづくり戦略を進めていく中で、1基造って様子を見て、もう1基つくるという考え方もある。市民活動拠点は原案通り。 2基ともいらない 自民党政清クラブ(飯岡宏之市議)2基ともいらない。市民への説明が足りない。市の顔である建造物をいじるのはいかがなものか。景観と費用対効果の観点から2基ともいらない。2階から1階に行く動線を考えても、市民がエスカレーターで1階に降りるということではない。エスカレーターを設置したから人が行き来するようになるかどうか分からないところに設置するのはいかがなものか。 ホテル側はエレベーターに つくば・市民ネットワーク(皆川幸枝市議)北側(ホテル側のエスカレーター)は無し、西側(クレオ側)のみ1基だけつくる。障害当事者と現地を確認した。北側エレベーターはセンター広場の手前で止まってしまい(広場までは)スロープか階段で移動することになる。スロープは角度が急で、車いすの一人での上り下りは危険。その部分にエレベーターを設置する方が重要。(改修計画では既存のV字型の)階段をL字型にするが、手すりが設置できない。(既存の)階段に手すりを設置することを提案したい。▽市民活動拠点は、つくば駅周辺で住宅の建築が進むので、行政の案内をするコンシェルジュを置くことを提案したい。(市民活動拠点の)公共スペースは狭いという指摘があるので、(市役所の)窓口事務室をBiViつくば2階に移動させ、その分、キッズスペースを設け、子供連れの親子が集える場所をつくったり、授乳室を設けてはどうか。市民活動を増やしていく機能も求められる。吾妻交流センターの各部屋の利用状況を調査し、畳の部屋が必要か、調理室の使用頻度が高くないなら調理以外も利用できないか、ダンスも盛んなので音楽室の壁の1面全部に鏡を付けたりなどを検討すべき。 外観の改修行うべきでない 公明党つくば(小野泰宏市議)つくばセンタービルには(設計者の)磯崎新氏の深い哲学や理念があり、こうした下地があって、重要な文化財的価値がある。2階(ペデストリアンデッキ)から見る劇場型広場(センター広場)など、価値を市民に周知すべき。つくばならではの財産だ。動線は、既存のエレベーターの利便性を高めるなどするのが適切。外観に関わる大規模改修は行うべきではない。市民活動拠点は、概ね市執行部提案に同意する。 西側の1基のみでよい 創生クラブ(中村重雄市議)エスカレーターは西側(クレオ側)の1基のみでよい。北側はV字型の階段を残し、デザインや費用の面から、エスカレーターがよいか、エレベーターの方がよいか、数年後に検討すればよい。液晶パネルなどを使って、誘導・案内看板を増やし、動線を表示したらよい。市民活動拠点は市執行部提案に賛成。 西側の1基で足りる つくばチェンジチャレンジ(川久保皆実市議)エスカレーターは西側の1基で足りる。費用対効果を考えると、エスカレーター1基のひと月当たりの経費は46万円。市民活動拠点1日当たりの利用人数は平均200人、働く人を支援する場は2000平方メートルなので1日当たりの利用者は多く見積もっても400人。計600人の利用人数のために2基設置するのは費用対効果から適切ではない。(エスカレーター設置の目的は)視認性や回遊性を高めるためということだが、市民活動拠点も、働く人を支援する場も、明らかな目的をもった人が行く場であり、雑貨店やカフェのような、目に付いたからふらっと行くというのは低い。エスカレーターで人を誘導するというのは低い。▽市民活動拠点は乳幼児の授乳室などはあるが、靴を脱いで上がれるキッズスペースがあったらいい。窓口センターの待ち時間に利用できるように設置してほしい。 シンボル壊す2基ともいらない 日本共産党つくば市議団(山中真弓市議)エスカレーターは2基ともいらない。つくばセンタービルは歴史的な価値の高い建造物であり、つくばのシンボルを壊してエスカレーターを設置するのは反対。センター広場には筑波山ジオパークを凝縮したような造形部分もある。エスカレーターを設置してほしいという要望が市民から多く寄せられているわけでもない。バリアフリーのためには案内板を設置して動線を行き来しやすいようにしたり、既存のエスカレーターを改修することで解決すべき。▽公共エリア(市民活動拠点)は面積が十分でない。市民の声が生かされている改修計画になっていない。市民の声を生かして、1階の(市民活動拠点の)面積を広げるべき。オフィスありきで考えるのであれば、吾妻交流センターや消費生活センターを生かすなど、いろいろ検討すべき。議会としても執行部も、市民の声を聞く場を設けるべき。 西側設置し様子見て 清郷会(木村清隆市議)エスカレーターの需要がどの程度あるか、西側(クレオ側)の1基を設置して、その後、様子を見て、検討すればいい。▽青少年や若者が集える場をより多くしてほしい。(つくばセンター研究会から出された要望書=6月1日付=に)「市民の意見を十分聞いてない」とある。市は、時間を掛けて市民の声に耳を傾けてきたと思うが、そういう声があることを真摯に受け止め、説明の仕方を工夫し、新たな周知の仕方をお願いしたい。 丁寧にやるべき 新社会党つくば(金子和雄市議)つくばセンタービルは今日まで40年くらい、つくばの中心的役割だったが、店舗が撤退したり、民間が出て行ったことは事実。そういうときにどうしたらいいか。歴史的建造物なので、どう改修するか、丁寧にやるべき。エスカレーターが必要か、必要でないかだけでは解決できない。今あるものをどうやって利用して(現状を)乗り越えていくかに力を注ぐべき。 【7日訂正】つくばチェンジチャレンジの川久保皆実市議の発言で「エスカレーター1基の1日当たりの経費は46万円」とあるのは「ひと月当たり」の誤りです。お詫びして訂正します。

エスカレーター設置見直しを つくばセンタービル改修で市民ら要望

「つくば市が進めようとしているつくばセンタービルのリニューアル計画は、文化財としての価値を失わせることになる」などとして、市民団体「つくばセンター研究会」(冠木新市代表)は1日、五十嵐立青市長と小久保貴史市議会議長宛てにそれぞれ、センター広場へのエスカレーター2基の設置計画(4月27日付)を見直すよう求める要望書を出した。 同研究会は、センタービルでこれまで20年間、さまざまな活動を展開してきた市民らでつくる。 要望書によると、同センタービルは建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した磯崎新氏のポストモダン建築の代表作で、市民の誇りであるとし、エスカレーターを2基設置し外観を改変してしまったら、後戻りはできない、などとしている。 さらに、築50年の2033年に登録文化財として申請すれば、将来のつくばの文化遺産及び観光資源になるのに、つくば市が改変を進めれば、市の貴重な文化資源の喪失になり、次世代の市民に引き継ぐ道を絶つことになる、などと指摘した。 センタービル1階に貸しオフィスと市民活動拠点を整備するのに伴うビル内部の改修についても言及し、東西南北どの方向からも広場に行き来できるよう設計されているのに、市の計画は、通路の一部を閉ざしてしまい、動線を減らすことになり、にぎわい創出とは逆方向だ、などとしている。 その上で、エスカレーター2基の設置見直しのほか、専門家の意見を聞いた上でセンタービルを文化財として保持すること、センター広場の活性化は、広く市民の意見を聞いて検討するよう求めている。 要望書を提出した冠木さんは「(市のリニューアル計画は)中心市街地が活性化していないことを、つくばセンタービルの設備のせいにしている。壊してしまったらもったいない。市にとって財産なのだから大事にしてもらいたい」などと話している。 同市議会の小久保議長は「要望書をお受けし、議員間で周知していきたい。(特別委員会の)勉強の機会もあるので、今後の取り扱いを協議したい」とした。 五十嵐市長宛ての要望書は飯野哲雄副市長に手渡され、関係者のみでやりとりが行われた。 「貴重な文化財に対する無謀な挑戦」 要望書は、著名な建築の専門家、筑波大学の鵜沢隆名誉教授の見解を紹介し、同センタービルは10数年後に登録有形文化財として認められ得る建造物であると断定している。 加えて、つくばセンタービルと筑波研究学園都市は、国の主要な科学研究機関を集約的に建設するという都市機能のユニークさと、都市建設の規模からも世界的に類を見ない新都市で、センタービルは研究学園都市の最も象徴的な文化施設だとして、将来の世界遺産登録の可能性すらある建造物群としてとらえるものだと指摘している。 エスカレーターの設置計画に対しては、磯崎新氏のプリツカー賞受賞に際して、改めて評価された中央広場に2基のエスカレーターを新設すること、市の改修計画が、磯崎氏のプリツカー賞受賞直後に作成されたことは「貴重な文化財に対する無謀な挑戦」で「将来に禍根を残すことにもなりかねない」と強調している。 さらに雨天への配慮から屋外のエスカレーターは屋根の設置が不可欠だが、エスカレーターの屋根は、「特筆すべき中央広場(センター広場)の空間意匠を決定的に損ねる」とし、動線を補強するなら既存のエレベーターの改修、拡充で対応すべきだとしている。 その上で、中央広場を活性化するためには、広場への関心や注目を常に新たに呼び起こすために広く市民からのアイデアや企画を絶えず求め、それらを空間利用の専門家たちが検討・実践していくという方法やプロセスを定着させることが最も着実な活性化である、などとする専門家の意見を紹介している。(鈴木宏子) ➡つくばセンター研究会の要望書はこちら

「大規模事業評価行わないのは違法」 18人が住民監査請求 つくばセンタービル改修で

つくば市が取り組んでいる総事業費約10億3800万円のつくばセンタービルリニューアル事業について、10億円以上の事業は大規模事業評価を行うと市の要綱で定められているにも関わらず、事業評価の手続きが踏まれていないのは違法だなどとして、元大学教授の酒井泉さん(72)ら市民18人が12日、市監査委員(高橋博之代表監査委員)に対し、すでに支出された約7000万円の返還請求と未支出額の支出差し止めを求めて住民監査請求をした。 同要綱は、住民投票で白紙撤回となった市総合運動公園事業を教訓に、五十嵐立青市長が2018年9月に定めた。10億円以上の大規模事業と市長が必要と認める事業を実施する際には、評価会議を設置し、事業の必要性や妥当性などの評価を行うことなどが定められている。 監査請求によると、同リニューアル事業は10億円を超えるのだから「同要綱の対象であることは明らかであるが、市はこの要綱に従った評価を全く行っていない」としている。 一方、大規模事業評価をめぐっては、今年3月議会で、飯岡宏之氏(自民党政清クラブ)と山中真弓氏(共産)が一般質問し、それぞれ大規模事業評価を実施するようただしたが、市は、約10億3800万円のうち、まちづくり会社「つくばまちなかデザイン」への市の出資金6000万円はリニューアル事業の事業費ではないなどとし、10億円を超えないのだから大規模事業評価を実施しないとした。 監査請求した酒井さんは「議会で質問した議員がいたが、数の力で無視された。議会が道理を通すことができなくても、市民は道理を通すということをはっきりさせたい」と話した。 監査請求ではほかに、まちづくり会社は市が出資する第3セクターであるにもかかわらず、総務省が2014年に出した「第3セクターの経営健全化指針」に基づく検討を行っておらず、市の出資金6000万円の支出は公金支出のための必要な手続きを欠いており違法だと指摘している。 さらに、つくばセンタービルの中の市所有施設は公の施設なのに、市が一部をまちづくり会社に賃貸し、さらに同社が個々の企業に賃貸の事業所として貸し出すのは、公の施設としての利用を拒否することになり地方自治法に違反する、リニューアルの基本設計策定をプロポーザル方式で随意契約したのは市契約規則に違反するーなどと主張している。 その上で、すでに支払われたリニューアル事業の基本計画策定費用とまちづくり会社への出資金計約7000万円について、市は五十嵐市長などに損害賠償請求または返還請求を行うべきで、いまだ支出されていない金額は支出を差し止めるべきだなどとしている。 監査結果は60日以内に出される。(鈴木宏子)

エスカレーター設置めぐり論戦 つくばセンタービル改修計画で市議会

つくば市が進めているつくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアル計画で、エスカレーター2基の設置の是非が市議会で議論になっている。27日開かれた市議会中心市街地まちづくり調査特別委(ヘイズ・ジョン委員長)で、2基のうち、ホテル日航つくば側に計画されている1基について、費用対効果や建物のデザインを守る観点から「エスカレーターは1基だけでいい」という意見と、にぎわいをつくる観点から「2つある方がよい」という意見に分かれた。 市は「今後の詳細設計の中で、1基は設置しないことも可能」とし「議会のまとまった意見を踏まえて今後協議していきたい」とした。 エスカレーターは、つくば駅前のペデストリアンデッキとつくばセンター広場の一体的利用を促進するためとし、市が、ホテル日航つくば2階入り口そばと、旧ライトオンビル前に計2基設置する計画だ。ホテル側では、センター広場の視認性を高めるためとして、エスカレーター設置と合わせて、つくばセンタービルの壁や階段を一部壊し、階段の形状を変更する計画が進んでいる。 議会では、2基のうち1基の、ホテル側のエスカレーターについて「(2階ペデストリアンデッキから1階センター広場までの)半分の踊り場までしか設置されない。費用も8700万円くらいかかり費用対効果の観点からするともったいない。エスカレーターは一つでいい」「(同センタービルを設計した)磯崎新氏のデザインを考えると、デザインの完成度が削られる」など、ホテル側のエスカレーター設置は必要ないとする意見が出された。 これに対し「この場所をより活性化させる観点から西側と北側に二つある方が自然。北側を削るとアクセス性が削られる」「にぎわいを取り戻すことであれば、あってもいい。目的がある人は今までも(センター広場に)下りた。エスカレーターがあれば子供は興味をもって乗り降りする。にぎわいを取り戻す、活性化が目的なら、あってもいい」など2基とも必要だとする意見とに分かれた。 市は6月にも実施設計を発注する予定で、エスカレーター設置の是非は議会で引き続き審議される。 歩車分離のノバホール脇階段にスロープ 一方、27日の特別委では、2020年度に策定されたリニューアル基本計画が明らかにされた。エスカレーター2基と階段の形状変更のほかに、土浦学園線沿いのノバホール脇の階段のほぼ半分をスロープにし、イベント開催時に荷物を運ぶ車が通行できるよう改修する計画も新たに示された。 ほかに、現在のつくばイノベ―ジョンプラザと市民活動センターの場所に、吾妻交流センター、市民活動センター、消費者生活センター、国際交流機能を集約し、市民窓口と併せて設置される市民活動拠点の配置計画図などが明らかにされた。 市民の要望 どれほどあったのか 27日の同特別委のやりとりは以下の通り。敬称略 小野泰宏市議 (センター広場の)視認性を高めるためというのがエスカレーターの設置目的だが、エスカレーターは踊り場まで半分しか設置されない。価格は8700万円くらい。費用対効果の観点からするともったいない。エスカレーターは(旧ライトオンビル側の)1カ所だけでいい。 市学園地区市街地振興課長 現在は駅の方から(センター広場が)見えにくい。広場の景観やデザインを損なわない範囲で(エスカレーターは)踊り場までとする。設置しないことも今後の詳細設計の中で可能。場合によって1基のみで検討することもあり得る。 市都市計画部長 今年度(リニューアルの)実施設計を行う。2段階で考え、後から(エスカレーターの)必要性を判断してつくるというやり方と、最初から削ってしまうことも考えられる。議会のまとまった意見を踏まえて、今後、協議していきたい。 山中真弓市議 高齢者や視覚障害者の中にはエスカレーターを使えない人もいる。だれのためにエスカレーターを設置するかを考えると(2基とも)いらない。 小森谷さやか市議 視覚障害者にも(エスカレーターを)使いたい人がいる。きちんと点字ブロックを設置して、音声のアナウンスがあればいい。実際に障害がある人に現場を見てもらって意見をいただく場がほしい。 黒田健祐市議 エスカレーターは西側と北側に2つある方が自然。北側を削ると回遊性、アクセス性が削られる。この場所(センター広場)をより活性化させる視点で必要。 橋本佳子市議 費用対効果の視点は大事。エスカレーターを設置してほしいという市民の要望がどれほどあったのか。 金子和雄市議 エスカレーター2基をどのくらいの人が活用するのか、評価される基準をどのように考えたのか、それが見えない。(エレベーターを改修する等)大型の電動車いすでも使えるようになればいい。 長塚俊宏市議 黒田議員にほぼ賛成。目的がある人はいまでも(センター広場に)下りた。エスカレーターがあれば子どもが興味をもって乗り降りする。にぎわいを取り戻すことであれば、あってもいい。 山本美和市議 「(つくばセンタービルを設計した)磯崎新氏のデザインを考えると、ノバホールの入り口からセンター広場の真ん中を通って松見公園展望台までまっすぐ続く視線の中に、(エレベーターと階段を設定すれば壊されることになる)V字型の階段がまっすぐ突き抜けていく。エスカレーターがあれば便利かもしれないが、あの階段を無くしては視線が向くデザインの完成度が削られてしまう。磯崎新氏のデザインを優先するなら、ここにエスカレーターを設置するのはいかがなものか。 中村重雄市議 (ノバホール脇の階段を改修して新設する)搬入用のスロープだが、まつりつくばに出店した。(車がペデストリアンデッキに進入できる)出入口が少なくて、搬入・搬出が渋滞になる。(ノバホール脇の階段につくるスロープの幅は車両が通るには)かなりぎりぎりではないか。もう少し緩やかな傾斜にしてほしい。 課長 (通行できるのは)2トン以下の車両だが、幅は確保でき、通るに支障はない。傾斜は詳細設計で検討できる。 中村 イベント開催前は車両、イベント開催中は車いすが通れる(傾斜に)してほしい。 皆川幸枝市議 改修にあたって利用できる(国や県からの)補助金の種類や条件は。 課長 国交省から2分の1の補助金が出るが、(使えるかどうかは)施設によって限られる。 皆川 消費生活センターを入れることが補助金が出る条件になるのか。 課長 機能を集約することで補助金が出る都市構造再編集中支援事業費補助を活用する。(リニューアルの)すべての機能に補助が出るかどうか、国や県に相談しているところ。 皆川 (市民活動拠点は)公共スペースが足りないという指摘もある。配置を変えることでコミュニティスペースを広くできないか。補助金の条件はいつごろ分かるのか。(ノバホールの)小ホールは(イノベ―ジョンプラザの)2階につくり直すが、今も土日は使う人が多い。音楽イベントのスペースが足りないという声もある。貸しスペースが足りないのであれば、小ホールを運動や会議に貸し出すことなどを見込んでいるのか。 課長 片方を使ってないとき、別の用途に使うことも考えられる。ノバホールをどのように運営するかに関わっていくので、今後、調整しながら進めたい。 皆川 この計画、スペースでいいのか。運用計画と合わせてお示しいただければ。 飯岡宏之市議 (リニューアル基本計画の)新たな市民活動拠点には「①吾妻交流センター、市民活動センター、消費者生活センター、国際交流機能を統合するとともに、市民窓口を新設することで、市民交流の促進、市民サービス機能の向上を実現②音楽室、調理室の機能向上、フリースペースの拡充により、様々な市民ニーズに対応」とあるが、市民部とうまく連絡調整しているのか。 課長 市民部から必要な面積をいただき、調整を密にしながら進めている。 飯岡 吾妻交流センターを頻繁に使う市民団体との意見調整も必要ではないか。 課長 交流センターを通じて調整を行っている。 飯岡 市民説明会が無いので、その辺、心配がある。かなり手狭になるので、市民の意見を取り入れて進めてほしい。 橋本 (吾妻交流センターが集約されることで)交流センターが一つ減る。生涯学習としての位置づけを考えると、利用者の利用回数を減らすことになると本末転倒になる。市民がどのくらい影響を受けるかを説明いただきたい。コピー機や印刷機も一つになるが、うまく回るのか、利便性が担保されるのか、いろいろな団体の意見を聞いていくことは当然。 課長 吾妻交流センターが無くなるということではない、運営の中で残すこともあるし、一体として運営することもある。市民部でいろいろ検討し、それを元に(計画策定を)行っている。用途は確定ではないので、足りない部分は増やした方がいいのか、担当課と調整して進めたい。 橋本 根拠を示さないで、足りる、大丈夫といわれても困る。数字と合わせて根拠を示してほしい。 課長 大丈夫ですという意味ではない。それを今後、検討したい。 山中 だれのための改修なのか、そもそも市民の声を聞いてないことに根本的問題がある。本来、市民がどういうものがほしいのか、どんな機能が必要かを聞くべき。

まちづくり会社1日設立 「情報を小出し」課題指摘も つくばセンタービル

つくば駅周辺の活性化を目指す、まちづくり会社「つくばまちなかデザイン」(内山博文社長)が1日、登記申請を完了し設立された。市が筆頭株主の第3セクターで、まちづくり法人として市長から都市再生推進法人の指定を受ける予定だ。一方、3月議会では「(つくばセンタービルの)リニューアルの全容が今になっても明らかでない」「情報を小出しにしている」など、課題を指摘された中での船出となる。 新会社は、事務所をつくばセンタービル内に置き、1階で貸しオフィスを運営するほか、センター地区に立地する企業や団体で構成する「つくばセンター地区活性化協議会」の事務局を担う。 市は同日、新会社のアドバイザーとして、筑波大学システム情報系の藤井さやか准教授と、同大芸術系の渡和由准教授の2人が就任予定だと発表した。2氏はいずれも、市中心市街地のまちづくりをするために必要なエリアマネジメントについて検討する「つくば中心市街地エリアマネジメント検討委員会」の委員を務めた。 ほかに新会社は、つくばの研究機関や企業などで構成する筑波研究学園都市研究交流協議会に入会し、つくば中心市街地まちづくり調査検討委員会に参画して意見交換をするという。つくばエキスポセンターとの連携に向けて、同センターを運営するつくば科学万博記念財団とも意見交換を開始したとも発表した。 一方、3月議会では、市が所有する1階アイアイモールの店舗と廊下部分約2470平方メートルと、地下駐車場約3660平方メートルを、市が新会社に6月から賃貸することなどが明らかになり、「情報を小出しにしている」などの指摘が出た。新会社は、1階の店舗と廊下の一部を改修して、その人に合わせた働き方ができる貸しオフィスなどを整備して運営する。さらに地下駐車場を運営して事業収入を得る。新会社の経営基盤をつくるため、市がさらなる面倒を見ることが新たに分かった形だ。 今後の工事スケジュールについて市職員から退職派遣される小林遼平専務は、夏ごろから(現在の1階店舗部分などの)解体工事に入りたいとしている。(鈴木宏子) ➡まちづくり会社の過去記事はこちら

つくばセンタービル舞台に 筑波大生らアーティスト12人が作品

「廃墟」としてのつくばセンタービルを舞台とした美術展示会「狢PLAY(むじなプレー)―複数性のすみか」が14日、つくば駅前のつくば市吾妻、同センタービル1階アイアイモールとセンター広場で開幕した。筑波大学の学生グループ「平砂アートムヴメント2020」(阿部七海代表、芸術専門学群4年)が主催する=3月8日付。12人の若手アーティストの作品が展示されている。 旧公務員宿舎 室内を連続描写 市内の国家公務員宿舎跡の室内写真を連続的に描写する作品「Apartment(アパートメント)」を出展したのは生物資源学類4年の河津晃平さんだ。作品のコンセプトは「無人の空間」。「コロナ禍で大学から学生がほとんどいなくなってしまって、無人の廃墟的空間に興味を持つようになった。これまで市内の空きテナントや廃墟化した大学の様子などを撮ってきた。今回は大学の授業で訪れたある意味で廃墟となった公務員宿舎のあり方を表現しようと思った。(廃墟や空き店舗で展覧会を開いている)平砂アートムーヴメントは『廃墟の中でのアート』という意味で通底するところがある」という。 河津さんは同大を卒業後、東京芸術大学大学院に進学する。「環境に興味があり生物資源学類に入った。関心は変わらないが芸術という形で表現してみたいと思うようになった。誰もいない無人の空間とその美しさをこれからも探求していきたい」と語る。 食器やフライパンなどを小型のバイブレーターで鳴らす作品「sound bugs(サウンドバグズ)」を出展するのは情報メディア創成学類3年の頃安祐輔さん。食器や調理器具にバイブレーターがたくさん付けられていて、それが振動することで、食器などが一定の間隔で鳴るようにプログラムしてあるという。コンセプトは作品名の通り「バグ」。「コンピューターの意図しない誤動作(バグ)」と「小さなたくさんの虫」という意味が込められている。 頃安さんはメディアアーティストとして著名な同大の落合陽一准教授のゼミに所属している。落合研究室のゼミ生が複数所属しているというアーティストグループ「TParty(奥山裕大代表、総合メディア創成学類3年)」の一員として活動しており、「オーディオデザインに関心があり、そうした方向性の作品を作りたいと考えていた」という。 つくられた街のアイデンティティを見る つくばセンタービルの「虚構性」と、人工的に計画された街の中心としての「つくばセンター広場」に向き合う作品「Representation(Tsukuba)(リプリゼンテーションつくば)」を出展するのは、東京大学学際情報学府修士1年の阿部修一郎さんだ。町村合併前のつくば市の6つの地域の土を集め、一つの作品に表現した。背後には阿部さんが市内各地域で「あなたにはつくば市民としてのアイデンティティはあるか、ないか」と問い掛け、インタビューした音声が流れ続けている。 「つくば市はすごく人工的な形でつくられた街。もともとバラバラに存在していた6町村を無理やり人工的に覆った、そういう場所。その中心に会場であるつくばセンター広場があるが、それは上がただ言っているだけの『虚構』であって、そのことに向き合おうと考えた。人々がどのように『つくば市』というものをとらえているのかが知りたい」と語る。 インタビューは、阿部さん自身がさまざまな立場の人から話を聞いたもの。「話を聞いていく中で印象に残った話があった。筑波大学を出てそのままつくばに住んでいる人が『子どもができてはじめて地域のネットワークの中に入れたような気がする』と話してくれた。人工的につくられたこの街で、どういうアイデンティティを人々が持っているのか、そういうことを考えたいし、見た人に考えてもらえればいい」。作品の手法については「自分は文化人類学を専攻していて、そこに住む人々に話を聞くということ自体は普通の手法。それをたまたまこういう形で表現しているに過ぎないと思う」と話す。(山口和紀) ◆同展は31日まで。入場無料。開催時間は正午から午後8時まで。

《映画探偵団》40 つくばセンタービルを展望する

【コラム・冠木新市】「今日、真に躍動している中心的存在は科学と政治である。アートと建築は端の方に追いやられ、あたかも余分なもののように感じられる」(世界的建築家・アレッサンドロ・メンディーニ) 世界的な建築写真家・二川幸夫が「つくばセンタービル」にほれ込み、完成から10年後に全40ページの写真集『GA69』(1993年刊)を出版した。18~19ページに見開きで、ノバホール側から見たセンター広場とホテルの全貌が写しだされている。そして、ページ真ん中の奥の方にポツンと小さな「展望塔」が見える。 中心市街地の松見公園に立つ高さ44.4メートルの展望塔は、菊竹清訓の設計で1976年6月1日に開設された。外観から地元では「栓抜き」と呼ばれていたが、展望塔という素っ気ない名称になり、40数年前のつくばの雰囲気をよく伝えている。 この塔に登ると、筑波山とつくばセンター地区が一望できる。不思議なのは、センター地区のセンタービルに視線が向いてしまうことだ。展望塔が出来てから7年後、1983年6月10日に完成した高さ44.85メートルのセンタービル。この2つは一直線でつながっている。同じ時期の6月に完成、ほぼ同じ高さ、素っ気ない名称から、設計者・磯崎新は展望塔をリスペクトして、センタービルを構成したことが理解できる。 『GA69』には、メンディーニが文を寄せている。「何世紀もの歴史が凝縮した未來主義的エジプトスタイルが、たった一つの広場の回りに集められて、建築史の百科事典的シンボルになっている。それは俯瞰(ふかん)的な広い視野の中で作り上げた『信念』のユートピアと言うべきもので、そのユートピアは、現代の不安定さと混沌から類型的、様式的、制度的に保証する限りなく権威ある流れに反するものである」。 市川崑監督『おはん』の2人で1人 私がつくば市に越してきたのは1993年。写真集刊行と同じ年である。センタービルと展望塔の間に、デパートの映画館、新刊書店、レンタルビデオ店、図書館、美術館、喫茶店、古民家、市民ギャラリー、プラネタリウムなどが集まっていて感激しきりだった。 なかでも、展望塔近くに何軒も連なる古本屋街には何度となく通ったものだ。この2つの建築を結ぶ空間は、歴史と未來の物語が輝くアートゾーンだと思った。いや今でも思っている。 センタービルが出来た翌年、『おはん』(市川崑監督)という映画が公開された。古道具屋の幸吉(石坂浩二)が、ほとんど自己主張しない女房おはん(吉永小百合)と嫌いになったのでもないのに別れ、上昇志向で気の強い芸者おかよ(大原麗子)と一緒になる。しかし、ふとした拍子におはんと寄りが戻り、ラストではおかよと暮らすことになる。一人の男性が二人の女性の間を行ったり来たりする話である。 どちらの女性を好むかは人によるが、市川監督は二人合わせて一人の女性として描いた。地味ながら渋い作品に仕上がっていた。センタービルと展望塔の間を歩くと2つの建築物が一体であると感じられ、この作品がよみがえってくる。 今、センタービル広場の一角が破壊されようとしている。ホテル側にエスカレーターを設置するために、階段を造り替えてしまうからだ。そのため、展望塔に向いた壁が取り壊される。だが、その壁には人間の目の形をしたデザインが施されてあるのだ。広場中心にある噴水を見るこの目の形が無惨にも壊されてしまう。 ほかにも、「広場窓ガラス全部の取り替えが決まっているよ」とある人が教えてくれた。初耳だった。オープンハウスの説明会では聞かなかったからだ。つくば市は予算が余り、使いみちに困っているのだろうか。無駄遣いをして文化財を改造するのはよした方がよい。 あと2年でセンタービルは40周年を迎えるが、『GA69』を携えてつくばを訪れる建築愛好家がいたら、あまりの改造ぶりを見て涙を浮かべるに違いない。展望塔は、つくば市役所と市議と科学と政治を優先する市民の行為をジッと見ている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

《映画探偵団》40 つくばセンタービルを展望する

【コラム・冠木新市】「今日、真に躍動している中心的存在は科学と政治である。アートと建築は端の方に追いやられ、あたかも余分なもののように感じられる」(世界的建築家・アレッサンドロ・メンディーニ) 世界的な建築写真家・二川幸夫が「つくばセンタービル」にほれ込み、完成から10年後に全40ページの写真集『GA69』(1993年刊)を出版した。18~19ページに見開きで、ノバホール側から見たセンター広場とホテルの全貌が写しだされている。そして、ページ真ん中の奥の方にポツンと小さな「展望塔」が見える。 中心市街地の松見公園に立つ高さ44.4メートルの展望塔は、菊竹清訓の設計で1976年6月1日に開設された。外観から地元では「栓抜き」と呼ばれていたが、展望塔という素っ気ない名称になり、40数年前のつくばの雰囲気をよく伝えている。 この塔に登ると、筑波山とつくばセンター地区が一望できる。不思議なのは、センター地区のセンタービルに視線が向いてしまうことだ。展望塔が出来てから7年後、1983年6月10日に完成した高さ44.85メートルのセンタービル。この2つは一直線でつながっている。同じ時期の6月に完成、ほぼ同じ高さ、素っ気ない名称から、設計者・磯崎新は展望塔をリスペクトして、センタービルを構成したことが理解できる。 『GA69』には、メンディーニが文を寄せている。「何世紀もの歴史が凝縮した未來主義的エジプトスタイルが、たった一つの広場の回りに集められて、建築史の百科事典的シンボルになっている。それは俯瞰(ふかん)的な広い視野の中で作り上げた『信念』のユートピアと言うべきもので、そのユートピアは、現代の不安定さと混沌から類型的、様式的、制度的に保証する限りなく権威ある流れに反するものである」。 市川崑監督『おはん』の2人で1人 私がつくば市に越してきたのは1993年。写真集刊行と同じ年である。センタービルと展望塔の間に、デパートの映画館、新刊書店、レンタルビデオ店、図書館、美術館、喫茶店、古民家、市民ギャラリー、プラネタリウムなどが集まっていて感激しきりだった。 なかでも、展望塔近くに何軒も連なる古本屋街には何度となく通ったものだ。この2つの建築を結ぶ空間は、歴史と未來の物語が輝くアートゾーンだと思った。いや今でも思っている。 センタービルが出来た翌年、『おはん』(市川崑監督)という映画が公開された。古道具屋の幸吉(石坂浩二)が、ほとんど自己主張しない女房おはん(吉永小百合)と嫌いになったのでもないのに別れ、上昇志向で気の強い芸者おかよ(大原麗子)と一緒になる。しかし、ふとした拍子におはんと寄りが戻り、ラストではおかよと暮らすことになる。一人の男性が二人の女性の間を行ったり来たりする話である。 どちらの女性を好むかは人によるが、市川監督は二人合わせて一人の女性として描いた。地味ながら渋い作品に仕上がっていた。センタービルと展望塔の間を歩くと2つの建築物が一体であると感じられ、この作品がよみがえってくる。 今、センタービル広場の一角が破壊されようとしている。ホテル側にエスカレーターを設置するために、階段を造り替えてしまうからだ。そのため、展望塔に向いた壁が取り壊される。だが、その壁には人間の目の形をしたデザインが施されてあるのだ。広場中心にある噴水を見るこの目の形が無惨にも壊されてしまう。 ほかにも、「広場窓ガラス全部の取り替えが決まっているよ」とある人が教えてくれた。初耳だった。オープンハウスの説明会では聞かなかったからだ。つくば市は予算が余り、使いみちに困っているのだろうか。無駄遣いをして文化財を改造するのはよした方がよい。 あと2年でセンタービルは40周年を迎えるが、『GA69』を携えてつくばを訪れる建築愛好家がいたら、あまりの改造ぶりを見て涙を浮かべるに違いない。展望塔は、つくば市役所と市議と科学と政治を優先する市民の行為をジッと見ている。サイコドン ハ トコヤンサノセ。(脚本家)

議会から違和感相次ぐ「市民活動よりオフィスに重点?」 つくばセンタービル改修

【鈴木宏子】つくば市中心市街地活性化の担い手として、同市が来春設立予定のまちづくり会社(地域運営会社)と、同まちづくり会社がつくばセンタービル1階アイアイモール部分と4階吾妻交流センターを改修して貸しオフィスとして運営する事業計画について、五十嵐立青市長は25日、市議会12月議会閉会後開かれた議会全員協議会で説明した。 議会からは、4日にようやく示された、つくばイノベーションプラザ部分1~3階を新たな市民活動拠点にするというリニューアル計画と合わせて「市民活動よりオフィスの比率が大きいと感じる」「高齢者、障害者、中高生など、幅広い世代や多様な市民が集える場なのか」「日本エスコンが開発する商業・業務の複合施設クレオとの連携を図るべき」「磯崎新氏の思想が込められた建築にエスカレーターはいるのか」などの意見が相次いだ。 一方、市が当初検討していた、市所有の地下駐車場と1階アイアイモールの床の区分所有権を、まちづくり会社にあげて現物出資する案について五十嵐市長は、現物出資と賃貸を比較した結果、賃貸することが望ましいとした。現物出資に対しては、12月議会一般質問でも、まちづくり会社が破綻したらどうなるのかという懸念が出ていた。五十嵐市長は「破綻した場合(地下駐車場と1階アイアイモールの)区画がつくば市のものから第3者にわたる可能性があるため」だとした。 議会での説明によると、1階アイアイモール2500平方メートルには、シェアオフィス約1300平方メートルとコワーキングスペース約400平方メートルが整備される。改修費は約2億7300万円で、来春設立される地域運営会社が改修工事をし、利用料をとって貸しオフィスを運営する。吾妻交流センター部分もシェアオフィスにする計画だが、センタービル内の他の場所と等価交換する場合もある。 シェアオフィスの利用料は1坪(3.3平方メートル)月額1万3000円、コワーキングは1人月額1万3000円で貸し出し、5年目の想定として、シェアオフィスは9割、コワーキングは個人40人、法人20社強が利用し、貸しオフィスの利用料収入と駐車場利用料収入として年間約1億1500万円の賃料収入を想定しているとした。 まちづくり会社7つのプロジェクト まちづくり会社の出資者は、市が6000万円を出資するほか、沼尻産業、関彰商事と、AIのベンチャー企業LIGHTz(ライツ)が各3000万円を出資する。ほかに数社が出資予定で、資本金計2億円と7000万円の融資を受けて資金計2億7000万円でスタートする。ただし7000万円の融資の保証や担保等をどうするかについて市は明らかにしなかった。 社員は7人程度で、社長はまちづくり事業に精通している人を当てる、市から2人、ほかの出資会社から数人出向し、直接雇用は1~2人。経費のうち人件費(当初)は年2400万円で、市から出向の2人の人件費は市が全額負担する。年間維持管理費は計約6830万円。 地域運営会社は、つくばセンタービルでの貸しオフィス運営のほか、中心市街地全体を活性化するため、②中央公園でわくわくする場をつくる③センター広場で人がつながる場をつくる④中心市街地全域で生活に役立つ情報を発信する⑤アプリや電子看板など情報発信のベースをつくる⑥科学を遊びながら体験できるAI学習室など子供が体験する場をつくり、ゲストハウスをつくる⑦多様な住み方を支えIot住宅などシェアハウスをつくるーなど7つのプロジェクトが示されたが、具体的に、何を、いつ、いくらでつくるのかなどの事業計画は示されなかった。 1983年に建築されて以来、初めて実施されるつくばセンタービルの本格的なリニューアルについて、全体の具体案が示されたのは今回が初めてだが、五十嵐市長は25日の記者会見で住民説明会は実施しないとした。一方、市議会は12月議会最終日の同日、「つくば中心市街地まちづくり調査特別委員会」(ヘイズ・ジョン委員長)を設置した。小久保貴史議長は「(今回出された)市執行部の提案内容についてさらに情報共有しながら、内容についていろいろ協議したい」としている。来年1月中にも同調査特別委を開くという。 「活動スペースは用意する」 25日の全員協議会のやり取りは以下の通り。敬称略。 山中真弓市議 (地下駐車場の区分所有権をまちづくり会社に現物出資しないで賃貸することになったのに)駐車場料金がまちづくり会社の収入に入っているが、どういうことか。 五十嵐市長 駐車場の利用料がまちづくり会社の収入に入る。市には、駐車場をまちづくり会社に貸すお金が入る。 山中 中央公園でのプロジェクトなど7つのプロジェクトは(今回示された)まちづくり会社の収支に入っているのか。 市長 含まれない。(収支は)順次示す。ふわっとやるのではなく、経営としてやっていく。 川久保皆実市議 (シェアオフィスが9割の入居を想定している等)稼働率の根拠は何か。 市長 周辺の同様の施設やアンケートのデータを踏まえた。 川久保 子連れで働ける環境とあるが、どういうものか。 市長 保育所と同じように子供を一定時間預けて仕事に集中したり、子供を横で遊ばせながら仕事をするスペースを用意する。 川久保 機密性の高い仕事もあり、音が漏れない個室のニーズがあるのではないか。 市長 そういう場所も用意する。 川久保 子連れで働く人が利用できる子供の月齢はどれくらいからか、授乳はできるのか。 市長 まちづくり会社で検討する。 小森谷さやか市議 コロナで就業形態が変わり、つくばに移住する人が増えているということだが、どのくらい増えているのか。 市長 正確な数字は把握していない。問い合わせはある。 小森谷 まちづくり会社に(アイアイモール部分などを)いくらで貸し出すのか。 市長 固定資産税の2.5%。(収支見通しの中の)運営コストの中に入っている。これから不動産鑑定する。かなり安い金額になる。 黒田健祐市議 (7つのプロジェクトが)重要になる。体制やイメージ、どう稼いでいくのか。 市長 天下りOBのような3セクとは一線を画す。(まちづくり会社の社長には)民間で起業した経験があり、まちづくりに精通している人を代表取締役にする。会社設立の際に、一瞬、私が社長になる場合もあるが(自分は)経営はしない。 山本美和市議 日本エスコン(のクレオ)との調整だが、情報共有し、(中心市街地の活性化のため)巻き込んでいかなければならない。センター広場のエスカレーターだが、何でエスカレーターなのか。つくば市は国際会議場から中心市街地に名だたる建築家の建築が並んでいて、思いがこもっている。つくば市民だけではなく日本のまちづくりに大きな意味がある。 市長 エスコン(のクレオ)は来春オープンできると聞いており、随時情報共有している。つくばセンター地区活性化協議会にも加入してもらっている。クレオとセンタービルは双子の兄弟姉妹のようなもの。エスカレーターはセンター広場の課題の一つ、1階と2階の動線に弱さがある。どこから下りていけばいいかわからない。1階と2階を結んでいくことを重要視している。(つくばセンタービルの)意匠はできる限り継承する。(磯崎新氏から)ライブなどをやる北側の階段はさわらないで継承してほしいという意思を受けている。 山本 (リニューアル計画は)オフィスや働く人を支えるという重点が大きいと感じる。クレオの中にもオフィスは入ってくる。旧ライトオンビルも(商業ビルから)オフィスになった。さらに市がこれほど入れる必要があるのか。 市長 エスコン(のクレオ)もオフィスになるが、区画が大きい。かなり大きな企業がフロアを使う。センタービルはシェアオフィスなど区画が小さい。 山本 (センタービル周辺地域の)全体としての貸しオフィスのすみわけがどうなっているのか、概要を出してほしい。 川村直子市議 (リニューアル計画は)働く人を支える重点が大きい。全世代に役立つことが重要だ。高齢者や、リタイアして元気な人が交流するという視点はあるか。高校生の娘がいるが、つくば駅は中継点になっていて、相当数の高校生がつくば駅を通る。中高生の居場所はあるか。 市長 市民活動拠点があり、高齢者が新しい活動をしてみようという場合、最初の窓口になる。中高生のフリースペースは用意しており。300平方メートルを超えるスペースになる。中高生が勉強や自習をしたり、若者が活動するスペースは用意する。 川村 高齢者が働くこと(を支援すること)も検討してほしい。中高生はフリースペース、勉強部屋を用意するだけでなく、居場所となるような、親や教師と違う大人と話をする場という視点も必要だ。 橋本佳子市議 中心市街地を活性化する団体の形態として、調整する機能と実行する機能があり、人やコトをつなぐコーディネート、専門組織が必要とある。(改選前の)中心市街地まちづくり調査特別委員会の中では、プロジェクト2のわくわくする場をつくる、プロジェクト3の人がつながる場をつくるとなるが、(今回のセンタービルのアイアイモールを改修してつくる)働く場は、それとぷつっと切れる。AI学習室とかいろいろな近未来的なものをつくるのか、会社として(貸しオフィスを)運営していくのか、にぎわい、わくわくするものをつくるのか。 市長 (会社として運営するのかという質問は)順番が逆。市民のニーズを満たし、ビジョンや戦略を実現する事業を行う中で収益を上げる。市民ニーズを満たす中で、どのような事業があるか精査して、まちづくりに資する事業を行い、適正な利益を確保する。まちのために事業がある、経営のためにあるのではない、 橋本 (イノベーションプラザ部分の)市民が活動する場についてだが、(市民には)さまざまな人がおり、高齢者や障害者も活動できる場を増やしていかなくてはならない。市民が活動する場と、働く人の場の比率をもう少し考えられないか。 市長 ニーズとして(オフィスの)スペースが必要。高齢者や、企業や研究所で働いた人が、市民活動の場から流れて働く場につながっていくこともある。障害者がフリースペースを使ってイベントを開催したり、市民活動と働く場を切り離すのではなく、副次的に、働く場がリタイア後の活動の場になる。 浅野英公子市議 人件費が2400万円ということだが内訳はどうか。男女共同参画センターをつくってほしい。新しいスペースを生かして(男女共同参画の)展示、相談機能をもたせることを実現してほしい。 市長 人件費はプロパー社員の人件費と、出資会社から出向する社員の一部を負担する。男女共同参画センターは(リニューアルにあたって)最後まで検討したが、DVなど難しい相談が多い状況なので人目に付くとかえって活用はしぼんでしまうので、市役所の中で対応していく。

1階の旧飲食店街はオフィスに つくばセンタービル改修計画 屋根は取り止め

【鈴木宏子】議会からも市民からも十分な説明がないと批判がある、つくばセンタービル(同市吾妻)のリニューアル計画について、4日、市議会全員協議会が開かれ、五十嵐立青市長はリニューアル計画概要を説明した。旧レストラン街の1階アイアイモールを働く場を支援するオフィスとし、現在のつくばイノベーションプラザ1~3階は新たな市民活動拠点とする配置イメージが示された。 一方、センター広場にドーム型屋根をとりつける計画は取り止めになった。屋根は、市が6月にホームページで「リニューアルの方向性案」を示した時点では、雨天時にもイベントが開催できるように計画されていた、市学園地区市街地振興室によると、屋根の計画に対してはさまざまな意見が市に寄せられたことなどから「デザインに配慮し取り止めた」という。同センタービルは、2019年に建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家、磯崎新氏の代表作の一つで、ポストモダン建築の代表作。 リニューアル計画によると、もともとはレストラン街だったが現在はすべての飲食店が撤退した1階アイアイモール約2500平方メートルは、働く人を支援する場とし、コワーキングスペース、テレビ会議ブース、シェアオフィスなどを整備する。子連れ出勤のサポートなど多様な働き方を支える場とし、来年3月に市と民間企業が出資して設立する予定のエリアマネジメント会社(まちづくり会社)が運営する。 新たな市民活動拠点となる、つくばイノベーションプラザ部分の1~3階約2800平方メートルには、吾妻交流センター、市民活動センター、国際交流センター、消費生活センターを集めるほか、市役所の駅前市民窓口をつくる。各センターの事務スペースのほか、現在、吾妻交流センターにある会議室、音楽室、調理室などを整備する。さらに300平方メートルを超えるフリースペースをつくり図書コーナーを設置したり、現在1階にあるノバホールの小ホールを2階に移してさまざまな利用ができるホールに改修する。 ほかに、センター広場の周囲に、2階ペデストリアンデッキから1階の広場に行けるエスカレーターを2基つけたり、センター広場の破損箇所を改修したり、イベントが開催しやすいよう電源盤を増設などする。 事業費は市が直接工事をする部分として、新たな市民活動拠点の整備が約3億3000万円、エスカレーターの設置やセンター広場の破損箇所改修などが5億7000万円の計約9億円。設計費用約1億3300万円を合わせると計約10億3800万円になる。 市は今年6月時点で整備費を約9億9000万円としていた。屋根の取り付けがなくなったのに事業費がほぼ変わらない理由について同室は、老朽化しているセンター広場の破損箇所などを改修するためとしている。一方、オフィスとする予定のアイアイモールの改修は、新たに設置されるエリアマネジメント会社が行うという。 今後のスケジュールは、来年3月までに基本計画と基本設計を策定、2021年度に実施設計をし、22~23年に改修工事を実施する。リニューアルオープンは23年度中の予定。工事は段階的に実施するため、吾妻交流センターや市民活動センターが閉鎖されることはないという。 現在4階にある吾妻交流センターを移設した跡地の活用についてはまだ決まっておらず、区分所有権を交換するか、働く場を支援する場として活用するかなどを検討している。 一方、だれがどのように運営するかや収支計画などがいまだに公表されていないエリアマネジメント会社の概要については、今月25日までの12月議会会期中に再度、全員協議会を開いて、議会に説明するとした。 「屋根取り止め さすがだが、進め方に不安」 つくばセンタービルをテーマにドラマを制作したことがあるつくば市在住の脚本家、冠木新市さんは「屋根の計画が取り止めになったと聞いて、さすがつくば市には良心があると感じた。これで世界に対して恥ずかしくない。ただ気になるのはこれまでの進め方だが、改修について情報がきちんと出されていない。これからもこんな進め方なのか不安が残っていたが、市長は広報に力を入れると言っているので、今後はそういうことがないと期待したい」と話す。 ◆リニューアル計画は、新型コロナの外出自粛要請終了後から28日まで、つくば駅前のBiviつくばイベントスペースでオープンハウスを開いて市職員が説明し市民の意見を求める。現時点で市民説明会を開催する予定はない。 ➡つくばセンタービルの過去記事はこちら ➡つくば市中心市街地の過去記事はこちら

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