【コラム・浅井和幸】体を鍛えるためには腕立て伏せを何回しなければいけないのか? これは、その人の筋力によって違うということと、やらないより1回でもやった方がよいということになると思います。

ですが、「何回?」と聞かれたら、回数で答えたくなってしまうものです。30回はやらなければいけないんじゃないのかな、100回はやらなければ意味がないよ、少なくとも10回はやらなきゃ―などと。それぞれの印象で答えがちですよね。確かに、100回以上やらなければ、鍛えるどころか、筋力が落ちてしまう人もいるでしょう。

でも、普段は体を動かさない、筋力の弱い人の中には、1回も腕立て伏せができない人もいると思います。そのような人は、その格好をして30秒ぐらい態勢を保つだけで、筋力トレーニングになるかもしれません。

このように、自分の今の力を把握して、次の一歩を練習して習得することは、意外と難しいものです。気づかずに、毎日を過ごしている人の方が多いのではないでしょうか。特に、困難を抱えて悪循環を起こしているときは、これらの考え方が抜け落ちていることが多いですね。

小さな一歩を積み重ね、大きな山を越える

学校に登校するかどうかで、「良い・悪い」の線を引いてしまうので、朝、布団から出られないところまで自分を追い詰めてしまう。学校にいけないのならば、朝起きること、朝食をとること、家族と会話をすること―などを無駄だと捉えてしまいやすい。今の自分に悪い評価を与え、できる一歩を軽んじてしまうと、できることもできなくなっていきます。

今できることを把握し、次の小さな一歩に挑戦することができれば、その小さな一歩を重ねて、遠くに行ける可能性があります。小さな一歩も、自分がやったことがない一歩ならば、初心者なので、うまくいかないこともあるでしょう。でも、どのような達人も、最初の一歩は「初心者」から始めたはずです。

できないことで悩み、できることをしなくなることが、もったいないと思うのです。小さな一歩も積み重ねることで、大きな山も越えられるという希望を持てない人は、自分が何もできない赤ちゃんのころから多くのものを得てきたことに目を向けてみましょう。

積み重ねてきたことに目を向けることができない人は、周りの尊敬できる人、自分が好きな人に、そのことを聞いてみてください。周りには、自分の成長を喜ばしく思ってくれる人がいることに気付けるはずです。そんな人物はいないと思っている人は、カウンセリングを受けてみてください。きっと自分の素晴らしい価値に気づけるはずです。(精神保健福祉士)