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《吾妻カガミ》75 土浦一高「中高一貫」 近く説明会

【コラム・坂本栄】本サイトの過去記事のうちどれが読まれているのか、筑波大学生記者が2月前半のアクセス数を分析してくれました。1位は「土浦一、水戸一など10校が中高一貫に 県が県立校改革プラン」(2019年2月21日付け)で、つくば・土浦地域の方のこの問題への関心が強いこと分かりました。「中高一貫」スタートが来春に迫っていることもあると思います。 そこで、1年先の一貫制移行に向けての準備状況はどうなっているのか、少し調べました。その成果をいくつか紹介します。 小学生と保護者への説明会が3月22日に、土浦一高体育館で開かれるそうです。この時点では募集要項は確定していないはずですが、概要は分かるでしょう。そして、7月末に県教育委員会が正式に発表したあと、土浦市民会館で説明会があるそうです。大井川和彦知事の目玉の施策ということもあり、県教育委員会も力が入っています。 土浦一高内に設けられる中学2クラス(計80人)の教室はどうなるのでしょうか? 当面新校舎は建てず、現校舎の教室を中学用に割り当てるそうです。中学を教える先生はどうなるのでしょうか? 高校と中学を別々にせず、高校の先生が中学も担当するそうです。普通の中学に比べ、中高一貫は授業内容が難しくなるのでしょうか? 保護者も学校も学習塾もホットに この問題については、先に「ビッグニュース 土浦一高も中高一貫」(2019年3月18日付け)でも取り上げ、その必要性について①TX開通により地域の優秀な中学生が東京の高校に行くようになった②県南の私立高の多くが中高一貫を採用している③だから土浦一高もこういった変化に対応しなければならない―と述べました。 地域の核となる教育システムを強化する必要があると考えたからです。つくば・土浦地域の教育の核として、大学は筑波大、高校は土浦一高があります。この2つがより強くなることは、地域の教育水準アップ⇒地域の魅力度アップにつながります。 土浦一高の中高一貫移行により、いろいろな変化が起きると思います。現在の出身中学校別生徒数ベスト10(つくば以外はカッコ内に明記)は、竹園東77、吾妻56、下根(牛久)48、土浦第四(土浦)42、手代木40、谷田部東40、土浦第一(土浦)39、土浦第二(土浦)33、並木31、春日学園29―ですが、各中学校区の小学校からダイレクトに中高一貫に進むようになると、この順位はどうなるでしょう? 最近、新聞の折り込みチラシを見ていると、中高一貫に向けた小学生教室の宣伝が目立ちます。保護者や学校だけでなく、学習塾も「商機」とホットになっています。この際、地域の魅力度アップのために、老朽化した土浦一高を建て替えたらどうかと、県教育委に提案しておきます。(経済ジャーナリスト) ➡坂本栄の過去のコラムはこちら

【つくば市長会見】義務教育学校は新設せずを明記

【鈴木宏子】つくば市、五十嵐立青市長の定例会見が6日、同市役所で開かれた。1日からパブリックコメント(意見募集)が実施されている市学校適正配置計画改訂案や市中心市街地まちづくり戦略案などについて報告があった。 みどりの地区に中学校も新設 今後20年間の小中学校の配置や通学区の在り方などについて定める学校適正配置計画改訂案は、施設一体型小中一貫校(義務教育学校)5校の開設や統廃合計画が示された2009年策定(14年改訂)の計画を大きく見直す。 見直しの大きな柱は義務教育学校だ。現在ある4校はTX沿線などの人口増加や学校の統廃合などに伴って大規模校化していると課題を指摘し、今後新たに開設する学校は義務教育学校ではなく小学校と中学校にする必要があるなどと明記した。 つくばエクスプレス(TX)沿線の児童・生徒数の急増による教室不足への対応については、すでに研究学園駅周辺に研究学園小中学校(仮称)、万博記念公園駅周辺に香取台地区小学校(同)、みどりの駅周辺にみどりの南小学校(同)の3校の新設が進められているが、加えて23年度までにみどりの南部に中学校を新設することが示された。市学務課によると、みどりの地区には新たな学校用地はもう用意されておらず、設置場所はこれから検討するという。さらに、みどりの義務教育学校の児童・生徒数急増に対し、谷田部南小と谷田部中の学区の見直しを検討する必要があるとした。 ほかに、TX沿線の中根・金田台地区に小中学校、上河原崎・中西地区に小学校の新設を検討する。 一方、今後、児童・生徒数がさらに減少し小規模校となる茎崎地区の小中学校については、現計画と同じ「統合の検討が必要」とする表現にとどめた。 中心市街地 9つのプロジェクト掲げる 中心市街地まちづくり戦略は、つくば駅周辺のまちづくりの基本方針について定め、今後5年間に市が先頭に立って優先的に進める事業として、9つのプロジェクトを掲げる。 センタービルのリニューアル▽つくばセンター広場のリニューアル▽イノベーション拠点の創出▽地域と連携したパブリックスペースの活用▽中央公園のリニューアル▽エリアマネジメント団体設立による官民連携のまちづくりの推進▽産業振興センターを拠点としたスタートアップ推進▽つくばの玄関口のおもてなし機能向上▽スマートシティの推進-の9つだ。 センタービルは、現在ある吾妻交流センターや市民活動センターなど公共施設の配置見直しと機能向上を図り、新たに行政窓口の導入を検討する。ほかに、シェアオフィス、コワーキングスペース、研究機関の窓口機能やスタートアップ支援などを含むイノベーション拠点の整備を検討するとしている。センター広場は、雨天時の対応や電源整備の充実、広場への動線の改良をする。 イノベーション拠点は、駅周辺の大街区の公務員宿舎跡地にイノベーション拠点が形成できるよう、さまざまな誘導施設を検討し、土地所有者の関東財務局と処分手法を協議するなどとしている。 これまでバーベキューやカヌー体験、水遊び場など試験的取り組みを行ってきた中央公園の維持管理は、レストランやカフェなどの出店を促し、民間事業者が収益を上げることができるパークPFI(公募設置管理制度)も含めた官民連携の新たな仕組みの導入を検討する。 新たに設立を検討するエリアマネジメント団体は、MOG(モグ)、Q't(キュート)、旧クレオ、Biviつくばなどの商業施設や、公共施設、ホテルなどの事業者と市が連携し、デザインの統一、まちのルールづくり、情報発信、オープンカフェやイベントを一体的につくることでまちの価値を高めたり、魅力あるテナントの発掘・誘致などに取り組むという。 さらに、駅から数百メートルのペデストリアンデッキを中心とした沿道空間(コアエリア)は、駅前にふさわしい都市機能が集積するよう住宅制限などを検討するとしている。 パブリックコメントはいずれも28日まで実施する。 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || ).push({});

【つくば市20年度予算】過去最大規模を更新 学校建設ラッシュ続く

【鈴木宏子】つくば市は4日、2020年度当初予算案を市議会全員協議会に説明した。一般会計は約885億2500万円で前年度当初比0.6%増となり、過去最大規模だった前年度をさらに上回る。つくばエクスプレス(TX)沿線の児童・生徒数増加に対応するため、学校建設や校舎増築ラッシュが続く。 新設が予定されているのは、TX研究学園駅周辺の研究学園小中学校(仮称)、万博記念公園駅周辺の香取台地区小学校(同)、みどりの駅周辺のみどりの南小学校(同)の3校。研究学園小中と香取台小はいずれも23年4月開校に向け、それぞれ約1億2800万円と約9600万円で設計を行う。みどりの南小は24年4月開校に向け用地を約10億7800万円で購入し、さらに約2億1800万円で基本・実施設計をする。 ほかに小中学校3校で校舎を増築する。葛城小は21年4月からの利用開始を目指し約8億円で校舎を増築する。手代木南小と栗原小は22年4月の利用開始に向け校舎増築の設計を実施する(2校の設計費合計約5500万円)。 保育所もさらに増やす。民間保育所施設の整備補助を約14億1000万円を計上し、保育所7園、認定こども園1園、病児保育施設1園を20年度中に整備する予定だ。 旧総合運動公園 借入金返済に備え積み立て 課題となっている旧総合運動公園用地については、いったん市は売却を表明したが、市議会に特別委員会が設置され売却見直しの意見が多数となっていることから、2023年度末の土地購入費の借入金返済期限に備えて財政調整基金に6億円を積み立てる。21~23年度までは基金残高98億円を目標に3年間で毎年15億円ずつ積み立てる計画。今後、議会から示される方向性を見据えながら再検討していくという。 つくば駅前の商業施設クレオの再生に市が関与しない方針を決めた後の中心市街地のにぎわいづくりについては、市が約6000万円を出資し、官民連携の中心市街地エリアマネジメント団体を設立し活性化を図る。さらにつくばセンタービルの再整備に向け、約990万円で必要な機能や配置について検討する基本計画を策定する。 ほかに、圏央道つくば中央IC(インターチェンジ)- 常総IC間のスマートICの整備に向け、用地購入2億2600万円とNEXCO東日本への同IC建設負担金約7500万円を計上する。21年度中の利用開始が予定されている。 ナショナルサイクルルートに指定された「つくば霞ケ浦りんりんロード」については、新たにつくば駅からりんりんロードまで7.5キロの推奨ルートを設定し、案内表示の路面サインをつくる(約720万円)。 つくばウェルネスパーク内のサッカー場、セキショウ・チャレンジスタジアムは経年劣化により芝の破れやほつれが発生していることから、約1億7600万円で人工芝を張り替える予定だ。 不登校児童生徒の支援では、市南部に約1200万円で新たな支援拠点を設置する。市と民間の共同事業とする計画で、共同事業は県内初という。4月以降、民間事業者を公募し10月ごろ開設する予定だ。 一方歳入は、人口増などにより、個人市民税を前年度比5.1%増、固定資産税を3.2%増と見込む。法人市民税は昨年10月の税制改正の影響で13.2%減となり、市税全体は2.4%増を見込む。 特別会計などを含めた総額は1488億800億円となり、一般会計と同様、過去最大規模を更新する。 同予算案は14日開会の市議会3月議会に提案される。五十嵐立青市長は「市未来構想が目指す4つのまちの姿の実現に向けた予算で、まいてきた種が形になる」などと話している。

《令和楽学ラボ》5 つくば市に保育園が続々開設

【コラム・川上美智子】県内で待機児童が一番多いつくば市は、昨年4月1日時点で131名と待機児童率の高さで全国24位であった。つくば市と並んで待機児童数が多い水戸市は、2018年度に民間保育所や小規模保育所の開設により定員を519人増加させ、待機児童数を18人までに減らした。つくば市は、同年に264名分増加させたが、待機児童の解消に至っていない。 その理由は、TX沿線への若い世代の流入と子育て世代の新規就労者の増加である。この地域では、保育所不足にとどまらず、放課後児童クラブの不足や小学校のキャパ不足も大きな問題となっている。人口増は地域の活性化にとり歓迎すべきことであるが、想定以上のことが起きており、その対応が求められている。 待機児童対策では、つくば市は今年度、研究学園駅~みどりの駅地域の民間保育所の設置を積極的に進めている。今年4月1日には、この地域に4つの民間保育園と2つの小規模保育園が開設される予定である。私が園長として勤務予定の「みらいのもり保育園」もこの中のひとつであり、放課後児童クラブを併設して地域のニーズに応える予定である。 これで待機児童は解消されるか? これにより、つくば市の待機児童解消がほぼ達成されるのではないかと思われるが、それも瞬間的なことかも知れない。東京通勤圏という魅力ある地域にはさらに人が集まってくることも予想される。若い世代の動向をしっかり見極め、やがてその家族の年齢層や構成が変化することも想定して、TX沿線地域の姿を描く必要があろう。 また、保育園は、キャパの問題が取り沙汰されるが、問題はそればかりでない。それ以上に重要なのは質の問題である。今年4月の小学校の学習指導要領全面改訂に伴い、それに先駆けて国は一昨年度に保育所保育指針の改定を行った。 それは、国が幼児教育の重要性を認識したからに他ならず、その中で保育所を養護・保育の施設から幼児教育施設として位置づけた。ゼロ歳から3歳までの非認知能力の育ちや小学校に上がるまでの就学前の教育施設として幼少の継続性に力点を置くことになった。 この4月、つくば市内の保育施設は、公立保育所23、民間保育園41、認定こども園8、小規模保育所10に上る。施設による格差が出ないよう、それぞれの園が切磋琢磨(せっさたくま)して幼児教育の質向上に取り組まなければなるまい。(茨城キリスト教大学名誉教授) ➡川上美智子さんの過去のコラムはこちら

《地域包括ケア》52 ラジオ体操で地域づくりを展開

【コラム・室生勝】厚労省のモデル事業をまとめた日本能率協会の「地域づくりによる介護予防・推進するための手引き」では、「週1回運動ができる身近な通いの場」「体操をきっかけに地域づくりへの展開」を奨めている。朝のラジオ体操から始まったTX研究学園駅前周辺の地域づくりを紹介しよう。 2009年夏、1人の男性前期高齢者が駅前公園へ携帯ラジオを持参して、朝6時半からのラジオ体操を始めた。彼が公園で体操を始めたのは、新しい土地で友人が欲しかったからである。05年にTXが開通して、研究学園2~7丁目、学園南1~3丁目、学園の森地区の人口は、新しく住み着いた人たちで増えた。 1か月も経たないうちに数人の男性高齢者が集まり、帰りの雑談のなかでシニアクラブづくりに発展した。2年間で会員が約30名に増えたのは、県内外から新しい街に移ってきた高齢者が友人を求めていたからだ。 数年の間に、ゴルフ、麻雀、絵画、手芸、グランドゴルフなどの同好会ができ、隔月の例会や歴史探索ウォーク、新年会、花見会、芋煮会、日帰り旅行などの催しや、お茶会や会食などの日常的交流が盛んになった。現在は会員も100名を超え、区会(自治会)運営や街の美化活動に関わる人たちから、新しい街づくりの取り組みが現れた。 マンションや一戸建てと居住区が違い、抱えている課題が多少異なっていても、街づくりの目的は同じである。市内で最も人口密度が高い市街地なのに、竹園、吾妻、並木のように市立保育所、市立幼稚園、交流センター(公民館)などの公共施設がないという不満があった。 区会活動も高齢者の介護予防に 昨年秋には、新たな小中学校の開校に伴う通学路の安全確保、高齢者が歩いて通える居場所の設置や区会(自治会)支部設立などを要望する任意市民団体が結成された。 その市民団体は、区会運営を多忙な壮年層の役員に負担をかけないように、実務を退職高齢者が担う方法を提案している。壮年層は役員の引き受け手が少なく、1年任期の区会が多い。これでは継続性が保てない。少なくとも2年任期にして役員の半数が交替する方法である。 シニアクラブの活動も区会活動も高齢者の介護予防になる。しかし、研究学園駅周辺では活動の場を確保するのが難しい。常設の場が欲しい。交流センターのような立派な設備がなくてもいい。50人がテーブル付きでゆったり座れる部屋、コピー機(有料も可)、洗面、トイレ、倉庫などがあればいい。 区会、見守り活動、地域の互助活動の事務局や高齢者サロンが午前から午後前半に利用し、午後後半は子ども会や児童館に、夜間は壮年層の趣味や学習の場に利用できる。休日には3世代交流の場に使える。 高齢者の介護予防は、まず地域に出て人と交流することである。職場第一の生活をしてきた退職高齢者の中には、地域に出るきっかけがない、あるいは知人がないため閉じこもりがちな人がいる。その人たちを交流の場に誘う方法として、空き地や公園を利用したラジオ体操をお奨めする。(高齢者サロン主宰) ➡室生勝さんの過去のコラムはこちら

《茨城の創生を考える》12 茨城の企業はもっと危機意識を

【コラム・中尾隆友】私は全国の経営者を前にして講演をすることが多いが、そこでの反応にはある傾向を読み取ることができる。それは、裕福な地域の経営者ほど危機意識が薄く、廃れつつある地域の経営者ほど危機意識が強いということだ。 これを茨城県のケースで当てはめると、県南地域の経営者ほど危機意識が薄いといえそうだ。ご存知のように、県南地域は東京に近いだけでなく、とりわけTX(つくばエクスプレス)沿線は人口が増えているため、商圏(マーケット)で考えた場合、事業が傾くリスクは相当に軽減されるからだ。 人口減少とデジタル化で商圏は縮小 ところが、決して油断できないのは、経済のデジタル化が主流となる未来では、商圏という考え方が必ずしも盤石ではないということだ。アマゾンや楽天のような企業で商品・サービスを購入する消費者が増えれば増えるほど、着々と商圏は外部から浸食されていくのだ。 それに加えて、茨城県の人口減少は私たちが考えている以上に深刻な状況にある。国立社会保障・人口問題研究所の2045年の人口推計によれば、茨城県の人口は223万5686人にまで減少(2015年の291万6976人から23.4%減)し、日本全体の減少率(16.2%減)よりかなり大きいからだ。 主要な自治体では、日立市が36.6%減、石岡市が34.0%減、取手市が32.1%減、筑西市が31.8%減と、減少率が30%を超える自治体が少なくない。TX沿線を除いて、県全体で人口減少が加速度的に進み、商圏は縮小の一途をたどっていくだろう。 経営者に求められる資質とは 多くの経営者が取るべき道は、人口減少とともに縮小均衡をはかっていくか(廃業も含む)、人口減少によって売上げが減少した分、商圏の外から顧客を開拓していくか―2つに1つしかない。 経営者は10~20年後の社会を想像して、常に危機意識を持って事業に取り組まなければならない。時代の変化に早めに対応し、新しい戦略を構築するために知恵を絞らなければならない。 地域が活力を保ち続けるためには、企業が元気であり、雇用を提供する役割を果たすことが欠かせない。そういった意味で、ひとりひとりの経営者には頑張ってもらいたい。(経営アドバイザー) ➡中尾隆友さんの過去のコラムはこちら

【民生委員】㊤ 担い手不足と高齢化 つくば

【橋立多美】住民の生活相談に応じて行政に橋渡しをする民生委員が今月、3年ぶりに全国一斉に改選された。困ったときの地域の「見守り役」だが、高齢の単身世帯や高齢者のみの世帯が増える一方、なり手不足などによる高齢化で「老老見守り」が進む。 今月の改選で2期目に入った50代女性は、担当区域で身寄りのない高齢男性の孤立死を経験した。 最初に訪問した時はパジャマ姿で現れ、「民生委員なんかの世話にはならない」と怒鳴られた。恐る恐る訪問するうちに玄関の椅子を勧めてくれてパジャマは洋服になった。 次の訪問で終活の相談に乗ることになっていたが、その日を待たずに亡くなった。「もっと早く訪問すればよかった」と今も自分を責める。 オートロックに阻まれて 女性によれば訪問はおおむね月1回、認知症の発症が疑われるなど目配りが必要なケースは毎週。さりげない地道な見守りは毎日のことだという。 訪問をかたくなに拒んだり、居留守を使う人もいる。ある委員は「民生委員に相談していることを知られたくない人の家には暗くなってから訪問する。それが民生委員の常識」と明かしてくれた。 「マンション1階玄関のオートロックに阻まれて会うことすら難しい」と話すのは田中邦宏さん(79)。TX沿線開発で誕生した高層マンションが林立する研究学園地区担当で、約860世帯を受け持つ。 まれに1階の共有スペースに降りてきてくれる人もいるが、インターホン越しでは会話は成立しない。「近所付き合いが面倒でマンションを購入した人が多く、一歩一歩やっていく」と話す。 茎崎地区で4期民生委員を務める片岡三郎さん(76)は、ほぼ毎夕、宝陽台団地の単身高齢者34世帯を見守るパトロールを続けている。昨日と違っているところはないか、電灯が付いているか、と注意を払う。 これまでに急に手足がしびれ、車庫で動けなくなった高齢者を見つけたり、徘徊する女性を見つけ、牛久の家族の元に帰したことがある。 改選のたびに適任と思う何人かに頼んでみたが「仕事が忙しい」「向いていない」と断られた。使命感から続けてきたが、ようやく60代の後任者が見つかった。「今期3年を悔いのないように努めたい」。 60代、70代で9割占める 民生委員は市町村の推薦で厚生労働相が委嘱する非常勤の地方公務員。任期は3年(再任可)で全国に約23万人、県内には約5千人いる。月1万円程度の活動費が支給されるだけで報酬はない。守秘義務があり、児童や妊産婦を支援する児童委員も兼ねる。 市社会福祉課によると、今月の改選時の定数271人に対し欠員は7人。再任は206人で新たに58人が推薦を受けた。30~80歳代で構成されているが60歳代が5割(133人)、70歳代が4割(110人)を占め、75歳以上の後期高齢者は21人いる。 国は「民生委員は原則75歳未満」としていたが、なり手不足を受けて2007年に年齢基準を緩和した。多くの自治体が国の通知に沿って選任したことで高齢化が進んだ。同課の木本係長は「75歳を目安として地域の事情に詳しく健康な人を推薦している」と話す。 担い手がさらに不足しかねない動きがある。国が進める高齢者の就業拡大だ。安田課長は「共働きや定年後も働く人が増え、支援が必要な人を支える分母の人数が減っている」と表情を曇らせた。 2018年度中に民生委員が受けた相談件数は7528件で年々増加している。介護保険や生活困窮の相談をはじめ、家族形態の変化に伴って家や墓の後継者問題など困難化しているという。安田課長は「日常的に地域に目を配り、相談に乗って支援することは行政には難しく、民生委員に助けられている」と話してくれた。(つづく)

救われた小さな命 交通事故被害の子猫もらって つくばの愛護団体

【橋立多美】街中や住宅地でネコがのんびり昼寝をしている風景は平和そのもの。しかし交通量が増え、不意に道路に飛び出したネコが走ってきた車とぶつかったら小さな体はひとたまりもない。 つくば市に活動拠点を置く動物愛護団体「Team.ホーリーキャット」(7月17日付)が、交通事故に遭った生後4カ月半の雌ネコの里親になってくれる人を探している。 今月中旬、同団体に「交通事故に遭った子ネコの里親さんを探してほしい」という連絡があった。連絡したのは牛久市在住の坂朋子さん(36)。 坂さんは今月6日午後4時半頃、つくばみらい市の職場から帰宅途中の市道で、前を走っていた2台が左側をよけていることに気が付いた。スピードを緩めると道路上に子ネコが座っていた。「頭が上がっているから生きている。このままでは後続車にひかれる」と思った。安全な場所に移動させようと車を停めて近づいた。 抱き上げると鼻血が流れ出て坂さんの手首を赤く染めた。ぐったりした全身は小刻みに震え、鳴くそぶりを見せたが声は聞こえなかった。置き去りにできないと助手席に乗せて動物病院に運んだ。 すぐに対応した小林獣医師は「レントゲン検査で大きな骨折は見られない、鎮痛剤で経過を見ましょう」と坂さんに告げ、1週間入院することになった。鼻血は頭をはじかれたことによるものと診断された。 入院中は仕事帰りに立ち寄り、ケージの中で痛みに耐えて頑張っている子ネコを見守った。また、飼い猫かも知れないと思い、保護した場所近くのコンビニに「子ネコを保護しています」と写真付きのチラシを貼らしてもらったが、飼い主は現れなかった。 病院での早い処置もあり、運び込んだ時は自分で歩くことができなかったが退院するときには歩行できるまでに回復した。だが体の右側を強打したことで右目を失明し、右耳の聴力と声を失った。同獣医師は「一過性の神経障害で発達途中なので回復する可能性はある」と話す。 退院後は坂さんの自宅に引き取った。ところが手乗りで遊んでいたハムスターがケージから出てこなくなった。「ハムスターは警戒心が強いそうで、手に残ったネコのにおいが影響しているかも」と肩を落とす。 先住のハムスターを優先させる決意をし、子ネコの里親を探すことにしたという。子ネコは右目が見えないとは思えないほど活発に遊びまわり、食欲旺盛だ。坂さんは「人懐こくてかわいい。やさしい里親さんの下で幸せに暮らしてほしい。でも手放す日は涙が止まらないと思う」 里親探しを依頼されたホーリーキャットの代表重松聖子さんは「後続車にひかれる前に坂さんの機敏な行動で保護され、獣医師につないだことで救われた小さな命。家族として迎えてくれる里親さんに手渡したい」と話した。同獣医師は「室内で飼育し定期的に健康チェックをしてやってほしい」と言い添えた。 ◆子ネコを譲渡する里親会は明日22日(日)午後1時~4時、つばた接骨院(牛久市さくら台1丁目)。新年は1月5日(日)と19日(日)午後1時~3時、TXつくば駅前のセンター広場(つくば市吾妻)で開催。問い合わせは重松さん(電話090-8058-3129)まで。

《吾妻カガミ》70 つくば市の話 議会vs執行部

【コラム・坂本栄】前回つくば市の総合運動公園問題を取り上げたところ、その日のうちに閲覧数ベスト5のトップになり、その状態が1週間続きました。つくばの方の関心が強かったということでしょうか。未読の方は「影が薄くなった つくばの五十嵐市政」(12月2日掲載)の青字部をクリックしていただくとして、今回もこの問題を取り上げます。 先のコラムでは、総合運動公園用地跡処理について、市執行部案(民間業者に一括売却)と市議の多数意見(スポーツ施設などに活用)に隔たりがあると、まず指摘。市議の意見を踏まえると、執行部案は葬られ、2015年夏の住民投票でNOとなった前市長時代の計画(スポーツ3施設整備)を縮小した形(スポーツ1施設整備)に落ち着くのではないか、と予想しました。 総合運動公園問題 第3の選択肢 仮にこのような展開になった場合、つくば市は時間を随分ムダにしたことになります。思い起こすと、計画中止を前市長に決断させた住民投票の用紙は、運動公園計画に賛成か反対かだけを問う2択式になっており、他の選択(どちらでもない⇒計画の修正)ができない形になっていました。3択式になっていれば、現市議の多数意見(当初計画の実質縮小)がすでに形を成し、陸上競技場などが完成していたかも知れません。 前市長が議会に諮った投票用紙案は3択式でした。ところが、議会はこの執行部案を否決して2択式を採用、賛成か反対のどちらかに〇を付ける形にしてしまったのです。今になって、3択式にしておけばよかったと、議会メンバーは不明(ふめい)を恥じているのではないでしょうか。 4年半前のつくば市は、運動公園建設をめぐり、300億を超す建設費に市の財政は耐えられない、予定地はTX駅から遠過ぎる―などの反対論と、国から補助があるから市の負担はずっと少ない、施設は東京五輪の練習用にも供用できる―などの賛成論がぶつかり、熱くなっていました。 巨額予算はダメとの声が優勢のなか、第3の選択肢(計画の縮小=経費も少なめ)が用意されていれば、多くの市民がこれに〇を付けていたのではないでしょうか。あと知恵ですが、現議会の意見を聞いていると、そんな気がしてなりません。 単純な選択肢は面倒を抱え込む 当時の議会はどうして2択式を選んだのでしょうか? 総合運動公園建設の是非というよりも、市の執行部案はもちろん、その修正案も葬りたいという、政治的な思惑が議員の間にあったからでしょう。行政問題の政治化が決定のプロセスを複雑にし、結果、時間の浪費につながりました。 選択肢がシンプルな2択式は分かりやすいという利点はあります。しかし、面倒を抱え込む選択をしてしまうという欠点もあります。熱狂のなか、英国のEU(欧州連合)脱出(ブレグジット)の是非を問うた国民投票のように、です。(経済ジャーナリスト) ➡坂本栄の過去のコラムはこちら

《吾妻カガミ》69 影が薄くなった つくばの五十嵐市政

【コラム・坂本栄】つくば市の総合運動公園予定地跡処理の方向性が揺らいでいます。執行部が提案した一括民間売却案に多くの市議が異を唱え、スポーツ施設などに活用した方がよいといった意見が出てきたからです。市長の五十嵐さんはこの問題でもイニシアチブを発揮できず、執行部の影が薄くなっています。 市が8月に発表した予定地跡(広さ46ヘクタール、取得額66億円)処理案は、商業施設+流通倉庫+老人施設に使いたいと言ってきた民間業者に一括売却するものでした。ところが議会はこの案を棚上げにし、自分たちで考えるからと、特別委員会(議長を除く市議27人で構成)を立ち上げました。 先月開かれた特別委で市議が示した活用案については、本サイトの記事「一括売却に反対多数 つくば市議会特別委」(11月7日掲載)をご覧ください。発言内容はこの記事を読んでいただくとして、総覧するには議会事務局がまとめた意見一覧が便利です。 それによると、複数意見もカウントした延べ人数は、スポーツ施設(陸上競技場、室内プール、総合体育館、グラウンドゴルフ場)9人、避難所・防災拠点8人、道の駅4人、公園・キャンプ場・多目的広場・子供の遊び場4人、市営墓地・市営斎場3人、教育施設・文化施設3人―と、予定地跡は何らかの形で市が活用すべきだとの意見が多く、一括売却案を支持した市議は5人だけでした。 運動公園用地跡はスポーツ施設に? 市議の意見分布から占うと、売却は取り止め、市有地として残し、スポーツなどの施設として活用する、といったところに落ち着くのでしょうか。議会は「スポーツ施設一つ」を落としどころとしている、との情報もあります。ちなみに、住民投票で否定された市原前市長の総合運動公園計画は「スポーツ施設三つ」(陸上競技場+サッカー場+体育館)でした。 先のコラム「つくばの政治テーマ 総合運動公園問題」(5月6日掲載)でも触れましたように、五十嵐さんは総合運動公園批判を展開して市長に当選、予定地跡の適正処理も公約していましたから、仮に上のような展開(類似コンセプトのスケールダウン)になった場合、おかしなことになります。 執行部と議会の関係では昨年も同じような事例がありました。TXつくば駅前のデパートが撤退したあと、執行部は市が出資する複合ビル構想を立案しながら、議会に否決されそうだと判断して議案を引っ込めてしまったことです。第1パラグラフで「この問題でも…」と書いたのは、このプロセスを思い出したからです。(経済ジャーナリスト) ➡坂本栄の過去のコラムはこちら

だれもが利用できるUDタクシーに 障害者が運転手に通達手渡す つくば駅前

【山口和紀】車いすのまま乗車できるユニバーサルデザイン(UD)タクシーの普及が進む一方、車いす利用者に対する不当な乗車拒否が全国で相次いでいる問題で、つくば市の障害者支援団体「つくば自立生活センター ほにゃら」メンバーの障害者らが11月30日、つくば駅前で、タクシー運転手一人ひとりに「不当な乗車拒否は道路運送法に違反する」などの国交省通達が書かれたチラシを直接手渡した。 UDタクシーは、車いすの障害者や足腰の弱い高齢者、ベビーカーを使う親子連れなどが乗りやすいよう設計された新しいタクシー車両で、運賃も通常のタクシーと変わらない。国が認定制度を設け普及を推進している。 一方で、車いす利用者の乗車拒否が全国各地で相次ぎ、障害者の当事者団体「DPI日本会議」が10月に行った全国調査では、調査に参加したおよそ4分の1の32人が乗車を断られた。 こうした事態を受けて国交省は11月19日、全国ハイヤー・タクシー連合会に対し通達を出し、電動車いす利用者であることや、乗降に時間がかかることを理由として乗車を拒否することなどが、道路運送法に違反するとはっきり示した。 通達を広く知ってもらおうと、タクシー運転手にちらしを手渡す活動に参加したのは、いずれも車いす利用者で、つくば市在住の川端舞さん(27)、川島映利奈さん(37)、鶴岡信也さん(23)。つくばエクスプレス(TX)つくば駅ロータリーで客待ちをしているタクシー運転手に話し掛け「このような通知が出ていますので、お時間のある時にお読みください」と約1時間半にわたって計15社の運転手にチラシを配った。 参加者した川端さんは自らの体験を振り返り「スロープを使って車いすで乗り込むのは、慣れてない運転手だと時間がかかる。乗り込むまでの時間を運賃に上乗せされた経験がある。それはやっぱりおかしい」と話す。 川島さんはUDタクシーに乗ろうとして断られた経験がある。つくば市内のタクシー会社に予約の電話をしたところ「UDタクシーを扱える運転手が一人しかいない。その日は出勤していないので無理」と言われたという。同じく川端さんも「前に乗ったことのある会社だったのに、電話をしたら『UDタクシーはない』と言われ断られた。おかしな言い訳だ」と語った。つくば市でも正当な理由なく乗車拒否が起きているのが現状だという。 川端さんは、運転手の研修が十分に行われていないことも問題だと指摘する。「障害をもった私たち当事者を研修に呼んでほしい。例えば関東鉄道バスは、当事者を交えた研修を行うようになってから対応がとても良くなった。声を掛けてもらいたい」と呼び掛ける。 川島さんによると、UDタクシーは「車いすのまま乗れる、介護タクシーと違ってタクシー会社がやっているから24時間いつでも利用できる、料金も通常のタクシー運賃と同じ」なのが利点だという。鶴岡さんも「駅に着いてすぐに(UDタクシーに)乗らせてもらえるのが一番いい。営業所などにわざわざ連絡しなくてはいけないはおかしい。普通にタクシーに乗りたい」とだれもが利用できるUDタクシーの在り方を訴えた。

地震の専門家に聞くリスクへの備え つくばで公開セミナー

【相澤冬樹】つくば市マンション連絡会(後藤哲郎会長)は14日、つくば市役所で同市との共催による公開セミナー「地震はどこでも起きる」を開いた。つくばで地震研究に携わる2人の専門家を招き、話を聞いたもの。マンション居住者に限らず市民一般との情報共有を目的にしており、地震のメカニズム解説が中心の講義となった。 講師は筑波大学生命環境系、八木勇治教授、建築研究所国際地震工学センター、横井俊明センター長の2人。1995年の阪神淡路大震災と2011年の東日本大震災をそれぞれ体験した同市在住の市民2人も参加し体験談を語った。 八木教授は、地殻の硬い岩盤が沈み込む際に破砕されて起こるプレート地震と横ずれなど3パターンある断層型地震に分けて、それぞれを解説。活断層が引き起こす直下型地震と首都圏で想定される南関東直下地震とは混同されがちだが、後者は沈み込むプレートのなかで起こる地震で、マグニチュード7レベルの地震が歴史的に繰り返されてきた。県内を震源とするものでは1895年の茨城県南部地震(M7.2)、1921年の龍ケ崎地震(M7.0)が該当するが、つくばもこの直下地震域に含まれるかは「両論あって分からない」という。 いずれにしても、統計的にリスクを割り出すのは地震の場合、極めて困難になっている。継続を大切にする行政に対し、研究者は豹変を恐れない姿勢が大事で、両者の緊張関係を保っていかなければならないとした。 一方、横井センター長は「確率が低いということは地震が起こらないということではない。しばらく起こらないということでもない」としたうえで、自然災害に対してはレジスタンス(抵抗・耐性)からレジリエンス(復元力・回復力)を重視する考え方に改めなければならないと訴えた。 同連絡会はつくばエクスプレス(TX)の開通以降、マンション建設が相次ぐつくば市にあって、マンションの管理組合や居住者相互の交流、情報交換、情報共有を目的に2015年に設立。現在同市内には約70棟の分譲マンションがあると見られるが、うち15棟がメンバーになり、各種研究会や情報交換を行っている。

【台風19号】土浦1834人、つくば660人 避難所で一夜

【鈴木宏子】大型でひじょうに強い台風19号の接近に伴って、土浦、つくば市は12日午後それぞれ、桜川や霞ケ浦沿岸の浸水想定区域と、筑波山麓や谷田川沿岸などの土砂災害警戒区域に避難勧告を発令した。同日午後6時時点で、土浦市は23カ所の避難所に1834人、つくば市は10カ所に660人が避難した。ほとんどが避難所で一夜を明かすとみられる。満員になり受け入れを断った避難所もあった。 土浦市では12日午後5時50分までの12時間で93ミリ、つくば市は94.5ミリを観測し、土浦市は午後4時7分、最大瞬間風速20.7メートル、つくば市は午後5時27分に22.9メートルを観測した。 両市とも、指定避難所では備蓄品の非常食や飲料水、毛布などが配布されたが、足りなくなったところもあり、避難者は自分の食事や毛布などを持参して避難した。 避難勧告受け「初めて避難」 このうち自主避難所の土浦市新治公民館に午前中から避難した神立地区の会社員、林雅子さん(58)は「雨が降ると冠水しやすいところに住んでいるので早めに来た。初めて避難した。何を持って行けばいいか、あらかじめ市役所に電話しておにぎりやひざ掛けを持参した。足が悪くて正座ができないので、和室ではなくロビーの椅子にすわって一夜を過ごすつもり」と話し「足が不自由な人や、ペットを連れてきていいか聞いている人もいたので、行政は早めにたくさんの情報を出してくれた方がいい」と話していた。 つくば市茎崎交流センターに避難した同市森の里の主婦、山口良子さん(65)は「自宅近くに木が茂っているところがある。倒木が心配で初めて避難した。独り暮らしで車がないので、20分くらい歩いて来た。最初どこに避難していいかわからず、中学校に行って先生に避難所を教えてもらった」と話し「自分の家がどうなっているか、屋根は大丈夫か心配」などと語った。同じ森の里から家族3人で避難してきた母親(45)は「避難勧告が出されたので初めて避難した。コンビニでおにぎりを買ってきて、受け付けで毛布と水をもらったので一晩大丈夫だと思う」などと話していた。 冠水で通行止めも つくば市では冠水により、12日午後5時20分現在、大角豆、沼田、今鹿島、下広岡の道路が一部通行止めになったほか、筑波山周辺の県道が通行止めになった。 公共交通は常磐線が終日、運転を見合わせた。つくばエクスプレスは12日午後1時以降、運転を取り止めた。 大型商業施設も臨時休業し、イーアスつくば、イオンモールつくば、イオンモール土浦は12日終日休業した。

【霞ケ浦を遊ぶ】女性に人気のSUPヨガで土浦の魅力発信 開放感たっぷり、癒やしに

【田中めぐみ】水に浮かべたボードの上でヨガをする「SUP(サップ)ヨガ」が女性を中心に人気を集めている。ゆらゆら揺れる水面で行うため体幹を鍛えるエクササイズとしての効果が高いといわれる。ヨガを体験したことがある記者も数年前から興味を持っていた。今回、霞ケ浦で「SUPヨガ」のクラスが開講していると聞きつけ、早速参加してみた。 講師は石岡市出身の滑川織美(あやみ)さん。プロのボディーボーダーでSUPヨガインストラクターだ。霞ケ浦は海と違って波や風が穏やかなため、初心者も難なく楽しめるという。女性に人気のSUPヨガで、霞ケ浦の魅力を発信したいと考えている。 土浦駅東口近くに今年3月オープンしたばかりの「りんりんポート土浦」(同市川口)で待ち合せた。コインロッカー、シャワー室、トイレなどを完備し、無料駐車場がある主にサイクリスト向けの休憩スペースで、屋上には展望スペースもあり、県外客や市民の憩いの場になっている。滑川さんは「りんりんポートは土浦インターから約20分と交通アクセスが良い場所にある。トイレやシャワーが利用できるので、手ぶらで来て体験しシャワーを浴びて帰れる」と話し、この「りんりんポート」を自転車ばかりでなく、SUPヨガの拠点にできればという。 SUPヨガの「SUP」とはスタンド・アップ・パドルボードの略で、ボードの上に立ってパドルをこぎ水面を移動していくアクティビティ。ゆっくりとした動きで進むため、初心者でも簡単に楽しめるのが特徴だ。 この日、SUPを初めて体験する私のために、滑川さんは初心者向けでバランスの取りやすいボードを用意してくれた。ボードはレンタルできるので手ぶらでOKだという。ただし水に落ちたときに備えて水着着用が条件。水着さえ着てくれば、SUPヨガ用のウェアも貸し出してくれる。 体験場所は、ボードに乗って水に入りやすいスロープがある土浦新港。岸壁に囲まれ波が穏やかだ。 まずSUPの操縦の仕方、基本動作の説明があり、その後準備運動を行ってからボードに乗る。最初は座った状態でこぎ出し、ボードが進み出してから立ち上がるのだが、落ちるのではという恐怖感がありうまく立つことができない。行きたい方向を見る、遠くを見るといったコツを教えてもらい、パドルの使い方についても指導を受けると徐々に慣れてきた。 確かにコツをつかめば簡単で、パドルの使い方に慣れたころには恐怖感は一切なくなっていた。湖面はとても静か。滑るように進むボードの上で徐々に気持ちが穏やかになってゆくのを感じる。目線を遠くにやると、土浦港を出入りするボートやヨットで遊ぶ人も目に入る。開放感たっぷりだ。 港湾の真ん中までこぎ出し、いよいよヨガのレッスン開始。まずはボードをまたぎ、足を水に浸けて水温を確認する。この日の気温は高めで汗ばむ。水温も温かく気持ちがいい。透明度も意外と高く、パドルで確認してみると80センチ程度の深さまで見えるようだ。水に落ちて泳いでみてもいいかなという気分になる。 最初に四つんばいになりポーズをとる。陸上で行うヨガと同じポーズも、水の上では体幹の強さが必要で、体幹がかなり鍛えられるのが分かる。続いてお尻を空に突き出して足と腕とボードで三角形を作る「犬のポーズ」。水面ではぐらぐらするのでいつも以上に集中力が必要だ。呼吸を整えることを忘れず、心地よい風を感じながらゆっくりとヨガの動作を行う。最後は立ちポーズにもチャレンジ。合掌であいさつして終わった。 SUPは愛犬と一緒に楽しめるのも醍醐味。滑川さんの愛犬も途中からボードに乗って霞ケ浦を満喫していた。水辺が好きなワンちゃんが居たらぜひ一緒に楽しみたい。 レッスン後はりんりんポート土浦に戻り、シャワーで汗を流す。シャワーは30分200円。ドライヤー、ボディーソープ、シャンプーもあり、快適だ。 ◆SUPヨガはSUPボード、パドル、ウェアのレンタル込みで2時間4000円。レッスンは予約制で、毎週日曜日と月曜日に開講している。霞ケ浦は海と比べて穏やかだが、天候によっては中止する場合もある。予約・問い合わせは電話080-2370-9848(滑川さん)。メール 2019.beach.life@gmail.com。フェイスブックhttps://www.facebook.com/ayami.namekawa。インスタグラムhttps://www.instagram.com/ayami_namekawa/ ◆土浦新港を使用する場合は許可が必要。問い合わせは指定管理者のラクスマリーナ(電話029-822-2437) ◆りんりんポート土浦は土浦市川口2丁目13番25号、開館時間は午前9時から午後6時。 ➡「霞ケ浦を遊ぶ」シリーズの過去記事はこちら ➡りんりんポート土浦の過去記事はこちら

起業に向けて助走を始める つくばスタートアップパーク

【相澤冬樹】つくば発の産業創出の拠点にしようと、つくば市が整備してきた「つくばスタートアップパーク」(略称:スタパ)がこのほど完成し、20日、市民ら約100人が出席して記念の式典が開かれた。10月1日の正式供用開始を前に、30日まではプレオープン期間として、施設が無料開放される。 科学技術関連の研究・教育の集積を基盤に、新しいビジネスで市場の開拓を目指す起業家などが活動できる場所を提供しようとする施設。つくばエクスプレス(TX)つくば駅付近のつくば市産業振興センター(同市吾妻)の1階部分を再整備してきた。 オープニングイベントは参加資格を設けず、一般市民にも広く呼びかけて行われた。産学官の研究者や企業人、学生らが参加した。式典で五十嵐立青市長は「つくばの研究集積を生かした産業の創出は20年以上も前から言われてきたが、市民の実感できる成果に乏しかった。研究者や新たなビジネスを志す経営者らが交流し、実践していく場所にしたい」と力強く語った。 施設には利用料を支払って使う共用の仕事場(コワーキングスペース)があり、一時的な作業(ドロップイン)やオフィス(定期利用)に用いられる。専用Wi-Fiなども設置され、大小4つのミーティングルームを利用できる。起業を志す、特に若い人たちの発想での活用が期待される。 利用料金(税込み)は、平日のみとなるドロップインで1時間当たり300円(1日最大1500円)、365日24時間対応の定期利用で1カ月当たり1万8000円。いずれも9月のプレオープン期間中は無料で体験できる。10月1日以降は初回の利用の際に、事前に利用申請が必要となる。同市によれば、20日までに正式の申し込みはないが照会は複数件寄せられているという。 出入口付近には誰でも気軽に出入りが可能な交流スペースが設けられ、スペース内ではコーヒーファクトリー(本店・つくば市)がカフェを運営する。 詳しくはつくば市経済部スタートアップ推進室(029-883-1111)まで。 ➡つくばスタートアップパークの過去記事はこちら

つくば駅正面で鏡開き いばらき地酒バー24日オープン

【山崎実】10月1日の「日本酒の日」を前に、茨城県は24日、つくばエクスプレス(TX)つくば駅の改札正面に「いばらき地酒バーつくば」をオープンさせる。7月31日に水戸駅に開店したのに次いで県内2店目。 関東では最も多い42の酒蔵がある茨城は、全国でも有数の酒どころ。県産日本酒の魅力を消費者や観光客などに味わってもらい、消費拡大の機会を創出するのが狙い。 営業日と開店時間は、年中無休で午後4時~9時30分。県内42の酒蔵のうち20数カ所の酒蔵の地酒40数種類が常時味わえる。取り扱いメニューは、茨城の名酒3種類の飲み比べセット(純米酒が800円、純米吟醸種が900円)、県産品を中心としたつまみ(200円前後)、超特選ショットなど。飲み比べセット注文の先着200人に、笠間焼のおちょこがプレゼントされる。 24日のオープニングセレモニーには大井川和彦知事や五十嵐立青つくば市長、県酒造組合の関係者らが出席し、午後5時から鏡開きをする。その後、振る舞い酒を用意し、通勤客や一般消費者に茨城の地酒の旨さをPRする。 「日本酒の日」の10月1日には水戸市三の丸の水戸京成ホテルで「全国一斉日本酒で乾杯2019」が催される。県と県内で乾杯条例(→※メモ)施行自治体の参加、協力の下、乾杯セレモニーが催される。セレモニーには大井川知事も参加予定。 いばらき地酒バーつくばに関する問い合わせは県産業振興室(電話ん029-301-3585)。 ※メモ「乾杯条例」 地酒の普及と地域振興を目的に、地酒で乾杯することを奨励する条例。2013年に京都市が初めて施行して以来、全国で条例制定の動きが盛んになった。県内では、2013年12月の笠間市を皮きりに、水戸、石岡、結城、常陸太田、日立、潮来、筑西、常陸大宮、大洗の10市町で制定、施行されている。

【どう考える?免許返納】8 公共交通「利用者減ったが公平性高まった」

【鈴木宏子】公共交通の充実を求める声は多い。2年に1度実施しているつくば市の市民意向調査では、市の現状やまちづくりへの取り組みについて、公共交通に対する不満の割合が最も高く、2017年の調査では「不満」または「どちらかといえば不満」と答えた割合は54.9%を占めた。公共交通はどうあるべきなのか。 同市では今年4月から、公共交通政策の大幅な改編が実施された。同市は2011年度にコミュニティーバス「つくバス」の運行を、きめ細かく集落を回る循環型から、駅と地域の拠点を結ぶ直行型に変更してシャトル便を導入し、利用者数を増やしてきた。 8年ぶりとなる今回の大改編の柱は、▽バス停の間隔を従来の平均約1.3㌔間隔から1㌔間隔程度に短くして停留所の数を111カ所から223カ所に2倍に増やした▽これまでバス路線がなかった市西部にバスを運行するなど路線を7路線から9路線に増やし、走行総延長距離も149キロから205キロと1.4倍に増やした(ただし運行便数は334便から15%減り283便)▽高齢化率が高い茎崎地区と筑波地区では、3年間の実証実験として、路線バスの運賃補てんとワゴン車を使った支線型バスの運行をスタートさせた―などだ=1月18日付。 改編により、同市の公共交通にかける予算は、つくバスとデマンド型タクシー「つくタク」を含め、これまでの約3億8700万円(2018年度当初)から約5億6600万円(19年度当初)と約1.5倍に増えた。 利用者5%減少 改編後、利用実績はどう変わったのか=6月23日付。8月19日開かれた市議会道路・公共交通体系及びTX沿線整備調査特別委員会(木村修寿委員長)に、4~6月の3カ月間の実績が報告された。バス停が近く、きめ細かくなり、利便性が高まったはずのつくバスの利用者は、前年同期と比べ5%減少したことが分かった。 つくバスは、11年度の改編時は年間61万9000人の利用者だったが、循環型から直行型に変更するなどして、17年度は年間103万8000万人と利用者を1.6倍に増やしてきた。今回の改編はスタートしてまだ3カ月で分析などはこれからだが、人口も高齢者数も増加している同市にあって、利用者が5%減った。 最も利用者が減ったのがみどりの駅から谷田部地区を回って茎崎地区を走る「自由ケ丘シャトル」で25%減、次いで、つくば駅から金田、テクノパーク桜を通り小田、北条地区を走る「小田シャトル」が23%減と利用者を2割以上も減らした。ルートが変わらず前年度と比較可能な5路線のうち利用者が増えたのはつくば駅から松代、谷田部、茎崎を結ぶ「南部シャトル」だけだった。 利用者数の減少に対し、市は同特別委に「延べ利用者は減少したもののバス停圏域カバー人口が増加したことから、つくバスを利用できる機会が広まり、バスの公共性、公平性は一層高まった」という見解を示した。 外出が難しい高齢者や障害者をボランティアが送迎するNPO法人「友の会たすけあい」(つくば市下岩崎)の理事長、佐藤文信さんは「高齢者の多くが『運転本数を減らしてもいいから、家に近い場所に停留所がほしい』と言っている。巡回型の運行を望む住民もいる」と話す。 自治会挙げて利用呼び掛け 一方、周辺地区で始まった茎崎地区の路線バス運賃補てん事業の3カ月間の利用者実績は、1日平均217人と想定の1.4倍と上々の滑り出しとなった。これに対し、筑波地区の支線型バスの利用者は1日平均15.6人と振るわず、明暗を分けている。 市内で最も高齢化率が高い茎崎地区では、自治会を挙げて路線バス運賃補てん事業の利用を呼び掛けている。その一つ、森の里自治会長の倉本茂樹さん(77)は「森の里は年を追うごとに高齢化が進んでいるのでバスが頼りになる。住民の免許返納後の生活の足を確保、維持していかなければならない。そのためにも実証実験でいい結果が出るよう、多くの住民に路線バスを利用してほしい」と、利用する側の意識を強調する。 ➡【どう考える?免許返納】の過去記事はこちら

《吾妻カガミ》64 土浦の市街地をつくり変える仕事

【コラム・坂本栄】現在4期中の中川清土浦市長が11日、5期続投への意欲を表明しました。市長選の告示は11月3日、投票は10日ですから、これから2カ月、土浦も政治の季節に入ります。でも対抗馬の姿が見えません。「政治・行政は選挙によって鍛えられる」が持論の私としては、選挙になることを期待しているのですが、無投票の可能性が大です。 市議会での中川さんの出馬表明は、本サイトの記事「中川清市長が立候補表明 11月の土浦市長選」(9月11日掲載)をご覧ください。答弁テキストによると、「体力、気力とも充実しており…」「引き続き…全身全霊で市の発展に尽くす」と、実に意欲的です。 仮に選挙になった場合は、16年間の仕事と多選の是非がポイントになります。前回2015年の選挙には、4選を阻止しなければと柏村忠志市議が立ちました。しかし、得票比1:2で負けました。2011年と2007年の2回は無投票でした。いい勝負だったのは、最初の2003年(対抗馬はベテラン市議、得票比7:10)だけでした。 前回の市長選に挑み敗北→昨年末の県議選に挑み落選→今春の市議選で復活した柏村さんについては、本コラム46「ホットなつくば>クールな土浦」(昨年12月17日掲載)で取り上げ、「無投票を阻むドンキホーテ」と書きました。今回は? と聞いたら、いまのところ出るつもりはないとのこと。メディアは、争い(選挙戦)が大好きなのですが…。 大名のまち→商業のまち→文化観光のまち 私が東京(通信社で仕事)から土浦(高校まで在住)に戻り、地方紙の社長になったのは2003年の春でした。中川さんが市長になる半年前です。それから16年。土浦市でもつくば市でもいろいろなことが起き、まちの姿形が変わりました。 つくばで言えば、2005年にTXが開通したことで、まちの臍(へそ)がTX終点駅周辺(センター地区)から1駅手前周辺(研究学園地区)に移るという、変化が起きました。これによって市民の動きが変わり、市の大きな仕事が「(市の中心でなくなった)センター地区活性化」になりました。同じまちの中での盛衰(せいすい)です。 大名のまち→商業のまちと、繁栄を謳歌(おうか)してきた土浦は、旧市街地の疲弊に悩んでいました。自動車社会になり、生活者の消費・居住の場が変わり、旧(ふる)いまちの使い勝手が悪くなったわけですから、当然でしょう。時間軸での盛衰です。 中川さんの仕事は、こういった「まちの変化」を踏まえ、旧市街地を商業地区に戻すことではなく、コンパクトな居住地区につくり変えることでした。駅前に市役所(2015年)や図書館(2017年)を持ってきたのも、このコンセプトに沿ったものです。さらに、文化都市(生活の質アップ→定住人口増)と観光都市(資源は霞ケ浦→交流人口増)づくりを目指して欲しいものです。(経済ジャーナリスト) ➡坂本栄の過去のコラムはこちら

台風15号 つくば、土浦で停電や倒木被害

【鈴木宏子】9日未明から朝にかけて茨城県を通過した台風15号の影響で、つくば、土浦市では強風により停電や倒木などの被害が出た。両市は8日午後6時にそれぞれ避難所を開設、つくば市は4人、土浦市は1人が避難所で一夜を明かした。両市共けが人はなかった。土浦市では強風により特産のレンコンの葉がめくれたり茎が折れるなどし影響が心配されている。 つくば 3100軒が停電、31カ所で倒木 つくば市では9日午前5時過ぎ、最大瞬間風速29.6メートルを観測した。同市危機管理課によると、市全域の約3100軒で停電があり、午後4時になっても1000軒超で停電が続いた。建物被害は、茎崎地区の住宅2軒で屋根の一部が壊れる被害があった。屋根瓦が飛んだり屋根の一部が壊れたなどの通報が住民から相次いで寄せられていることから、建物被害はまだ増えるとみられている。 倒木は市内全域にわたり31カ所であり、道路沿いの樹木が倒れ電線に引っ掛かるなどの被害もあった。道路冠水も森の里、沼田地区など5カ所であり、一時通行止めになったがすぐに解除された。道路は同市寺具の国道125号が一時通行止めになり午前7時50分解除された。 土砂災害の恐れから同市は8日午後6時、沼田地区と北条地区の2カ所に自主避難所を開設、3世帯4人が一夜を明かした。避難所は9日午前10時に閉鎖された。 土浦 2500軒で停電 レンコンの葉や茎に被害 土浦市では9日午前6時ごろ最大瞬間風速23.2メートルを観測した。同市危機管理室によると9日午前4時50分ごろ、小松、荒川沖東、蓮河原新町などで最大計約2500軒が停電になり、正午になっても荒川沖東、沖宿、上高津、宍塚など700軒で停電が続いた。 倒木被害はおおつ野、富士崎などで12件あった。屋根瓦が飛んだり、塀が倒れたなど強風による破損・散乱が36件あった。電線が切れて発火したなどの被害も出た。冠水は中神立と中貫の2カ所であり一時通行止めになった。 桜川の増水に備え、8日午後6時に新治地区と四中地区の2カ所に自主避難所を開設。1人が避難所で一夜を明かした。避難所は9日正午に閉鎖された。 同市農林水産課によると農産物の被害は、日本一の生産量があるレンコンが、強風で茎が折れたり葉がめくれたりした。今年は7月の日照不足で生育が遅れていたことから、生育に影響が出るのではないかと心配されている。 ナシはこれからの収穫期を迎える晩成品種のうち、半分ほどが強風で落下する被害があった。コメは、収獲目前の稲に倒伏被害が出たが、水に浸かっておらず収獲に大きな影響はないとみられている。 TX、常磐線とも始発から運休 交通機関は、つくばエクスプレス(TX)、JR常磐線いずれも始発から運休したが、TXは午前9時前に運転を再開、常磐線は取手ー勝田間が午前11時ごろ運転を再開した。

【つくば市教育長インタビュー】方針を転換 「5校目の義務教育学校はつくらない」

【鈴木宏子】施設一体型小中一貫校を新設してきたつくば市の教育方針が大きく転換する。門脇厚司教育長は「5校目の義務教育学校はつくらない」と表明し、人口が急増するつくばエクスプレス(TX)沿線に今後新たにつくる小中学校は、施設一体型の一貫校とはしない方針を示した。つくば市の教育はどこに向かうのか、門脇教育長にインタビューした。 大規模校になってしまう ―人口が急増するつくばエクスプレス(TX)沿線にさらに2校を新設する計画が発表された19日の市議会全員協議会で、門脇教育長は「5校目の義務教育学校はつくらない」と明言されました。つくば市の小中一貫校を検証した市教育評価委員会の調査報告書「つくば市の小中一貫教育の成果と課題」(2018年7月)でも「小中一貫教育の効果は小中分離校でも発揮されている。施設一体校では中一ギャップは解消しているが、新たに小6問題が顕在化している」などの課題が出されています。義務教育学校、つまり施設一体型の小中一貫校はつくば市ではもう止めるということでしょうか。 門脇 小中一貫の義務教育学校がつくば市にはすでに4校あり5000人が在籍している。小中学生約2万人のうち4分の1になる。小中一貫教育の義務教育学校を止めるとは言えないが、5校目以降はつくらない。すでにある4校の義務教育学校については、これからはできるだけ小学部と中学部の分離を意識した学校運営をやりたい。 例えば、今は小学6年生を終えても卒業式もないし、中学生になる際に入学式もない。これからは小学部1年生から6年生、中学部1年生から3年生の区切りとし、小学部の卒業式も中学部の入学式もきちんとやるようにしたい。 ―義務教育学校をこれ以上つくらない理由は何ですか。 門脇 これからTX沿線につくる新設校を義務教育学校にすると、大規模校になってしまう。それから2018年7月の「小中一貫教育の検証と課題」で指摘されたように、同じ小中一貫教育でも、小学校と中学校が分離していた方が教育効果が高いということなら、高い効果が現れる方を選んだ方がいい。 つくば市で子供の数が増えるのはこれから10年間か15年間。15年後には減ってしまう。これからつくる学校は、将来、何に転用するか考えてつくらないととんでもないことになる。将来どういう施設として活用するかを今から考えながら設計をしていく。 子育て世代 想定以上に増えた ―5月30日につくば市が発表した「今後の人口増加地域の児童生徒数の推計値」によると、新たに学校をつくったとしてもTX沿線では引き続き過大規模校のままとなってしまう学校が複数あります。なぜこんなことになってしまったのでしょうか。 門脇 想定より多い子育て世代がどんどん入ってきている。前任者もこうなると思ってなかったのではないか。前任者が「教育日本一」を大々的に掲げたこともある。保護者は、教育日本一とは学力日本一だと考えて、つくば市の学校に入れればわが子の学力が上がると考え、想定以上に増えたのではないか。できたばかりの新しい学校は立派できれいなので、うちの子もこんなすばらしい学校で勉強させたいと、わざわざ引っ越してきた親御さんもいる。 「世界のあした」のトップランナーに ―つくば市の教育はこれからどういう方向を目指すのかを示す教育大綱を今、策定中です。つくば市の教育はこれからどう変わっていくのですか。 門脇 子供たち一人ひとりを徹底的に大事にする教育を目指す。どの子にも、自分はこういうふうに生きていきたいと願う気持ちがあるわけで、それを実現させる教育にしたい。 つくば市は五十嵐市長が「世界のあしたがみえるまち」を掲げている。ならば、つくば市は「世界のあしたの教育」のトップランナーになると言ってきた。これまでどこでもやってない教育をやりたい。 そもそも現在の公教育制度は、150年前に、産業社会を発展させるために必要な人間を育てることを目的に作った制度で、極めて不自然なことを無理を重ねてやってきた。 一例をあげれば、その国に生まれた子供は誰もが一定の年齢になったら必ず学校に行くことを強制されるし、同じ年齢の子でクラスを作り、全員が同じ教科書で同じことを一斉に教わる。学期が終わると必ず競争試験があって、できる子と出来ない子を分けて、できる子にはもっと勉強させて新しいモノを創り出すことができる能力を高め、できない子には先生や経営者の言うことを守ればいいと教える。こんなやり方はいやだ、自分のペースで学びたいと言っても許されないというふうに、今の公教育は経済成長を最優先させるため不自然な教育を無理を承知でやっているというのが実態。 だから、新しい教育大綱をつくって、つくば市がこれから目指す教育をはっきり示さなくてはならない。学力競争の教育から抜け出して社会力を育てることを基本にすえる。社会力とは人と人がつながって社会をつくる力、さまざまな人と人がよい関係をつくり、協力しながらよりよい街をつくる力のこと。子供も大人も社会力を育てるのがつくば市の教育の将来になる。 新設校は固定観念を一新する ―これからできる新しい学校は、つくば市が目指す新しい公教育の在り方を先取りしたものになるのでしょうか。   門脇 例えばいま設計に取りかかっている香取台小学校(仮称、2023年4月に万博記念公園駅近くに開校予定)は、学校に対する固定観念をぶち破る学校にしたい。 職員室はつくらないで、1年生の教室が並んでいる真ん中あたりに1年生の担任の先生たちの授業準備室をつくる。先生が授業の準備をしたり、お茶を飲んで雑談したり休憩したりする。全教職員が一カ所の部屋に集まる今の職員室は同調圧力のもとで、互いに監視し合ったりする。仕事が終わったので早く帰りたいと思っても隣の先生はまだ帰らないので残っているということになる。 カフェテリアをつくり、勉強に使っている机で給食を食べるのではなく、カフェテリアで食べることで食事そのものを楽しんでほしい。 プールはつくらず、プールの敷地に保育所や児童クラブや、大人が集う市交流センターなどをつくって、学校を小中学生だけの施設でなく市民が集える複合施設にするとか、演劇や音楽や美術の発表を楽しむホールや大勢で遊べる遊び場は作っても、「全体回れ右!」といった軍隊式の集団行動を訓練する体育館は作らないというふうに、学校とはこういうものだというこれまでの固定観念を一新するような学校を作ってみせたい。

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