土曜日, 4月 20, 2024
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サイクリストの宿 《日本一の湖のほとりにある街の話》1

【コラム・若田部哲】このコラムは、日本一の湖・霞ケ浦にまつわる様々なコトやモノを紹介する欄です。「日本一は琵琶湖でしょ」と思ったそこのアナタ。もちろん正解ですが、それは面積の話。一般に「霞ケ浦」と呼ばれているのは霞ケ浦の一部(西浦)で、北浦や外浪逆浦(そとなさかうら)といった水域を合わせると、「周長」日本一は霞ケ浦なのです。 この霞ケ浦周囲と、隣接する筑波山とを巡るサイクリングコースが「つくば霞ケ浦りんりんロード」として、2019年、全国で3カ所しかない「ナショナルサイクルルート」に選定されました。 今回は、このサイクルルートの起点となる駅ビル「プレイアトレ土浦」内に、2020年、オープンした「星野リゾート BEB5(ベブファイブ)土浦」をご紹介。総支配人の大庭祐太さんにお話を伺いました。 合言葉は「ハマる輪泊」 BEB5土浦は、高級リゾート「星のや」をはじめ、様々なブランドを展開する星野リゾート初の、自転車を楽しむホテルです。 合言葉は「ハマる輪泊」。本格的サイクリストから、普段自転車に乗らない人、ビジネスマンまで、幅広い人それぞれが気軽に楽しめるホテルになっています。 気軽さ・手軽さに重点を置いており、フロントで予約のQRコードを読み取らせれば、チェックインは完了。小径車とクロスバイク2タイプの電動自転車を貸し出しているため、手ぶらで来て、気軽にサイクリングが楽しめます。 その一方、本格的なサイクリスト向けの自転車用メンテナンススペース、自転車関連サニタリーなどにも抜かりがありません。 また、館内に自転車を持ち込めるため、盗難の心配は皆無です。 客室は性格が異なる3タイプ。1つ目の「サイクルルーム」は、本格的サイクリスト向きの部屋。部屋内の壁にサイクルスタンドが設置されており、向かい側のガラス張りの浴室から、お湯に浸かりながら愛車を眺めるなんてことも可能です! 2つ目が「ヤグラルーム」。畳敷きの部屋の中央に、上がロフトベッドになっている櫓(やぐら)が組まれ、その下は大きなソファとなっている、皆でワイワイと楽しむのに最適な空間です。 3つめの「ダブルルーム」は、ビジネスにも使用しやすい、シンプルで居心地の良いスペース。いずれのタイプにも、さりげなく自転車的モチーフが散りばめられている演出が心憎いところです。 カジュアルな素材を用いつつも、細部まで計算されたプロポーションや、要所に配された名作什器(じゅうき)により、館内のどこを切り取ってもSNS映えする空間となっているのも、さすが星野リゾート。 居心地の良いスタイリッシュな空間だけでなく、季節を通して様々なアクティビティが用意され、何度も来たくなる、まさに「ハマる輪泊」が用意されています。 地域文化こそ最大の資源 自転車を楽しむホテルだけに、スタッフはみな相当なサイクリストぞろいかと思いきや、必ずしもそうでもないとのこと。逆に、そうしたスタッフの意見から生まれたアクティビティもあるそうです。 例えば、今夏開催の「朝活ブルーベリーサイクリング」では、電動アシスト付き自転車で、ホテルから片道10キロほどのブルーベリー農園に向かい、農薬無使用・有機農法のブルーベリー狩りを楽しみます。その後、収穫した果実をホテルのミキサー付自転車でスムージーにして味わう、というもの。 サイクリストなら、「えっ」と思うかもしれません。ある程度自転車に乗る人間にとって、10キロはほんの散歩程度の距離。ですが、普段自転車になじみのない人にとって、10キロは一つの壁であり、達成感も得られる絶妙な距離設定です。 生粋のサイクリストだけだったら逆に生まれにくいアイデアも、柔軟に取り入れていく。そこには星野リゾートの社風である、アイデアを自由に出し合えるフラットな組織文化があるとのこと。自転車を楽しみつつ、プラスアルファとして「この地域ならではの地域文化を楽しんでいただく」ことを念頭に、常に皆でアイデアを出し合っているのだそうです。 「自転車リゾートはまねできるが、地域文化はまねできない。茨城の豊富な地域文化こそが、このホテルの強みです」と大庭さんは語ります。 農業大国・茨城の様々な地域文化・資源と自転車の組み合わせで、これからどのようにこのホテルが成熟していくのか、とても楽しみです。(土浦市職員) 【わかたべ・てつ】筑波大学大学院修士課程芸術研究科デザイン専攻修了後、建築設計事務所など経て、2009年、土浦市役所入庁。地元出身が多い職場にあって、県外出身として地域への理解を深めるため、霞ケ浦周辺を歩き回り、様々な対象をイラスト化。WEBサイト「日本一の湖のほとりにある街の話」などで地域の魅力を配信。1976年生まれ。 「日本一の湖のほとりにある街の話」の公式ホームページはこちら

歴史ある名門サッカーチームに危機 筑波大蹴球部が支援呼び掛け

グラウンド老朽化し劣化 126年の歴史を持つ日本最古の名門サッカーチーム、筑波大学(つくば市天王台)蹴球部が、危機に立たされている。筑波大学サッカー場が老朽化して劣化が進み、2020年11月に性能テストを実施した結果、グラウンドの衝撃吸収や安定性などさまざまな点で日本サッカー協会が定める基準値を下回り、練習環境としての安全性が低いと判断された。 はがれた箇所が原因でけがをする部員も出ているという。このままでは、来年以降使用が予定されている公式戦でも、ホームグラウンドでの試合が開催できない状況にある。 改善には、前回の改修から11年が経つ人工芝の全面張り替えが必要だ。その費用は最低で8000万円。同大によると、改修費用は大学の資金と寄付を合算してねん出する予定だが、さらに不足する1000万円をクラウドファンディングから募るとしている。資金が不足する背景には、国から大学に交付される運営交付金の減額などもあるという。 目標を上回る寄付が寄せられた場合、改修工事のグレードアップ、スタンドの改修、クラブハウス、トレーニングルームの充実など環境・施設の整備に充てる。 また人が集まる場所に 同大蹴球部の始まりは、1896年に設立された高等師範学校フートボール部にさかのぼる。これまでの歴史の中で、日本サッカー界の歴史をつくる多数の選手を輩出してきた。日本サッカー協会現会長の田嶋幸三さん、1998年にW杯日本代表初ゴールを決めた中山雅史さん、今年3月のオーストラリア戦でW杯出場を決める2ゴールを叩き込んだ日本代表の三笘薫選手などだ。そんな筑波大は2023年につくばに開学し50周年を迎える。 クラウドファンディングのプロジェクト実行責任者である蹴球部の小井土正亮監督(44)は、今回の改修について「コロナが流行する前まで、グラウンドに地域の子どもたちが集まり、試合やフェスティバルを開催していた。開学50周年記念事業として、地域を盛り上げるようなスポーツ事業をサッカー場で計画している。人工芝の張り替えをきっかけに、またここに人が集まるような場所にしていきたい」と思いを語る。 地域に愛されるチームづくり 小井土監督が話す地域とのつながりとして、約40年前から続く地元の子どもたちとの交流がある。現在201人在籍する男子蹴球部員ほぼ全員が、つくば市を中心とした13の小学生サッカーチームにコーチとして配属され、毎週末指導にあたっている。また、筑波大サッカー場に小学生を招待しての「低学年フェスティバル」や「合同練習会」、地域の小中学生を対象にしたゴールキーパー専門の「つくばGKスクール」、女子サッカー部員による、つくば市内の小学生女子を対象にした「なでしこクラス」など多様な交流の場が設けられている。 小井土監督は「私たちの先輩たちが築いた、地域に根ざし愛されるクラブという伝統をこれからも維持したい」と語る。さらに「筑波大蹴球部は日本サッカー界の歴史をつくってきた場所。ここで育った選手が、日本だけでなく世界でサッカーの歴史をつくっていくことになると考えている。そのために学生が良い経験を積むことができるよう手助けしていきたい」という。 今回、蹴球部員の橋本寛人さん(21)と林田息吹さん(20)がクラウドファンディングのリーダーを務める。橋本さんは「来年開学50年を迎える中で、芝生の張り替えが、筑波のホームグラウンドとしての新たな活動のきっかけになれば」とし、「コロナ禍で、グラウンドで選手の活躍を見てもらうことができないことがとても歯がゆかった。今後コロナが落ち着いて、これまで以上の活動をしていきたい。子どもたちを始め、多くの地域の方にホームゲームを見にグラウンドに来ていただきたい」と語る。 林田さんは、先輩部員を間近で支えるトップチームのマネージャーや地域活動を経験し、「社会人になっても、サッカーの価値をより多くの人に伝えるための活動を続けていきたい」と言葉に熱を込める。(柴田大輔) ◆クラウドファンディングは7月29日(金)23時まで。

500号の大作も 県つくば美術館で「茨城の美術セレクション」展

茨城県で活躍中の作家たちの作品を展覧する「茨城の美術セレクション」展が28日、県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。県の美術界を代表する27人の作家による日本画6点、洋画16点、彫刻5点を展示する。 今年1月に県近代美術館(水戸市)で開かれた「第12回現代茨城作家美術展」に出品した100人の中から27人、27点の作品を選抜して展示する。19日までの県陶芸美術館(笠間市)に続く移動展覧会で、来年3月1日から12日には県天心記念五浦美術館(北茨城市)開催と、それぞれ異なる作品の展示となる。 昨年の開催では約1400人が来場した。作家自身が来場者に技法や制作への思いを話す「ギャラリートーク」が毎回好評だが、今回は来場者との対面スタイルでは実施せず、会期終了後にYouTubeでトークの動画を配信予定だという。 会派やジャンルの垣根を越えた大作が一堂に会する。展示された作品の中には、500号の大きさの絵画2つで構成された筑波大学名誉教授、玉川信一さんの作品「愚者の階梯(かいてい)」や筑波大教授、仏山輝美さんが自らの顔や手をモチーフとして描いた作品「月光」など、生と死を感じさせるような作品が並ぶ。 県美術展覧会事務局(水戸市千波町)の学芸員、天羽かおるさんは「生と死のテーマは作家が生きていく中で突き当たる必然。現役の作家が今まさに感じていることを表現している。コロナ禍以後は、作品にじっくり対面し丁寧に見られている方が多くなった。肌感覚だが、以前より特に男性で、お一人で来場される方が増えているように感じる」と話す。 市内から訪れた男性は「図書館に寄ったついでに見に来た。近代的な感じの作品が多く、おもしろい展覧会」と話した。(田中めぐみ) ◆「茨城の美術セレクション」展は7月10日まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(月曜休館。最終日は正午まで)。入場無料。

病院はそろそろ建て替え? 霞ケ浦医療センターの鈴木さん【キーパーソン】

土浦市の高台、下高津にある霞ケ浦医療センターは築53年になる。10数年前、勤務医が激減、それに伴い利用者が減り、廃院を取り沙汰されたこともあった。しかし、行政や大学を巻き込んだ病院改革が進み、医師の数は元に戻り、利用者も増えている。鈴木祥司院長に、どんな方法で危機を脱したのか?建て替えプランは?などについて聞いた。 霞ケ浦医療センターは「霞ケ浦海軍病院」に始まり、戦後まもなく「国立霞ケ浦病院」として出発。土浦市や近隣の人たちから「コクリツ」と呼ばれ、県南地域の医療を担ってきた。そして2004年に独立行政法人となり、「国立病院機構霞ケ浦医療センター」という長~い名の病院として再出発した。 存亡の危機→土浦市と筑波大の支援で再生 「存亡の危機に陥った」のは、「(国の)臨床研修制度の変更」(2004年)が主因。大学病院自体の研修医が減ったことから、それまで大学の病院から国立病院に派遣されていた医師が引き揚げられ、「50人近くいた医師が18人、内科はたった1人」に激減。総合病院の体を成さない、ほぼ産婦人科だけの病院となった。運営上は2008~2010年ごろが一番大変だったそうだ。 ここで土浦市が動く。2011年に市代表、県代表、機構代表、筑波大学代表などから成る「将来構想委員会」が発足。翌12年、「(当時の)中川市長と市議会の英断で」実現した寄付講座がテコとなり、病院内に「筑波大学付属病院・土浦市地域臨床教育ステーション」を設置。大学病院から教官3人が派遣され、筑波大の地域拠点病院になるとともに、地域医療の教育機関としての役割を担うこととなった。 現在、筑波大からの教官派遣は5人に増え、県内8カ所の地域臨床教育センター(当初の「ステーション」を改称)の1つとして、診療・教育・研究を行っている。これに伴い、筑波大から次々と医師が集まり、医師数は48人(2022年現在、筑波大出身がほとんど)に戻った。一時は減少した病院利用者も増え、「ずっと赤字だった収支は2017年から黒字となった」 建て替え、病院機構本部の優先順位は高い 黒字化に伴い、古くなった病院の建て替えも検討されたという。ところが、国の診療報酬引き下げにより、全国140病院を統括する病院機構本部の「経営」が悪化。赤字に転落したことから、全国すべての国立病院で、新規の病院建て替えなどの大型設備投資が凍結された。この投資ストップは今も続いている。 病院にとって大事なのは、患者を診る職員と医療機器であり、入れ物(建物)ではない。しかし、新しい建物は職員の志気を高め、利用者の病院への信頼も高める。鈴木さんは「建て替えには、機構本部の収支好転が必要。そして地域の信頼が最も大事。当センターは古いこともあり、建て替えの優先順位は高い」と読んでいる。 当面は、コロナ禍の経験も踏まえ、感染症対応など外来機能を強化する施設の改修を急ぐ。加えて、古くなった病棟(現在250病床)の改修に向け、約12万平方メートルの病院敷地の一部を老人介護施設などに貸し、その賃料を病院経営に回すことも検討している。 【すずき・しょうじ】1990年秋田大学医学部卒。同年、筑波大学臨床医学系内科・循環器内科レジデント。民間病院を経て、2000年国立循環器病センター・心臓血管内科スタッフ。2005年米シーダーズ・サイナイ メディカルセンター(加州)リサーチフェロー。2007年茨城県立病院・循環器内科部長。2011年霞ケ浦医療センター副院長。2013年から院長。ほかに、筑波大臨床教授、茨城県医師会副会長、日本循環器学会専門医など。千葉県生まれ、58歳。つくば市在住。 【インタビュー後記】霞ケ浦医療センターは、土浦市・筑波大と連携し、医師の教育・研究を支援しながら、地域医療を担う「市民病院」となった。鈴木さんは、病院医療、在宅医療、老人介護をつなげ、「土浦を医療・福祉のモデル地域に」と語る。行政と大学のコラボによる再生物語は新築病院で完結するわけでなく、その先も続く。(経済ジャーナリスト・坂本栄)

筑波大出身の代表監督 U-23アジア杯3位を報告

19日までウズベキスタンで開かれたサッカーのU-23「アジアカップ2022」(アジアサッカー連盟=AFC=主催)に出場していた21歳以下日本代表を率いた大岩剛監督(50)が27日、つくば市二の宮の関彰商事(関正樹社長)つくばオフィスを訪れ、3位入賞を報告した。大岩監督は同社スポーツアドバイザーを務めている。 次はパリ五輪予選 大会には16カ国が参加。23歳以下のチームが闘う大会で日本代表は、2024年に開催されるパリオリンピックを念頭に、21歳以下のチームで臨み、3位決定戦でオーストラリアに快勝した。日本代表は3位となったことで、パリ五輪予選となる次回大会で、グループリーグを分ける際に有利となる「ポット1」の獲得が確実となった。 大岩監督は大会を振り返り、「優勝を目指していたし、そのチャンスがあっただけに悔しいが、(オリンピック最終予選に向けて)最低限の結果を持ち帰ることができた」とした上で、「他国は23歳以下。その中で(21歳以下で)闘うことはタフだった。この結果は評価できると思う」と話した。オリンピック予選に向けた今後の強化ポイントについては、「アジアでは通用してもヨーロッパや世界で通じないことはある。全体的に個人の能力をあげていかなければ」とした。 静岡県出身の大岩監督は、1991年に入学した筑波大学で蹴球部主将を務めた。その後、名古屋グランパス、ジュビロ磐田でプレーし、2003年から鹿島アントラーズに移籍し、鹿島のリーグ三連覇に貢献するなど中心選手として活躍した。2011年に選手を引退後はアントラーズでコーチ、監督を歴任し、2021年4月U-21日本代表監督に就いた。関彰商事のスポーツアドバイザーには2020年就任し、同社のスポーツ支援活動や運動部活動などをサポートしている。 学生時代を過ごしたつくば市に対して「学生として暮らしていた街。愛着がある」と話す大岩監督。筑波大のOBが監督を務めるチームとして、U-21日本代表に「つくばや茨城のみなさんに関心を持ってもらい、応援していただけたらとてもうれしい」と語った。(柴田大輔)

ウクライナ避難学生50人受け入れへ 筑波大

447人が申請 筑波大学(つくば市天王台、永田恭介学長)は23日の定例会見で、ウクライナからの避難学生を50人程度受け入れると発表した。国立大学としては全国で最大規模の受け入れになるという。第1期として20人を選考し、7月中旬以降、来日する予定だ。 ロシアの侵攻により、学ぶ場や研究する場を失ったウクライナの学生や大学院生、卒業生などを対象に、4月中旬から、筑波大のホームページなどで募集した。6月22日までに計447人の申請があったという。 第1期として、5月6日までに申請者があった83人を対象にオンライン面接などを実施し、勉強したい内容が筑波大が実施する授業や研究と一致するかや、英語や日本語の語学力があるかなどを選考し、20人の受け入れを決めた。 20人はウクライナの11の大学の学生で、現在、ウクライナ国内のほか、国外に避難している学生もいるという。 筑波大では受け入れ学生に、渡航費用上限15万円を支給するほか、学生宿舎を無償貸与し、月額5万円の生活費を支援する。入学金や授業料は免除し、日本語学習プログラムを提供したり、心のケアなどカウンセリングも実施する。 受け入れ期間は来年3月末までだが、ウクライナの情勢によっては延長も検討している。 ただし特別聴講学生として受け入れるため、筑波大での学位の取得は難しいという。 7月に来日する20人はこれからビザの取得手続きなどをする。ウクライナ政府は18歳から60歳の男性の出国を原則認めていないことから、太田圭副学長は、男子学生8人のうち出国できない学生もあるかもしれないとしている。 残り30人程度の受け入れについてもなるべく早く選考し、秋学期が始まる10月までには授業を受けられるようにしたいとしている。 筑波大には現在、ウクライナの留学生が5人在籍している。留学生には、避難学生を支援するスタッフとして協力を依頼したいとしている。 日本財団が実施している「ウクライナ避難民支援」に、渡航費や生活費の支援申請をするほか、学生宿舎がいっぱいになってしまった場合は、県やつくば市とも住まいの支援について連携したいとしている。さらに避難学生支援のための基金を設置し、学内、学外から寄付を募りたいとしている。(鈴木宏子)

【延期】「ウクライナの平和」中村逸郎教授の講演 7月9日に筑波学院大学

ロシアのウクライナ侵攻以来、テレビにひっぱりだこの中村逸郎教授が7月9日、所属の筑波学院大学(つくば市吾妻3)で講演する。「大学で学ぶ」ということ~ウクライナから考える平和づくり-がテーマ。高校生対象の内容ながら、一般からの申し込みも広く受け付ける。 講演会は、今回のウクライナ侵攻についてが分かりやすく解説するとともに、今、 最も知りたい「ウクライナの平和」を通して大学での「学びの意義」を考えてみるという。 中村教授は現代ロシア政治が専門、モスクワ国立大学、ソ連邦科学アカデミー「国家と法研究所」に留学経験があり、22年3月まで筑波大学人文社会系教授を務めた。5月に岸田首相はじめ閣僚、国会議員、メディア関係者、研究者など日本人63人にロシアへの入国を無期限で禁止する、ロシア政府による日本への報復措置が発表されたが、この中に名があがった。 講演会は7月9日午後2時から筑波学院大学で開催。参加は無料だが、申し込みは6日まで、先着200人を定員としている。 問い合わせは電話029-858-4815。特設ページはこちら 【開催延期】同大は5日、講演会について妨害予告連絡を受けたため、会場の安全確保上の理由から開催を延期すると発表した。開催日時は未定。

【延期】「ウクライナの平和」中村逸郎教授の講演 7月9日に筑波学院大学

ロシアのウクライナ侵攻以来、テレビにひっぱりだこの中村逸郎教授が7月9日、所属の筑波学院大学(つくば市吾妻3)で講演する。「大学で学ぶ」ということ~ウクライナから考える平和づくり-がテーマ。高校生対象の内容ながら、一般からの申し込みも受け付ける。 講演会は、今回のウクライナ侵攻についてが分かりやすく解説するとともに、今、 最も知りたい「ウクライナの平和」を通して、大学での「学びの意義」を考えてみるという。 中村教授は現代ロシア政治が専門、モスクワ国立大学、ソ連邦科学アカデミー「国家と法研究所」に留学経験があり、22年3月まで筑波大学人文社会系教授を務めた。5月に岸田首相はじめ閣僚、国会議員、メディア関係者、研究者など日本人63人にロシアへの入国を無期限で禁止する、ロシア政府による日本への報復措置が発表されたが、この中に名があがった。 講演会は7月9日午後2時から筑波学院大学大教室で開催。参加は無料だが、申し込みは6日まで、先着200人を定員としている。 問い合わせは電話029-858-4815。申し込みフォームの特設ページはこちら。 妨害予告受け延期 【5日追加】同大は5日、講演会について妨害予告連絡を受けたため、会場の安全確保上の理由から開催を延期すると発表した。開催日時は未定。

小児がんの子供たちと家族に笑顔を 遺族ら1杯100円のレモネード販売 

12日、つくばセンター広場 小児がんと闘う子供たちや家族を支援する「小児がん支援のためのチャリティーマルシェ」が12日、つくば駅に隣接するつくばセンター広場(同市吾妻)で開催される。2年前、2歳の次男を小児がんで亡くしたつくば市の高校教員、照井美穂さん(40)が代表を務める支援団体「HiStar'Snow Tsukuba(ヒスターズナウつくば)」が主催する。 小児がんに対する支援の輪を広げる6月12日の「レモネードスタンドの日」に合わせて、1杯100円でレモネードを販売し、売り上げを研究グループなどに寄付する。 突然、宣告 照井さんの次男、善高(よしたか)ちゃんの病気が分かったのは2020年3月。前日に急にふらつき、掛かり付け医に連れて行った。その日のうちに大きな病院を紹介され、脳幹組織に悪性腫瘍ができる小児脳幹部グリオーマと診断された。1年生存率50%の小児がんで、余命10カ月と宣告された。前日まで普通に歩いていた。 すぐに筑波大学附属病院に入院し陽子線治療を始めた。照井さんは仕事を休み、病院に寝泊まりしながら24時間付きっきりで看病に当たった。しかし新型コロナの感染拡大が始まり、家族は面会すらできなかった。 1カ月半の治療が終わり、家族と一緒に過ごさせたいと退院。自宅に戻ると少しずつ回復し、大好きなお兄ちゃんとおもちゃで遊べるようになった。 病気について調べる中、照井さんは、小児がんになった米国の4歳の女の子が、がんの薬をつくってほしいと、2000年6月12日、自宅前でレモネードを販売し売り上げを小児がんの研究に寄付する「レモネードスタンド」を始め、米国で取り組みが広がっていることを知った。日本でも2019年に支援団体が「レモネードスタンドの日」を定め、活動が始まったばかりだった。 退院から3週間後の2020年6月、照井さんは祖父が経営する市内の店舗前で、家族で「レモネードスタンド」を初めて実施した。前日にSNSで告知しただけだったが、用意した200杯すべて完売し、売り上げを小児がんの研究グループなどに寄付した。 「息子が亡くなった後、息子を思いながら自分がどうやって生きていけばいいか考える中、レモネードスタンドは自分が立ち上がるきっかけになった」と当時を振り返る。 善高ちゃんはその後も入退院を繰り返し、その年の9月、主治医から余命1カ月と告げられた。1年前の2歳の誕生日に、照井さんは「3歳の誕生日にディズニーランドに行こう」と善高ちゃんに約束していた。約束を守ってあげられないことが心残りだと病院で話したところ、主治医から「行った方がいい」と背中を押され、2泊3日で家族旅行をした。 1カ月後の10月、3歳の誕生日を前に善高ちゃんは自宅で息を引き取った。 2人で結成 闘病中、奇跡が起きたらいいとずっと願ったという。照井さんはかなわなかったが、小児がんに苦しみ、不安でいっぱいの子供たちや家族に、今この時、笑顔でいてほしいと、21年5月、同じ病院で知り合った平沼美里さんと、「HiStar'Snow Tsukuba」を結成した。 会では、県内各地のさまざまイベントでレモネードスタンドを開催し小児がんの啓発活動をしているほか、家族交流会を開いたり、入院中の家族を支援したりしている。 12日のチャリティーマルシェで開催するレモネードスタンドは、10回目になる。1杯100円のレモネードを1000杯用意し、売り上げを小児がん研究の支援グループに寄付する。照井さんの活動を支援する友人らが焼き菓子や雑貨を販売したり、ワークショップを開くなどし、売り上げの一部を寄付する。併せて「みんなで知ろうがんのこと」をテーマに、小児がんの子供たちの絵画を展示したり、がん検診を知るイベントを開くなどする。 ◆「小児がん支援のためのチャリティーマルシェ」は6月12日(日)午前10時~午後3時。問い合わせはメールhistarsnowtsukub@gmail.com。

放置自転車問題の解決目指す新店舗 21日、筑波大近くにオープン

筑波大学の放置自転車問題の解決を目指す新業態の自転車店「CYCLE CHIC Tsukuba(サイクルシックつくば)」(矢部玲奈店長)が21日、大学近くのつくば市桜にオープンする。 大学構内の放置自転車のほか、卒業生が使っていた自転車や、一般家庭の自宅に眠っている自転車などを引き取って、部品を交換するなど修理し、新入生などに4年間貸し出す。卒業時に返却してもらい、放置自転車にならないようにする。 ほかに同大の校章「五三の桐」や、開学の理念「IMAGINE THE FUTURE(イマジン・ザ・フューチャー)」などの文字がアルミフレームにデザインされた筑波大学公認自転車のほか、各種メーカーの新品の自転車も販売する。タイヤのパンク修理なども行う。都内のスポーツ用品メーカーの協賛を得て開業にこぎつけた。 同大事業開発推進室によると、大学では毎年800台から1000台の放置自転車がある。10年以上前から、市シルバー人材センターの協力で、そのうち毎年100台程度を修理し新入生に安く販売してきた。 まだまだ放置自転車の解消につながってないことから、今年から同店が加わり、シルバー人材センターと共に放置自転車のリサイクルに取り組む。同店は年間約300台を目標に修理し、学生などに貸し出す予定だ。 貸し出す金額は、自転車の種類に応じて月額1000円から2000円程度で年単位で貸し出すことを想定している。一般に放置自転車のうち再利用できるのは3割程度といわれている。修理にどれくらいのコストが掛かるのかも含めて、店長の矢部さん(27)は「これから実証していきたい」とする。当初3年間は利益が出ないと見込んでいるが、4年目からは利益を出すことを目指す。 大学職員辞め店長に 矢部さんは今年3月まで同大東京キャンパスの職員だった。実家は東京都世田谷区の自転車店で、サイクリングが趣味。同大事業開発推進室に勤務し、筑波キャンパスの放置自転車を目の当たりにした中、昨年暮れ、大学を退職し、実家の自転車店の支店をつくばに出店して、放置自転車問題の解決に挑戦することを決意した。 矢部さんは「まさか自分が組織を離れることになるとは思わなかったが、やるしかないと思った」と振り返り、「たくさんの人の協力があったので、大学にいた者として、大学に貢献し恩返しができれば」と意気込みを話す。 交流の場に 新店舗は平屋建てで面積約60平方メートル、敷地面積は約340平方メートル。店内はカフェのような雰囲気で、中央にテーブルといすが置かれ、両側の白い壁沿いに国内外の新品の自転車が並ぶ。カウンターの奥はメンテナンス室で、たくさんの工具が置かれ、来店客が自分で修理することもできる。 「学生や地域の人に気軽に立ち寄ってもらい、学生同士や、学生と地域の人との交流の場にできれば」と矢部さん。今後は、筑波山など周辺を自転車でめぐるポタリング(自転車散歩)を企画したり、自転車の修理が自分でできるようになるメンテナンス講習会を開催するなど、イベントの開催も計画している。 3月まで矢部さんの上司だった同大事業開発推進室の畑山進・特定ミッションプロジェクトマネージャーは「放置自転車を修理しサブスクリプション(定額利用)で貸し出す取り組みを3、4年続ければ、大学の放置自転車が目に見えて減るのではないかと期待している。将来的には近隣のサイクルショップの協力も得て、この取り組みが徐々に広がれば」と期待を話す。(鈴木宏子) ◆CYCLE CHIC Tsukubaはつくば市桜2丁目15-5。営業時間は午前11時から午後6時。水曜定休。中古自転車の引き取りやリサイクル自転車の貸し出しは筑波大学の学生だけでなく、だれでも利用できる。問い合わせは、メールslowglide017@icloud.comまたは電話029-886-8682(21日以降)。

350人が苗木1000本を植樹 筑波山神社林で2年半ぶり

世界環境デーの5日、筑波山神社(つくば市筑波、上野貞茂宮司)では、NPO法人地球の緑を育てる会(事務局・つくばみらい市、石村章子理事長)による第16回筑波山水源の森づくりが約350人の参加で行われた。インドネシアなどからの留学生も参加、安全祈願の神事に頭を垂れた後、山中の神社林に向かいスダジイやタブノキ、コナラなど落葉・常緑の広葉樹10種、約1000本の苗木を植えた。 2006年に始まった植林活動で、毎年定期的に行われてきたが、コロナ禍で中断し、19年10月以来約2年半ぶりの開催となった。協賛企業や明るい社会づくり筑浦協議会、土浦ライオンズクラブなどの関係団体、市民ら約350人が参加。神社随神門前で開会式を行った後、女体山に向かう登山道脇の神社林に入り、約1時間ほど作業した。 筑波山神社は 375 ヘクタールもの広大な神社林を有するが、戦後植えられたスギ、ヒノキ、マツの針葉樹林が多くを占め、間伐などの管理不全のまま荒廃している部分が目立っていた。土壌を豊かにし、保水力のある「水源の森」にするには広葉樹が最適という。 苗木の広葉樹は、育てる会の石村理事長らが自前の圃場でドングリなどから育ててきたもの。中断の間に大きく育ち過ぎてしまい、搬入が難しくなるなどして処分した苗木もあったが、この日は高さ50ー70センチほどにそろえたポット苗1000鉢が持ち込まれた。 世界環境デーに国際色豊か 今回植林する約500平方メートルの山の斜面は事前に間伐が施され、日光が差し込むようになった。間伐材で足場となる土止めを組むなど、事務局による準備が整えられた。石村理事長によれば「準備期間中、本当に開催できるか不安でしょうがなかった。そしたら5日が世界環境デーだと昨日(4日)知った。これも巡り合わせ。ぐずつき気味だったお天気もよくなって、神様の山だけありますね」と感慨深げ。 「1人3本の木を植えてもらいます。森になります」などとの指導で、筑波大学のインドネシア留学生グループを中心にトルコやイラン、中国などの若者たちも31人が参加、植林の列に加わった。 東京農工大学連携大学院のある茨城大学農学部(阿見町)で学ぶイグデ・カルタ・サトリアウィバウさんは、来日3年で筑波山には4回も登っている大の山好き。「何が感動したって、こんなに多くの人が木を植えるために山に登ってくる。インドネシアに持ち帰って是非やってみたいと思った」 レザ・アリエスカさんは筑波大学農林学系で学ぶ。国では森林学を専攻していた。「赤道直下のインドネシアだけど気温は年中25℃で一定しているから、30℃以上になる日本の夏は暑いと思う。だからここのフォレスト(森)はいい。今日は最高のコンデション、気持ちよかった」。参加を呼び掛けたトルコやイランからの留学生仲間にも喜ばれていた。(相澤冬樹)

優れた卒業作品など一堂に 筑波大芸術系 3年ぶりCONNECT展

筑波大学で芸術を学んだ学生らの2021年度卒業・修了研究の中から特に優れた作品と論文を展示する「CONNECT(コネクト)展Ⅵ」が5日、つくば市二の宮のスタジオ’Sで開幕した。2016年から毎年開催していたが一昨年と去年はコロナ禍で中止しており、3年ぶり6回目の開催となる。 同大は芸術専門学群の卒業研究と、大学院博士前期課程芸術専攻および芸術学学位プログラムの修了研究の中から、特に優れた作品と論文に筑波大学芸術賞を授与している。また同窓会「茗渓会」が茗渓会賞を授与している。会場では受賞作品と論文を展示しているほか、優秀な研究を紹介している。 版画や立体造形、印影など6人の6作品を展示し、30人の卒業・修了論文をタペストリー展示で紹介している。 展示されている6作品は、芸術賞を受賞した有賀睦さんの「眼差しa」「眼差しb」、影山亜美さんの「八百万の神」、茗渓会賞を授賞した最上健さんの「進化と朽滅」など。いずれも同大のアート・コレクションに新しく収蔵されるという。 ほかに、茗渓会賞を受賞した大森春歌さんの「子ども向け造形ワークショップの運営と今後の展望―8つの事例を比較・分析して」など3つの論文が、製本された状態で手に取って読めるよう展示されている。 スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「3年ぶりの開催。2月から3月に県つくば美術館で開催された卒業・修了制作展の内容を凝縮した展示となっている。学生さんたちの研究の成果、学生生活の集大成を多くの人に見てほしい」と話す。 展覧会は関彰商事と筑波大学芸術系が主催する。両者は2016年から連携し「CONNECT- 関(かかわる)・ 繋(つながる)・ 波(はきゅうする)」というコンセプトを掲げ、芸術活動を支援する協働プロジェクトを企画運営している。 (田中めぐみ) ◆会期は5日(日)~16日(木)。開館時間は午前10時から午後5時。入場無料。

1周年迎えるコワーキングスペース 5日に記念パーティー つくばROOMS

利用者間の交流を重視した共用の仕事・勉強の空間、コワーキングスペース「ROOMS(ルームス)」(つくば市苅間)が1日、オープン1周年を迎えた。5日には記念パーティーを予定している。サービスを立ち上げた筑波大学大学院2年の滝波俊平さん(25)に話を聞いた。 ROOMS(2021年5月6日既報)は、作業用の「個室」と「コワーキングスペース」の提供をメーンにしている。開業から1年が経った現在、個室を目当てにした利用者が主だ。利用者の多くは女性で「オンライン会議を静かなところでやりたい」という声が多い。ほかにも「アイドルのライブを一人で集中して見たい」という個室利用者の声もあった。 今年4月の利用者数は「個室」が37人、コワーキングスペース5人。これまでの累計利用者数でみても12倍ほどのひらきがある。月間の売上額はおよそ4万円で推移している。「コワーキングスペースの利用が伸びないのは意外だった。現在は、コワーキングスペースを別の形に転換することも検討している」という。 開業当初は個室とコワーキングスペースのみを提供していたが、現在は「キッチンスペース」と「イベントスペース」、「こたつ部屋」も始めた。利用者のニーズに応えるためだ。しかしイベントスペースはコロナ禍で利用する催しが少なかったため利用者はほとんどいなかった。キッチンスペースについては「クリスマス女子会やママ会などで数件の利用があった」そうだ。「お客さんの声を聞きながら少しずつ新しい挑戦をしてきた。これからも良い場を作っていくために試行錯誤していきたいと思っている」と滝波さん。 コロナ禍での開業だったが影響は少なくなかった。「感染者数が増加すると利用者も減り、減少すると増える。このサイクルがあった」。コロナ禍のリモートワークやオンライン授業などの需要で「個室」の利用が増えるのではないかと考えていたが、実際にはそうした利用者は少なかったそうだ。 「良い場を作っていきたい」 1周年記念パーティーは5日、ROOMSで開催される。つくば市天久保の喫茶店「ひととつむぐカフェ 縁counter(エンカウンター)」などが出店する。同店は滝波さんと同じく、筑波大学大学院に在籍しながらお店を経営する伊藤悠椰さんのカフェだ。滝波さんは「ROOMSのスタッフの方が伊藤さんと知り合いで、紹介をしてもらった。こういう風にいろいろなつながりを作ることができた1年間だった」と振り返る。 同市上郷でパパイヤ農園を営む柳下浩一朗さん(ジミーfarm合同会社)からは、パパイヤ茶の提供を受けた。普段からコワーキングスペースで飲むことができるお茶だ。「こういうコラボはありがたい。これからもつながりが増えていったらうれしい」と滝波さん。 記念パーティーでは滝波さんが「植本祭」と呼ぶ催しが行われる。利用者から「好きな本」を募集し、それをROOMSが購入する。当日、参加者でそれらの本を棚に移し、誰かが好きな本だけが集まる「本棚」を完成させるというイベント。「私自身も本が好きでこの催しを考え付いた。新しいつながりが生まれたらうれしい」と話す。 今後について滝波さんは、「現在は5年制の一貫制博士課程の2年目なので、まだ数年は大学院生として在学する。これからもROOMSを続けていって、良い場を作っていけたらと思う」と展望を語った。(山口和紀) ◆1周年パーティーは6月5日(日)午前10時から。営業時間は午前9時から午後19時。日曜定休。電話029-856-4155 。HPはこちら。

教育現場のクラスターを早期に検知 リーバー、筑波大など4大学と共同研究

医療相談アプリを提供するリーバー(つくば市、伊藤俊⼀郎社長)は31日までに、筑波大学(つくば市、永田恭介学長)、京都大学(京都市、湊長博学長)、福島大学(福島市、三浦浩喜学長)、福島県立医科大学(福島市、竹之下誠一学長)の4大学と健康観察アプリ「LEBER(リーバー)」を活用した感染症クラスターの早期検知などをめざす共同研究に着手した。 研究は、主に教育現場における集団感染を早期に検知し、積極的検査につなげるアラートシステム「感染症AIサーベイランスシステム」の開発を目的としている。アプリ利用者の体温・体調管理データなどを解析するうえで、適切なAIの計算方法(アルゴリズム)を構築して、「リーバー」に組み込む研究だ。これにより、より早期のPCRや抗原検査に繋げての感染症クラスター予防や、アプリ内健康予報を通じてユーザーに的確な行動を促す仕組みを構築をめざす。 「リーバー」は24時間365日スマホで医師に相談ができる医療相談アプリ。学校向けには健康観察アプリ「LEBER for School」があり、児童・生徒の体温・体調データを収集している。全国約1300校に導入されており、つくば市では小中学校全校に普及し、保護者の9割に使われている。 コロナ禍の現在、教育現場ではPCR検査などで1クラス2人以上の陽性反応者が出ると学級閉鎖、クラスターとなる。これら感染症の早期検知のため、「リーバー」によって収集した発熱などのデータを解析する。解析のツールとなるのが感染症数理モデルで、流行データ分析やシナリオ分析を行い政策判断の核ともなる。今回、いち早く数理モデルを活用した感染予測研究に取り組んでいる京都大学医学研究科環境衛生学分野、西浦博教授の参画を得た。 さらにAI技術構築では筑波大学人工知能研究室、鈴木健嗣教授、教育現場でのサービス設計の検討と改善では福島大学教育推進機構、前川直哉准教授ら、4大学の研究者がそれぞれの役割分担を持って共同研究に加わった。 リーバー社によれば、研究は集団感染に警戒と検査を促す「アラート」を発するタイミング、その文言などにも及ぶという。2022年度の単年度事業で、成果は論文等にまとめる一方、アプリへの実装を目指すということだ。(相澤冬樹)

筑波大・東京芸大発 若手の感性合流 開幕した「絵画の筑波賞」展

それぞれつくば市と取手市にキャンパスを置く筑波大学、東京芸術大学の在学生や卒業生ら若手作家の作品を展示する「絵画の筑波賞」展が15日、つくば市二の宮のスタジオ’Sで開幕した。会期は29日まで。「絵画の筑波賞」は主につくば市内の民間企業が中心となり、若手作家の創作活動を支援する目的で2020年に創設され、今年で3回目となる。 19点展示 大賞に森さんの作品 筑波大(洋画研究室、日本画研究室)と東京芸大(油画研究室、日本画研究室)、両大学の各研究室から、35歳以下の作家による19点が推薦され出品された。立島惠さんら5人の審査員が選考した。 その結果、大賞に森友紀恵さん(東京芸大修了)の「葉の音」、準大賞に岡野智史さん(筑波大修了)の「Hungry Predator(飢えた捕食者)」、優秀賞に古山結さん(東京芸大修了)の「I want to know more(もっと知りたい)」と矢野佑貴さん(東京芸大修了)の「大温室」が選出された。その他、奨励賞に4作品、主催者特別賞に2作品が選ばれた。(上位入賞者はいずれも大学院修了者、欧文タイトルにはNEWSつくばが日本語訳を付けた) 大賞の「葉の音」は、鳥が柳の葉の間を飛ぶ様子を繊細な日本画のタッチで表現。準大賞の「Hungry Predators」はリアルな筆致と迫力ある構図で肉食恐竜と花を描く。優秀賞の「I want to know more」は水干絵具の特色を生かし、色合い美しく丁寧に描かれた作品。同じく優秀賞の「大温室」はコロナ禍以降よく通うようになったというつくばの植物園の温室の様子をいきいきと表現する。 初日に訪れた筑波大学大学院芸術専攻の山梨由理さんは、「同じ大学にいても領域が違うと会わない人も多く、こんな機会がないと他の人の作品を見ることがない。特にコロナ禍で遠くの美術館に足を運ぶことも少なくなったので、同世代の人がどんな作品を作っているか近くで見られる場がありうれしい」と話した。 スタジオ’S担当コーディネーターの浅野恵さんは「若手の新進気鋭の作家さんの作品を見られる貴重な展覧会。筑波大と東京芸大でタッグを組んでの展示も多くはなく、おもしろい取り組みなのでぜひ見に来ていただけたら」と来場を呼びかけた。 同賞は若手の優れた作品に賞を授与し、買い上げて支援するとともに、展示機会を提供することで作品の発信もサポートしようというもの。筑波銀行や関友商事が主催し、主につくば市内の民間企業のほか、個人からの協賛金によって運営されている。 つくば展の後、6月8日から14日まで池袋展(東京・西武池袋本店6階アート・ギャラリー)を開く。各作家の応募作品19点のほか、受賞者には新作の追加出品も行う予定。(田中めぐみ)

古民家再生し「茅葺き研究拠点」に 筑波大が石岡に開所

筑波大学の「茅葺き(かやぶき)研究拠点」が11日、石岡市八郷地区のかやぶき屋根古民家を改修してオープンした。 江戸時代末か明治時代初めに建築され、空き家になっていた古民家で、今後は、里山の原風景保全や過疎地再生のほか、防災や脱炭素などにも取り組む。 八郷地区には現在約50棟のかやぶき民家が残る。15年前は約100棟あり半減している中、「かやぶき民家再生の新しい手法を提示できた」と同大システム情報系建築・地域計画研究室の山本幸子准教授はいう。 研究拠点はもともと農家の住まいだった。敷地面積は約1980平方メートル、母屋は延床面積約120平方メートルで、田の字型に配置された4部屋と土間などがある。離れは約10平方メートルで、机やいすなどを備える。 同大は八郷地区で2017年から、かやぶき屋根や古民家などの調査を実施していた。18年、持ち主の鈴木一志さんが、空き家になっていた古民家を石岡市に寄贈。市が筑波大に無償で貸し出し、大学による修復の検討が始まった。 大学院生が基本設計をし、19年、つくば市の里山建築研究所(主宰・安藤邦廣筑波大名誉教授)が実施設計をして、最初にかやぶき屋根をふきかえた。かやの材料のススキはつくば市大穂の高エネルギー加速器研究機構の敷地内で刈り取り、延べ200人を超える学生や石岡市の住民らが協力した。 2020年には母屋内部の改修を実施し、床を張り替えたり、大谷石でいろりを作ったり、土間の土を3日間かけてたたき固めるなどした。 さらに21年には、離れを建築。屋根に太陽光発電パネルを設置し、電気自動車の電気を融通できるよう充放電設備を導入した。今後は近くを流れる小川に小水力発電装置を設置し、エネルギーを自給自足できるようにするという。改修費は総額で2000~3000万円。 今後母屋は、大学の授業をしたり、地元の葦穂小学校と連携授業を開催したり、市の地域おこし協力隊がイベントを開催したりする。離れには学生が週2、3回通い、研究やフィールドワークなどで使用する。 11日は大学関係者のほか、谷島洋司石岡市長らが参加してオープニング式典や座談会が開催された。同大の和田洋副学長は「日本文化が発信できる拠点として育てていきたい」などと話した。

筑波大、延長で逆転勝利 天皇杯本戦へ

第25回茨城県サッカー選手権大会兼天皇杯JFA第102回全日本サッカー選手権大会茨城県代表決定戦は8日、ひたちなか市新光町の市総合運動公園陸上競技場で開催され、筑波大学蹴球部が流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎を3-1で破り、天皇杯本戦への出場を決めた。前半に1点を失い後半には退場者を出すという苦境を乗り越え、延長で逆転を果たした。 第25回茨城県サッカー選手権兼天皇杯県代表決定戦筑波大学蹴球部 3ー1 流通経済大学前半 0-1後半 1-0延長前半1-0延長後半1-0 筑波大は前半、4-5-1の布陣から中央のFW和田育、MF田村蒼生が核となって攻撃を展開。流経大はFW山本晃太朗、FW細野晃平の2トップによる4-4-2で、前から積極的にプレスをかける。次第に筑波大はMF山崎太新、MF角昂志郎らがワイドから仕掛け、それに対しドラゴンズがカウンターでチャンスをうかがうという流れに。 前半35分、ドラゴンズは山本が筑波大の守備ライン裏へ抜け出し、GKとの1対1から先制に成功。筑波大はパスがゴールに向かわない悪い流れに陥る。 後半、風上に立った筑波大はロングボールでの展開が増える。33分、右サイドにDF三浦雅人が入ってからは角の攻撃が活性化、2人で何度も相手ペナルティエリアを崩す。だが33分、筑波大はMF山内翔が2枚目のカードをもらい退場、残り時間も少なくなる中、厳しい戦いを強いられる。 43分、左ワイドにポジションを移していた田村がドリブルを仕掛け、PKを獲得。「これ以上失点したくないのでリスクは抑えつつ、意外とパスはつなげていた。相手も疲れてきて、外からの揺さぶりが効いていた」と田村。PKを蹴ったのは、後半途中から1トップに入っていた栗原秀輔主将。「プレッシャーがかかる中、自分のペースで蹴って入ってよかった。ベンチやスタンドの応援もパワーになり、みんな喜んでくれて一体感が持てた」と、逆転への気運が高まる。 延長に入って前半8分、中央から栗原が右へ展開、これを受けた角が左隅へシュートを放ち、ついに逆転に成功。「信じて中で待ち、カットしたところへ角がオーバーラップしてきたので信じて出した。ゴールにつながって良かった」と栗原。「絶対俺に出せと思いながら、栗原からいいタイミングでボールが来たので振り抜くだけだった。10人になってやっと目が覚め、チームが一つになって戦えた」と角。 延長後半終了間際には、交替で入ったFW庄司夢ノ介が倒されPKを獲得。これを自身で決め、うれしい公式戦初ゴール。「ここから点を決めていきたい」と希望を広げた。 勝った筑波大は22日の天皇杯本戦1回戦、同競技場で千葉県代表のブリオベッカ浦安と対戦する。勝者は6月1日の2回戦でJ1柏レイソルと戦う。加藤匠人や森海渡ら筑波大出身の選手が多く、井原正巳ヘッドコーチも筑波大OBだ。田村は「個人的には小中高とお世話になったチーム。自分としては戦いたい」と闘志を燃やす。(池田充雄)

「間近で大迫力」のサロン音楽会 29日につくばリサイタル新シリーズ

筑波大学の学生中心に企画・運営されているクラシックコンサートのつくばリサイタルシリーズが、新たに「サロンシリーズ」を立ち上げる。シリーズ実行委員会主催による第1回は29日、つくばアルスホール(つくば市吾妻)で「塙美里サクソフォンが彩るクラッシックの世界」を開催する。 過去のシリーズとの違いは会場の大きさだ。これまで全11回のコンサートはカピオホール(つくば市竹園)などの大きな会場を中心に行われてきたが、今回は100人規模のアルスホールでの開催となる。「日常では味わえないような特別な空間を創ることを目指した」という。 実行委員会の須澤紗音さん(筑波大学比較文化学類3年)は、「カピオホールが現在改修工事中で、別会場を探していた。会場が変わるのだから雰囲気も大きく変えたいと思い、新しいシリーズとして立ち上げた」と経緯を話す。 「サロン」と命名したのは、貴族が友人を集めて小さな演奏会を開くイメージからの着想。「これまでから考えるとかなりの小さめの会場で小人数での開催になる。日常とはまったく違う空間を創出したいと考えてこの名前に決まった。間近で大迫力の演奏を生で見ることができる機会はそう多くはない」という。 出演するサックス奏者、塙美里さんは茨城県の出身。「今回の企画は委員会でも長年温めてきたもので、実現の運びになってとても楽しみにしている」と須澤さん。サックスとピアノの編成で19世紀以前のクラシックが演じられるのは珍しいそう。 実行委員会は立ち上げ以降、コロナ渦での不自由な活動を余儀なくされてきたが、明るい兆しもある。これまでの2年間は、筑波大学が開催する新入生の歓迎イベントが中止になっていたが、今年は開催された。実行委員会も新入生のメンバーを7人集めることができた。これまでの2年間で最も多い人数で、これまでに居なかった学類の学生や、大学院生の加入もあったという。(山口和紀) ◆塙美里サクソフォンが彩るクラッシックの世界(第1回つくばリサイタルシリーズ サロンシリーズ) 5月29日(日)午後2時開演。プログラムは、ビバルディ「フルート協奏曲」(作品10-2“夜”)、バッハ「バイオリン協奏曲」(二短調第1楽章)ほか。チケット(税込み)は一般1500円、学生500円。チケットの予約はこちら。つくばリサイタルシリーズ公式ブログはこちら。

「稼げる大学」へ 挑戦を前向きに検討 筑波大 永田学長が所信

筑波大学(つくば市天王台)の定例記者会見が28日開かれ、永田恭介学長が2022年度の所信を表明した。現在国会で審議中の国際卓越研究大学(稼げる大学)法案について、認定を受け「10兆円規模の大学ファンドに挑戦することを前向きに検討している」と表明した。 国際卓越研究大学は、世界最高水準の研究大学をつくるため国が認定する制度で、認定要件は、国際的に卓越した研究成果を創出している、財源の多様化や大学独自基金など財源に裏付けらえた事業戦略と財務戦略があるなど。全国の国公私立大の中から数校程度を認定するとされ、選ばれれば、科学技術振興機構(JST)に設置される10兆円規模の大学ファンドの運用益の中から、年間で数百億円単位の助成が得られるとされる。一方、認定された大学は年3%程度の成長を求められ、達成できない場合、認定を取り消すこともあるとされる。 年3%の成長率達成について永田学長は28日「筑波大学はこの10年間、国から交付される運営費交付金は約400億円とほぼ変わらないのに対し、総事業費は約780億円から約1060億円になり、指定国立大学法人(9大学)の中では京都大学に次いで2番目となる2.8%の成長をしてきている」と話し、「筑波大学は伸びる余地があるので、20年間ぐらいは(3%達成が)できるだろう」とする見通しを示した。 大学の独自ファンドを設立するための準備もかなり進んでおり、今年度中に立ち上げが可能だとし、8大学と地方銀行が独自ファンドを設立する準備を進めていることを明らかにした。海外の未公開株を中心に投資し、運用益でスタートアップ企業を育成するという。 同大は今年4月から、世界最高水準の教育研究活動の展開が見込まれる指定国立大学法人になった。2022年度はさらに第4期中期目標期間の始まりの年でもあり、永田学長は所信で「固定化した社会や価値観を変える」と表明し、学群入試の見直し、研究力の強化、経営体としての大学への転換などに言及した。 廃案求め署名活動も 一方、国際卓越研究大学法案に対しては、筑波大教員を含む全国の国公私立大の教員らでつくる「『稼げる大学』法案の廃案を求める大学横断ネットワーク」が、①大学の認定に政治判断が優越しやすい仕組みとなっている②年3%成長という数値が一人歩きし、稼げる研究分野が優遇され、稼げないとみなされた研究分野や研究者が淘汰される恐れがある➂学外者を中心とする理事会などに大きな権限をもたせようとし大学の私物化を促す恐れがある④経営戦略が損失をもたらした場合、誰がどのように経営責任をとるのか定められていない⑤大学間や地域間の格差を著しく拡大するーなどと批判し、廃案を求める署名活動を展開している。(鈴木宏子)

ポケモンGOで新たな協力者を つくば献血ルーム

コロナ禍、ひっ迫長期化懸念 つくば駅前の県赤十字血液センターつくば献血ルーム(同市吾妻)が先月23日から、スマートフォンゲームアプリ「ポケモンGO」のゲームアイテムを入手するための「ポケストップ」として登場している。ゲームを通して、新たに献血協力者を確保していくのが狙いだ。現在つくばを含む関東甲信越の献血ルーム45会場がポケストップとして登場している。 コロナ禍、県内では、学校や職場に献血バスが出張する献血会場のキャンセルが増えている。特に平日の献血バスによる献血協力者数が減少し、輸血用血液の在庫がひっ迫している。今年1月時点の県内献血会場キャンセル数は28会場に及び、献血協力達成率は計画の95%と100%を下回った。献血バスでの協力者減が長期化する可能性もあり、厳しい状況が続くという懸念もある。 その中で、つくば献血ルームの400ミリリットル献血協力者は、平日で約60人、休日は90人から100人の申し込みがある。平日の目標数は65人、休日は約95人で、全体を通し目標数を達成している。 2021年度の献血協力者の年代は、50代が最も多く23.9%、40代22.6%、20代12.4%、30代11.4%と続く。さらに同ルームの特徴として、2回目以降の協力者、つまりリピート率が高いという特徴があるという。 同ルーム管理係長の塙宗一郎さんは「更なる献血協力者の拡大に向けて、広報活動に力を入れていきたい」とする。コロナ禍で学校での献血が中止となった影響により、10代、20代が割合減となっている現状に対しては「献血を知ってもらい、興味を持ってもらうきっかけづくりを大切にしていきたい」と話す。ポケストップは、きっかけづくりの一つでもある。 献血に協力した市内に住む榎戸勇人さん(27)は、看護学生の頃から、献血協力を始めた。輸血が足りない現状を目の当たりにし、献血に参加するようになったという。献血を経験したことがない人に向けては、「直接、自身の血液を必要としている患者さんに提供でき、この取り組みが人助けにつながっていることを伝えたい」と話した。(ドットジェイピー茨城エリアつくば支部インターン生、筑波大学2年 上田侑子) ◆献血予約は、電話での事前予約が必要。問い合わせは同ルーム(0120-298-102)

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