認知症抑制へ ロボットセラピーを研究開発 筑波学院大 板井准教授

板井准教授とロボットたち、一番手前が人型ロボットNAO=筑波学院大学板井研究室

【鈴木萬里子】認知症が原因で、生活上の混乱や周囲とのトラブルが発生している。その要因の一つがコミュニケーション量の低下による「社会的孤立」だ。筑波学院大学(つくば市吾妻)経営情報学部の板井志郎准教授(40)はロボットセラピープログラムを開発し、認知症高齢者らの集団的コミュニケーションの実践に取り組んでいる。

「ロボットセラピープログラムに認知症高齢者が参加すると、コミュニケーション量が平均で10倍以上増加し、認知症の抑制効果が期待できるんです」と板井准教授はいう。

ロボットセラピーは、人がロボットと触れ合うことで、楽しさや心地よさを感じて癒されること。アニマルセラピーは知られているが、動物はアレルギーなどの問題もある。ここ1~2年、北欧ではロボットセラピーが普及してきているという。「日本ではまだ広がっていないが、自分はやる価値があると思っている」と研究への情熱を語る。

授業では、学生らと実際にグループホームを訪れ、高齢者にロボットセラピー活動を実践している。認知症の高齢者とロボットが1対1ではコミュニケーションが促されにくい。しかし集団の中でロボットを活用することで、コミュニケーションを生み出すことが出来るという。

後期の授業では、市販されている小型の人型ロボット「NAO(ナオ)」を、学生たちがプログラミングしてセラピーに使う予定だ。「学生のやる気をどううまく引き出せるかが課題」だと、時代を創る若者育成にも前向きに取り組む。

ロボットは人を手伝い、人の役割の一部を代わってやることが出来る。「ロボットがどう人間を支えていくのかが重要。人間とロボットの分業化を考えている」と話し、コミュニケーションのないところに、ロボットの存在をきっかけにしたコミュニケーションを生み出す研究に邁進する。

阿見町出身。土浦一高を経て早稲田大学へ。大学では「間合いの研究」を約10年間行い、その後コミュニケーションの研究に入った。「コミュニケーションはそれ自体を生み出すのが一番難しい。コミュニケーションを生み出すため、ロボットを使った研究に入った」と自らの研究テーマについて語る。