金曜日, 4月 19, 2024
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公約実現へ道筋語る 土浦市議会で安藤新市長

【鈴木宏子】土浦市で市長交代後、初の市議会が始まっている。16日、会派代表質問が行われ、安藤真理子市長は公約実現への道筋を語った。 同12月議会は10日開会し、安藤市長は、公約に掲げた七つの基本政策を改めて述べ「すべての市民に寄り添った、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現に取り組む」と所信を表明した。 これを受けて16日、会派代表質問が行われ、安藤市長は、選挙戦で公約に掲げた①コミュニティバスを市内全域運行する②市立保育所を守る③指定ごみ袋の料金を再考する―などについて、自らの考えと公約実現に向けた道筋を話した。 コミュニティバス運行へ、来年度から調査 コミュニティバスについては、NPOが現在、中心市街地で運行している「キララちゃんバス」ということではなく、新たなコミュニティ交通または民間のバス事業者により、公共交通不便地域を解消していきたいと改めて強調した。実現への道筋については、来年度から課題や問題点を調査するとした。さらに運行区域や路線の検討など市全体の公共交通ネットワークについて調査研究し、市民に寄り添った温かさあふれる公共交通網の形成に向け努力すると述べた。運行の予算や財源については、利用者、事業者、学識経験者などで構成する市地域公共交通活性化協議会で協議を進める中で具体的にしていくとした。 後期計画の4公立保育所「残したい」 公立保育所10カ所については、前期計画で21年3月までに6園を民営化し、後期計画で残り4園を25年度までに民営化の対象とするとされていた。これに対し安藤市長は「近年、家庭の養育機能の低下や虐待児童の増加、子供の貧困、特別な支援を必要とする子供への対応が課題となっており、公立は長年培ってきた保育のノウハウを生かして先導的な役割を担うことができる」とし、後期計画の4園について「後期計画策定時には学識経験者や保護者などの意見を聞きながら民営化の効果や課題について検証し、ぜひ公立保育所を残したい」と述べ、後期計画で対象となる神立、霞ケ岡、天川、荒川沖の4保育所を公立のまま残す検討の対象とする意向を示した。 有料ごみ袋料金、検証し再考 家庭ごみ処理の有料化が昨年10月スタートし、「燃やせるごみ」と「燃やせないごみ」の指定ごみ袋が最大で10枚入り500円と、県内市町村で最も高くなったごみ袋料金については、「有料化はやむを得ない」と述べる一方、「同じ有料化を実施している県内他市に比べて高いという意見をいろいろな市民から聞いている」とし、今後データや資料をとりまとめて様々なアイデアを出しながら、現在の制度の実施状況や効果を検証して、ごみ袋の値段をいくらにできるのか再考に取り組みたいと述べた。 ほかに公約に掲げた新治運動公園多目的グラウンドの人工芝化については、グラウンド全面に人工芝を張る場合は約4億3000万円、少年サッカー用ピッチ3面分の場合、約2億7000万円の事業費が見込まれているとし、財政健全化を推進しながら整備手法や維持管理経費を改めて検討し、市サッカー協会などの意見も参考に早期に実現したいと話した。 一部用地取得ができず塩漬けとなっている常名(ひたな)運動公園問題についても質問が出た。安藤市長は、今後も引き続き「早期解決に向け用地交渉に取り組んでいく」と答弁し、運動公園から新たな土地利用計画への変更についても「考えてない」とした。同運動公園は27年前の1992年から事業着手し、これまで計画面積23ヘクタールのうち93%の21.7ヘクタールを利子も含めて約77億8800万円で取得した。残り1.58ヘクタールの取得が難航し未買収地が点在しているため面的整備ができないまま現在に至っている。 ➡土浦市長選の過去記事はこちら

中川氏と安藤氏が一騎打ちへ 土浦市長選告示

任期満了に伴う土浦市長選が3日告示され、現職で5期目を目指す中川清氏(74)=無所属=と、新人で県議2期を務めた安藤真理子氏(58)=同=が立候補を届け出た。市政の継続か刷新かを巡って、一騎打ちの選挙戦に突入した。 中川氏は4期16年の実績を強調。「日本一住みやすいまち土浦」を掲げ、地域力と市役所力が一体となった協働のまちづくりや、行財政改革を続け市民サービスの向上などを訴える。市内の商工業者、農業者団体の支持のほか、市議の3分の2の15人の応援を受けて万全の組織で再選に挑む。 安藤氏は「チェンジ土浦」を旗印に、暮らし満足度ナンバーワンの温かさあふれる市政の実現を訴える。市立保育所を守ってほしい、コミュニティバス「キララちゃん」を市内全域に走らせてほしい―など、市民の声に応える市政への転換を街頭などで訴え、市民に浸透を図る。 有権者数は11万8348人(2日現在)。選挙権が18歳以上に引き下げられたことから前回より約3000人増えた。前回の投票率は28.42%だった。 投票は10日午前7時~午後6時まで市内50カ所で行われ、午後7時から、同市大岩田、水郷体育館(霞ケ浦文化体育館)で即日開票される。大勢判明は午後8時ごろの見込み。 中川清(なかがわ・きよし)氏 74 市長 無所属 現④ 【公約】①民間活力の誘致による魅力ある霞ケ浦湖畔の創出②サッカー等多目的広場の整備③若い世代の結婚・出産・子育て支援の充実 【略歴】県立土浦一高、慶應義塾大経済学部卒。土浦商工会議所会頭、県公安委員長を歴任。2003年11月から現職。 【中川陣営の出陣式】午後4時から同市城北町のホテルで出陣式。地元の青山大人衆院議員、伊沢勝徳、八島功男両県議、市議15人のほか、商工・農業団体代表者、県内各地の市町村長らがずらりと顔をそろえ「難しい時代だからこそ安定、継続、安心」(伊沢氏)が求められるなどとアピールした。中川氏は「人(市職員数減)やお金(財源)がなくなっていく中で時代に合わないものは止めていった。そういうことをして(市立図書館や消防庁舎など)老朽化し狭あい化していた公共施設を建て替えることができた」と行財政改革の成果を強調。今後は新しく整備した公共施設を活用しソフト面を充実したまちづくりを進めたい、国に先駆けて実施した子育て支援コンシェルジュやふれあいネットワーク事業をさらに充実させたいなどと訴えた。   安藤真理子(あんどう・まりこ)氏 58 社会福祉法人理事 無所属 新 【公約】①企業誘致、土浦ブランドの強力なセールスによる財源確保②自然災害に対応する必要不可欠なインフラ整備③市立保育所の維持 【略歴】県立土浦二高、成城大短大卒。市議2期、県議2期を歴任。現在、社会福祉法人俊真会理事、土浦商工会議所女性会会長。 【安藤陣営の出陣式】午前11時から同市下高津の選挙事務所で出陣式。駆けつけた市議は2人だったが、同僚だった県議14人が顔を並べた。片山さつき参院議員(元内閣府特命相)が応援の先陣を切り「ケンミンショーで嫌な思いをさせられてきた茨城のイメージを一新するには、これまで一人もいなかった女性市長の誕生しかない」とハッパをかけた。安藤氏は「県内一古く全国でも3番目に古い市立土浦幼稚園の存続を支援したい。元気な高齢者が社会を支えていける制度を作っていきたい。財政の危機が言われるが、土浦には企業や消費を呼び込める立派な宝がたくさんある。支出を抑える施策はもう限界で、収入を増やす方策を考えるべき。売り込みに自ら足を運ぶトップセールスで臨みたい」とアピールした。 ➡土浦市長選の過去記事はこちら

【アングル土浦市長選】6 サイクリスト1.5倍に 駅ビルが起爆剤

【鈴木宏子】霞ケ浦や筑波山をめぐる全長約180キロの自転車道「つくば霞ケ浦りんりんロード」の2018年度の利用者数が8万1000人と前年度の1.5倍に急増した。20年に10万人という目標を今年度中に上回りそうな勢いだ。 昨年、1.5倍に急増した理由について県地域振興課は、自転車道の整備などハード面の環境整備と、サイクリスト向けサービスの充実や情報発信などソフト面の取り組みのほかに、土浦駅ビル「プレイアトレ土浦」がサイクリング拠点として開業したことが非常に大きいと分析する。 「土浦駅ビルは世界レベルのサイクリング拠点」だという評価も専門家から出ているという。駅直結の拠点施設で、シャワーやロッカーも整っていること、さらに駅ビル内にあるレストラン、物販店、コンビニまでもがすべて、自転車で利用できる「自転車ファースト」が貫かれていること、来年3月にはサイクリングを楽しむためのホテルが完成し、自転車の拠点施設としてのスケールの大きさが世界に例を見ないという評価だ。 選定されれば「次は世界」 つくば霞ケ浦りんりんロードは、日本を代表し、世界に誇る、国のナショナルサイクルルートの第1次指定候補にも選ばれた。瀬戸内海を渡る「しまなみ海道サイクリングロード」(広島県・愛媛県約70キロ)、琵琶湖を一周する「ビワイチ」(滋賀県、約190キロ)と並ぶ候補だ。 正式に選ばれれば、次は「世界に打って出る」と県担当者。英語や中国語などの看板表記を増やすなど環境を整え、さらにこれまでは台湾など自転車が盛んなアジアを中心にモニターツアーなどを開催してきたが、今後は個人旅行が主の欧米などからの旅行客にもPRしたいとする。 結節点から玄関口に 駅ビル「プレイアトレ土浦」のオープンは土浦市の位置づけを、サイクリングコースの結節点から、玄関口へと変えた。 こうした中、市は今年3月、霞ケ浦を臨む土浦港周辺の旧京成ホテル跡地にサイクリング施設「りんりんポート土浦」を整備した。今年度は次の段階として、マリーナを含む南側3.9ヘクタールに民間事業者の創意工夫を生かした集客・誘客施設の整備を促せないかと、民間事業者のヒヤリングなどを実施している。気運を捉えて、官民連携による観光拠点を整備し、にぎわいを創出したい考えだ。 =終わり ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら

【アングル土浦市長選】5 公立の役割とは 市立幼稚園を廃止、保育所を民営化

【鈴木宏子】公立幼稚園の廃止と公立保育所の民営化が土浦市で進んでいる。市の計画では公立幼稚園は2022年3月までにすべて廃止される。公立保育所は21年3月までに6園が民営化され、残り4園も25年度までに民営化の対象とされる予定だ。 公立幼稚園の再編計画によると、少子化と共働き世帯の増加により、公立は園児数が15年までの10年間で53%減少し、15年度の5園の平均園児数は定員に対し34%になっていたことが背景にあるとする。 一方、公立保育所については、同民間活力導入実施計画や市議会での説明によると、平均建築年数が36.5年(16年時点)となり更新や長寿命化を行う時期を迎えているが、民間にできることは民間にという国の三位一体改革により施設整備の国庫補助金が廃止されたこと、延長保育や多様なカリキュラム志向など多様な保育ニーズにきめ細かく対応するためなどという。 さらに18年時点の試算では、公立幼稚園5園の廃園と公立保育所10園の民営化により、人件費を含めて幼稚園が約9000万円、保育所が約4億円、計4億9000万円の市費の負担減になるという数値が明らかにされている。 母親たちが問題提起 幼稚園や保育園など幼児教育における公共の役割はないのだろうか。 公立幼稚園の廃止が公表された16年、突然の廃止の話に、子供を市立幼稚園に通わせていた母親たちが立ち上がり、同市では近年にない大きな住民運動が展開された。20代、30代の母親たちが市民団体「土浦公立幼稚園を守る会」を結成し、7401人の反対署名を集めて同年6月議会に反対陳情を出した。陳情は趣旨採択されたが、公立幼稚園を廃止とする議案は可決された。 この運動の中で、母親たちから「公立が無くなってしまうと、発達障害など特別な支援を必要とする子供たちが受け入れなくなってしまうのではないか、私立だけで十分が対応ができるのか」などの問題提起が出された。 当時、守る会代表だった小沢恵子さん(37)は、長女が卒園した市立土浦幼稚園について「発達障害などの子には1人の子に1人の先生が付いて、皆が温かく子供たちを見守る雰囲気があった。自分の子に障害児などとの仲間意識が芽生えた」と語る。さらに「廃止や民営化によって土浦市はベテランの幼稚園教諭や保育士さんたちを失ってしまう。ベテラン職員は地域の児童館に異動することもあり、子供をよく知る見守りの輪が地域に広がっていると感じ安心だった」と話し、障害児と健常児が一緒に過ごす統合教育の充実と、地域との連携強化などに公立の役割はあるのではと話す。 幼稚園は、発達障害など特別な支援が必要な園児の受け入れ体制などを整えるため、市内すべての幼稚園と認定こども園園長による市幼稚園連絡協議会を設立した。保育所はこの問題について、後期の実施計画(21~25年度)の中で改めて検討していくとしている。 ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら

【アングル土浦市長選】4 地元負担3割の壁高く コミュニティーバス導入進まず

【鈴木宏子】廃止されるバス路線が増え公共交通不便地域が拡大している土浦市で、代替の交通手段となるコミュニティーバスの導入が進まない。導入にあたっては、地域住民や商工業者などで運営委員会を組織し、運行経費の3割以上を運賃収入と地元負担でまかなうことを条件としているためだ。この「地元負担3割」が高い壁になっている。 「高齢化が進んだ地区になって、免許を返納し公共交通に目を向けたが、バス路線は無く、自分たちはどうしたらいいのかという話が出ている。ネックとなるのは3割の地元負担。10年前とは(高齢化率が)違うんだということでバス事業者と再検討をしてほしい」。市の公共交通の運行状況などについて協議する「市地域公共交通活性化協議会」で、利用者代表の委員から出された切実な声だ。 地元負担の問題は市議会でもたびたび取り上げられてきた。今年6月の一般質問では「土浦市のようにコミュニティーバスを走らせるために、市民に責任を負わせているやり方を行っている自治体はいくつあるのか。ほかの自治体のように、7割ではなく、全てを市が責任を持って公共交通網を形成をしていくことが必要」(田子優奈氏)、「地元負担金がネックになって、新治バスの後、いまだにどこの地域も導入できてない。地元負担を1割まで下げてくれという話をしている。そういう地元負担の設定をしない限りバスはどこにも走らせることはできない」(柳沢明氏)など厳しい指摘がされた。 市内を走行するコミュニティーバスは現在、NPOまちづくり活性化土浦が運行し中心市街地を巡回する「キララちゃん」の3路線のみ。市は、駅やバス停から遠い公共交通不便地域のうち市内12地区を、コミュニティーバスの運行が適する地域だとして導入を促している。神立中央、神立町、並木・板谷、木田余東台、中高津、永国東台、永国台、西根南・中村南・右籾、乙戸南の12地区で、17年には、それぞれ地区ごとに地元区長などを対象に、コミュニティーバス導入の条件や導入の流れなどについて説明会を開催した。しかし導入したいと手を挙げた地区はゼロ。2014年3月、コミュニティーバス「新治バス」が2年半で廃止になった教訓があるためで、地元負担3割という制度そのものが成り立っていないのが実情だ。 新治地区を巡回する「新治バス」は地元商工会などが運営委員会を組織して2011年10月、試験運転を開始した。地元負担3割が条件だった。しかし想定より乗客が少なく試験運転期間の3年を待たず運行を中止した。 2年半で2991万円の運行経費がかかったが運賃収入は243万円しか得られなかった。国の補助金を差し引いた3割(458万円)を地元で負担しなければならず、運賃収入を差し引いた215万円を地元商工会などが協賛金を集めて負担した。 新治バスの失敗後、市はコミュニティーバスの導入に向けて地域に助言、協力する相談窓口をつくるなどした。15、16年は数カ所の地区から制度の内容を知りたいなどの問い合わせがあったものの、ここ3年は相談が寄せられていないという。 県全体では路線回復 市内では路線バスの廃止が続き、バス路線の休廃止が許可制から届け出制になった2001年以降、40路線以上が廃止された。この間、増えた路線は、いずれも隣接のかすみがうら市地域公共交通会議が呼び掛けて12年6月に復活した土浦駅と玉造駅(行方市)を結ぶ「霞ケ浦広域バス」と、今年10月に運行が始まり、かすみがうら市旧千代田地区を巡回し神立駅と土浦協同病院を結ぶ「千代田神立ライン」の2路線だけだ。 一方、県全体では、路線バスはバス路線が届け出制に変わって以降一時減少し、14年度までの13年間で319系統、1677キロが廃止されたが、その後、市町村がコミュニティーバスの運行を増やしたため路線延長が増加し、最近は2002年とほぼ同じ水準まで回復しているという。 ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら

【アングル土浦市長選】3 寄付講座で黒字転換の霞ケ浦医療センター 「再編統合」のリスト入り

【相澤冬樹】県も市も、当事者の病院も声をそろえ、「寝耳に水だった」と振り返る。厚生労働省が9月26日、診療実績が少ないなどとして、再編統合の検討が必要な全国424の公立・公的病院名を公表した際、リストに霞ケ浦医療センター(土浦市下高津)の名があったため、周囲に動揺と戸惑いが広がった。 院長メッセージを発信 以来1カ月、利用者や住民から問い合わせが寄せられる同センターでは、情報を収集し、県、市との協議を繰り返す中で、ようやく事態の輪郭が飲みこめてきた。今月末に鈴木祥司院長(56)名で「患者」と「院内」向けに、今後とも病院の役割を「しっかり行っていく」旨、メッセージを発する準備が整った。 それによれば、今回の公表は厚労省が強制力を持って病院の再編・統合を進めるものではなく、県が主導する地域医療構想会議で議論し、地域の中での病院の役割を明らかにするのが目的と受け止めている。同構想は2025年の医療需要と病床の必要量を見通し、分担や連携などによって医療提供の体制を実現するための施策をまとめるもの。会議は県内9保健所ごとに設置され、土浦地域医療構想会議(委員長・小原芳道土浦市医師会長)は同市と石岡市、かすみがうら市をエリアとし、行政、医療・福祉関係者など約20人で構成される。 土浦市などによれば、同会議ではこれまで、全国で下位から2番目の医師不足の茨城県にあって、同市へは鹿行地域などから患者が押し寄せ、産婦人科病院のない石岡市からの流入も顕著になっている現状を踏まえ、病院機能の分化と連携が議論されてきた。高次医療について同センターと土浦協同病院に加え、近隣の筑波大学付属病院、東京医大茨城医療センターのそれぞれの持つ機能に合わせた体制の構築を議論してきた。 霞ケ浦医療センターは2004年、それまでの国立病院から独立行政法人に改組となり、会計上「独立採算」となって経営がひっ迫、40人以上いた常勤医が2010年には18人まで減って、経常収支も悪化した。廃院も取りざたされ、地元住民から病院支援の陳情運動が起こり、同市が総理大臣あて意見書を提出する事態にまでなった。 地方自治体からの支援を可能にする地方財政法の改正を受け、同市は12年、同センター内に筑波大学大学院の研究科を置く「寄付講座」を設けた。土浦地域臨床医療センターと呼ばれるもので、医療者の研究と教育の役割も担っている。 同市によれば12年度からの5年間は2億6600万円を寄付、17年度から第2期に入り、2年間で1億5400万円を寄付した。教員(医師)数でいえば、教授3人、講師2人の派遣を受け入れたことになる。19年度からは筑波大学のフラッグシップホスピタル(地域拠点病院)にも指定された。 これらの取り組みの結果、病院収支は改善、18年度は経常収支が黒字となった。同年度の医師数は常勤医39人、非常勤8人で以前の水準に戻した。手術件数は2287件で07年1189件の倍近くになった。 1年で対応策とりまとめ 土浦協同病院が16年、同市おおつ野に病床数800の新病院を建設して移転して以降、同市の桜川以南の住民には同センターが存在感を増している。鈴木院長によれば「霞ケ浦医療センターは土浦の市民病院的な役割を担い、急性期の患者だけを診るのではなく、二次救急から在宅医療・介護までをマネジメントできる医療者のリーダーを育成してきた」という。 地域医療構想会議においても「再編統合」の話にはならない。団塊世代がそろって後期高齢者となる「2025年問題」を越えて、高齢者人口が総人口の3分の1を超えると推計される「2040年問題」に向け、同センターの機能転換についての議論に踏み込んでいた。課題となっている周産期患者の受け入れ拡大などのため、病院の改築も目論んでいた。そんな矢先の厚労省の発表だった。 「よくよく聞いてみると、公表の根拠は2017年6月単月の診療実績によるものだった。病床の絶対数で差のある土浦協同病院との単純比較には納得できない点もあった」と鈴木院長。これまでの取り組みには自信をもっているが、病院の建て替え話は仕切り直しを迫られた格好だ。医療費削減を至上命題とする国からの資金投入が期待できないなか、自治体が再編策に反発しても財政負担を伴う施策を打ち出せるか、同会議を通じ対応策は来年9月までにまとめることになる。 ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら

【アングル土浦市長選】2 財政不足額が毎年10億円超 5年後に基金枯渇

【鈴木宏子】昨年11月に発表された土浦市の長期財政見通しで、ショッキングな推計が明らかにされた。今後2028年度まで毎年、10億円を超える財源不足額が生じ、18年度から28年度までの累積収支不足額が145億2000万円にも及ぶというのだ。不足額を一般財源基金で補うと、5年後の24年度には基金が枯渇し、以降は解消困難が財源不足が生じるという。予算が組めなくなる危機的な事態だ。 何が財政をここまで硬直化させているのだろうか。国が借金返済経費の7割を負担する合併特例債を活用して老朽化していた市の主な施設を一気に更新したこと、高齢化などにより社会保障費が年々増加していることが大きな要因だ。 旧新治村との合併による合併特例債の活用は、新治総合運動や新治地区公民館の整備、朝日トンネルの開通など新治地区の整備などから始まり、その後、市役所新庁舎の移転、新消防庁舎、新市営斎場、新図書館の建設など老朽化していた施設を次々に更新した。 大規模事業は市民会館の耐震改修、新給食センターの建設など今も続き、市の借金返済経費である公債費は、ピーク時の23年度に63億円と一般会計歳出合計の12%になる見通しだ。18年度の公債費が49億円(歳出合計の9.8%)だったのと比べると、借金返済に充てる額が26%も増える。 歳出削減のメーンは人件費の抑制 不足額を補うため講じるのが一般財源基金の繰り入れ。財源に余裕がある年度に積み立てておいた財政調整基金を、災害などで財源不足が生じた年度に切り崩して活用する財政上のテクニックだ。しかし無尽蔵に使える「打ち手の小槌」のはずもなく、基金による安易な補てんに頼るのは危うさを伴う。 このため、行財政改革も実施されてきた。直近の第5次行財政改革の成果として市は、16~18年度の3年間で、市職員人件費抑制、心身障害児(者)福祉手当の見直し、ジェネリック医薬品利用による医療費負担軽減などで歳出を抑制し、片や市税徴収強化、ふるさと納税、公有地売却、ネーミングライツや広告掲載などの広告事業などで、計27億円を生み出したと総括する。歳出削減の内訳をみると、人件費の抑制が削減額の9割を占める。職員平均年齢の若返りが主な要因だという。 今年度から始まった第6次行財政改革実施計画では23年度までの3カ年で、使用料・手数料の見直し、補助金の廃止を含めた見直し、公共施設を床面積換算で5%削減するなどが盛り込まれている。市民の痛みを伴う行財政改革が続けられる。 ➡【アングル土浦市長選】の既報はこちら

県議の安藤真理子氏が立候補表明 土浦市長選

【鈴木宏子】任期満了に伴って11月3日告示、10日投開票で行われる土浦市長選に、県議の安藤真理子氏(58)が11日、無所属で立候補すると表明した。同市長選を巡っては現職の中川清氏がすでに立候補を表明している。当初、ほかに立候補の動きがなかったが、一転しそうだ。 安藤氏は取材に対し「今変えなければ土浦は変わらない。愛する土浦を元気にしたい。土浦を変えるのは今しかない」と決意を語った。現職の中川市長が立候補を表明した9月中頃から「このままの土浦ではだめ」「土浦を変えてほしい」などの声が多くの市民から寄せられたことが背中を押したという。 現在の市政に対しては「財源不足は拡大の一途をたどり5年後には取り崩せる基金も底が尽きるなど危機的な財政状況にあり、黙って見過ごすことはできない」「直ちに財政健全化を図り、将来を担う子供たち、孫たちのために、市長がリーダーシップを発揮すべき」と危機感を強調した。 公約としては、県議として土浦市を県につないできた経験を生かし、①県と連携しながら企業誘致など財源増につながる施策を推進する②急速に進む人口減少社会に対し、将来を見据えた自治体間の広域連携を図りながら政令指定都市を目指す③サイクリングのまち土浦を積極的にアピールし、常磐線とつくばエクスプレスの交通アクセスを向上させ、常磐道スマートインターチェンジの設置につなげる④休日や平日夜でも安心して子供を預けられる子育て支援施設の創設や家庭教育を支援する施策を総合的に推進する⑤介護現場で働いた経験から、高齢者本人も支える側も安心して暮らせるよう相談支援システムの充実を図る―などを掲げた。 安藤氏は市議2期を経て現在、県議2期目。自民党県連女性局次長、広報局次長などを務める。県立土浦二高、成城短期大学卒。総合介護福祉施設「プラザマアム」会長、土浦商工会議所女性会会長などを歴任している。 一方、投票日まで1カ月を切ったが、選挙態勢などはこれから構築するとし、「市民一人ひとりの声を応援隊にしたい」と話した。 ➡土浦市長選の過去記事はこちら

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