つくばセンター地区のイベントロゴや、MOG(モグ)1階で展示の大型タペストリー。市民はすでに彼女の作品を見たことがあるかもしれない。筑波学院大学卒業制作で佐藤智美さん(22)は、つくば市内のパン店を取材しブランド化計画を立てた。作品への思い、大学4年間の思いを聞いた。

筑波学院大学経営情報学部
経営情報学科メディアデザインコース
佐藤智美さん(22)

―どんな作品を制作しましたか。

「パンの街つくば」を題材にしたパンの店の認知度向上のための広告施策です。専攻がデザインなので、つくばのパン屋を紹介する無料配布用リーフレット「パンの街つくば紹介マップ」を制作しました。先生から「何でつくばってパンの街って言われているか知ってる?」と聞かれたことがきっかけでした。つくばで生まれ育ったのに、私も知らなかったので…。

このリーフレットを手にした人から「この店に行きたい」と思ってもらえるのが目標。A4両面のスペースの中で魅力が存分に伝わるように、1店舗の枠を大きくしました。そのためにつくばの数ある店舗の中から5店舗に絞りました。

その条件はつくばセンターからバスや徒歩で行けるエリアであること、つくば発祥であること、つくばに来ないと食べられないこと。

分かりやすさ、伝わりやすさを大切に「パンの街つくば」のキャラクターをデザインし盛り込みました。つくばのパンが好きな市民の中でも女性がターゲットですが、男性も抵抗なく手に取りやすいシンプルさと、可愛らしさのバランスにこだわりました。マップを手にした人がパンを公園で食べるシーンを想定し、各店舗の近くの公園やお散歩スポットもマップに盛り込んだのも特徴です。

―エピソードは?

制作にあたり一番困ったことは、店舗の取材。初めてのことで取材申し込みの時点でとても緊張しました。1店舗目のオーナーさんからは上手く話を引き出すことができませんでした。2店目からは、事前に質問事項を設けるなど工夫をしました。ゼミの高嶋啓先生からは「取材する対象の店は事前調査をする」「作品集を持参するといい」と、デザインのことだけでなく、実践的スキルの面も指導してもらいました。

卒業制作のリーフレット(表と裏)

―4年間の学生生活を振り返っていかがですか。

筑波学院大学との出合いは中学生のころ。イラストが好きで友人と出かけたイベントにブースが出ていました。オープンキャンパスで先輩が自主制作したモーションキャプチャ(現実の動きをデジタルデータ化すること)の映像を見て、ここでならデザインに携わる仕事のための勉強ができると思い、志望しました。

人見知りでどちらかといえばネガティブなところがあった私ですが、つくば都市交通センターの「空間デザインコンペティション」に参加し、コンペで発表し優秀賞をいただいた経験から自信を持てるようになりました。この卒業作品を制作している時、姉からは「引っ込み思案なあなたが取材をするなんて信じられない」と言われたほど。自分では気がつきませんでしたが、振り返って見ると成長できているのかな?と思います。

―後輩へのメッセージはありますか。

履修内容が多彩なので「これがやりたい」という明確な目標がある人は特にお薦め。教員と学生の距離が近く、分からないことはなんでも質問できる環境があります。

企業から大学にきた依頼などもチャレンジさせてもらいました。頑張れば頑張るほど、活動の幅も広がり、力をつけていけます。ウェブデザイン会社でのインターンシップもいい経験になりました。デザインの仕事をしたい方にはお薦めです。

(聞き手・戸田さつき)

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