【鈴木宏子】ふるさとの宝物を探し、人が集まるミュージアムをつくって、地域を元気にする人材を育てる「地域デザイン学芸員」養成講座が7月24日から筑波学院大学(つくば市吾妻)で始まる。

社会人や学生を対象にした文科省の職業力実践育成プログラムの一つで、地域の文化や資源を掘り起こし、磨き上げて商品やサービスを開発し、さらに美術館や図書館、街なかの空き店舗などで発表などする。

日本地域資源学会会長の塚原正彦教授のほか、商業施設のデザインを手掛ける建築家、ミュージアムプランナー、訪日外国人の誘客事業などを担当する観光事業者が講師を務める。

学芸員との違いを塚原教授は「文化を守るだけでなく、デザインや経営学を学んで、文化に価値や魅力を付け、来館者を楽しませたり、普及させる人材を育てる」と話す。

具体的な授業は、牛久市を舞台に実施する。受講者は市内を実際に歩き、話を聞くなどして、ホームページや冊子、絵本などにして発信する方法を学ぶ。さらにミュージアムカフェやブックカフェをつくる方法を学び、ワインや落花生などの特産品を味わうことができるカフェ「おいしいミュージアム」を牛久の街なかにつくることにも挑戦する。空き店舗となっている牛久駅前商業施設の再生なども考えるという。

授業は7月24日から来年2月までの半年間で計9科目19単位。各科目それぞれ3日間で集中して授業を実施し、忙しい社会人向けに一部だけでも学べるようにする。受講した単位は5つの段階に分けて、それぞれ学び終えたという証明書を発行する。

同大では、養成講座の開講に先立って昨年度、2、3年生が授業で地域資源を地域活性化に役立てる方法を学び、同大附属図書館に図書館カフェ「おいしいミュージアム」をオープンさせた実績がある。図書館を市民に開放して今年2、3月の約2週間、県産の焼き芋、イチゴ、レンコンなどの食材を使ったスイーツと、コーヒー、ワインなどの飲み物を、地元笠間焼の器で提供した。

今年度は養成講座が本格的にスタートする。現在、地域おこしに取り組む市民や、観光雑誌で働くトラベルジャーナリストなどからすでに受講の申し込みがあるという。塚原教授は「暮らしの足元にある、かけがえのない宝物が見つかるはず」と話している。

◆募集期間は30日まで。定員50人。学費は1科目3万円、全科目30万円。60歳以上はシニア割引がある。詳しくは同大ホームページ(https://www.tsukuba-g.ac.jp/whats_new/chiikidezaingakugeiin_bosyu/)。問い合わせは℡029・858・4811(同大)