【コラム・室生勝】掲載図「生活支援・介護予防サービスの提供イメージ」を見ながら、ひとり暮らし後期高齢者の生活支援を考えてみよう。

まず、毎日の食事。歩いて食材の買い物に行ける距離にスーパーがあっても、手に持てる量はせいぜい2~3日分。シルバーカーを使っても4日分で、週2~3回行く必要がある。要支援程度の人なら近距離の買い物は可能だが、要介護1~2になると、訪問介護(ヘルパー)の生活援助に頼らざるを得ない。距離が1km近くあると、訪問介護の標準時間90分が買い物だけで半分使われ、あとの半分で掃除、洗濯、調理などを手伝ってもらわねばならなくなる。

食材の買い物は比較的近くても、衣類になると店は限られ、交通機関が必要となる。バスの停留場が近ければいいが、遠い人はタクシーを利用することになる。乗用車の座席は低く、降車のとき臀部を持ち上げにくい。運転手の手助けがあるのだろうか。

要介護1のケースでは、介護保険の介護タクシーで医療機関、金融機関、スーパーなどへ行く場合、ケアマネジャーよるケアプランがあれば、往復の介助(診療待ち時間は保険対象外)を受けられる。運転手は介護職員初任者研修の資格を持っている。出向いた先の付き添いは、その施設や店で対応すると介護保険では想定している。

図にある「外出支援」は、介護認定を受けていない高齢者や要支援を対象としたサービス。乗用車で送り迎えする移送サービスで、乗り降り介助や歩行時付き添いは含まれてはいるのだろうか。

介護の悩みを話し合える「カフェ」

要支援や要介護の人は、訪問介護で買い物、掃除、洗濯などの支援を受けられるが、介護認定を受けていないひとり暮らし後期高齢者にとっては、スーパーの「移動販売」が歩いて行ける場所に来てほしいだろう。掃除や洗濯も、図にある自治会単位の「家事援助」があると助かる。

図の「食材配達」は生協・コーポが行っている。さらに高齢化が進めば、スーパーも始めるだろう。住民の互助活動としては、食材配達よりも「買い物支援(買い物同行)」が喜ばれるようだ。

図にはないが、「ゴミ出し」でひとり暮らし後期高齢者が困っている場合が多い。遠い集積所に、決められた収集日の朝8時か8時半までに、出さなくてはならないケースだ。これは地域の互助活動で解決できる問題だ。

市町村単位の「介護者支援」は「介護者カフェ」のことだと思う。介護者同士が話し合え、介護の悩みなどを気楽に相談できる場所で、週1回開かれれば行きやすい。認知症の人と家族のためのカフェは、土浦市に3か所、つくば市に4か所あり、月1回開かれているが、一般の家族介護者のためのカフェはない。つくば市では、4月から週1回(火曜)、看護師や鍼灸マッサージ師が対応する介護者カフェ(ケアラーズカフェ※)が始まった。 モデルになるとよい。(高齢者サロン主宰)

※ つくば市市民活動センターホームページ>広報誌アーカイブ広報紙「ぴよ」53号