【鈴木宏子】つくばからの文化発信と次世代の才能発掘を目指す第6回短編映画祭「つくばショートムービーコンペティション2019」(つくば市、筑波学院大学など主催)の最終審査が2日、つくば市吾妻のつくばイノベーションプラザで開かれた。151の応募作品の中から最終審査に残った9作品が上映され、夢と現実の葛藤をテーマにした北海道札幌北高校放送局の高校生の作品がグランプリに選ばれた。

今回は19都道府県から、前年より29作品多い応募があった。最終審査は、観客審査員50人と関係者ら計約90人が参加し、10分以内の実写やアニメなどの9作品が次々に上映された。

映画「奇跡のリンゴ」「忍びの国」などで知られるつくば市小田出身の中村義洋監督が審査委員長を務めた。今回からは新たに、昨年市内に茨城スタジオを開設したアニメ制作会社「ウィットスタジオ」によるアニメーション賞が設けられた。

中村監督は応募作品について「去年辺りからいい作品が増え、今年はさらに安定し、いい作品がすごく増えた」と評価した。グランプリ作品に対しては「映像に対する愛を感じた」と話し、「浴びるように映画を見てきた時代を思い出した」などと語った。

中村監督とグランプリの高校生のトークを聞く参加者ら=同

グランプリを受賞したいずれも札幌北高2年の秋葉瑠果さん(17)は「自分の進路や環境の中で、自分がしたいことと、しなくてはいけないことの葛藤を描いた。この映画を見て共感し、前に進もうと思ってもらえれば」と述べ、菊地貫太さん(17)は「葛藤があったり悩んでいても、きっかけがあれば前に進めることを伝えられたら」と話していた。グランプリ作品は、つくば市の姉妹都市、仏グルノーブル市で7月に開かれる屋外短編映画祭で特別上映される。

審査員と記念撮影する最終審査で上映された9作品の制作者ら=同

審査結果は以下の通り(敬称略)
▽グランプリ=作品「雪と、傘と、あの日の写真」(制作者・北海道札幌北高校放送局)▽つくば市長賞=「ロングバイロケーション」(中川清晴樹)▽筑波学院大学長賞=「ナクシモノはこっち」(さとういよ)▽ウィットスタジオアニメーション賞=「アンクレットと蒼い海」(ひまら屋)▽市民審査員賞=「クレイペット」(阿部靖子)

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