火曜日, 10月 8, 2024
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《留学生エッセー》16 将来の夢は日本で輸入会社を設立

筑波学院大学 経営情報学部ビジネスデザイン科2年 アラウィ・オサイド・ワリードさん(21) サウジアラビア出身のオサイドです。サウジアラビアについて紹介したいと思います。面積は日本の約6倍ですが人口は4分の1です。1932年サウド家により建国され、国王は日本と同じ、代々直系男子の世襲制です。現在はサルマン国王とムハンマド皇太子です。教育費や医療費が無料なので裕福な国と思われていますが、王族や一部の富豪のほかは普通の暮らしだと思います。世界で唯一女性の運転免許が認められていない国でしたが、昨年解禁されました。 母の留学で日本へ 私は14歳の時に日本に来ました。病院で歯科医として働いていた母が2011年10月博士号を取るため、東京医科歯科大学に留学することになったからです。日本を紹介するテレビ番組を見ていて興味があったので私は日本に行くのが楽しみでした。技術者の父も当時勤めていたサウジアラビア航空会社を辞め、父母ときょうだい6人の計8人で日本に来ました。 私たちは東京お台場に住み、私は江東区立有明中学に卒業までの4カ月間通いました。中学で一番驚いたことは自分たちで掃除をすることです。サウジアラビアでは生徒はやらず、専門の人たちが掃除をやります。最近は日本のように生徒たちがやる学校も数は少ないですが出てきています。自分たちで掃除をするのは良いことだと思います。私も自分で掃除をするようになりました。 筑波大生の姉とつくばに 15年に母が博士号を取り、両親と弟2人は帰国しました。兄2人は神奈川の大学に通い、私は筑波大生の姉と一緒に住むため、つくばに来ました。2年間日本語学校に通い、姉の勧めで筑波学院大学に入学しました。サウジアラビアでは、王族や超一流大学の卒業生以外は就職が難しいからです。筑波学院大の留学生は日本での就職率が良いので、入学して良かったと思っています。大学生になり、自分で考えて行動するのは初めての経験だったので楽しいです。筑波学院大の自由な雰囲気が好きです。 礼拝欠かせない 日本は技術力が高く、洗浄トイレには驚きました。レストランでの接客も良くて、入口で「いらっしゃいませ」と言われるとうれしくなります。ただ値段は高いです。サウジアラビアの普通のレストランは1人400~500円で充分食べられます。 私たちイスラム教徒の女性はヒジャブ(頭髪を隠す布)を巻き、男性は伝統的な服を着ます。最近は洋服も普通に着ます。礼拝は日に5回(午前5時、11時、午後2時30分、4時、7時)でその間は商店も閉まります。礼拝は神聖な行いなので絶対に欠かせません。大学の授業中で出来ない時は、帰ってからその分の祈りをしています。 ラマダン中はスポーツを免除 イスラム教徒は約1カ月間、日の出から日没まで断食をし神の恵みに感謝します。昨年は5月15日から6月14日まででした。この間は学校やほとんどの会社は休みになります。日中は家の中で静かに過ごし、日が暮れてから食事をします。子ども、病人、妊婦は除外されます。私は小学校4年の時に初めてラマダンをしました。最初はつらくて途中で母に食事を作ってもらいましたが、だんだん慣れてきました。ラマダン明けのお祭り(イードルフィテル)には、親族を訪問し子どもたちはプレゼントやお金をもらったり、とてもにぎやかに祝います。私は日本にいてもラマダンをやっています。ラマダン中にスポーツの授業がある時は、先生に事情を話して免除してもらっています。 文化や商品を日本に広げたい 大学を卒業後は兄弟と一緒に日本で会社を設立したいと思っています。サウジアラビアの品々は現在日本にそう多くありません。服や食べ物を輸入して日本で販売し、サウジアラビアの文化や商品を日本に広げていきたいと思っています。(聞き手・鈴木萬里子)

《学生インタビュー》13 ランタンアートを仲間と制作 行動し提案し人と接する重要性学んだ

筑波学院大学3年の中村莉緒さんは、つくば市をキャンパスにした同大の社会力育成プログラム「オフ・キャンパス・プログラム(OCP)」で、今月15、16日に開催される「ランタンアートつくば2018」(つくばセンター地区活性化協議会主催)の運営に参加している。つくば駅周辺の師走の風物詩として定着したイベントで、約7000個のランタンに灯がともる。開催に向け、仲間8人とワークショップに参加するなど積極的に取り組んでいる。 経営情報学部 ビジネスデザイン学科2年 中村莉緒さん 福島県私立尚志高校出身 —高校は福島県郡山市ですが筑波学院大を選んだ理由は。 中学生の時からデザインの道を志していました。高校2年の時、デザインを生かせる大学をネットで探して筑波学院大を見つけました。オープンキャンパスに参加して、生徒と先生の距離感が近く親しみやすい雰囲気に進学することを決めました。大学生となり、高校生の時と比べて視野が広くなったと感じています。この大学はいろいろな活動に積極的に参加する学生が多く、その影響もあると思います。 —なぜランタンアートを活動の場に選んだのですか。 説明会の時に見たランタンの実際の映像がとてもきれいだったからです。それに高校生の時は人と接する機会が少なかったので、大学生になったらいろんな人と関わりたいと思っていました。今夏のまつりつくばでランタンアートのワークショップに参加し、たくさんの地域の人と触れ合うことが出来て良かったです。 —活動に参加してみてどうですか。 自分たちでランタンを作るのに苦労しています。ランタンは、上部を切ったペットボトルの中にろうそくをセットし水を入れて、倒れたり、燃え移りにくい工夫がされています。安全性を第一に考えながら作ります。主催の協議会の人たちとの話し合いを通して、決められた予算内で出来るように工夫するのも大切になります。家庭にある段ボールやテープなどは持ち寄って使います。現在段ボールを使った大型のランタンを試作しています。 —どんなランタンを作っていますか。 仲間といろいろアイディアを出して、私たちが決めたテーマは「クリスマス」です。高さ1㍍近い大きな4面体のランタンを1つ作り、その1面にサンタ、他の面に雪の結晶やクリスマス飾りを描きます。サンタは切り絵で描くことにしました。この大きなランタンを中心に、まわりにクリスマスプレゼントを模した小さなランタンを多数配置します。 —この活動から学んだ事は何でしょう。 初めの頃は活動を引っ張ってくれる男子に任せていました。でもランタンの制作が始まると、任せきりではダメだと思うようになりました。自分のアイディアを出して進めていこうと思い、頑張りました。この活動に参加して、積極的に行動し、提案し、人と接することの重要性を学びました。 —将来の目標は? 物を作ったり、発信する仕事に就きたいと思っています。大学の授業でグラフィックを習ったので、雑誌の紙面デザインをやってみたいです。ほかにも広告などいろいろなものに興味があって、今の段階では決めきれないでいます。 (聞き手・鈴木萬里子) ◆ランタンアートは15、16の両日午後4時45分~午後7時30分。つくば駅周辺の遊歩道やセンター広場で開催。来場者が会場で作って飾るランタン工作コーナーもある。

《留学生エッセー》15 日本式サービスのホテルをネパールに

経営情報学部グローバルコミュニケーション学科2年 カトリ サンブ 私は東ネパールのビラトナガルから来たカトリ サンブです。カトリは日本人の名前と似ているので、ハーフですか、とよく聞かれます。ネパールの大学では英語の他に最初は韓国語を勉強しました。でも文字や発音が難しくて3カ月であきらめて、日本語を選び直しました。日本語は大学のほかに日本滞在の経験があるネパール人の塾でも勉強しました。日本語は韓国語より早く覚えられました。 ネパールは若い人の就職先がなくて就職できる人は1割です。大学を卒業すると海外へ出る人が多く、留学先の1番人気はオーストラリアで2番目が日本です。日本は卒業後の就職がスムーズで治安の良さが人気です。私も3年制の大学(今は4年制)を卒業後、大洗にある日本語学校へ入学しました。そして筑波学院大学でグローバルコミュニケーションを学んでいます。 お祭りは生活と結びついている ネパールは北海道の約1.8倍しかない小さな国です。でもたくさんの民族(36族以上)が住んでいます、その民族の中に色々な祭りがあり、ネパールはお祭りが多いことで知られています。普通の日よりも祝祭日の方が多いと、ネパール人ですら冗談で言っているくらいです。しかし、それらすべてのお祭りには深い意味や目的があり、ネパール人の生活とは切り離せないものです。お祭りの規模は、個人や家庭、地域や国全体のものまでさまざまあり、また時代の変化とともに、その方式や形態、規模なども変わってきました。ネパールの大きなお祭りを2つ紹介したいと思います。 ダサイン祭りは豊穣と生命力を高める ダサインは9月末から10月中旬まで続く、ネパールでは宗教的な国家最大の祭りです。学校は15日間休みになり、銀行や役所なども4日間休みます。海外にいるネパール系民族を始め、多くのヒンドゥー教の人々が毎年この祭りを様々な儀式や行事を行って世界中で祝います。 ダサインは悪魔を叩きのめす強く美しい女神ドゥルガーにちなんで、豊穣(ほうじょう)と人々の生命力を高めることを祈願する祭とされています。祭の期間を家族皆で過ごすために帰省する人もいます。初日は、家の中で最も聖なる場所である台所に植えたトウモロコシに砂をかけ、大麦をまき、水をやり、お祈りをします。これが6日間続きます。7日目には神の力を受ける儀式、悪魔祓い(はらい)の儀式が行われます。8日目には家族が揃って祭のご馳走を食べます。9日目に女神ドゥルガーなどの神々に動物や鶏の生贄(いけにえ)を捧げます。10日目には女神からの祝福のティカ(額に付ける赤い印)を授けてもらい、祭は終了します。もとはヒンドゥ教の祭ですが、最近は仏教徒にも広がっています。 ティハール祭りは華やかな収穫祭 ティハールは「光の祭」として知られる華やかな収穫祭で、ラクシュミー女神を家に迎え、富と繁栄を祈る祭です。初日はカラスの日、2日目は犬の日、3日目はラクシュミー・プジャといわれ「吉祥天女の日」です。4日目は家族ひとりずつの長寿や無事を祈ります。5日目はバイティカと呼ばれ、姉が弟を閻魔大王から救い出すという物語を元に、女性の守護力を男性に与える日、兄弟に供養する日です。 私は筑波学院大学で日本の文化を勉強し、親切な日本人の先生たちと話すことで、日本のことが深く分かるようになりました。絶対日本へ行く、という夢を叶えて本当に良かったと思います。日本に来て故国では見られない、日本式のサービスの良さに気付きました。大学を卒業したら日本のホテルに就職したいと思っています。そして日本で学んだ「おもてなし」をネパールに持ち帰って、日本式のサービスを提供するホテルを経営したいです。(聞き手・鈴木萬里子)

アートの力で「ほうき」の魅力発信 筑波大生 27日から「つくろう展」

【鈴木萬里子】「大穂のほうき」=メモ=として知られる、つくばの伝統工芸ほうき作りを、素材作りから制作過程まで紹介する展覧会「ほうきをつくろう展」が筑波大学の学生らにより、27日から、同市吾妻、つくば市民ギャラリーで開かれる。 ほうき作りは、筑波大芸術専門学群クラフト領域、宮原克人准教授のプロジェクトとして取り組まれている。アート・デザインの力による東日本大震災の復興支援として始まり、昨年から、アート・デザインが地域にどのように貢献できるか、様々な実践をする創造的復興プロジェクトの一環として、「ほうきをつくろうプロジェクト」活動が展開されている。 ほうきは主にホウキモロコシ(ほうき草)とコキアから作られる。授業では、つくば市大穂でほうき工房を構える酒井豊四郎さんの畑を借り、酒井さんの指導のもと、学生らがホウキモロコシの種まきから収穫まで取り組んだ。コキアは坂東市の県農業大学校で育ててもらった。 さらに全国各地でほうき作りのワークショップを開いてきた。岐阜県白川郷にも出掛け、主婦グループと白川郷のカヤでほうきを作り土産にするアイデアを話し合った。「昨年は各地でワークショップを開き、たくさんの人にほうき作りを知ってもらった。今年はほうき作りを根付かせることを目標にしている」とメンバーの一人、芸術専門学群4年生の速水一樹(22)さんは話す。ほうきの作り方も研究を重ね、簡単に作れて丈夫、使いやすいほうきを紹介している。自然の素材を使った、自分だけの道具作りをする楽しさがあるという。 展覧会は昨年に続き2年目。今展のテーマは「ほうきづくりの過程を知ってもらおう」。ホウキモロコシやコキアのほうき約50点のほか、ほうき作りの材料や道具を展示する。来場者が体験する「ほうきづくりワークショップ」も開かれる。速水さんは「手間暇をかけて自分の手で一から作り上げると、愛着がわいて使うのが楽しみになる」と話し、多くの人の来場を呼び掛けている。 ◆会期は12月2日(日)まで。開館時間は午前10時~午後5時(初日は午後1時開館、最終日は午後1時閉館)。ほうきづくりワークショップは12月1日(土)午後1時~3時(受付午後12時30分~1時)。問い合わせは宮原さん(電話029・853・2843、メールmiyahara@geijutsu.tsukuba.ac.jp) ※メモ 【大穂のほうき】つくば市大穂地区で作られているほうき。県の郷土工芸品に指定されている。明治時代後期、栃木県鹿沼で奉公をしていた中島武平が、ホウキモロコシの種を持ち帰り、栽培と生産が始まった。大正から昭和には全国に出荷されていたが、電気掃除機の普及で需要が大きく減少した。

「日本の風景 感動共有したい」 土浦の異色画家 洞峰公園で油彩画展

【鈴木萬里子】定年を迎えた10年前に絵を描き始めた土浦市在住の異色の画家、加賀宏義さん(78)の油彩画展がつくば市二の宮の洞峰公園筑波新都市記念館で開かれている。県内など近隣の自然美を追い求めた作品を中心に、50号の大作3点を含む57点が展示されている。 洞峰公園の紅葉を描いた作品などが、激しい色彩や、たおやかな色使いで描かれている。入口正面に飾られた50号の大作「茅葺き(かやぶき)農家」「怒涛(どとう)の海」の2作は特に圧巻だ。会場中央の40号「せせらぎの音」は森の中から流れ出る水を、幾重にも広がる緑を背景に描いた。 加賀さんは独学で絵を描き始めたが、3年後の2011年に初めて新極美会の公募展に30号「廃墟」を出品した。「その作品で新人賞を得たことで自信がつき、今につながっていると思う」と話す。 東京で勤めの傍ら、絵画展や銀座のギャラリー巡りを趣味にして、画家の筆使いを熱心に観察したのが、今の土台となっているという。いとこが著名な日本画家、信太金昌(しだ・きんしょう=故人)なのも画家を志すのに影響した。 これまでに個展やグループ展などを多数開き、精力的に絵を描く姿勢が評価されている。今展について「日本の美しい風景、感動する風景を自分なりに描いている。観た人と感動を共有したい」と話した。 来場したつくば市の60代男性は「見ている人の心をわしづかみする絵だと思う。大胆なのに、きめ細やかさ、色の出し方など、すべてを極めていて作者の感性のすごさを感じる」と話した。 ◆会期は28日(水)まで。入場無料。開館時間は午前9時~午後5時(最終日は午後3時)問い合わせは加賀さん(電話080・2066・8567)。

貴重な野生ラン、最新の園芸品種など500点公開 世界有数 筑波実験植物園で企画展

【鈴木萬里子】世界有数の野生ラン保全施設として知られる国立科学博物館 筑波実験植物園(つくば市天久保)で18日から「つくば蘭展」が開かれている。温室では、同園が収集した品種の中から、開花中の世界の珍しい野生ラン約200点が公開されている。ほかに協力団体の会員が育てた最新の園芸品種や貴重な古典品種など約300点、計約500点が展示されている。 昨年同園は、絶海の秘境、南硫黄島で自然環境調査を実施し、約80年前に絶滅したと思われていたシマクモキリソウとムニンキヌランを再発見した。発見の経過や南硫黄島のランの最新研究の成果などがポスター展示されている。花茎が2㍍以上伸びる巨大なニューギニアのランも今回、国内で初めて公開された。 初日の18日は朝から来場者がひっきりなしに訪れ、にぎわった。蘭展は「きのこ展」と並び同園で最大の人気を誇り、毎回シニア世代を中心に4000人近い来場者があるという。 世界の貴重な野生ランが公開されている温室で、展示を熱心に見ていた下妻市の70代の女性2人は「こんな貴重なランを知ることが出来て良かった。研究者の皆さんの努力の結果ですね」と感心した様子で話した。 つくば洋蘭会と水戸市植物公園蘭科協会の会員が丹精込めて育てた、最新の園芸品種や失われつつある貴重な古典品種なども展示されている。入り口では福田初枝さんが栽培した色鮮やかなカトリアンセの花が出迎える。温室内は色とりどりのランが咲き誇り、その艶やかな色彩と香りでむせ返るほど。龍ケ崎市の50代の夫妻は「友達に勧められて初めて来たが、こんなにたくさんのランがあって驚いた。これから栽培を始めてみたい」と話し、1点1点丁寧に見て回っていた。 ◆会期は25日(日)まで、開館時間は午前9時~午後4時30分。会期中は毎日開園。会期中、イベントが多数用意されている。入園料は一般310円、高校生以下と65歳以上は無料。問い合わせは同園(電話029・851・5159) 主な関連イベントは次の通り。▽多目的温室では「らん蘭ガイド」(平日午後3時より30分間)が開かれ、つくばコレクションの中から「世界に1つだけの花」をめぐる物語を聞くことが出来る。予約不要▽20日(火)と21日(水)はランを使ったテーブルディスプレイを参加者と一緒に作る「テーブルディスプレイを楽しむ」が催される。事前予約必要。材料費500円▽講演会「クモキリソウの仲間を徹底分析」が23日(金・祝)午後1時30分から(事前予約必要)、「南硫黄島の自然とラン」が24日(土)午後1時30分から(予約不要)、いずれも研修展示館3階セミナー室で開かれる▽つくば洋蘭会(斉藤正博会長)は会期中の土日祝日にデスクを設け栽培相談を受け付ける▽香りの専門家が展示品を使ってランの香りの魅力を紹介する「ランの香りを感じるツアー」が24日(土)午前11時から多目的温室で催される。事前予約必要▽ランを木や岩に付けて野生の姿で育てるノウハウを紹介する「ナチュラルスタイルでランを楽しむ」が25日(日)午前10時30分から開かれる。予約不要など。

第71回土浦市美術展 市民の力作336点一堂に 18日まで開催

【鈴木萬里子】1947年に始まり県内一歴史のある公募展「第71回土浦市美術展覧会」が、土浦駅前のアルカス土浦(同市大和町)1階市民ギャラリーで開かれている。昨年オープンした同ギャラリーの開館1周年記念として開催された。 主催は同市、同市美術展委員会(坂本淳委員長)など。日本画(31点)、洋画(101点)、彫刻(10点)、美術工芸(43点)、書(101点)、写真(50点)6部門の計336点が展示され、質の高い作品の数々に来場者らから感嘆の声が上がっていた。70代の男性は「毎年楽しみに来ている。このギャラリーは、2年前までの会場とは違う雰囲気があって、観賞するには良い。作品も年々素晴らしくなっていると思う」と話していた。 土、日曜にはプロの作家でもある同会委員が、自作の作品の前で解説するギャラリートークが催されている。11日は自作の書を飯田武弘さんと中川勝子さんが解説した。飯田さんは自作の行書について「一字一字誰にでも分かるように書いた。線を強く出すよう墨も濃くした」など、来場者の質問にも答えながら、丁寧に解説した。中川さんは「平安時代の雅を出すような紙を使っている」と、かな書を分かりやすく解説した。ギャラリートークに参加した60代の女性は「今日は絵を観に来たが、書は絵とは違って墨の雰囲気が落ち着きますね」と話した。 全作品の内、無監査作品85点、公募251点。公募作品の7%に奨励賞が授与され、3回以上の受賞で「無監査出品者」となる。今展の奨励賞は、日本画で受賞した101歳の栗又芳湖さんを始め17人に授与された。つくば市から来場した絵画が趣味だという70代の女性は「土浦の市展は歴史があるだけに作品も素晴らしいものばかり。特に奨励賞受賞の作品には感心して観ています」と話していた。 ◆ 奨励賞受者は以下の通り(敬称略)。 〈日本画〉栗又芳湖「熊野古道」 〈洋画〉石黒加代子「水路」、竹中輝行「妙高山」、塚越孫治「古城のある風景」、吉田美代子「さんぽみち」、若泉健「晩秋の筑波」 〈彫刻〉北沢努「晩秋の筑波」 〈美術工芸〉小島紀行「凸印花大皿 (自然釉)」、雨貝洋子「織り成す美 桜と湖面」 〈書〉齋藤壽峰「出靡時以娯志・入無楽以消憂(曹植)」、鈴木静翠「草かすみのうた」、槇田真水「唐詩」、柳生愛香「雲消ゆる」、矢口恭子「いまさくら」 〈写真〉庄子一男「心 灯」、高木紀英「羨望の眼差し」、髙橋政男「一意専心」 ◆無鑑査出品者推挙 〈日本画〉栗又芳湖「熊野古道 」 〈洋画〉枝村文子「ひとり」 〈美術工芸〉鈴木定吉「焼締壺」 〈書〉山室重洋「身にしみて」 〈写真〉荒井知「捕獲 (オワシ)」 ◆ギャラリートークは、17日(土)午前は日本画、午後は洋画2回と写真。18日(日)午前は書。解説時間は同ギャラリーに問い合わせを(電話029・846・2950)。 ◆入場無料。会期は18日(日)まで。開館は午前10時~午後6時(最終日は3時まで)。

日常にあるもの題材に 「続・平熱日記」の斉藤裕之さん 牛久で個展 11月11日まで

【鈴木萬里子】NEWSつくばのコラムに「続・平熱日記」を連載している牛久市在住の画家、斉藤裕之さんの個展「平熱日記Vol.8」が同市南のタカシサイトウギャラリーで開かれている。 斉藤さんは「日常にあるもの」を題材に、金網を切り漆喰(しっくい)を塗った土台にアクリル絵の具で描く独自の作風が持ち味。多くがはがき2枚前後の小作品だが、色彩の奥行きが深いせいか、大きな広がりを感じさせる。 今展は90年代、フランスに留学していたころの抽象画の作品3点を加えた40点が展示されている。留学当時の作品は偶然アトリエで見つかった。斉藤さんは「当時、夜な夜な描いていたのを思い出した。今の作品と基本的に変わらない。今も当時と同じように描いているなあ」と感慨深そうに話した。 小作品には、山口県の実家から送られてくる瀬戸内海の「いりこ」を描いた6作品が含まれる。「描く題材がない時は、だしに使う小魚いりこを描く。いりこは1つとして同じ形のものがない」。平熱日記展ではおなじみの画題で、作者の確かな目線と描き続ける情熱が伝わってくる。 個展初日に訪れた牛久市の男性(47)は「NEWSつくばの平熱日記を楽しみに読んでいます。斉藤さんの絵はリアル感があり、平面に描いているのに立体的に見える。きっといつか我が家に飾りたい」と話した。 ◆会期は11月11日(日)まで。開廊午前10時~午後6時(月曜休廊。問い合わせは同ギャラリー(電話029・872・8951、ホームページはhttp://www.saitoh-cofee.com) ◆斉藤さんのコラム「続・平熱日記」は毎月第2,4火曜日に掲載。常陽新聞発刊当時からコラムを担当されたが、昨年休刊してNEWSつくばとなり「続・平熱日記」とした。ひょうひょうとした人柄が描き出すエッセイは面白いとファンが多い。

国際色豊か 学園祭にぎわう 筑波学院大 英語コンテストは竹園高生優勝

【鈴木萬里子】筑波学院大学(つくば市吾妻)の学園祭「KVA祭」が27、28日に催され、大勢の来場者でにぎわった。27日は英語スピーチコンテスト(KVA CUP)が行われ、小学生から社会人まで38人が5部門に分かれて英語のスピーチ力を競った。高校生の部では地元、県立竹園高校の稲葉有紗さんが優勝した。 出場者の英語力は非常に高く、特に高校生以上は審査員の質問にも的確に答えるなど、素晴らしいスピーチ力に聴衆から感嘆の声が上がっていた。子どもに持たせるべきか賛否両論があるスマートフォンをテーマにスピーチし、世界に発信できる道具として必要だと訴えた高校生もあった。 英語スピーチコンテストの優勝者は次の通り。 ▽小学生の部=宮本みゆさん(柏市立柏第四小学校)▽小学生帰国子女・マルチカルチャーの部=クシャドア クシュヌラさん(リバティー・インターナショナル・スクール)▽中学生の部=春山菜々見さん(私立渋谷教育学園渋谷中学校)▽高校生の部=稲葉有紗さん(茨城県立竹園高校)▽大学生・社会人の部=齋藤兼司さん(自営業) 国際色豊かなイベント多数 同大前広場には模擬店が多数並んだ。留学生によるアジア各国の料理も大繁盛で、特にベトナム料理は生春巻き、フォー、ブンーチャを売る3店が並んだ。常総市から来た70代の女性4人は「毎年KVA祭を楽しみに来ています。普段食べられない料理がたくさんあって、非日常を楽しんでいます」と笑顔だった。 野外ステージも設けられ、沖縄創作エイサー、よさこいソーラン、ジャグリングなどの熱い演舞が行われ、大きな拍手が起きていた。 各教室では写真部、華道部ほか多数の展示が行われた。留学生が学ぶ国際別科の日本語教室では、ユネスコ無形文化遺産に登録されたインドネシアの伝統楽器「アンクルン」に触れることが出来るコーナーが設けられた。牛久市の小学生3人がさっそく挑戦し「音がきれいでびっくりした」「持つのは重いけど音が出ると楽しい」と話していた。 お化け屋敷の前には行列ができ、千葉県から両親と来た小学生2人は「こんな怖いお化け屋敷は初めて。夢に出そう。でも面白かった」と満足気だった。 子どもたちがブラインドサッカー体験 人工芝のサッカーグラウンドでは28日、地元サッカークラブ「つくばFC」と、視覚障害者が学ぶ筑波技術大学(つくば市天久保)のサッカーチームによるブラインドサッカー体験会が催され、日本代表強化指定選手でもある同技術大3年、山川聖立選手(22)ら選手8人が直接指導した。初めてブラインドサッカーに挑戦し、転がると音が鳴るボールをアイマスクをして蹴った保育園児の長山琉巳ちゃんは「楽しかった」と話し、同FC広報の吉田隼也さんは「2020年の東京パラリンピックの正式種目になるので、知ってもらう機会になれば」と話していた。

高齢者と保育園児 毎日交流し楽しみ共有 葛城デイサービスセンター

【鈴木萬里子】つくば市西大橋寺前、葛城デイサービスセンター(石川佳一施設長)では、利用者の高齢者と、隣接のかつらぎ保育園(舘野清子園長)園児らとの交流が毎日行われている。午後のひとときを一緒に過ごし、互いに刺激を受け、楽しみを共有するユニークな試みだ。 同センターは1998年に創立され、当時から高齢者と園児との交流を大切にしてきたという。午後3時のおやつの時間になると、保育園の年長児5人が交代でやってくる。一緒におやつを食べて、ゲームをするなど世代間の交流を自然な形で行っている。壁には園児らの顔写真が貼られていて、名前をすぐに覚えっられるように工夫されている。 園児の1人は「家にもじいじとばあばがいるけど、ここにもたくさんいるので来るのが楽しい」と笑顔で話してくれた。高齢者からは「毎日子どもと触れ合うのが楽しい」「びっくりするくらい大人みたいなことを言うので驚く」などの声も聞かれた。一点を見つめて無口だった男性が園児の話にうなずく様子も見られた。石川施設長は「子どもには高齢者の笑顔を引き出す力があり、皆さん自然に笑顔になる。核家族化が進んで高齢者と触れ合う機会の少ない子ども達にもいい経験になると思う」と世代間の交流の効果を語った。 ソプラノ歌手招き音楽会も 24日は「世代間交流イベント—童謡・唱歌を一緒に歌いましょう」が、同保育園のホールで催された。園児とお年寄り約130人が集い、楽しいひとときを過ごした。 出演はNPOポポロ(日本と世界の愛唱歌をうたう会)。NHK教育テレビで「うたのおねえさん」として活躍したソプラノ歌手の山田昌子さんら3人のステージだ。石川施設長が以前ポポロのコンサートを聴いたことがあり出演を依頼した。 披露されたのは童謡と唱歌を中心に全16曲。園児たちとお年寄りが唱和した。園では普段から童謡を歌ったり唱歌をよく聞いているそうで、どの子も飽きることなく楽しそうだった。 デイサービス介護士の一人は「利用者は歌が好きな人が多いので、とても楽しそう。耳の遠い人も口ずさんでいたので安心しました」と笑顔になった。石川施設長は「地域の皆さんが施設を見に来るのはハードルが高いと思う。この様なイベントの機会に来てもらい、サービスや考え方を実際に見てもらえたら」と話している。

流域関係者が課題共有 世界湖沼会議霞ケ浦セッション

【鈴木萬里子】つくば国際会議場(つくば市竹園)で開幕中の「世界湖沼会議」4日目の18日は「霞ケ浦セッション」が行われた。持続可能な生態系サービスに向けた具体的な行動に連携して取り組むため、霞ケ浦流域関係者が霞ケ浦の抱える様々な課題を共有した。 セッションには13人から事例発表があった。「取り組みの現状や課題解決に向けた展望」として登壇した県生活学校連絡会会長の藤原正子さんは、日本の食品廃棄の約半分が一般家庭からの廃棄だとして、捨てられる食品を少なくし、食品ロスや廃棄食材について考えようと訴えた。賞味期限を過ぎた食材でも五感で判断して食べる工夫をしようなどと語り、食べ切り、使い切りのエコ料理ワークショップを開いている取り組みも紹介した。 事例発表後の質疑応答では、中国から来日した参加者からハス田に使う農薬や水質について質問などがあり、発表者と意見交換がなされた。 大ホール前ロビーでは35の団体や個人によるポスター発表が行われた。日本野鳥の会会員で土浦市の金澤まち子さんらは、霞ケ浦周辺のハス田の野鳥除け防鳥ネットにからまって死んだ野鳥などの写真を掲載し、人と野鳥の共存、生態系を守ることを訴えた。 日本野鳥の会茨城支部の資料によると2014年から5年間で7000羽強の野鳥の羅網死が確認されている。防鳥ネットを開けっ放しにせずきちんと張れば被害は防げるとし、ネットの正しい使用を呼びかけた。ポスター前には多くの参加者が訪れ、痛々しい野鳥の羅網死の写真にくぎ付けになっていた。 霞ケ浦セッションの日とあって、会場には流域の市民団体が多数参加した。潮来市から来場した潮来市地域女性団体の20人は「霞ケ浦を汚す一因ともなっている家庭排水の問題に取り組んでいて、廃油から作った粉せっけんを販売している」と話し、熱心にポスターを見て回っていた。 会場1階受付前には県の特産品である結城紬のブースが設けられ、着物の着付けのパフォーマンスがあった。海外からの参加者がうれしそうに袖を通す姿が終日見られた。

認知症抑制へ ロボットセラピーを研究開発 筑波学院大 板井准教授

【鈴木萬里子】認知症が原因で、生活上の混乱や周囲とのトラブルが発生している。その要因の一つがコミュニケーション量の低下による「社会的孤立」だ。筑波学院大学(つくば市吾妻)経営情報学部の板井志郎准教授(40)はロボットセラピープログラムを開発し、認知症高齢者らの集団的コミュニケーションの実践に取り組んでいる。 「ロボットセラピープログラムに認知症高齢者が参加すると、コミュニケーション量が平均で10倍以上増加し、認知症の抑制効果が期待できるんです」と板井准教授はいう。 ロボットセラピーは、人がロボットと触れ合うことで、楽しさや心地よさを感じて癒されること。アニマルセラピーは知られているが、動物はアレルギーなどの問題もある。ここ1~2年、北欧ではロボットセラピーが普及してきているという。「日本ではまだ広がっていないが、自分はやる価値があると思っている」と研究への情熱を語る。 授業では、学生らと実際にグループホームを訪れ、高齢者にロボットセラピー活動を実践している。認知症の高齢者とロボットが1対1ではコミュニケーションが促されにくい。しかし集団の中でロボットを活用することで、コミュニケーションを生み出すことが出来るという。 後期の授業では、市販されている小型の人型ロボット「NAO(ナオ)」を、学生たちがプログラミングしてセラピーに使う予定だ。「学生のやる気をどううまく引き出せるかが課題」だと、時代を創る若者育成にも前向きに取り組む。 ロボットは人を手伝い、人の役割の一部を代わってやることが出来る。「ロボットがどう人間を支えていくのかが重要。人間とロボットの分業化を考えている」と話し、コミュニケーションのないところに、ロボットの存在をきっかけにしたコミュニケーションを生み出す研究に邁進する。 阿見町出身。土浦一高を経て早稲田大学へ。大学では「間合いの研究」を約10年間行い、その後コミュニケーションの研究に入った。「コミュニケーションはそれ自体を生み出すのが一番難しい。コミュニケーションを生み出すため、ロボットを使った研究に入った」と自らの研究テーマについて語る。

独特の書体 書家・鈴木赫鳳さん 日展受賞作品と近作 つくば

【鈴木萬里子】第21回筑波銀行ギャラリー企画展「気韻とロマンを求めて 書家・鈴木赫鳳展~日展特選受賞作品を中心に筆跡と近作~」が、つくば市竹園の筑波銀行ギャラリーで開かれている。 高萩市在住の鈴木赫鳳(かくほう)さん(68)は、1989年日展に初入選し、2014年と16年には特選に選ばれている。読売書法展でも2年連続の準大賞を受賞するなど茨城の書道会を牽引する書家の一人。会場には日展特選作品のほか、掛軸六幅組、六曲屏風(ろっきょくびょうぶ)、巻子(かんす)など全57点が展示されている。このほか貴重な印材や愛用の文房四宝(筆、墨、硯、紙)も多数出品されており、興味深い展示になっている。 赫鳳さんは書家の鈴木雲鳳氏を父に持ち、書に囲まれて成長した。大学卒業後は建築家を目指し建築関係の会社に就職した。「サラリーマンでは書に時間が取れない。本格的に書に力を入れたい」と、36歳の時に建築事務所を立ち上げた。同年、日本芸術院賞の書家、故殿村藍田(らんでん)氏に師事し、鎌倉まで通い指導を仰いだ。その2年後、早くも日展に入選するなどの経歴を持つ。 書は芸の道であり、芸の到達点 書と建築は全く異なる世界の様に思われるが、赫鳳さんは「書も建築の設計図も真っ白な紙にゼロから書いていく。無から作り上げていく工程が両者に共通している」と話す。無から何を書き出すのかが重要なのだという。「書は芸の道であり、芸の到達点。文字を媒体とする書道を、芸術として皆さんに面白いと思ってほしい。私自身も芸術により近づいていきたい」と話した。 会場には行草体の作品が多く並ぶが「漢字ばかりではなく観る人に楽しんでもらいたい」と急きょ書いた、かな交じりの調和体の作品も展示され、運筆の美しさが際立つ。土浦から来場した60代の女性2人は「文字の線が素晴らしい。線質に迫力があって、さすがだと思う」「独特の力強い書体の中に繊細さがあって面白い」と話していた。席上揮毫(きごう)が7日(日)、8日(日)午前11時より行われる。 ◆会期は28日(日)まで。午前9時~午後5時(土・日・祝日も開館)問い合わせは筑波銀行地域振興部(電話029・859・8111)まで。

20年来の作品を初お披露目 土浦市民ギャラリーで「木目込み人形展」

【鈴木萬里子】土浦市の亀城プラザを拠点に活動している「木目込・手芸同好会」(代表・中野かすみさん、島田幸子さん)による初の作品展「木目込人形・手芸同好会展」が、28~30日の3日間、同市大和町の市民ギャラリーで開かれる。 会員10人が、20年来、活動を続ける中でそれぞれ作り上げ、箱に入れて家の中にしまっていた作品を、今回、市民ギャラリーがオープンしたのをきっかけに初お披露目する。1人10点以上を持ち寄り、100体を超える作品が並ぶという。 会は20年以上前に結成された。会員は現在、60代半ばから83歳までの10人。当初は講師の指導を仰いでいたが、講師が高齢になり、3年前から経験の長い会員が教え合うなどしている。 木目込み人形は、木製の人形に、衣服の形に筋彫りを入れ、布を押し込んで衣服を着ているように仕立てた人形。約250年前の江戸時代中期、京都上賀茂神社が発祥といわれる。 会員らは、既成の人形を土台に、自分の仕上げのイメージに合わせて筋や溝を彫り、衣装を着ているように仕立てる。「十二単(ひとえ)を着たおひな様の襟元を合わせるのが特に難しい」と会員の一人は話す。人形の衣装は、古布、絹の端切れや化学繊維までいろいろある。溝の彫り込み方や着物の柄などに作り手の個性が色濃く出るという。 島田さんは「これだけたくさんの木目込み人形が並ぶのは珍しいと思う。是非見てほしい」と話し、中野さんは「伝統技能なので次の世代に残していきたい」と語る。 ほかにハワイアンキルト、ちぎり絵、パッチワークのバックなど会員の多彩な手工芸作品も展示される。 ◆同展は30日(日)まで。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は午後3時まで)。入場無料。問い合わせは同ギャラリー(電話029・846・2950) ◆会の活動は毎月第2、4月曜午前10時~午後3時、土浦市亀城プラザ。見学自由。問い合わせは同プラザ(電話029-824-3121)

《留学生エッセー》13 他の民族を学び互いに成長

経営情報学部 ビジネスデザイン学科2年  ウン・イーチャン こんにちは、私はマレーシアのペナン島から来た、ウン・イーチャンです。みんなは私のことをエルビスと呼んでいます。ペナン島は2008年、世界遺産に登録された美しい島で、おいしい食べ物やきれいな建物がたくさんあります。 たくさんの文化を吸収 多民族国家マレーシアにはマレー系、中華系、インド系が暮らしていますが、私は中華系です。私たち中華系は生まれた時から、中国語、マレー語、英語の3つの言語を勉強しなければなりません。他の国の人から「なぜ3つも勉強しなければいけないのか」と聞かれます。それはマレーシアが多文化の国だからです。他の民族を勉強しながら互いに成長する、という形になっています。 日本には日本古来の文化がありますが、マレーシアには独自の文化があるかどうか、私には分かりません。「マレーシアの民族服は何ですか」と聞かれたことがありました。マレーシアで生まれた人でも答えられないと思います。なぜなら、マレーシアは他のたくさんの国の文化を吸収して成長した国だからです。中華系の人の服装は中国のチーパオ(チャイナドレス)です。インド系は現在のインドの服装とあまり変わりません。マレー系はインドネシアの服装と似通っています。私はマレーシアで生まれたけれど、自分の国の文化がどのような感じかと聞かれても、簡単には答えられません。   アニメで日本語覚えた 私が話せる言葉は中国語(北京語)、広東語、英語、日本語、台湾語です。日本語は、子供の時、日本語で放送されていたテレビアニメを見て覚えました。マレーシアから日本に来てもう3年が経ちました。でも時々間違えていないか心配になります。 私がなぜ日本に留学したのか。実は高校を卒業する前まで、どこの国に留学するのか迷っていました。そこで高校の留学相談の顧問の先生に相談しました。先生は「中華系の学生は大体台湾を選ぶ」と言いました。台湾を選ぶのは、新しい言語を学ぶ必要がないからです。それにマレーシアと台湾の物価があまり変わらないので生活も楽です。留学希望の学生は一番楽な方を選びます。でも先生は日本語の出来る私に、日本への留学を薦めてくれました。 日本で起業したい 日本は四季がありますが、マレーシアは夏だけです。日本に留学を決めた時、日本がこんなに寒いとは思いませんでした。今でもまだ日本の寒さには耐えられません。 日本人の考え方は(頭が)固いと思います。良く言えば規則を良く守ります。でも反対の意味なら柔軟性がないとも言えます。マレーシアは気楽に考える人が多いと思います。 1年間、東京の日本語学校で学んだのち、筑波学院大学に入学しました。学院大はITデザインの勉強ができるので、自分の将来に役立つと思ったからです。東京から来た時、つくばはすごい田舎だと思いました。でも住んでみると自然が多く街もきれいで、今ではつくばに来て良かったと思っています。 私は経営に興味があり、将来は日本でIT、ゲーム、アニメーションの会社を起業したいと思っています。マレーシア人だからマレーシアに帰るのではなく、日本で頑張りたいと思っています。(聞き手・鈴木萬里子)

「本物の手作り作品見てほしい」 つくばのステンドグラス作家が2人展

【鈴木萬里子】つくば市在住のステンドグラス作家田崎慶三郎さんが、妻で衣服リメーク作家の昭子さんとコラボし「ステンドグラス・衣服リメイク2人展」を、15~17日の3日間、つくば市吾妻のつくば市民ギャラリーで開く。 慶三郎さん(77)は昨年まで都内の照明器具会社に特注品を卸していた。特注品製作が終了したこともあり今回久しぶりに個展を開く。「これからは地元を見据えた活動をしていきたい。地元の作家が手作りした本物の作品を見てほしい」と慶三郎さんは話す。 慶三郎さんは東京世田谷で会社員生活を送っていた40歳の時に、ステンドグラスと出合った。透過光によって美しく映えるステンドグラスに魅了され、独学で勉強を始めて2年後、自宅近くに工房を開き独立した。会社員に未練はなかったという。 そして好機が訪れた。制作の合間にふらっと訪れた浅草で台東区に本社のあるシスター照明の会長と出会った。会長所有の大正期のステンドグラスの修復を手掛け、技術の高さが認められて、親会社で照明器具会社の老舗、ヤマギワ照明からも、ランプスタンドやランプシェードの特別注文を長期にわたって受けるようになった。三越日本橋本店、帝国ホテル、能楽堂銀座など都内で個展も開いた。慶三郎さんは「会長との奇跡的な出会いが全てだった」と振り返る。 手先の器用な慶三郎さんは、ランプスタンドの土台になる鉄ベースを自分で作りたいと、ガス溶接技術を習得。鉄の創作に熱が入った2000年、住まいを筑波山麓に移し鉄の工房を開いた。05年土浦市飯田に工房を移転し、幻想的なステンドグラスの製作を続けている。 一方、妻の昭子さんは明治時代の着物や羽織に興味があり、洋服にリメークして楽しんでいた。それを見た人からの引き合いが多くあり、教室を開くなど活躍の場を広げた。2人展では昭和後期の品質の良い絹の着物をおしゃれ着にリメークして出品する。「個性的なおしゃれを楽しんでもらえたら」と話す。 ◆会期は15日(土)~17日(月)、開館時間は午前10時~午後4時30分(最終日は午後3時まで)、入場無料。問い合わせは田崎クラフト(電話080・3029・4138) ◆次回2人展は11月28日(水)~12月1日(土)土浦駅アルカス1階市民ギャラリーで開く。

写真に魅せられた10年の回想録展 9日まで 県つくば美術館

【鈴木萬里子】土浦市の塚本留蔵さん(68)がジャンルにこだわらず、気が向くままに撮った写真展「塚本留蔵10年間の回想録展」が9日(日)まで、つくば市吾妻の県つくば美術館で開かれている。 塚本さんが写真を撮り始めたは子どもが誕生した35歳の時。最初は子どもの成長を記録するためだったが、次第に写真に魅せられたという。2008年、土浦市が主催した写真教室に参加したのがきっかけとなり、この10年間は写真一筋の生活を送った。入会するのが難しいとされる公益社団法人日本写真協会会員を始め、東京と茨城の4団体に所属し活動の幅を広げている。 撮り続けながら数々のコンテストに応募し、10年で80もの受賞歴がある。国際写真コンテスト「ニコンフォトコンテスト」の一部門で、初心者のために年4回開かれる「ニコンチャレンジフォトコンテスト」に08年に応募、年間賞第1位を受賞した。塚本さんは「この受賞が写真を続けられた原動力になった」と振り返った。 今回の写真展は塚本さんが10年間に撮りためた中から、風景、富士山、スナップ、花、ハッセルブラッドで撮影した作品に分類した計66点が展示されている。特別展示として塚本さんも所属する、ハッセルブラッドフォトクラブ会長、三宅みね子さんの作品3点も展示されている。会場中央にはA4サイズのファイル5冊に入った写真が並べられている。気に入った写真は持ち帰り自由とあって、来場者の輪が出来ていた。 作品の半分はフィルムカメラで撮られていて、精密なデジタルカメラとは違った、味わい深い雰囲気が漂っている。塚本さんの同級生で千葉県から娘さん二人と来場した女性は「写真と分かっているのに絵に見えるのもある。一瞬の表情を切り取ったものもあり、とてもきれい」と話していた。土浦の清藤雅宏さん(70)は「いろいろなアングルの迫力ある写真が多い。外国の情緒を見事に表現している作品も目を引く」と話していた。 塚本さんは「感動を伝える写真づくりを目指してきた。今展は10年間の集大成として自分の力作を出品している。観る人に感動を与えたいし、楽しんで観てもらえるのが幸せ」と話した。速度をゆるめずに撮ってきたが、これからはゆっくりと楽しんで撮っていきたいそうだ。 ▼9日(日)まで。午前9時30分~午後5時(最終日は午後3時まで)、入場無料。 【ハッセルブラッド】スウェーデンのカメラメーカー。世界で初めて携帯に便利な中判一眼レフカメラを発表した。

《学生インタビュー》12 「苦労を乗り越えた人だけが成功者に」を実感

ロボットの人工知能の学びや、人間とロボットの関わり合いに興味があった筑波学院大学3年の永田天翔さんは、経営情報学部ビジネスデザイン学科板井志郎准教授の「情報デザイン演習F1(情報コンテンツの活用)」を4月から7月まで受講した。授業は座学が中心だが3回ほど土浦市宍塚のグループホームだんらん(社会福祉法人欣水会)で、実践授業のロボットセラピー活動に参加した。 経営情報学部ビジネスデザイン学科3年 永田天翔(てんしょう)さん 茨城県立藤代高校出身 ーなぜ筑波学院大を選んだのですか。進学した動機を教えてください。 ロボットやロボットを動かす創造的なプログラミングに興味がありました。筑波学院大にはそのプログラムが多いので、やりたいことが出来る学校だと思って選びました。入学後それを実感し、進学して良かったと思いました。その上、熱心で細かい指導をしてくださる先生が多いと思います。 ーロボットセラピー活動とはどのようなものですか? 動くロボットへの関心をきっかけに、人間同士のコミュニケーションを生み出すというものです。グループホームでの実践では、最初の20分間、人形型、アザラシ型、ネコ型などのロボットで高齢者とお話しをしたり、歌を歌ったりして会話のきっかけを作ります。ロボットは高齢者世代の歌を歌うように作られています。次に犬型ロボットのアイボを使い、高齢者と一緒にラジオ体操や玉入れをやりました。2組に分かれて競う玉入れが、高齢者には一番うけていました。 ー活動の感想を聞かせてください。 ロボットをきっかけに認知症の高齢者と会話をするのが最終目標でしたが、なかなか噛み合いませんでした。実践授業後に仲間と反省会をして、次回に生かそうと努力しましたが、改善することは難しかったです。高齢者との会話が噛み合わなくて苦しくなると、ロボットに歌わせて、頼ってしまったのが反省点です。 ーこの授業で得たものは何でしょう 高齢者とコミュニケーションを取るには、自分の視野が狭いと可能性が低くなってしまうと思いました。その反省から高齢者を含め多くの人々が欲しているもの、必要なものを自分なりに考えるようになって、視野が広がったと思っています。授業ではうまく行かないことが多くありました。その経験から、ロボットを作る人の苦労を感じました。苦労を乗り越えた人だけが成功者になれるのだと実感しました。 ー将来の目標は? 僕たちは2020年、オリンピックの年に卒業します。時代の流れがぐっと変わる年かもしれません。今は自分のスキルを磨いて、やりたいことをやる為の準備をする段階だと思っています。僕は物を作るのが好きです。作る側の好みではなく、使う人の視点が必要だと思います。作り手の自己満足ではなく、生活がもっとしやすくなる道具作りをして、人の役に立つことをしていきたいと思います。 (インタビュアー:鈴木萬里子)

40年ぶりの2人展 土浦市民ギャラリー

【鈴木萬里子】「安東克典×西丸式人(さいまる・のりと)二人展」がアルカス土浦(同市大和町)1階の土浦市民ギャラリーで開かれている。共に土浦一高、東京芸術大学で学んだ先輩西丸さんと後輩安東さんが、学生時代に1度だけ開催した二人展を40年後の今、再び開いた。現在2人は都内在住だが、故郷土浦に市民ギャラリーが誕生したことがきっかけで再び組むことになったという。 安東さんは人生の深みを描いた肖像画と心象風景を描いた色鉛筆画34点を、西丸さんは最新作を含む水彩画36点の計70点を展示している。 安東さんは資生堂宣伝部に所属し、デザイナー、アートディレクターとして「君のひとみは10000ボルト」など数々のキャンペーンに携わった経歴を持つ。2004年頃から水性色鉛筆で描く「心象画」を発表し、現在「生きる」をテーマに作品を描いているという。「一般に想像されるのとは違った、色鉛筆で重厚な作品作りをしていきたい」とも話していた。 西丸さんは水彩アーティストとして毎年、都内を始め各地で個展やグループ展を開いている。現在彩画会アスールを主宰し、多数の書籍出版がある。毎年国内外を問わず写生ツアーを主催している。開催初日の17日には東京教室の生徒を多数連れ、絵画鑑賞後に同市川口のラクスマリーナで写生会を実施したという。 土浦駅前にオープンしたばかりの同ギャラリーを見に来て同展に立ち寄ったという千葉県柏市と松戸市の70代の女性2人は「人物を描くのは難しいのに、やっぱりプロは違うと実感した。素晴らしい」「色彩がとてもきれい。作者の目線が面白い」と述べ「これからもプロの作品展があれば常磐線1本なので訪れたい」「駅もきれいだし1日楽しみたい」と話していた。土浦市の60代の男性は「絵の新鮮さ、いきの良さが感じられる」と話した。 ◆会期は22日(日)まで。開館時間は午前10時~午後6時(最終日は4時まで)。入場無料。作品は全て購入可能。原画だけでなく、デジタル印刷のジグレー版画も購入できる。問い合わせは安東さん(電話090・2331・1473)、西丸さん(電話03・3451・0345)

生徒70人の水彩・色鉛筆画ずらり 県つくば美術館

【鈴木萬里子】「アトリエ・ハートタイム展ーこれから絵を始めたい人の為の水彩画と色鉛筆画の教室」が18日、県つくば美術館で始まった。主宰者の田中己永(みのり)さんは土浦、石岡、東京で水彩画の教室を多数持つ水彩画家で、書籍も複数出版している。才能、感性、基礎力に関係なく誰でも楽しく描ける技術の指導には定評がある。今回は田中さんと、色鉛筆画講師三上詩絵さん両方の生徒の作品を合わせた展覧会となっている。 同展の第1回は2007年に10人が参加して開かれた。今年で12回目となり、参加者も約70人と大幅に増えた。今展の作品は一人2~3点を出品し、水彩画174点、パステル画と色鉛筆画の39点、計213点が展示されている。来場した阿見町の80代女性は一つひとつ丁寧に見て回り「昨年より作品がのびのびとしていてとても良い。題材の選び方にも個性が良く出ている」と述べた。友人の作品を見にきたつくば市の60代女性は「プロを超えた素人と感じる作品が何点もあって見応えがある」と話していた。 田中さんの教室はリタイアして第2の人生を楽しむ人が多くいることから、楽に描ける、誰でも描ける描き方を教えている。意外と難しいオーソドックスなデッサンはやらないという。田中さんは「光と影が表現出来れば良しとしている。夢中になって遊ぶ子どものように、絵に夢中になり一歩ずつ達成感を味わえるように教えていきたい」と話した。三上さんは「作品展を見て教室に入った生徒が多い」と語り「色鉛筆でも絵画的な表現ができる。入り口は楽だが描くと奥が深く、どんな表現でも出来る色鉛筆画を見てほしい」と話していた。 ◆会期は22日(日)まで。開館時間は午前9時30分~午後5時(最終日は3時まで)。田中さんと三上さんがが実際に絵をかくデモンストレーションが20日(金)午前10時~正午(色鉛筆画)と午後2時~4時(水彩画)に実施される。問い合わせは田中さん(電話090・1203・2439)。入場無料

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