金曜日, 7月 1, 2022
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山口京子

新成人の「経済的自立のために」 《ハチドリ暮らし》9

【コラム・山口京子】このほど「経済的自立のために」というテーマで約40分講演しました。春に就職するか大学生になる高校3年生が対象です。①給与明細の見方、②1人暮らしに必要なお金、③クレジットカードの仕組み、④今春からの18歳成年のこと、⑤トラブルを避ける方法―などを取り上げ、収入の範囲で暮らす習慣をつけること、自分の行為に責任を持つことの重要性を伝えました。 給与明細の見方では、記載されている勤怠・支給・控除のほか、社会保険の働きや社会保険料についても説明しました。総支給額から税金や社会保険料を引かれた金額が可処分所得ですが、それは総支給額の8割程度になる―などです。 1人暮らしに必要なお金については、住むための経費(家賃や水道光熱費など)は手取りの3割以内に収めるように、暮らすための経費(各種の生活費など)は同5割以内に収めるように、将来のためのお金(積立金など)は同2割程度を目安に予算化するように―と伝えました。いざという時のために、100万円は貯めるようにとも言いました。 トラブルは専門機関に相談 クレジットカードの仕組みについては、クレジット会社と消費者との立替払契約、クレジット会社と加盟店との加盟店契約、加盟店と消費者との売買契約によって、「クレジットカード契約」が成立すると説明。特徴としては、キャッシュレス・後払い・金利手数料の3点があり、金利手数料の有無とリボ払いには注意するよう促しました。 「18歳成年」については、契約の責任の重さを伝えました。これからは20歳ではなく、18歳になると保護者の同意なしで契約ができますが、契約上のトラブルを避けるために、正確な情報を収集する必要性を強調しました。

人生100年時代のマネープラン 《ハチドリ暮らし》8

【コラム・山口京子】「人生100年時代のマネープラン」というテーマでセミナーを依頼されました。そのとき、2019年に話題になった「老後2000万円問題」のことが頭をよぎりました。金融庁の金融審議会報告書に載っていた、「老後の30年間で2000万円不足する」というデータ元は総務省の2017年家計調査報告でした。 それによると、月当たりの高齢夫婦無職世帯の収入は21万円台、支出は26万円台で、ざっくり5.5万円の赤字となり、それが30年続くと計算して出した数字です。また、この家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の貯蓄は2484万円程度となっていました。 統計数字の平均はお金持ちが「かさ上げ」するので、実態を表してはおらず、注意が必要です。また、どこの機関が、いつどんな目的で、どんな方法で、どういった対象に向けて、どのくらいのサンプル数で、調査をしたのかによって、出てくる数字は変わってきます。 ですので、セミナーでは統計数字を参考にはしても、大事なのは我が家の家計であり、我が家の暮らし方、考え方、価値観に基づいて、お金の管理や生活設計をしましょうとお伝えします。 ちなみに、2019年の家計調査では、月当たり収入が23万円台、支出が27万円台で、ざっくり3.3万円の不足。2020年は収支とも25万円台で、ほぼ赤字は解消されています。解消された理由としては、コロナ禍で特別定額給付金などにより収入が増えたこと、外出制限などで支出が減ったことなどが挙げられます。 健康寿命・働く寿命・資産寿命を延ばす

セミナー再開 「社会保障の仕組み」 《ハチドリ暮らし》7

【コラム・山口京子】コロナ禍の落ち着きにより、対面のセミナーが再開されるようになりました。私は主に、シニアの生活設計・相続、エンディングなどのテーマで話をしていますが、最近、「社会保障の仕組みについて聞きたい」という依頼をいただきました。社会保障の総論的なこと、高齢者に関する保障をテーマに、ということでした。 社会保障の理念は憲法25条にあると言われています。「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(1項)、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(2項)と、明記されています。この理念のもとに、それを実現する法律が作られ、制度が整備されてきました。 社会保障制度には4つの柱があります。社会保険、社会福祉、公的扶助、公衆衛生の各制度です。社会保険は、国民が病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などの生活の困難をもたらす出来事(保険事故)に遭遇した場合、一定の給付を行い、生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険制度で、社会保障の要になっています。 広義の社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがありますが、一般的には、医療保険、年金保険、介護保険の3つを言います。 両親の生活に介護保険は不可欠 社会保険で画期的だったのは、1961年に実現した国民皆保険と国民皆年金でしょう。それまでは、健康保険や年金に無加入の人たちがいました。そうした人を加入者にするために、国民健康保険、国民年金の制度ができました。当時は高度経済成長の離陸時だったのでしょう。

政治の影響から自由な人はいない 《ハチドリ暮らし》6

【コラム・山口京子】母とのおしゃべりで選挙の話になりました。「選挙なんか行ったことがない」と母。「ちゃんと投票しないと政治はよくならないよ」と私。母は「政治な んて知ったことじゃない。誰がやったって変わらないだろ」と言うのです。私は心のなかで、「政治に無関心でもその影響から自由な人は1人もいないよ。社会で起こることは人が判断を下しているのだよ」とつぶやいていました。 そう思いつつ、自分も分からないことだらけです。ただ、この30年を振り返ると、格差を広げる法律が各国でつくられてきました。それによって日本では、2008年末、派遣で働く人たちの「派遣切り」が起きました。その背景には2つのことがありました。 1つは、世界規模の金融危機のきっかけになった投資銀行リーマンブラザーズの破綻です。2000年以降、アメリカは住宅バブルでしたが、2007年ごろから住宅価格が下落、住宅ローン債権が不良債権化しました。それが、証券化されて組み込まれていた金融商品に波及、金融危機が起きました。背景として、金融緩和や「グラス・スティーガル法」(銀行と証券会社の兼業禁止)の改定が指摘されています。 2つ目は、労働者派遣法の改正です。1986年施行された時は専門業務に限定されていた派遣業務が改定で拡大。原則自由化され、製造業の派遣も認められていきました。これらのことが、構造的な格差を生む一因になったと思います。コロナ禍の下でも、解雇や派遣切りが深刻です。 勉強になる宮本太郎氏の本 もうすぐ、総選挙があります。大事なのは、①自分はどういった暮らしや社会を望むのか②現在の暮らしや社会はどうなっているのか③どういうやり方で望ましい社会に向かうことができるのか―などを、自分なりに考えることです。

講演「現在の日本の立ち位置と再生の基軸」 《ハチドリ暮らし》5

【コラム・山口京子】日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの特別プロジェクト「失われた30年 どうする日本」のシリーズ第2回(8月24日)で、寺島実郎氏のオンライン講演を視聴しました。今回は、寺島氏の「現在の日本の立ち位置と再生の基軸」の内容を紹介します。 今の日本で本気に問題にすることは何か? ディベロップメント(開発)を実現させつつ、サステナブル(持続可能)であることではないか。知っておくべきファクトは、埋没する日本を直視すること。「健全な危機感」が問われているとして、世界に占める日本のGDP(国内総生産)の推移を示した。1950年3%、1964年4.5%、1994年17.9%、2000年14%、2010年7%、2020年6%、2030年予想4%―。GDPの額で見ると、日本は2008年来、ほぼ実質ゼロ成長という現実。 アベノミクスを総括すると、三本の矢の一つ目の異次元金融緩和、二つ目の財政出動で調整インフレ政策がとられたものの、資金需要はなく、貸し出しは増えなかった。他方、ジャブジャブマネーは株高と円安に向い、円安は輸出産業の競争のハードルを下げた。しかし、産業構造で食とエネルギーを海外に依存するこの国では、マイナスの面を持つとして、工業生産力モデルにとって円安が望ましいという固定観念には異議を向ける。 アベノミクスは、資本主義の競争を通じて切磋琢磨(せっさたくま)するということより、マネーゲームでラクをして生きる方向に舵(かじ)を切らせたのではないか。株式市場についていえば、公的資金も株高を支えている。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や日本銀行のETF(上場投資信託)買いなどで85兆円も注入されており、そのため実力以上の株価になっているのは、「自堕落な資本主義」だと釘(くぎ)を刺す。 「食料自給率は現在の38%から70%に」

「大事ノート」「家族年表」 《ハチドリ暮らし》4

【コラム・山口京子】日々の暮らしに追われて、生活を時間軸で意識することはあまりない。でも、日々の暮らしの積み重ねが人生をつくるのだと思う。ファイナンシャルプランナーの勉強を始めたころ、「大事ノート」と記した1冊のノートをつくった。そのインデックスの最初に「家族年表」をつけた。結婚してからの家族の年齢や出来事を毎年書き出した。 一般的に生活設計で使うライフイベント表は、将来の出来事を書き込むものだが、この家族年表は確定した出来事を書く。結婚して2人暮らしになり、子どもが生まれて3人暮らし、4人暮らしと続く。子どもたちが大学に入り家を出て3人暮らし、2人暮らしと家族は小さくなっていった歳月。住宅ローン返済に苦労したこと、大学授業料や仕送りに頭を悩ませた時期があったことを、ノートは教えてくれる。 インデックスは、「収入」「支出」「資産一覧」「住宅費」「子ども費」「保険証券」「交際費」と続く。40年にわたる推移と現在の内容が確認できる。今だったらパソコンで打つのだろうが、今もノートに書き足している。 そして、別のノートには、家族が生まれた年にどんな出来事があったのかを書き出してきた。祖父母が生まれた年、1900年前後に何があったのか。父母が生まれた1933年は、世界中(と言ってもヨーロッパやアメリカが中心だったと思う)がきな臭い時代。ドイツでヒトラーが政権を握った年。日本では「蟹工船」で有名な小林多喜二が虐殺された年。日本の農村はとっても貧しかったという。 孫1歳の2020年にコロナ禍 1950年代は、サンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約が交わされ、現在にもつながる問題を提起している。経済白書は「もはや戦後ではない」と宣言。1958年には、東京タワーが竣工し、東京の観光名物となった。60年代には、東京オリンピック開催され、都会に高層ビルが建ち、景観が変わっていく。経済成長が目覚ましかった。「山高ければ谷深し」。1960年代から2020年代までの60年の変化は、どんな風に説明されるのだろう。

「地球1個分の経済社会」の実現 《ハチドリ暮らし》3

【コラム・山口京子】「SDGs」というアルファベットをよく目にする。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)の略だと数年前に知った。「今のままだと人間社会は持続不可能で、どこかでクラッシュする」という危機意識が根底にあるからこそ、「持続可能な社会」の標榜(ひょうぼう)なのだろう。 SDGsは「誰1人取り残さない」「地球1個分の経済社会」の実現という理念を持ち、「世界を持続可能な、かつ強くしなやかな道筋に移行させる変革をしていくこと」が目的のようだ。17のゴールと169のターゲット、262の指標が明記されている。 17のゴールの1番目は「貧困をなくす」。2020年に広がった新型コロナ感染症によって、貧困化は国内外でより進み、一方で富裕層は利益を上げているという。世界の富がどうなっているのか、「世界の名目GDP」(出典・国際通貨基金=IMF)を調べてみた。 2020年の世界の名目GDP総額は84兆4393億USドル。1位が米国で全体の約25%、2位が中国で約17%、3位が日本で約6%。この3カ国だけで48%にも上る。1人当たりGDPは、米国は5位で6万3415USドル、中国は61位で1万0483USドル、日本は23位で4万0146USドル。ちなみに、対象国192カ国の真ん中(96番目)は南アフリカで5067USドル。 GDP総額を世界の人口約78億人で割ると、1人当たり1.1万USドル。この数字を見ると、自分は使いすぎているのか、お金がかかる生活様式を選んでいるのではないかと思わざるを得ない。

平均寿命と平均余命 《ハチドリ暮らし》2

【コラム・山口京子】人生100年時代という言葉をよく耳にする。2016年に出版された「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)100年時代の人生戦略」(リンダ・グラットン著)がきっかけになったようだ。その本によると、2007年生まれの人は50%の確率で107歳まで生きるという。 では実際、日本人の寿命はどうなっているのか。2020年、100歳以上の人口は8万人を超えた。そのうちの88%が女性だ。厚生労働省の簡易生命表によると、平均寿命は男性で81歳、女性で87歳となっている。平均寿命とは、0歳の赤ちゃんがこれから生きるだろう人生の長さを示す。 それに対して、すでにある年齢まで生きた人がその時点から、あと何年生きるであろうかということを示す寿命のことを平均余命という。平均寿命とは、0歳児の平均余命を指す。すでに60歳の人の場合は、男性であと23年、女性で29年。もし、今年80歳の人なら、これから男性で9年、女性で12年生きるだろう。 実際に何歳ごろに多くの人が亡くなっているのかを見ると、男性で85~89歳、女性で90~94歳の間で死亡数が高い。そうした数字をふまえ、私のセミナーでは、生活設計は100歳、もしくは95歳を設定することを勧めている。 健康寿命のこと 寿命を考えるに当たって、もう一つ大事な寿命がある。それは健康寿命だ。周りの人の手を借りず、自律した生活が可能な年齢のことだ。男性で72歳、女性で75歳。今は健康寿命を延ばす取り組みが全国で広がっている。そうしても、いつかは介護のサービスをお願いする時が来るだろう。介護状態になるきっかけは、認知症・脳血管疾患・老衰・骨折などがある。85歳以上の約6割は、要支援・要介護認定を受けている。

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日本はプーチンのロシアになるのか 《ひょうたんの眼》50

【コラム・高橋恵一】プーチンのロシアの理不尽なウクライナ侵攻を見て、日本の危機と防衛力の強化が叫ばれている。よくメディアに登場する「専門家」は、防衛省関係者・自衛隊幹部OB、あるいは旧大日本帝国の残影が残る関係者が大半だ。 「専門家」の解決策は、ロシアを押し返して、妥協できるところで停戦するシナリオだろうが、それまでにどれだけのウクライナ人が死ななければならないのだろう。ロシアの兵士は何万人死ぬのだろうか。世界の穀倉地帯の混乱で飢餓に陥る人々は16億人を超すとも予測されている。 プーチン大統領は、核兵器使用もいとわないという、無茶ぶりだ。NATO欧州加盟国は、防衛費をGDPの2%に増額するという。長期戦略として効果的かどうかも疑わしいが、少なくとも今のウクライナには間に合わない。 現在の日本の防衛予算は世界第8位。取りざたされているGDPの2%になれば、米国、中国に次いで、世界3番目の軍事費大国になる。 プーチンの侵略行為が、先の大戦のナチスドイツや大日本帝国軍の行動によく似ていることを考えれば、日本の防衛力強化は軍国日本の復活ともとられ、世界や日本国民が受け入れるとは思えない。世界は、そう見るのだ。 当然、中国もロシアも北朝鮮も、対抗して防衛力を強化する。それどころか、日本を警戒する意味で、韓国、台湾、フィリピンなどとの緊張も高めてしまうかもしれない。米国も、軍事産業部門以外からは、歓迎されないのではないか。

安売りカメラ店 《写真だいすき》9

【コラム・オダギ秀】また昔の話で、ゴメン。でも、店への愛を込めて書きたいのだ。とても若いころ、写真家仲間が頼りにしていた安売りカメラ店のことだ。 新宿の裏通りのその店は、間口が2、3間ほどだったろうか、住宅のような、お店とは思えないようなところだった。ガラスの引き戸を開けて入るとカウンターがあり、商品は並んでいない、カメラや写真の材料を売る店だった。近所にかつて浄水場があったので、その名前が付けてあった。 カウンターで「トライ、長巻き、2缶」のように言うと、無口な細っこいアンチャンが奥の棚から品物を持って来てくれた。貧しいカメラマンたちには、ありがたい安売り店だった。品物は並んでいないから、何というどんな商品か、価格はいくらならいいのか、わかる者だけが出入りする店だった。プロ機材ならまず手に入ったし、価格に不満なこともなかった。安かったのだ。 1年ぐらいしてからか、天井に穴を開け、2階の倉庫から品物をひもで吊り下げるようになって、品ぞろえとスピードが少し増し、店員も2人から5人くらいに増えたと思う。 昔、写真は、フィルムという感光シートか、それを細く巻いたロールで撮影していた。フィルムはパトローネという小さな金属ケースに巻き込まれていて、パトローネには36枚撮影分のフィルム入り、というのが普通だった。 プロやそのタマゴたちはパトローネ入りではなく、ずっと長くてコスパのいい100フィート入りの缶を買い、適当な長さにフィルムを切って、使用済みのパトローネに詰め、フィルム代を安くあげるようにしていた。

つくばの坂路で実証実験 森林総研に電動四足歩行ロボット

森林総合研究所(つくば市松の里、浅野透所長)は28日、ソフトバンク(本社・東京都港区、宮川潤一社長)と取り組む「電動四足歩行ロボット」による実験を公開した。スマート林業の実現と脱炭素社会をめざし、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受け、21年度からロボットの歩行実験を行っていたもので、6月から研究所内の施設で実証実験を開始した。 取り組むのは「NEDO先導研究プログラム/農山村の森林整備に対応した脱炭素型電動ロボットの研究開発」。傾斜角度が30度までの斜面の上り下りが全自動で出来るアメリカ製の四足歩行ロボットを採用して、森林環境において、高精度な自動歩行がどこまで可能になるか、通信の改善をどのように実現するか、など実地に検証する。 造林作業向けに開発 従事者の高齢化や担い手不足から、わが国の木材自給率は40%程度に留まり、国産材の供給力の強化が林業の課題になっている。近年は特に木材を伐採した後、新たに苗木を植えての「再造林」が進まないことが悩みになっているそう。 抜根や下刈りなどに人手を要するうえ、傾斜地での作業となるため労働負荷が大きい。この「造林」作業にマッチした走行性能を有するモビリティーの開発を目指している。具体的には、シカの食害対策のため設置する防鹿柵の点検、苗木の運搬、森林資源の調査・計測などの作業を想定している。 21年度は森林総研と連携協定を結ぶ北海道下川町で、造林地や急傾斜地、積雪などの環境下で電動四足歩行ロボットの歩行能力について調査・検討を行った。一定の条件下であれば斜面や障害物などがあっても安定した歩行ができることが分かった。

500号の大作も 県つくば美術館で「茨城の美術セレクション」展

茨城県で活躍中の作家たちの作品を展覧する「茨城の美術セレクション」展が28日、県つくば美術館(つくば市吾妻)で始まった。県の美術界を代表する27人の作家による日本画6点、洋画16点、彫刻5点を展示する。 今年1月に県近代美術館(水戸市)で開かれた「第12回現代茨城作家美術展」に出品した100人の中から27人、27点の作品を選抜して展示する。19日までの県陶芸美術館(笠間市)に続く移動展覧会で、来年3月1日から12日には県天心記念五浦美術館(北茨城市)開催と、それぞれ異なる作品の展示となる。 昨年の開催では約1400人が来場した。作家自身が来場者に技法や制作への思いを話す「ギャラリートーク」が毎回好評だが、今回は来場者との対面スタイルでは実施せず、会期終了後にYouTubeでトークの動画を配信予定だという。 会派やジャンルの垣根を越えた大作が一堂に会する。展示された作品の中には、500号の大きさの絵画2つで構成された筑波大学名誉教授、玉川信一さんの作品「愚者の階梯(かいてい)」や筑波大教授、仏山輝美さんが自らの顔や手をモチーフとして描いた作品「月光」など、生と死を感じさせるような作品が並ぶ。 県美術展覧会事務局(水戸市千波町)の学芸員、天羽かおるさんは「生と死のテーマは作家が生きていく中で突き当たる必然。現役の作家が今まさに感じていることを表現している。コロナ禍以後は、作品にじっくり対面し丁寧に見られている方が多くなった。肌感覚だが、以前より特に男性で、お一人で来場される方が増えているように感じる」と話す。 市内から訪れた男性は「図書館に寄ったついでに見に来た。近代的な感じの作品が多く、おもしろい展覧会」と話した。(田中めぐみ)