【鈴木宏子】つくばの研究者らが、所属機関や組織を超えて横のつながりをつくり議論し合う「つくば横の会」(代表・江渡浩一郎産業技術総合研究所主任研究員)の第4回シンポジウムが23日、筑波学院大学(つくば市吾妻)で催された。「世界的なメディアアートの拠点としての筑波大学」や「スタートアップを軸とした地域との連携」などをテーマに第一線の研究者同士が討論を繰り広げた。

テレビ番組「情熱大陸」に出演したことでも知られる筑波大出身のメディアアーティスト、落合陽一筑波大准教授さんら14人が登壇した。新たなビジネスモデルを開拓して急成長する会社(スタートアップ企業)を支援する仕組みづくりに取り組んでいるつくば市の五十嵐立青市長らも参加した。

登壇した研究者からは「(メディアアートの先駆者、山口勝弘氏が教べんを執っていた時代の筑波大には)そこに行くとだれかが何かをつくっている24時間営業のるつぼみたいなところがあった。(世界的な拠点になるには)そういう環境が必要」「産官学やオールジャパンは失敗や癒着の匂いしかしない。ニコニコ商工会βをつくって、つくばをテクノロジーとアートとスモールビジネスの街にしよう」「(新産業創出を支援、促進する)英国の制度のように、つくば版SBIRをつくってはどうか」などの提案があった。

横の会は、2011年から5年間、インターネット動画サイト「ニコニコ動画」で放映された学術シンポジウムを開催した「ニコニコ学会β」(実行委員長・江渡さん)のつくば関係者が15年6月に立ち上げた。

現在、年1回シンポジウムを開催し、つくばの研究者を中心に毎回100人以上が参加している。これまで「つくばをスタートアップの聖地にする」などをテーマに催しを開催してきた。

筑波学院大が会場の今回は、同大の学生約10人がボランティアで運営に参加した。2年の内田克尚さん(20)は「会社社長もやっている落合陽一さんと一緒に写真を撮ることができた」などとうれしそうに話していた。