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種子法
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種子法廃止って何? 将来、高騰警戒 県「これまで通り生産」も外圧注視
2018年10月25日
【山崎実】「種子法廃止って何?」—今、都市、農村部を問わず、種子法廃止がホットな話題になっている。政府は今年2月、民間活力の導入を理由に同法を廃止。農業の現場や消費者からは「将来、外資系を含む民間企業の参入で種子価格が高騰、ひいては値上がりが続くのでは」と警戒する意見がある。一方、種子生産当事者である県は「基本的にはこれまで通り、県が責任をもって生産するので心配はない」(県産地振興課)としている。 種子法は、戦後の食糧安定供給のため、稲(コメ)、麦、大豆3品目の種子を、国、都道府県が責任をもって生産、普及することを目的に制定された。稲のコシヒカリ等、身近な品種は都道府県のオリジナルとして同法に基づき開発されてきた。 ところが、産地間競争の激化に伴い、民間開発の種子も奨励品種に採用する道を開けるべき(民間活力の導入)との意見が出てきたため、政府は規制改革の一環として同法の廃止を決め、国会も通過し成立した。県内でも既に一部地域で「ミツヒカリ」「とねのめぐみ」等、民間開発の種子による稲が作付けされているが、限定的かつ契約栽培の域を出ていない。 この主要農作物種子法廃止の動きは全国的に影響を与え、茨城県内でもJAグループや県採種部会協議会等から「法廃止後も、優良な種子の安定確保のため、引き続き県が現行の役割を担ってほしい」旨の要請が出ていた。そこで、県は今年3月23日付けで新たに「茨城県稲、麦類及び大豆種子の生産と供給に関する要綱」を策定。従来通り、関係機関と連携して種子生産に取り組むことにした。 法廃止後も条例で対応しているのは、埼玉、新潟、兵庫の3県のみ。茨城県と同様に要綱を定めて種子生産を継続する道府県は41に上るという。 不安要因はないのか。県が指摘するのは、外圧だ。理由は、この問題がTPP(環太平洋経済連携協定)の協議事項に含まれているためで、米国等との交渉の行方も気がかりなところ。「種子をめぐる国際的な圧力だけは注視していく必要がある」と同課。現時点で「心配はない」とはいえ、県は今後の推移を注意深く見守っている。
《邑から日本を見る》8 種子法廃止の愚 食の安全より米企業優先
2018年1月22日
【コラム・先﨑千尋】この4月に「主要農作物種子法」(種子法)が廃止される。これは昨年の通常国会で政府が提案した廃止法案が可決成立したからだ。衆参両院の国会審議に費やされたのはわずか11時間半だった。 種子法は1952年に「国・都道府県が主導して、基礎食料である稲などの優良品種の生産・普及を図ること」を目的に作られた。同法により、各都道府県は、原種や原原種の生産、奨励品種の指定などを行ってきた。民間にも門戸を開いているが、地域の実態に合った息の長い品種の開発には試験場などの役割が欠かせない。本県にも農水省直轄の試験場や研究機関、県の試験場、研究所がある。 廃止の理由を農水省は、種子法が民間企業の参入障壁になっている、民間活力を活用するうえで種子法は邪魔な存在だというのだ。 実際には農家は高額な種子を買わなければならなくなることが懸念される。かつては野菜の種子は国産だったが、最近はほとんどが海外で生産され、しかも一代限りなので、農家は毎年買わなければならない仕組みになっている。 なぜ種子法が廃止に追い込まれたのか。2013年、日本がTPP交渉に参加した時、安倍晋三首相が訪米して日米並行協議が行われた。その協議で日本政府は遺伝子組み換え作物の販売で有名なモンサント社などの意向を汲み、日本の各省庁に検討させ、必要なものは規制改革推進会議に付託するというレールが敷かれ、種子法がやり玉にあげられたのだ。 種子法の廃止が推進会議のテーブルに載ったのは一昨年10月。国の審議会などを経ることなく、わずか半年という超スピードで法案が通ってしまった。 では、種子法の廃止が農家や消費者にどのような影響を及ぼすのだろうか。 昨年7月、山田正彦元農水大臣らが呼びかけ人となり、有機農家や消費者団体、農協組合長らが手を組み、「日本の種子を守る会」が発足した。守る会は種子法がなくなると、①公共財として守られてきた公共種子を守る制度がなくなる②種子が5倍から10倍の価格になってしまう③モンサントなどの米国企業に種子が独占されてしまう―などの問題点を指摘している。種子の価格が高くなれば当然農産物の価格も高くなり、自分たちはカンケイないということにはならない。 山田さんらは、日本の伝統的な稲作の原種、原原種の情報や施設の民間への提供が促進されることになり、私たちの命綱ともいえるコメが民間資本や外資に握られ、食の安全性が担保できなくなる、と訴えている。「エコノミスト」は、「種子はヘソのようなもの。普段はその存在や役割に思い至らないが、実は食物や農業の先行きを左右する要だ」(2017年11月14日号)と、警鐘を鳴らしている。(元瓜連町長)
種子条例を議員提案へ 県議会 対象作物にソバも
2019年12月3日
【山崎実】4日に開会する県議会第4回定例会に県主要農作物種子条例案が議員提案される。採択されれば全国で13県目の種子条例として来年4月1日から施行される。 稲(コメ)、麦、大豆3品目の種子を、国、都道府県が生産、普及する種子法が、民間活力の導入を理由に2018年4月に廃止されて以来、種子価格や安定的供給に対する危機感が農業関係団体などに広がった。県執行部は「茨城県稲、麦類及び4大豆種子の生産と供給に関する要綱」を定め、従来通り種子生産に取り組む方針を打ち出したが、県議会いばらき自民党政調会(伊沢勝徳会長)を中心に条例化の動きが加速し、パブリックコメントなどを実施してきた。 議員提案される県主要農作物種子条例案は、①県と関係者の連携協力による農業者の所得向上を図る礎となる種子生産②農業大県、茨城として種子生産に取り組むべき作物の位置づけと、優良な品種の育成③高品質種子の安定生産と必要な予算の確保―の3つの視点から施策を推進する。 県独自の取り組みとして、種子生産者など関係機関による種子生産、供給の連携協力、需要が見込まれる安全な主要農作物等を対象とした種子の生産、供給、施策推進のための財政上の措置―などが盛り込まれている。 特に注目されるのは、対象作物に稲、大麦、裸麦、小麦及び大豆に加え、ソバ、その他別に定める作物を位置付け、将来の奨励品種を目指した優良な品種の育成に取り組むことを明文化していることで、幅広い優良種子の生産、供給、確保の構築体制の確立を見据えている。 条例案は全15条から成り、目的、理念、県・種子生産者の役割、奨励品種の指定などのほか、種子法で規定されていた採種計画の策定、原種等の確保、指定種子生産ほ場の指定なども盛り込まれている。 ➡種子法関連の過去記事はこちら
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