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今村ことよさん 夏にワイナリーをオープン 筑波山麓
2023年1月2日
市内4カ所目、ツアーも準備 筑波山南麓のつくば市臼井(六所)で、ワイン用のブドウ畑(ヴィンヤーズ)を手掛けてきたビーズニーズヴィンヤーズ(つくば市神郡、今村ことよ代表)が今夏、ワイナリー(醸造所)をオープンさせる。市内4カ所目になる。 「ワイナリー設立はさらに良い品質のワインを作るための新たなスタート地点。訪れるお客様に、隣接するブドウ畑を見ながらワインを味わってもらうための場所として、ワイナリーツアーなどの準備をしっかりとやりたい」と今村さんは今年の抱負を語る。 約600平方メートルの敷地に、建築面積約150平方メートルのワイナリーを建設、販売所も併設する。これまで醸造は牛久市の「麦と葡萄牛久醸造場」で行っていたが、完成後は、栽培から醸造、販売までを一手に行う。 今村さんは守谷市出身。筑波大学で生物学を学び、2001年に博士号を取得した。第一三共(東京)の研究・開発部門を経て、13年に退職し、ワイン農家を目指した。長野県東御(とうみ)市のワイナリーに研修生として入り、栽培や醸造法を学んで、2年後の15年、つくば市臼井に農地を借りてブドウ栽培に着手した。 研究者時代からワインスクールに通った学究肌。筑波山から沢が流れる山麓の土壌は、花崗岩(かこうがん)のミネラルを豊富に含み、ワインに好適のブドウが出来そうだと目を付けた。ただし県南は気候がブドウにとって暑過ぎる。栽培可能な品種を選び、筑波山の風土に合ったワインを醸したい、と考えている。 つくば市が「つくばワイン・フルーツ酒特区」に認定された17年、初出荷を行ったが、自前で醸造が出来ず、「つくばワイン」を名乗ることができなかった。21年に法人となり、22年事業再構築補助金の採択を受け、ワイナリー建設に踏み切った。 ワイナリーが出来ることにより、醸造から瓶詰め、販売までの作業の流れがスムーズになり、さらに購入者との交流機会が増えると考えている。 現在ブドウ畑は沼田と臼井にあり、白ブドウのシャルドネ、セミヨン、ヴィオニエ、ヴェルデーリョと、黒ブドウのシラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、プティ・ヴェルド、タナなど多品種を栽培している。ほとんどは一人で管理しているが、収穫時などには仲間やSNSで興味を持ってくれた人たちが駆け付ける。 臼井地区に住んで7年になり、地域に溶け込み、草刈りや排水機場の清掃、芝焼きなど、地域のボランティア活動にも積極的に参加している。地域住民は「耕作放棄地がブドウ畑になって景色が良くなった、六所地区はNPO団体が多く活動する。地域は高齢化が進み過疎化が進む一方だが、一筋の光が見えてきたような気がする」と話す。 市内のワイナリーは、つくばワイナリー(北条、19年9月17日付)、つくばヴィンヤード(栗原、20年10月16日、平沢・漆所地区にヴィンヤーズをもつル・ボワ・ダジュール(上横場)の3カ所がある。(榎田智司) ➡ワインに関する過去記事はこちら ➡今村ことよさんに関する過去記事はこちら
つくば産ワインの初仕込み 北条に醸造所がお目見え
2019年9月17日
【相澤冬樹】筑波山麓、つくば市北条でワイン用ブドウを栽培してきたカドヤカンパニー(本社・小美玉市、岡崎正光社長)が自社生産の体制を整え、今秋収穫のブドウでの仕込み作業を本格化させた。17日、現地のつくばワイナリーで岡崎洋司専務と北村工マネージャーが取材に応じた。 新設のワイナリーは、ワイン醸造所と売店からなる施設。加工場には摘み取ったブドウから軸や枝を取り払う除梗(じょこう)破砕機、実を絞るプレス機が並び、発酵・熟成のためのタンクが14基設置された。年間15トンのブドウを処理できる設備という。同社のブドウ園では9月に入り収穫が始まり、これまでに約10トンの処理を終えた。10月初頭まで収穫が続く。 栽培技術から醸造全般を担当する北村マネージャーによれば、15号台風の被害は最小限にとどまり、ブドウは収穫量も糖度も上々の出来だということだ。早ければ2月にも白ワインから出荷できる見通しで、750ミリリットル換算で1万5000本程度の製造を見込んでいる。 同社は一帯に約18ヘクタールの土地を取得、2012年にシャルドネやメルローなど、白と赤のワインになるブドウの栽培を開始した。これまでに約2ヘクタールに約8000本を植え、収穫は14年から始まったが、醸造は山梨県内のワイナリーに委託してきた。このため、「つくば産ワイン」の打ち出しが難しく、ブランドを「ツインピークス」(双峰)と銘打って、つくば市内で同社が経営する和菓子店で販売するなどしてきた。 「ツインピークス」は今秋からワイナリー併設の売店でも取り扱いを始めており、早速購買に訪れた同市在住、富田順子さんは「茨城はお肉もお魚もおいしいところだけど、それにぴったり合うワインが見つかった感じ」と高評価。岡崎専務によれば、現在仕込み中のワインもブランド名は引き継ぐことになりそう。周囲の広い土地を活用して、「体験型のワインのテーマパーク」化を目論んでおり、ハーブ園の整備やブドウ園付き住宅の分譲などの将来構想もあるという。 同市ではここ数年、筑波山麓周辺でワインづくりを意図したブドウ栽培が複数の事業者により始まっている。しかし、果実酒は年間6000リットル以上を継続して生産できないと税法上、醸造免許が下りなかった。このため市は、ハードルを同2000リットルに下げる「ワイン・フルーツ酒特区」の認定を取得するなど、新たな地場産業の創出にてこ入れを図ってきた。カドヤカンパニーのワイナリーは、年間6000リットルを大幅に超えるため、特区制度を利用することなく、「つくば産ワイン」として来春デビューすることになる。 ➡つくばワインの過去記事はこちら
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