【崎山勝功】来年の東京五輪を前に、つくばの酒蔵を観光にどう活用するかを考えるシンポジウム「ジオパークと酒蔵ツーリズム―地域資産を観光にどう活かすか」が27日、つくば市吾妻の筑波学院大学で開かれ、市民ら約60人が参加した。つくばの地域振興を目指すNPO「つむぎつくば」(本部・石岡市)が主催し、筑波山地域ジオパーク推進協議会が共催した。

同ジオパーク教育学術部会長の久田健一郎筑波大教授、全国の若手蔵元らが日本酒文化を海外に発信しようとつくった「酒サムライ」コーディネーターの平出淑惠さん、地域活性化の調査研究に取り組むANA総合研究所シニアアドバイザーの丁野朗さんの3人が基調講演を行った。

その後、市内にある日本酒「霧筑波」の蔵元・浦里酒造(同市吉沼)の浦里浩司さんと、「男女川(みなのがわ)」の蔵元・稲葉酒造(沼田)の稲葉伸子さんの2人を交えて、訪日外国人観光客をどう取り込むかを考える「インバウンド需要を酒蔵へ」をテーマにしたパネル討論が行われた。ビジネスデザインを学ぶ筑波学院大学生の西村瑠夏さんもパネリストとして加わった。

久田教授は「リピーターをどれだけ獲得するかが重要」と話し、平出さんは「日本語だけの(日本酒)ラベルはダメ。誰に売りたいのかを考えてのラベルづくりが必要」と語った。丁野さんは「地域の資源を基に(地域を紹介する)ストーリーを作っては」など、さまざまな角度から意見を出した。

浦里さんは「どこに売るかは蔵元の社長により考えが違うので正解は無い。ウチは県外の販売比率は5%でほとんど県内で販売している。輸出はしていない」、稲葉さんは「私のところもつくば市内だけで(販売比率の)95%。つくば以外の県内にもほとんど出していないし、東京にも出していない」と、それぞれの現状を述べた。進行役を務めたNEWSつくばの坂本栄理事長は「霧筑波、男女川を飲みたかったらつくばに来なさい、という蔵元ツーリズムもある」と提言するなど、活発な意見交換が行われた。

交流会では「霧筑波」と「男女川」が来場者たちに振る舞われ、参加者はつくばが誇る銘酒を堪能した。

交流会で振る舞われた日本酒「霧筑波」「男女川」を飲む参加者たち=同大学内のレストラン「カフェ・ド・グルマン」