【鈴木宏子】認知症高齢者などを対象にしたロボットセラピーの研究に取り組んでいる筑波学院大学(つくば市吾妻、大島慎子学長)が18日、県南地域などで介護施設を展開する今川医療福祉グループ(同市谷田部、今川美明代表)と連携・協力協定を締結した。高齢者施設でのロボットセラピーの普及に取り組む。

同大の浜田利満名誉教授らは、施設同士が将来、高価なロボットをシェアして活用する仕組みづくりや、セラピーを担う人材育成を目指して、今年夏にもNPO法人を設立する準備を進めている。

同大は2001年からロボットセラピーの研究と実証実験などに取り組んできた。板井志郎准教授によると、高齢者施設で実施する1回1時間程度のプログラムが現在ほぼ完成したことから普及を目指すという。

セラピーは、数種類の市販のコミュニケーションロボットを使う。高齢者は、会話をしたり歌ったりする人型ロボット「ユメル・ネルル」をなでておしゃべりしたり、体を動かしたり歌を歌うペットロボット「アイボ」と一緒に体操をしたりゲームをしたりする。孤独や寡黙が認知症の発症や進行の原因になるといわれている中、同セラピーにより、施設に入所する高齢者に笑顔や会話が増えるなど日常生活が活発になっているという。

協定は、今川グループみなみつくば会の藤原忠志企画開発部長が、同大の寄付講座で学生にホスピタリティー実務を教えたことなどを機に実現した。ロボットセラピーは、5月ごろから月2回程度、かすみがうら市宍倉の特別養護老人ホーム筑水苑かすみがうらでスタートする予定だ。

浜田名誉教授は「介護する職員にとっても、ほっとする時間になれば」と話す。

連携・協力協定を締結した(左から)今川医療福祉グループ筑水会副理事長で特別養護老人ホーム筑水苑の今川武彦施設と筑波学院大学の大島慎子学長

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