《邑から日本を見る》25 沖縄の意志を尊重しよう

飯野農夫也氏の版画「憩い」

【コラム・先﨑千尋】先月30日の沖縄県知事選挙で、「オール沖縄」の玉城デニーさんが8万票という大差で政府与党系の候補を破って初当選した。私は9月10日の本欄で「翁長さんが道筋を付けた沖縄の自己決定権を通すのか、それともヤマト(日本)への迎合を強めるのか」が問われる、と書いた。沖縄の人たちは、見事に米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する民意が揺るぎないことを示してくれた。

今回の知事選は翁長知事の急逝によるもので、建設が進んでいる辺野古沖の工事を「抵抗しても仕方がない。カネをもらった方がいい」と諦めるのかどうかが問われた。また、前回は自主投票だった公明党が、維新や希望の党と一緒に自民党が推す佐喜真さんを強力に支援し、基礎票だけでは佐喜真さんが優位という中での選挙だった。

結果はそうはならなかった。自民公明の両党は、菅官房長官、山口公明党委員長、二階自民党幹事長、小泉進次郎自民党筆頭副幹事長氏らを続々投入し、総力戦で臨んだ。しかし、「辺野古が唯一」を繰り返し、アメ(経済振興策)で思い通りになると考えていた政権与党の訴えは空振り。「政府の言いなりではなく、沖縄のことは沖縄で決める」という強い意志が勝ったのだ。

玉城さんの出自は沖縄ならではだ。米軍統治下の沖縄で、米海兵隊員を父に持ち、母子家庭で育ち、差別も受けてきた。戦後沖縄の歴史を背負った政治家だ。沖縄県以外だったら、知事はおろか国会議員にもなれなかっただろう。

玉城さんの勝因はいくつか挙げられている。翁長さんの「弔い合戦」もその一つだ。でも私は最大の勝因は、やはり普天間基地の辺野古沖への移設問題だったと考えている。玉城さんは一貫して辺野古の工事を認めないと訴えたのに、佐喜真陣営は最後まで移設の是非に触れず、「争点隠し」を通した。共同通信の出口調査では、無党派層の7割以上が玉城支持、自公両党の支持層も4分の1前後が玉城さんに投票した。政権は民意を読み違えた。

今度はヤマトが試される番

この結果について安倍首相は1日、「政府として真摯に受け止め、沖縄振興と基地負担の軽減に努めていく」と述べた。安倍さんの「真摯に」という発言は、これまでに何度も聞いており、またかと思う。彼は、真摯という言葉の意味がわからないらしい。菅官房長官の「粛々と工事を進める」という発言でわかるように、国は今後沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回に法的対抗措置を取るようだ。

地元紙「琉球新報」は、1日の社説で「政府は、知事選で示された民意を率直に受け止め、辺野古で進めている建設工事を直ちに中止すべきだ。この期に及んで、なおも新基地を押し付けるというのなら、民主主義国家を名乗る資格はない」と厳しく指摘している。

問題はこれからだ。沖縄では、10月の県議会で辺野古新基地建設についての賛否を問う県民投票条例案が成立する見通しで、沖縄の民意と国の考えがガチンコ勝負になりそうだ。私たちヤマトンチュがどちらに付くのか、今度はこちらが試される番だ。(元瓜連町長)