日曜日, 11月 27, 2022
ホーム コラム 山口京子

山口京子

8050問題と労働者協同組合法 《ハチドリ暮らし》14

【コラム・山口京子】仲間内の勉強会で話をすることになりました。テーマは自由に決めてよいということでしたので、「8050問題と労働者協同組合法」という題にしたいとお伝えしました。 「8050問題」の呼び方は「はちまるごーまるもんだい」です。80代の親が50代の引きこもりの子を抱えている家庭、そこから派生する問題を指します。80代の親の介護や認知症、生活困窮などにより、親子の共倒れや孤立化が社会問題になっています。 数年前、引きこもりの子を持つ家族の会から「これからのライフプラン」で話をしてほしいと言われ、調べ始めました。 「引きこもりの評価・支援に関するガイドライン」によると、「引きこもり」の定義は、「様々な要因の結果として、社会的参加(就学、就労、家庭外での交友など)を回避し、原則的には、6カ月以上にわたって、おおむね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念(他者と関わらない形での外出をしていてもよい)」となっています。 引きこもるきっかけとしては、学校でのいじめ、親の教育虐待、就職の失敗や病気、働いていたものの様々な事情で退職し、その後働こうとしても再就職口が見つからない―などが挙げられます。 引きこもる期間は長期化していて、7年以上が5割近くになっています。30年以上も約6パーセントいると推定されています。内閣府の調査では、100万人以上の引きこもりがいるとされていますが、200万人を超えるという指摘もあります。

入院で高額療養費制度を使う 《ハチドリ暮らし》13

【コラム・山口京子】4月に連れ合いが8日ほど入院しました。医療費の総額は約50万円、そのうち自己負担は3割の約15万円でした。ですが、高額療養費制度を使うことによって、実際の支払額は66,800円でした。 事前に、市役所の国民健康保険課に行き、「健康保険限度額適用認定証」を申請しました。高額療養費の限度額は本人の所得によって変わるので、限度額を知ることが大事です。その額と高額療養費の対象にはならない項目(食事患者負担額、差額ベッド、日用品レンタル代など)を加えて、支払額が算出されます。 4人部屋に入りましたが、差額ベッド代はかからず、日用品費の支払いは別でした(4人部屋でも差額ベッド代が取られることがあるので事前の確認が必要)。なので、病院に払ったのは高額療養費限度額57,600円と食費9200円(1食460円×20食)だけでした。これに日用品レンタル代と雑費12,000円を加えても、総費用は8万円弱でした。 医療保険はチェックが必要 以前、終身医療保険に加入した場合、支払う保険料の総額がいくらになるのか、一生のうちに何回くらい入院するのか―などについて調べたことがあります。わが家の場合、連れ合いが加入していた医療保険の月額保険料は約5000円、30歳から80歳まで入っていた場合の総額は300万円になります。保障は入院日額5000円と手術給付金でした。 ですが、定年を機に解約したので、実際は210万円程度を払ったことになります。それに対して、30歳以降の入院歴は4回、入院日数は延べ33日。支払った医療費の実費は約30万円。公的医療保険制度や健保組合の療養付加金のおかげで、自己負担はかなり軽減されました。

成年年齢が18歳に引き下げられました《ハチドリ暮らし》12

【コラム・山口京子】この4月1日から成年年齢が18歳に引き下げられました。これは民法の改正によるものです。普段は民法なんて意識しないですが、民法のルールが生活に大きな影響力を持っていることを改めて、感じさせる機会となりました。高校などでは、18歳成年で何が変わるのかを授業で周知しているようです。 18歳になると成人として扱われ、1人で有効な契約をすることができ、親の親権に服さなくなります。具体的には、親の同意がなくても契約を交わすことができます。単なる小遣いの範囲を超えて、携帯電話や車の購入などの契約、クレジットカード作成などが、親の同意なくできるようになります。 行為の自由度が広がる一方で、その責任が重くのしかかります。経済的に自立していないのに、負債を抱えるリスクが生じるのです。 消費者庁や消費生活センターでは、悪質な事業者による18~19歳をターゲットにした契約トラブルを警戒しています。例えば、ネットの世界では「簡単にもうかる」「これを使えばキレイになる」「こんなにお得になる」といった情報があふれ、本当らしいコメントが付いて、見る人の気持ちをくすぐります。簡単にもうかるなら、貧困なんて日本に存在しないでしょうに。 トラブルは消費生活センターに相談 身を守る手立てとしては、ネットを含め広告情報をうのみにしない。知り合いからであっても、もうけ話は断る。関心があるなら、十分に調べる。あるいは、比較検討をする。事業者と話すときは1人ではなく、家族や知人に同伴してもらう。契約や商品・サービスの利用で、トラブルになった場合やおかしいと思ったときは、地元の消費生活センターに早めに相談をしてほしいと思います。

介護施設の父と通所する母 《ハチドリ暮らし》11

【コラム・山口京子】父が現在の介護施設に入所して、ちょうど1年が経過。先月、ケアマネジャーさんから連絡がありました。父が軽い肺炎で、医師から酸素導入の処方があったという報告でした。継続的ではなく、肺の機能が回復すれば外せるとのこと。 しばらくして、また施設から電話がありました。父が酸素導入の管を嫌がって外し、大声で怒り出して困っているというのです。認知の低下があるのかもしれません。家族としては、本人が嫌がるなら外してくださいと、施設担当者と医師に伝えました。 家にいるときから、本人は「こんなに長生きしたんだから、早くお迎えがくればいい」と言っていました。介護が必要になってから5年目、今年89歳になります。自分のことが自分でできない不甲斐(ふがい)なさを持て余しているようです。冗談なのか本気なのか。本当にそう思っているのかもしれません。 施設の父とは、ガラス越しに対面はできますが、踏み込んだ会話は難しくなっています。入所するに当たって、いくつもの書面を作成しました。終末期医療については、痛みは取ってほしいが、延命治療は不要であると意思表示しました。 「とうちゃんは、死にたいとばかり言ってるよ」 でも実際の場面で、具体的な判断が求められる際の難しさに、戸惑っています。呼吸ができないで苦しいと感じたとき、酸素導入を望むのか、やっぱり嫌がるのか。これから父の体はどんなふうに変化していくのか。意識がなくなった後、医師の処方と家族の思いはどう折り合うのか。

家計ときちんと向き合う 《ハチドリ暮らし》10

【コラム・山口京子】1月のある日、家計の棚卸しをして、今年の予定をおおまかに立ててみました。皆さんはどうでしょうか? 2021年の1月1日から12月31日までの1年間の収入と支出の額を確認されましたか? 12月31日時点の資産の残高を書き出し、1年前と比較してどうなったかを点検されたでしょうか? それを踏まえ、これからのライフイベントについて話し合われましたか? コロナ感染の影響はどれくらいありましたか? 教育資金の準備や住宅ローン返済の見通しなど、計画は実現できそうですか? 見直しが必要になっていますか? 家族を取り巻く環境は様々です。大事なのは家計ときちんと向き合うことです。 わが家はリタイア世帯となりました。収入は年金と少しの就労で、収入と支出はほぼ同じとなり、貯蓄ができなくなりました。今ある資産がこれからどう推移するのかを、ざっくりキャッシュフロー表で見ていきます。あと数年はこの状態を続け、生活のために資産を取り崩すのは70歳以降に延ばしたいと考えています。 そう思っても、将来のことは分かりません。一寸先は闇かもしれません。あるいは、新しいスタートがあるかもしれません。事情が変われば、その都度見直して、乗り切っていきたいものです。

新成人の「経済的自立のために」 《ハチドリ暮らし》9

【コラム・山口京子】このほど「経済的自立のために」というテーマで約40分講演しました。春に就職するか大学生になる高校3年生が対象です。①給与明細の見方、②1人暮らしに必要なお金、③クレジットカードの仕組み、④今春からの18歳成年のこと、⑤トラブルを避ける方法―などを取り上げ、収入の範囲で暮らす習慣をつけること、自分の行為に責任を持つことの重要性を伝えました。 給与明細の見方では、記載されている勤怠・支給・控除のほか、社会保険の働きや社会保険料についても説明しました。総支給額から税金や社会保険料を引かれた金額が可処分所得ですが、それは総支給額の8割程度になる―などです。 1人暮らしに必要なお金については、住むための経費(家賃や水道光熱費など)は手取りの3割以内に収めるように、暮らすための経費(各種の生活費など)は同5割以内に収めるように、将来のためのお金(積立金など)は同2割程度を目安に予算化するように―と伝えました。いざという時のために、100万円は貯めるようにとも言いました。 トラブルは専門機関に相談 クレジットカードの仕組みについては、クレジット会社と消費者との立替払契約、クレジット会社と加盟店との加盟店契約、加盟店と消費者との売買契約によって、「クレジットカード契約」が成立すると説明。特徴としては、キャッシュレス・後払い・金利手数料の3点があり、金利手数料の有無とリボ払いには注意するよう促しました。 「18歳成年」については、契約の責任の重さを伝えました。これからは20歳ではなく、18歳になると保護者の同意なしで契約ができますが、契約上のトラブルを避けるために、正確な情報を収集する必要性を強調しました。

人生100年時代のマネープラン 《ハチドリ暮らし》8

【コラム・山口京子】「人生100年時代のマネープラン」というテーマでセミナーを依頼されました。そのとき、2019年に話題になった「老後2000万円問題」のことが頭をよぎりました。金融庁の金融審議会報告書に載っていた、「老後の30年間で2000万円不足する」というデータ元は総務省の2017年家計調査報告でした。 それによると、月当たりの高齢夫婦無職世帯の収入は21万円台、支出は26万円台で、ざっくり5.5万円の赤字となり、それが30年続くと計算して出した数字です。また、この家計調査によると、高齢夫婦無職世帯の貯蓄は2484万円程度となっていました。 統計数字の平均はお金持ちが「かさ上げ」するので、実態を表してはおらず、注意が必要です。また、どこの機関が、いつどんな目的で、どんな方法で、どういった対象に向けて、どのくらいのサンプル数で、調査をしたのかによって、出てくる数字は変わってきます。 ですので、セミナーでは統計数字を参考にはしても、大事なのは我が家の家計であり、我が家の暮らし方、考え方、価値観に基づいて、お金の管理や生活設計をしましょうとお伝えします。 ちなみに、2019年の家計調査では、月当たり収入が23万円台、支出が27万円台で、ざっくり3.3万円の不足。2020年は収支とも25万円台で、ほぼ赤字は解消されています。解消された理由としては、コロナ禍で特別定額給付金などにより収入が増えたこと、外出制限などで支出が減ったことなどが挙げられます。 健康寿命・働く寿命・資産寿命を延ばす

セミナー再開 「社会保障の仕組み」 《ハチドリ暮らし》7

【コラム・山口京子】コロナ禍の落ち着きにより、対面のセミナーが再開されるようになりました。私は主に、シニアの生活設計・相続、エンディングなどのテーマで話をしていますが、最近、「社会保障の仕組みについて聞きたい」という依頼をいただきました。社会保障の総論的なこと、高齢者に関する保障をテーマに、ということでした。 社会保障の理念は憲法25条にあると言われています。「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」(1項)、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(2項)と、明記されています。この理念のもとに、それを実現する法律が作られ、制度が整備されてきました。 社会保障制度には4つの柱があります。社会保険、社会福祉、公的扶助、公衆衛生の各制度です。社会保険は、国民が病気やケガ、出産、死亡、老齢、障害、失業などの生活の困難をもたらす出来事(保険事故)に遭遇した場合、一定の給付を行い、生活の安定を図ることを目的とした強制加入の保険制度で、社会保障の要になっています。 広義の社会保険には、医療保険、年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つがありますが、一般的には、医療保険、年金保険、介護保険の3つを言います。 両親の生活に介護保険は不可欠 社会保険で画期的だったのは、1961年に実現した国民皆保険と国民皆年金でしょう。それまでは、健康保険や年金に無加入の人たちがいました。そうした人を加入者にするために、国民健康保険、国民年金の制度ができました。当時は高度経済成長の離陸時だったのでしょう。

政治の影響から自由な人はいない 《ハチドリ暮らし》6

【コラム・山口京子】母とのおしゃべりで選挙の話になりました。「選挙なんか行ったことがない」と母。「ちゃんと投票しないと政治はよくならないよ」と私。母は「政治な んて知ったことじゃない。誰がやったって変わらないだろ」と言うのです。私は心のなかで、「政治に無関心でもその影響から自由な人は1人もいないよ。社会で起こることは人が判断を下しているのだよ」とつぶやいていました。 そう思いつつ、自分も分からないことだらけです。ただ、この30年を振り返ると、格差を広げる法律が各国でつくられてきました。それによって日本では、2008年末、派遣で働く人たちの「派遣切り」が起きました。その背景には2つのことがありました。 1つは、世界規模の金融危機のきっかけになった投資銀行リーマンブラザーズの破綻です。2000年以降、アメリカは住宅バブルでしたが、2007年ごろから住宅価格が下落、住宅ローン債権が不良債権化しました。それが、証券化されて組み込まれていた金融商品に波及、金融危機が起きました。背景として、金融緩和や「グラス・スティーガル法」(銀行と証券会社の兼業禁止)の改定が指摘されています。 2つ目は、労働者派遣法の改正です。1986年施行された時は専門業務に限定されていた派遣業務が改定で拡大。原則自由化され、製造業の派遣も認められていきました。これらのことが、構造的な格差を生む一因になったと思います。コロナ禍の下でも、解雇や派遣切りが深刻です。 勉強になる宮本太郎氏の本 もうすぐ、総選挙があります。大事なのは、①自分はどういった暮らしや社会を望むのか②現在の暮らしや社会はどうなっているのか③どういうやり方で望ましい社会に向かうことができるのか―などを、自分なりに考えることです。

講演「現在の日本の立ち位置と再生の基軸」 《ハチドリ暮らし》5

【コラム・山口京子】日本コーポレート・ガバナンス・ネットワークの特別プロジェクト「失われた30年 どうする日本」のシリーズ第2回(8月24日)で、寺島実郎氏のオンライン講演を視聴しました。今回は、寺島氏の「現在の日本の立ち位置と再生の基軸」の内容を紹介します。 今の日本で本気に問題にすることは何か? ディベロップメント(開発)を実現させつつ、サステナブル(持続可能)であることではないか。知っておくべきファクトは、埋没する日本を直視すること。「健全な危機感」が問われているとして、世界に占める日本のGDP(国内総生産)の推移を示した。1950年3%、1964年4.5%、1994年17.9%、2000年14%、2010年7%、2020年6%、2030年予想4%―。GDPの額で見ると、日本は2008年来、ほぼ実質ゼロ成長という現実。 アベノミクスを総括すると、三本の矢の一つ目の異次元金融緩和、二つ目の財政出動で調整インフレ政策がとられたものの、資金需要はなく、貸し出しは増えなかった。他方、ジャブジャブマネーは株高と円安に向い、円安は輸出産業の競争のハードルを下げた。しかし、産業構造で食とエネルギーを海外に依存するこの国では、マイナスの面を持つとして、工業生産力モデルにとって円安が望ましいという固定観念には異議を向ける。 アベノミクスは、資本主義の競争を通じて切磋琢磨(せっさたくま)するということより、マネーゲームでラクをして生きる方向に舵(かじ)を切らせたのではないか。株式市場についていえば、公的資金も株高を支えている。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や日本銀行のETF(上場投資信託)買いなどで85兆円も注入されており、そのため実力以上の株価になっているのは、「自堕落な資本主義」だと釘(くぎ)を刺す。 「食料自給率は現在の38%から70%に」

「大事ノート」「家族年表」 《ハチドリ暮らし》4

【コラム・山口京子】日々の暮らしに追われて、生活を時間軸で意識することはあまりない。でも、日々の暮らしの積み重ねが人生をつくるのだと思う。ファイナンシャルプランナーの勉強を始めたころ、「大事ノート」と記した1冊のノートをつくった。そのインデックスの最初に「家族年表」をつけた。結婚してからの家族の年齢や出来事を毎年書き出した。 一般的に生活設計で使うライフイベント表は、将来の出来事を書き込むものだが、この家族年表は確定した出来事を書く。結婚して2人暮らしになり、子どもが生まれて3人暮らし、4人暮らしと続く。子どもたちが大学に入り家を出て3人暮らし、2人暮らしと家族は小さくなっていった歳月。住宅ローン返済に苦労したこと、大学授業料や仕送りに頭を悩ませた時期があったことを、ノートは教えてくれる。 インデックスは、「収入」「支出」「資産一覧」「住宅費」「子ども費」「保険証券」「交際費」と続く。40年にわたる推移と現在の内容が確認できる。今だったらパソコンで打つのだろうが、今もノートに書き足している。 そして、別のノートには、家族が生まれた年にどんな出来事があったのかを書き出してきた。祖父母が生まれた年、1900年前後に何があったのか。父母が生まれた1933年は、世界中(と言ってもヨーロッパやアメリカが中心だったと思う)がきな臭い時代。ドイツでヒトラーが政権を握った年。日本では「蟹工船」で有名な小林多喜二が虐殺された年。日本の農村はとっても貧しかったという。 孫1歳の2020年にコロナ禍 1950年代は、サンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約が交わされ、現在にもつながる問題を提起している。経済白書は「もはや戦後ではない」と宣言。1958年には、東京タワーが竣工し、東京の観光名物となった。60年代には、東京オリンピック開催され、都会に高層ビルが建ち、景観が変わっていく。経済成長が目覚ましかった。「山高ければ谷深し」。1960年代から2020年代までの60年の変化は、どんな風に説明されるのだろう。

「地球1個分の経済社会」の実現 《ハチドリ暮らし》3

【コラム・山口京子】「SDGs」というアルファベットをよく目にする。2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)の略だと数年前に知った。「今のままだと人間社会は持続不可能で、どこかでクラッシュする」という危機意識が根底にあるからこそ、「持続可能な社会」の標榜(ひょうぼう)なのだろう。 SDGsは「誰1人取り残さない」「地球1個分の経済社会」の実現という理念を持ち、「世界を持続可能な、かつ強くしなやかな道筋に移行させる変革をしていくこと」が目的のようだ。17のゴールと169のターゲット、262の指標が明記されている。 17のゴールの1番目は「貧困をなくす」。2020年に広がった新型コロナ感染症によって、貧困化は国内外でより進み、一方で富裕層は利益を上げているという。世界の富がどうなっているのか、「世界の名目GDP」(出典・国際通貨基金=IMF)を調べてみた。 2020年の世界の名目GDP総額は84兆4393億USドル。1位が米国で全体の約25%、2位が中国で約17%、3位が日本で約6%。この3カ国だけで48%にも上る。1人当たりGDPは、米国は5位で6万3415USドル、中国は61位で1万0483USドル、日本は23位で4万0146USドル。ちなみに、対象国192カ国の真ん中(96番目)は南アフリカで5067USドル。 GDP総額を世界の人口約78億人で割ると、1人当たり1.1万USドル。この数字を見ると、自分は使いすぎているのか、お金がかかる生活様式を選んでいるのではないかと思わざるを得ない。

Most Read

ふるさと納税の顛末記 ① 《文京町便り》10

【コラム・原田博夫】年末になると、ふるさと納税でソワソワするお宅もあるかも知れない。魅力的な返礼品をめぐる話題である。しかし、これは、制度導入の経緯からすると、妙な話である。今回は、その顛末(てんまつ)を取り上げたい。 そもそも、高校まで地方圏で教育を受けた若者の相当数が、大学入学や会社就職で都会に出て、その後の社会人生活や結婚後もそこで過ごすのは、20世紀後半の日本社会では(都市部と農村地域の間で教育や就業のチャンスに濃淡がある以上)当然だった。 この若者には財政の観点からは、高校卒業までは地元自治体の教育支出が投入されていた。勤務先の企業は、法人税(国税)および法人住民税を(企業の所在地へ)納めている。会社員としては、給与・報酬から所得税(国税)と個人住民税を(居住地の県・市町村へ)納めている。この会社員も企業も、当該年度に関しては立派な納税者である。 しかし、この会社員を高校時代まで成育させた出身地では、この財政収支の流れはやや釈然としない。少なくとも、地方出身者の高校卒業までに投じた財政資金のある部分は、出身の市町村・県に戻してもらいたい。とりわけ、都市部に出た地方出身者が地元に残った同世代よりも高所得者になっている場合には、そうした矛盾を感じる。 故郷へ還元できる制度はないか? 地方交付税制度は、こうした気分を一部解消する制度でもある。主要な国税5税(所得税・法人税・酒税・消費税・地方法人税)の一部(3割強)を地方の固有財源とみなして、全国の地方自治体を対象に、一定の意基準に従って(地方自治体ごとに基準財政需要額と基準財政収入額を算定し、前者が後者を上回っている場合はその差額を財源不足とみて)財源保障のために一般財源として配分する、という制度である(うち、94%は普通交付税、6%は特別交付税)。

ウクライナ避難民支援募金を大使館に寄付 日本つくば国際語学院

学校法人つくば文化学院(東郷治久理事長)が運営する日本語学校「日本つくば国際語学院」(同市松代)が、4月からつくば市内で呼び掛けていたウクライナ避難民支援募金(4月13日付)が9月末までに計24万5000円集まり、10月26日、東京都港区の駐日ウクライナ大使館に寄付した。 募金箱はグループ企業のサンスイグループ(東郷理事長)が運営する市内計8カ所に設置した。当初6月末までの予定だったが延長し、9月末まで寄付を募った。 8カ所は同校のほか、つくばグランドホテル(同市筑波)▽つくばわんわんランド(同市沼田)▽つくば国際ペット専門学校(同市沼田)▽つくば山水亭(同市松代)▽つくば山水亭別亭(同市吾妻、ホテル日航つくば2階)▽KEY’S CAFE(キーズカフェ)ララガーデンつくば店(同市小野崎、10月16日閉店)▽ミスタードーナッツ イーアスつくばショップ(同市研究学園)。特にKEY’S CAFEとつくば国際ペット専門学校に設置した募金箱には多くの寄付が集まったという。 今回の募金活動は「ウクライナ避難民の支援はまず日本語学校から手を挙げてやるべきではないか」という東郷理事長の言葉がきっかけとなった。寄付金を受け取ったウクライナ大使館の担当者からは感謝の言葉が述べられたという。 同校の森山英熙本部長は「みなさんに関心を持って寄付をしていただき、本当に感謝しています。寄付金が避難民の方々のお役に少しでも立てれば」と話し、「これからもウクライナ避難民で日本語を学びたいという人がいたら積極的に受け入れていきたい」と語る。

百年亭再生プロジェクトが進行中 《宍塚の里山》95

【コラム・佐々木哲美】宍塚の自然と歴史の会では、2019年7月に里山に隣接した築100年以上の住宅を購入し、「百年亭」と名付け、修復作業に取り組んでいます。その資金集めに、クラウドファンディング(CF)を使いました。期間は9月5日~10月21日、目標額は300万円としました。 建物の完成には800万円程度が必要ですが、CFに並行して、助成金申込みや様々な手法で、宍塚の里山の重要性を伝えながら資金を集めます。 CFの結果、223名の方から317万5000円の寄付をいただき、目標を達成することができました。どんな方から寄付があったかまとめたところ、会員から27%、非会員から73%と、非会員の寄付が多くを占めました。居住地別では、つくば市32%、土浦市15%など、県内で62%を占めました。 県外では東京都が14%と多く、関東全体では28%を占め、関東以外は9%でした。宍塚から離れると人数は減少しますが、県外からの寄付者が全体の37%にもなり、宍塚の里山保全への支持が全国に広がったことを示しています。 寄付額は1万円が119名(59%)と最も多く、次いで5000円が65名(29%)と続きます。10万円という高額寄付者が4名もいました。今回の成功のカギは、もちろん、寄付していただいた方、知人・友人に働きかけていただいた方、プロジェクトメンバーの努力ですが、ホームページ(HP)の役割も少なくありません。仲介業者READYFORの方々の親身なサポートもありました。 百年亭の創建年と大工名が判明

空気汚染の健康被害を知ってほしい 市民科学者、故 津谷裕子さんの著書を公開

有害化学物質による空気汚染の被害者で、2021年2月に92歳で死去した土浦市の市民科学者、津谷裕子さんが、化学物質による健康被害について知ってほしいと09年に執筆した著書「絵でとく健康への環境対策ープラスチックからの新しいVOC空気汚染」(A5判、98ページ、社会評論社)が、「忘れるな 杉並病・寝屋川病~プラスチックリサイクルで生活を奪われないために」と題したウェブサイト内でこのほど全面公開された。 公開したのは東京都千代田区の市民団体「化学物質による環境汚染を考える会」代表の森上展安さんだ。森上さんは1990年代後半、当時住んでいた東京都杉並区で津谷さんと共に、プラスチックなどの不燃ごみ圧縮・詰め替え施設で健康被害を受けた周辺住民の実態調査や原因究明に取り組んだ。「杉並病」と呼ばれた健康被害だ。 公開された著書は、アレルギーやアトピーなどの患者が増える中、身の回りのさまざまなところから、これまで無かった、ごく微量の揮発性有機化合物(VOC)が発生し、新たな空気汚染が広がっている実態を知ってほしいと執筆された。 東京都杉並区の施設周辺住民の健康被害の調査結果や、プラスチックごみの圧縮や詰め替えで揮発性化学物質がなぜ発生するかをまとめている。その上で「プラスチックは不完全な加熱や機械的処理では、多種類で多様のVOCが発生し、毒性がごく強いものに変質することもある」などと指摘し、今日推進されているプラスチックのリサイクルについても疑問を投げ掛けている。 予防、救済、解明へ