経営情報学部経営情報学科(2018年卒業)渡辺 夢さん

来年卒業予定の大学生を対象にした会社説明会が3月解禁され、就活シーズンも本番を迎えた。街ゆくスーツ姿の学生たちは何を思うのか。2月に開かれた「第5回つくばショートムービーコンペティション つくっぺ」で、就活に追い詰められた大学生を主人公にした短編映画「シュウカツセイ」で観客賞を受賞した渡辺夢さん(22)に、作品の狙いや自身の就活についての思いを聞いた。

 

―受賞時は筑波学院大学4年生でした。

はい。映画の構想を練り始めたのは4年生になってから。ちょうど自分の就活に重なっていました。就活しながら就活のシナリオを書くのは、奇妙な感じでもありました。

―なぜ就活をテーマにしたのですか。

学生最後の作品なので、学生に1番関わりの深いテーマにしたいと思いました。学生生活最後の総仕上げが就活と思い、取り上げました。

―映画では主人公が怪しい求人への応募をきっかけに、非現実的な世界に飲み込まれていきます。就活は学生にとって得体の知れない世界ですか。

そう見えました。自分を取り繕わなければならなかったり、周りと競争したり。私自身も思うように就活が進んだわけではなく、愚痴を吐き出すようにシナリオを書いたところもあります。幸い無事に就職が決まってよかったですが。

―ところどころぐっとリアリティを感じるシーンがありました。自分の実体験ですか。

はい。企業面接や合同説明会で埋まっていくスケジュールや周りの友人がどんどん内定をもらうことへの焦りなどは、自分の体験を取り入れています。さらにインターネットで見た就活生の悩みを相談するサイトには、親や先生など周りからのプレッシャーに苦しみ、就活が上手くいかない悩みが溢れていました。そのような声も反映させています。

―結末は考えさせられました。

主人公にとっては幸せ、でも観客からすると幸せか不幸か微妙というあいまいなところを目指しました。ハッピーエンドの方が好まれると思いましたが、私自身は暗い話のほうが好き。とはいえ、真っ暗では救いがないので、先生の助言もあり、少し白を入れました。

「つくっぺ」でノミネートされた他の作品は楽しい、明るい作品が多かったので、観客賞に選ばれたことは驚きました。起承転結があって分かりやすさを心がけたことが評価されたと思いますが、ハッピーエンドでなくても受賞できたことは、励みになりました。

―映画の撮影で得たものは。

映像作品は1人では作れません。素材撮りや編集する人、演じてくれるキャストが集まって一つのコンテンツを作るので、人と人のつながりが大事であることを改めて認識しました。あとは独りよがりでシナリオを書いても偏ってしまいます。先生や後輩からもらったアドバイスはとても参考になりました。コミュニケーションの大切さを学んだことは、就活でも役立ちました。

―今就活している人にアドバイスはありますか。

就活に追い詰められる学生の映画を撮って何ですが、周りからのプレッシャーに焦ってもよいことはありません。もし就活の過程でちょっと心が折れてしまったら、少し離れて楽しいことをしてリフレッシュしてほしい。自分に合うところがきっと見つかると希望を持って臨んでほしいです。

(インタビュアー:大志万容子)

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